BEASTARSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
嵐と暗闇を越え、たどり着いた運命の土壇場。獅子の毒牙にかからんとする愛しい人を、守るべく爪を振るう灰色狼。
己の中の獣と、過去の向き合い光に向かう。その背後で、赤黒い闇に沈んでいく枝角の王子を、誰も知らない。
静かに吠えろ。青春が終わり、そして動き出す夜に。
そんな感じの、シシ組死闘決着編…であり、『終着点は出発点でしか無いよね!』ってエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
忌み嫌った牙を制御し、ハルちゃんを守ったレゴシ。その甘さの始末を、愛の銃弾でつけたルイ。
二人の青春は一人の女を交錯点にすれ違い、お互い光の中の闇へ、闇の中の光へと上昇、あるいは沈降していく
そんな残虐にして美麗な瞬間を、複雑な色彩で描くお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
青春、性、暴力、社会、克己、矛盾…”BEASTARS”という作品が睨みつけてきたものが、ギュッと凝縮されるお話とも言える。
ヒーローよろしく修羅場を乗り越えても、別の運命が立ちふさがる。全てが闇に染まったようで、まだ物語は続く。
後半カメラがレゴシ&ハルの浮上に寄ったので、ルイの未来はまだ無明であるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
浮くにしろ、沈むにしろ、延々と難問が立ちふさがる世界の厄介さと面白さが、クライマックスの後にどんどんと立ち上る展開である。
”Happy ever after”で終わるには、ちと現実は複雑に過ぎるのね。
さてお話は、明暗を行き来しながら進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
ジャックたちが身を置く、学園という明るい檻。そこからはみ出してしまった親友を知ることなく、彼らは小さな死に一憂する。
大きな灰色狼が見せた、小さな慈しみ。それは飼い主の不在中に、音なく死ぬ。
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僕はレゴシが”虫めづる姫ぎみ”なのが好きなんだけども、握りつぶそうとすればいくらでも簡単な命に、レゴシは自分の恋を重ねる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
言葉も通じないカブトムシを、どれだけ愛しても答えはない。
自己満足の独り善がり、持てるものが身勝手に持たざるものを推察する傲慢。
カブちゃんが閉じ込められた透明な檻に自己を反射しながら、ジャックは親友の言葉を反芻する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
食肉獣として、あるいは犠牲としてしか生まれることが出来なかった運命を、どう扱うか。
それはこの世界、この社会の成員が皆、思い悩む巨大な断絶だ。そこを自分なり、どう飛び越えていくか。
牙むき出しの”本音”を丸呑みして、犠牲を当然と握手するものもいる。紳士ぶった態度の奥で、牙を軋らせ弱者を噛み砕くものもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
そんな”当たり前”と手を繋ぎたくないから、レゴシはカブちゃんを撫でつつ己に悩み、ルイはその手に拳銃を掴む。
牙を突き立てろ!
…だがどこに、どのように?
その問いかけは、学園のヌルい光から遠い暗闇の中、むき出しの牙で問われる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
1カットをとにかく割らないこの作品らしい、グルングルン動きまくりの大乱闘。お互いの喉笛を狙い合う極限状態で、レゴシは牙の禁を解く。
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瞳を本能の色に染めて、それでもなお命を取らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
ゴウヒンさんが問うていた『自分の中の獣を飼いならす、大人の資格』を、レゴシは土壇場で証明してみせる。
それはハルちゃんと向き合い、巨大な断絶を認めつつも、確かにそこに愛があることを確信していたからか。
後にレゴシは、迫りくる”性”によって大人の階段を強制的に登っていくけども、実はこの血みどろ(と、そこからの離別)こそが、レゴシ最大の通過儀礼であったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
牙を突き立ててなお、命に届かせない。殺傷本能の扱い方を常時考え、自分の、社会の中で渦を巻く”本音”に軛をつけていく。
物理的に牙を抜いたところで、他人を踏みにじり食い物にする残酷をいくらでも咀嚼できるというのは、市長のニヤケ面がよくよく証明するところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
だからここでレゴシが克服したものも、物理的な殺傷というよりは、より精神的で抽象的な…信念殺人事件みたいなもんだと思う。
初めての裏市ではただ拒絶し、混乱し昏倒することしか出来なかった、むき出しの暴力と食欲。支配と蹂躙。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
それを自分のものと引き受けつつ、牙を制御する。食うべきと食わざるべきを峻別し、選び取った答えを体で証明していく。
それはキツい。正しいからこそ、傷もつく。
でもそういう問題集に答えていくことでしか、人は人であり続けられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
一回答えを出せば終わりではなく、答えの裏には誰かの誤答と別の問題が待ち構え続けている所が、シビアで嘘のないところであるが。
ルイの問いと答えに関しては、少し後で考えよう…気持ちが限界になっちまうからな…。
愛を囁くには、あまりに凶暴過ぎる巨大な口。赤い瞳に見据えられた少女は、恋人の微笑ではなく、生贄の引きつりを顔に貼り付けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
こうなるしかない僕たちの、ラブロマンスの実像。それをキレイに飾ったところで、何も動き出さないなら…。
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目の前で展開される超暴力に、ハルちゃんは飲まれ、ビビる。急に聖女になれるわけでもなし、ただの弱い兎としてビビりまくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
それでいい。そこから、肉食と草食のホントのところから始めるために、レゴシは裏市に踏み込んだのだ。獣である己を影に隠すのではなく、日向で向き合うために。
血に濡れ、震えながら差し出された手をハルちゃんは掴む。最初は当たり前に怯え、その断絶を意思で乗り越えて、二人はようやく正面から抱き合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
後ろから、ただ剥奪するだけの抱擁。第1話の邂逅からようやく、狼と兎はお互いの顔を見た。
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生来強くあることしか出来ない肉食(あるいは男)と、生来弱くあることしか出来ない草食(あるいは女)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
その相互理解を指先の芝居に宿した、非常にいいシーンだ。
同時にこれだけ回してると固定化されたジェンダー・イメージがヤダ味をモゾ付かせる…が、草食である男性であるルイの描写が裏拍を取る
嵐は上がり、ダンディー・パンダは優雅に去る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
血みどろの激戦に身を投じて、『武運祈る』だけ書き残し自分の領分に戻っていく。ゴウヒンさん…あんた宇宙一のパンダだよ…。
暴力に満ちた暗黒から抜け出て、光に進み出る二人を、背後から狙う牙。
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”銃”という文明の利器を、手(レゴシが上手く使えたもの、人と人が繋がる縁)では上手くコッキングできず、生来の”牙”で励起させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
シシ組組長が拳銃を扱う芝居は、それを遮断するルイの銃と合わせて、非常に象徴的だ。レゴシのが生来持ち振り回され、今回制御した”牙”をルイは持たない。持ち得ない
レゴシの不殺主義。ハルとのロマンス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
光に向けて前向きに進んでいく物語とは逆ベクトルに、ルイは落ちていく。肉食が殺さないことで己を貫いたように、草食は殺すことで運命に反逆する。
愛を守る。
枝角で身を飾っても、ルイはどこまでも少年だった。
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ルイが市長との約定を破って、組長をぶっ殺さなければ、レゴシとハルのロマンス・ジュブナイルはバッドエンドだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
暴力は時に、非常に綺麗なものを守る。守られた側、暴力を行使しない側が気づかないからこそ、守りたかった純朴は光に向かい、濁りなく進むことも出来る。
それにしたって、ルイの決断は痛く、重い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
大人のふりで自分を誤魔化して、誰かの肉で未来を繋ぐ。
そんな当たり前の本音を飲み込めないから、レゴシはルイを殴った。その刻印は、赤鹿の顔面にキッチリ刻まれている。
しかし、そうやって殴りつけたルイこそが、最も清浄で美しいものを求めて…
暴力の巷、奪い奪われるむき出しの生存に飛び込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
”4≒死”を刻まれた足を赤く汚しつつ、暴力の犠牲(それは被虐の側だけでなく、行使の側にも及ぶ)に落ちるしか無い己を呪う。世界の醜い残酷を呪う。
でもそうやって汚れたのは、汚れたくないからだ。
大人になんぞなりたかねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
鋼鉄のファロスを肉食獣の口にぶち込み、銃弾の抗議を突きつけたルイは、大人のエスカレーターをガン昇りするレゴシの背後にいる。
影の狼は光に向かい、光の赤鹿は闇に沈んでいく。
ここが結節点。運命はぐるりと裏返って、役者は装いを変え、舞台はまだまだ踊る。
ルイが非常にフェミニンな仕草で、獅子の顔をした死、暴力、大人を向かい入れる時、空は雲に覆われている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
しかし完全な暗黒などなく、ここで物語は終わらない(原作未読の方、ネタバレすいません。ここに言及せんと感想言えんのです)。
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初恋と青春を銃弾で貫いて、なおルイの人生は続く。やけっぱちで『食い殺せ!』と歌った怪物に交わり、世界は続いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
その終わりのなさが、容赦のない優しさで僕は好きである。たかが人殺しした程度で、カルマが終わるとは思うなよ…。
それは別のお話として、レゴシとハルは小休止、飯食って力つけて、温もりの中に帰還していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
払暁のように、明るい未来を照らす街灯。皿のサイズ比が、二人のギャップを強調する。しかし、乗ってるものは同じ焼きそばである。安い。
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壁に囲まれ、明かりがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
血みどろの暗闇から(ルイの銃弾で、それと知らず)抜け出した二人は段々と、人間に戻っていく。
むき出しの極限状態から弛緩して、腹も減れば性欲もある、生きて死ぬ当たり前の人間に戻っていく。
その中間地点が、このオレンジの色合、一瞬の息抜きである。
人間に戻ること、当たり前に恋をしてセックスをすることが即ち、殺傷に繋がってしまう厄介さが、この小休止の後には待ち構えているわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
少なくともこの段階では、一つの英雄譚が終わり、ハッピーエンドに向かって加速していく。
満たされる腹、膨れ上がる性欲、醸し出されるムード。
性欲は屈折して反射し、複雑なコードの中でやり取りされる。水たまりに、あるいはガラスに反射するお互いの火照り。食欲とは別の(しかしそこに直結された)本能。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
このアニメの象徴主義が、非常に生きたシーンだと言える。
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親友が性と死の土壇場で踊る中、級友たちはやっぱりのんきで、人工的で優しい光の中に身を置いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
外泊程度が一大事? ヒト、死にかけたし死んでるんですけど…。
激高するマンドリルを置き去りに、のんきな学園コメディは続く。
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相当な温度差、のんきさ。学園スケールの本能しか認めない狭量さと、それで守られる日常と平和。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
モラトリアムの優しさを描きつつも、それが喰殺で破綻したところから始まった物語が”学校”に向ける視線は、相当にシニカルで…同時に優しい。
このコメディがあればこそ、レゴシも帰還できる。
どこから? セックスの領分からだよ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
『”バビロン”かよ!』とツッコみたくなる、ピンクと紫のライティング。白熱する性欲はレゴシを一気に押し上げ、尻尾をビンビンにそそり勃たせる。
おんなじ鏡張りだけど、部室とは随分違うなぁ…。
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否…自己を反射/照応する社会性を鏡に見据えながら、他者と向き合う場所として、この閨も部室も早々変わらないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
曖昧にすぎる自己像を、他人に反射して規定する。”身の丈”ってやつを図る小さな社会性は、学生たちの小さなサークルにも、二人きりの寝室にも存在している。
甘いムードと獣欲、経験豊富なハルの純情に導かれる形で、レゴシはセックスへ…十全なコミニケーションへと突き進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
それは熱に浮かされた盲目と、鏡に反射する自分たちを見据える冷静が同居した、不思議な距離感だ。
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手慣れた仕草でひと足お先、ハルが腰掛けた寝床は、最初柱で分断されている。レゴシは自分の意志で境界線を踏み越え、シャツを脱いで傷を顕にする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
ビルが突き立てた、爪の名残。肉食獣であることの複雑さが、形となって刻まれた聖痕。
その秘密を、ハルちゃんは見ていく。
それは肉に刻まれた痛みであると同時に、精神に焼き付いた傷でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
レゴシが牙を突き立て、それを制御したことがフィジカルな暴力で終わらないように、肉と心は繋がり、傷はただ痛みだけを与えない。
ここからのセックス(未遂)が一瞬の快楽と、繋がれた充足感だけを与えてくれないように。
非常に裏腹なものが乱反射しながら、鏡張りの世界の中で展開していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
罪の告白。過去の再演。先に進みえない、凍りついた過ちを共犯し共演しながら、狼と兎はお互いに触れ合う。
始まってすらいなかった嘘を、噛み砕いて、そこから。
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そういうナイーブな距離感をお互いに許して、男女はお互いに触り合う。掌だけをつなぎ合う、プラトニックな過去がギクシャク、軋みながら加速していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
指の芝居が巧いアニメなので、エロティックなシーンも非常に情感豊かだ。偉い! あとエロい!!
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しかしそんなペッティングで、肉食と草食の、人間と人間のむき出しは収まらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
ハルちゃんの身体は狼の巨大なアギトに収まる結末を求め、フツーに交接してフツーに関係性が構築される終わりを認めてくれない。
セックスすりゃハッピーってなら、ハルちゃんはベッドマット落とされてないんだよ!!
ルイも自分の心に素直に、枝角の冠を落とした素肌の自分で向き合って、殺人者にもなってないだろうしね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
少年が胸踊らせる、特別なコミュニケーションとしてのセックス。その甘やかさを存分に匂わせつつ、全ての解決策にはしない。
暴力と同じくらい、”性”にどっしり四つ相撲。信頼できるアニメだ。
僕らは草食と肉食ではないが、セックスは支配や暴力と時に繋がって、すごい哀しい爆発が過去に、目の前の現在と薄暗い未来にいくらでも転がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
人間社会に寝転がる普遍を、あぶり出して強調するために
特殊な状況を思う。ファンタジーやSFの一番ハードコアな部分を、この話は的確にぶん回す。
そんな大嵐に巻き込まれてしまった、灰色狼と白兎。あと赤鹿。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
『悪い魔王をぶっ倒して、皆幸せに暮らしました。そんな御伽噺で終わるわけねぇだろ』と、続いていってしまう人生の難しさが牙を剥くエピソードでした。
うう…ルイ…なんて哀しい純愛…。
暴力との闘いは一段落付き、次は”性”…かかってこい!となったら、それが暴力に直結してしまう難しさが襲いかかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
なかなか息をつかせてくれない、簡単な答えを与えてくれない重たさが、クライマックスを越えてなお長く伸びる。
それはルイの堕天も同じで、そこが彼の終わりではないのだ。
むしろ落ちた先にある微かな光が、ニヒリズムに塗りつぶされたようで確かに息をする生への希求、善への欲求を浮き上がらせていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
その物語は、まだまだ続く。続くのだが、アニメは一旦そろそろ幕である。
マジでよー…これは二期やらんと”嘘”でしょうがオレンジさん!!!!
先走り気味迸り過ぎの欲求は横において、今は修羅場を乗り越えたカップルを学園という檻に、日常という宿り木に戻してやらなきゃいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
人生という物語は続く。そのためにも、一つの物語をしっかり終わらせなければいけない。
さて、荒れ狂う青春はどう幕を引くのか。来週も楽しみです。
追記 頭の先端から指の先っぽまで神経通ってて、なおかつそのナイーブさ自身に溺れるのではなく物語に徹底して活かす作品は、傷や痛みに敏感なので非常に好きです。
BEASTARS追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
二人で焼きそば食べる小休止のシーン、ハルちゃんの割り箸がパキッとなってないのが好きで。
兎の非力さもあるし、落ち着きつつも混乱してる頭の表現としてもいいし、一難去ってまた一難な展開を示唆もしてる。
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文字通りシンプルには『割り切れない』複雑さが、暴力にも性にも青春にもつきまとい続ける、このお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
なかなか型通りにはキレイに収まらないが、焼きそば腹に入れて活力を取り戻すには使えるし、巨大な断絶が前にも後にも横たわりつつ、二人は同じものを食える。
それぞれ個別の歪さと、隣り合って枠に収まる社会規範をどうすり合わせていくかってのもこの話の焦点だと思うわけだが、この下手っぴな割り箸は断絶/規範と作品がどう向き合うかの、良い象徴だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
上手く割り切れなくても、メシは食わなきゃいけない。世の中そういうもんである…のか?
”食事”はこの話に取って、単なる栄養補給やコミュニケーションの枠を超えた生き死に直結のモチーフであるし、そういう根源的事象を世知で納得しきらない思弁性が魅力でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年12月19日
性交を意味する”食う”というスラングが、抽象にならない世界の食事。割り切れない割り箸。細かい所面白いなー、と思う。