ヴィンランド・サガ 第3話『戦鬼(トロル)』を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
フェロー諸島で待ち構える、傭兵団の悪意。何も知らぬまま旅立つ、無邪気な船出。
運命の瞬間は刻一刻と近づき、少年は何も知らぬまま、最後の団欒を蕩尽する。
鬼が刃を置いたのは、死ぬのが怖くなったのは、守るべきものを背負ったから。
という感じの遂に運命の時来る、ヴィンランド・サガ第三話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
トールズ父さんを殺し、トルフィン少年の運命を捻じ曲げるだろうアシェラッドの油断ならぬ悪辣さが良く強調され、なかなかに緊張感があった。フェロー諸島は悪徳の島…(フィクションからの偏見摂取)
アシェラッドは肝が座っているだけでなく、フローキの謀略、依頼の不自然さを鋭く見抜く目がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
荒くれれれば何でも良い、アドレナリン全開のヴァイキングとはちと違う、冷徹な視線が印象的だ。鎧もチェインメイルじゃなくて、ローマ風だしなぁ…。
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先週はキリスト坊主に斧投げてた"遊び"は、今回は隠された刺客を狙い過たず射抜く。油断すれば頭から食われる、欲望と謀略の海を泳ぐすべを、アシェラッドと仲間たちはよく知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
殺し合いがあまりに当たり前で、特に構えることなく殺し殺されできるメンタリティが、会合の中でよく見えた。
そういう連中に飛び込んでいくには、アイスランドはあまりに平和な島で。若い衆はママンに貰った弁当を抱え、恋する女との約束を抱えて、櫂を漕ぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
いやー…絶対死ぬわぁコレ…見てくれよこの”待つ女”の光と、"旅立つ男"の陰り!
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遠足、あるいは特攻隊みたいなオーラを纏って、アイスランドの日常は静かに進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
かつてアシェラッドと同じ岸に立っていたトールズは、若造を戦場から遠ざけるべく、交易のために船を使うレイフと一計を案じる。死ぬのも殺すのも、自分だけで沢山だ。
闘いに背を向けたトールズはしかし圧倒的で、不慣れとは言え若者五人と同じかそれ以上の出力を、一人で漕ぎ出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
これがアンバランスだと船回っちゃうので、5-1配置にしないと真っ直ぐ進まないってことですね。お父さん、V8エンジン搭載か…?
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暗闇に風を読み、航路の安全を掴むレイフの眼(後にフェロー諸島での待ち伏せを読む)と合わせて、年長者の経験値がいい感じに滲む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
これから家庭を持つだろう、輝かしい若人。そんな栄光をくぐり抜けて、あるいはキリスト教と交易に、あるいは家庭と寡黙に己のあり方を見出した年寄り。
戦場の勲しを求める青年に、トールズは"敗北"を語る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
戦以外の生き方を知らなかった自分が、妻の静かな強さ、子に名を求める激情に押し流された時の思い出。
それを知ったからこそ、殺すことも、死ぬことも怖くなってしまった。"戦鬼"は人間になった。
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ここのヘルガの真っ直ぐな視線が、とても良い。死地に赴く父の、なかなか言い出せない言葉を無言で受け取り、子に伝える靭やかさと合わせて、不敗の"戦鬼"を負けさせたという説得力が分厚くある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
幸福に負けて、男は戦場を去った。しかし運命は長い手を伸ばし、再び戦地が鬼を呼ぶ。
未来に待ち受けるものを知らないまま、密航してきたトルフィンのケツを叩く海路の、朗らかな晴天。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
『顔を見てみてぇぜ…』とうそぶくアシェラッドの、不敵な表情と曇天。
進むもの、待ち構えるもの。対比がお互いの生き様を照らし、衝突の瞬間が迫る
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死の罠が待ち受ける入江を潜ると、不穏な影が船を照らす。数を減らした"家"は瓦礫となり、日常への退路を断つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
深い影の奥から顔を出した、悪意の権化。アイスランド組のピクニックムードがぶっ飛ぶ邪悪な登場で、非常に良い。
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トールズを戦場から遠ざけた"家"の残骸が、彼の帰路を塞ぐのはなんとも印象的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
戦場を流れ歩く(だろう)アシェラッド兵団に、帰る"家"はない。奪い奪われる宿命を否定する出会いも、守るべきものもない。だから、他人の命も"家"も、簡単に残骸にできる。
対してトールズは戦備をしながら、強く眉間を曇らせる。
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自分が剣を取ることではなく、息子に剣を押し付ける時に、その表情は険しくなる。
刃を封じられた父の剣と、魔の魅惑を放つ息子の刃が一瞬、運命を交錯させる。
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刃は抜けば、血を求める。暴力は必ず、犠牲を生む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
簡単に『殺る』なんて言ってはいけないし、奪って良い生命はどこにもない。
トールズは喉笛まで血に染まった過去を持つからこそ、戦場の不毛をよく知っている。それは覆せないが、屈しない生き方もまた、可能なはずだ。
刃を背負うが抜かず、素手で北欧産モヒカンをぶっ倒すトールズ父さんが、あまりにも世紀末救世主過ぎて笑ってしまった。つ、つえー…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
名無しが何人かかってこようが話にならなさそうだが、キノコかじってバーサークしそうな褐色さんは、果たして強いのだろうか?
どちらにしても、アシェラッドの静かな殺意と分厚い奸智が、一番厄介な敵となりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
何しろ父さんは不殺だからなぁ…殺しに躊躇いがないものは、浅はかだからこそ戦場では強い。"強い"を至上とする価値観に背中を向けて、娘に名前をつけた男は、そこにどんな拳を突き立てるのか。
おそらく散るだろう父の背中に、息子は何を見るか。父は何を残すのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
待ち受ける運命のハードアクションに向けて、ジリジリと温度が上がっていくエピソードでした。
アシェラッドがマジ悪賢そうで良い…直接戦闘も強そうで、雰囲気あるいいキャラですね。
第1話冒頭の運命的決戦に、時間軸が追い付きそうですが、その"先"にはトルフィン少年を主役にした、長い長いサーガが待ち受けていることでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月24日
父が抜け出した、血で血を洗う恩讐の地獄。そこに子を引きずり込む入口となるか、抜け出す兆しを与えて散れるか。トールズ父さんの闘いぶり、楽しみです