バビロンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
高い塔より人が落ちて、新しい時代が始まる。
自殺法施行後、雲隠れに消えた新域域長、齋開花。法の手を届かせるべく正崎善は新たな仲間とともに、その影を追う。
同時に宣言される、新域議員選挙。法に則り、静かに語りかける戦争は、新たな領域へ…。
という感じの、バビロン第二章開幕である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
まず言っておく…地味! 難しい! 好きッ!
深夜とは言えアニメで、こんなに地道に法務執行と行政手続、民主選挙のことをちまちまちまちま掘り下げ続けるお話、なかなか見ないよ。原作のテイストなんだろうなぁ…。
齋側も正崎側も、超法規的組織を持ち出したり、超能力で世界を変えてしまったりはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
あくまで現実の延長線上にある組織と制度を使い倒し、真っ当な手段で己の意思を通そうとしている。
ある意味フェアプレーなんだが、扱っている題材は超危険なビーンボール。不思議な距離感だな…面白い。
今回は社会がフェアであるために、人類と日本国家が積み上げたシステムが多数出てくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
法解釈、司法制度、警察権力。民主選挙に議員選出。これらのシステムを回すのはとにかく書類なので、一生地道に文字をうち続けるエピソードとなった。
既存社会をぶっ壊す話なのに、その手段はあくまで秩序の範囲
その堅牢さが逆に、齋と曲世が揺るがそうとしている観念の異質さ、信念の硬さを感じさせて、なかなか不気味である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
狂信とも違う奇妙な公平性で、齋は『生≠善』という新しい前提に立つ社会を、合法的に作り上げようとしている。ズルするのはイヤなのだ。曲世愛ってチートあるけども。
これを詰める主人公サイドも、検事に法務事務官、刑事に政治家と、秩序と書類の中で生きている存在ばかりだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
司法システムに乗っかって嫌疑を固め、逮捕状を出して齋の"悪"を証明しようとする。ムカついたからって、いきなり銃で撃つような蛮行はしない。
当たり前といえば当たり前、普通といえば普通
しかし齋は現代社会のシステムを徹底的にクラックしているので、正攻法で追い込めきれるかは疑念が残る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
立法に傷はなく、その法的責任を問うのは難しい。抜け道…ともまた少し違う、『生=善』を疑わない固定観念の死角を歩く能力に長けているという印象。秩序の構造をよく理解し、おもねる気はない
さて正崎さんは、すっかり新域で悪巧みする勢力に取り込まれ…る形になっている。徒手空拳で噛み付くにはデカすぎるし、今は既知の大悪よりも未知の危険に向き合うとき。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
でも、あくまで円卓には座らない。無言の抗議が、意地を感じさせる。
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自殺法施行を受けて、急増する自殺者。それはあくまで自由意志に則った行動であり、死にたいから死ぬ人を直接咎める法は日本には存在しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
新しく作るのも難しい。そんな柔軟性が日本にあるなら、新域構想なんぞ存在しないのだ。いやまぁ即座に自殺禁止法が施工される国家って暴政だと思うけど。
果たして、自殺は悪なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
ガラス越しのバビロンを見ながら、法務事務次官はひとり呟く。エリートなのに、ショーペンハウエルみたいなこというオッサンだな。
齋を追い込むために、自分たちが握る"法"という剣。その鋭さの根底にあるのは、自由と意志の尊重だ。敵と同じ足場に、自分も立っている。
それを根本に据えて、近代国家と人民は成立しているわけだし、そこには齋が挑戦状を突きつけた『生=善』という前提が横たわっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
あくまで社会秩序に則りつつ、その根源を揺るがす。反社会的というより、超社会的活動家というか…正当性をゼロから洗い直す必要があって、かなり厄介だな。
齋を社会規範から逸脱した、パブリック・エナミーとして切り離す思考を、瀬黒次官は危惧する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
彼はあくまで社会の中にいる。その内側から、同意されたシステムを最大限活用して、社会それ自体を壊し作り直してしまうような革命を、静かに投げつけてくる。
…こうして文字にすると、本当に厄介だな。
半田の分析眼は、積極的安楽死の文脈を自殺法に見出す。己の尊厳を守るために、病に冒された弱者が唯一行使できる、最後の権利。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
それを生者の領域に拡大する齋の発想は、大胆だが暴論とも言い切れない。いや、暴論なんだがな…。
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ゴミ箱が埋まっているから、他の人がもう捨ててるから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
責任の所在を既存の事実に背負わせられるのは、状況を加速させていく。
死を無軌道に濫用させないために、生の尊厳を守るために実在する法があることが、齋の自殺立法の背景には存在している。革命への賛同は、ゴミか福音か。
『ゴミ!』と断じたからこそ、既存秩序は正崎さんを抱き込み、犯罪者として齋をひっ捕まえようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
新しい仲間が次々集う展開は心躍るが、文緒のことを思い出すと不安でもあるな。ぜってぇ誰か死にそう。相当にあっさり。
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ゴミに取り囲まれた世界に、陽麻は光と秩序を連れてくる。ロボットのように優秀で、潔癖症な法事務の達人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
彼女は神域構想に取り込まれた正崎を嫌悪し、距離を置く。じっと睨みつけて、値踏みを続ける。
赤と青の間に、明瞭に惹かれた境界線。
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理念の上では切り分けられる、善と悪。それが現実では隠微な紫に混じり合うことを、正崎は身を持って体験し、それ故陽麻から軽蔑されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
なかなか厄介な、新しい相棒。それに馴染むまもなく、メディアは仇敵の新しい動きを伝える。既存秩序は革命に対し、やっぱり後手に回るなぁ…。
実態を掴むことが難しい、メディア越しの域長宣告。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
あくまで国民間の同意に則った、民主的な選挙。そこに仕込まれた爆弾が、どう爆発するのか。
増え続けるBADアイコンは、剣闘士の死を懇願する観客の親指だ。一章では一人だった死者数、どこまで増えるかねぇ…。
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選挙要項に含まれた『年齢制限無し』『自殺法を強制争点』という爆弾。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
野丸先生が自信満々に勝利を革新する、既存秩序の領域をハックする仕掛けなんだと思うが、正直どう駆動するのか全然わっかんねー。
文面一個抜けるだけでで無法状態が生まれんだから、条項の精査は大事よね。
検察、法務、メディア、警察、政治。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
組織の枠を闊達に横断し、既存権力は可能な限りの対抗姿勢を取る。法務サスペンスでありがちな、『現場と上の対立』で足が止まることはない。このお話では、そこが乗り越えるべき問題ではないのだろう。
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スルスル構築される味方陣営と言い、野丸先生の必勝宣言といい、確実に切り崩されるフラグなのだが、ではどういう角度から、どういう奇想で壊してくるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
そこを全然想像できない所が、このお話の面白さとも言える。SF的想像力の奔放を、サスペンスの燃料に上手く活かしてる印象。
先生が背負う"而ニ不二"は仏教用語で、『二つは一つ、一つは二つ』くらいの意味だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
裏と表は一見正反対だが、一つの存在が持つ属性でもある。野丸先生が余裕綽々で見ている、既存の社会システム。それを駆動させる同意形成。
果たして、金権と豪腕だけがそれを生みうるのか。
一見社会秩序に反する自殺法も、既存の法制度、野丸先生自身が神域に与えた立法権限に支えられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
齋は同意によって正当に構築された既存システム…倫理インフラともいうべきものを、ハッキングして自分の革命に活かす能力が、異常に高い。
ならば、"選挙"だけが例外である理由はどこにもない。
現実世界だとポピュリズムの手法でクラッキングされかかってる民主主義だけども、はたしてバビロンはどういう答えを出すのか。今後の展開に注目である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
しかし議員選挙がアツい山場として機能するの、ホント特殊だな…"沈黙の艦隊"中盤みたいだ。
野丸先生には頑張っていただきたい。死にそうだけど。
凄まじい速度で駆動する、齋の革命。その速度に取り残された子供の涙を、正崎は見落とさない。ベキッとへし折られるボールペンを、陽麻はじっと見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
陽麻が正崎を見るシーンが多く挿入されてて、二章はここが焦点の一つだな、と思った。
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捜査の方はどしどしと進んでいって、引っ掛かりを掴んだような、それが蛇を引っ張り出す悪手のような、なんとも言えない感覚で進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
普段は悩まされる事務手続きにイヤミ言ったら、想定外のスピードでOK出て困惑する刑事が好き。
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既存のフレームの中で、秩序は打てる最善手を打っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
組織同士のいがみ合い、無能と対立、足の引っ張り合い。そういう普通の障害は丁寧に排除され、スムーズに捜査は進んでいく。証拠は集まるし、仲間の結束も結構硬い。
だが、多分それでは追いつかない。
正崎が今回掴んだ絆も証拠も、齋と曲世が中心にある巨大な獣を縛り付けるには、多分全然足らないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
今用意できる最善を並べても、なお追いつかない巨大な怪物。未だ自殺法の本意にすら辿り着けない、奇っ怪なシステムハック。
多分、根本的な発想転換をしないと、この状況は御せない。
それは同時に、死による革新を目指す"敵"と同じ発想に、既存秩序が近づいていく、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
敵を知り己を知れば、百戦殆うからず。だが怪物を見つめ過ぎれば、己も怪物になっていく。
正しさと善を名前に刻む男は、どこまで潔癖な存在でいられるか。それに拘泥することが、後手を生んでいるのか。
そこら辺のバランス含め、なかなか面白い新章開幕となりました。とにかく書類書いてるシーンが多いッ! 『事務手続き VS 自殺法』って感じだ。超おもしれぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
秩序への挑戦状を投げつけてきた側が、その実既存システムをよく研究し、その価値を認めた上でハッキングしてる状況も見えた。マジ厄介。
そんな強敵を相手取るべく、正崎さんのチームがどんどん組まれてったけども…正直おっつかないだろ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月28日
自死を呼ぶ声を相手が持っている以上、かなり無惨な形で切り崩されそうだけども、さてはてどうなるか。
議員選挙の行方も含め、なかなか油断のならない状況です。いやー面白い。来週も楽しみ。