A3! SEASON SPRING & SUMMERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
五人のメンバーが集まり、遂に始動した夏組。
全員出たがり、協調性一切なしの個性派軍団の、リーダーに躍り出たのは皇天馬。
経験者だからこその苛立ちが、生み出す罅と不協和音。一つの舞台を作り出すために、必要なものはなんだ?
そんな感じの、夏組始動! なお話。いやー…春とはまた違った塩梅で、かなりの人格フニャフニャ野郎どもが集まったね!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
コイツラを乗りこなし、板に芝居を乗っける船頭役のいづみちゃんが、タフに”監督”やってる姿がよく見えてよかった。良い芝居のためなら、何でもする”業”が心地よい。
加えて五人の顔もちょっとずつ見えてきて、特に幸と椋の中学生コンビが日陰から日向へ、ゆっくり進んでいく歩みは印象的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
木陰をバックステージとして使い、学園風景を”舞台”として魅せる情景の作り方は、このアニメらしい雄弁さがあって良かった。
未だ出会ったばかりの五人は問題山積で、お互いのこともよく知らない。というか、自分自身のことすら知らないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
そういう断絶を画面に焼き付けつつ、それがちょっとずつ埋まっていく歩みもまた、上手く描かれていた。そういう心理幾何が冴えるアニメが、僕は好きなのだ。
冒頭、演劇をやっていると学友に告げられない二人の距離は、木陰に覆われて遠い。仲間たちも三々五々稽古場に集まってくるが、どうにも呼吸が噛み合わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
それが彼らの現在地であり、そこから色んなことが始まるのだ。俺様アピールのポルシェ、逆にかっこ悪いぞ天馬…。
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同じ学校に在籍していても疎遠で、自分を堂々世に問うことも、同じ舞台を目指す仲間だとも言えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
日陰を歩き続ける中学生二人の距離感が、どう変わっていくか。そ之変化をスケッチするのが、今回のエピソード…の、一つの画角と言える。
同じ場所が何度も出てくると、変化を定位しやすくて良いわな
初動をスケッチしておくのは五人全体も同じで、インプロヴァイズを通じて役者としての技量、物語における自分の立ち位置を確認する視力が、それぞれ見えてくる。というか、それを見るために即興をやらせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
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演劇は物語なので、役者は作家として意味ある発話と演技を行い、メッセージとドラマを己の身体で生み出す必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
三角と天馬はこの領域まで既に入っているが、残りの三人はまだまだ素人で、自分が位置するべき物語の構造全体を把握しつつ、役としてその一部を占位出来ていない。
フリー・インプロヴァイスは適当に呼吸を合わせるだけでなく、相手が投げかけてきた設定と芝居を咀嚼し、観客に伝わる演技で投げ返す…活きた芝居を即興で取り出す技量が問われる。
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ここら辺の腕前が、三角はかなり高い。演劇という”形”を通じて、意味を取りまとめる瞬発力。
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三好さんとのインプロとは全く違ったキャラクターとドラマを紡ぎつつ、『車を出す』というモチーフで〆を共通させているところとか、なかなかにニクい。
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不仲な兄弟という設定をいきなりの胸ぐら掴みで見せて、その関係性や”父”まで芝居を広げる応酬も、天馬に負けていない。
インプロを的確に演るためには、与えられた台本をそのままトレースする人形ではダメで、自分なりに理解した劇作をその場で実行し、場面を構築していかなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
いい役者であるということは、いい脚本家、いい監督でもある、ということだ。この複層的な能力が、二人は高い、ということだ。
俺様になるほど役者として、既に大成している天馬は納得としても、『こなれている』と評価された三角のバックボーンは、どこで培われたのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
『居場所がない』と言っていた”家”で、いったい何を学んできたのか。謎の多い男であるが、役者としての才覚と技量は、非常に高いわけだ。
綺羅星の如き才能を目にして、いづみちゃんも思わず舌なめずりであるが、我らが”監督”は誰か一人が飛び抜けすぎるのを嫌うようだ。
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エース二人を真ん中に据え、ワキでもり立てる配役には、芝居も現実も持っていかない。
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役者としての頭抜けた才能と、肥大化したプライド。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
天馬を真ん中に据えつつ、指導者、あるいは先導役として新たな課題を課すことで、全体のレベルアップを図る。かなりしたたかな組織運営を、この段階で用意していると思われる。
まーいづみちゃんがリードしないと、この凸凹集団確実に沈むからな…。
とはいうものの、三角の尖った人格を三好さんは朗らかに受け止めてくれているし、バチバチぶつかりながらもコミュニケーションは取れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
ここからどういう芽が出るか、なかなか面白い座組だと言える。芝居してネェときはトンチキ三角人間な三角を、構えず受け入れるありがたみよな…。
出たがり共の味を活かすべく、座付き脚本家の腕が問われる局面。ともあれ動き出した夏組は、走り込みに発声練習と、基礎を積み重ねていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
あらゆる局面で『揃ってない』五人の現状を見せて、凸凹を強調するのは面白いね。木陰のバックステージでも、木の幹が断絶を際立たせる
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実力も資質も、ステージに求めるものもバラバラな一座が、異質なまま一つにまとまっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
その面白さは春組の物語で、一回見ている。
メンバーと演目が変わり、今度はどういう化学変化が見られるか。なかなか期待をそそる運びだ。
春公演を成功させた体験が、いづみちゃんを図太くさせてるのも良い
カレーを食って力つけて…というところで、脚本家が徹夜で仕上げた台本が届く。ぶっ倒れた綴に駆け寄るのが、この二人なのがなるほど、という感じ
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
千夜一夜物語をベースにした、全員主役のコメディ。メンバーの顔を見た本が書けるようになった綴も、春公演を経て成長したのだ。
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変化の兆しとして風が吹く演出は、これまでのエピソードでも、今回も活用されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
綴が持ってきた演目は、凸凹な夏組にどういう風を吹かすのか。それがこのあとの物語、楽しみなところ。いづみちゃんも思わずサムズアップである。
一座の調整をして、脚本の仕上がりも見て。”監督”仕事してるなぁ…
積み重なる日々の中で、椋と幸の距離感も変わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
陸上のエースとして、夢を託した過去。それが壊れてしまっても、もう一度夢を見ようと舞台に魅せられた。
そういう内面を吐露する前は、昔の仲間のほうが椋に近いのよね…断絶がまだある。
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ここを乗り越えていくのが、フェンスを間仕切りにステージのように現実を切り取った、横の画角で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
網の”向こう側”で演じられている青春へ、二人は同じ舞台に立つものとして、バトンを受け渡しながら進んでいく。
”そちら側”でもう走れなくても、新しいステージが待ってる。
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舞台に賭けた思いを受け渡し、幸は新しい友達に提案をする。堂々、俺たちのステージを見てもらおう、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
それは演劇を恥ずかしがったり、距離を開けたりする日陰の歩みとは違う、大きな一歩だ。
思いのバトンが手渡され、くるりと舞台の表裏が反転する。今いる青春の向こう側も、またステージだ。
そこに並び合って立つ自分たちを確認する時、風が吹き歩みは日陰から日向へと向かっていく。距離は親しく、視線の先には、青い空。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
舞台に足を付けていない日常の対話が、劇的なのは良いことだ。このアニメ、演劇のアニメだからね。
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『風が吹く/光に向かって進み出す』というモチーフは例えば第4話、至が新たな変化に向かって歩んだときと、似通った道具立てである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
それぞれ心に引っかかるもの、背中を押してくれる人は違えど、カンパニーに身を置くことで吹く風がある。https://t.co/jwSyHd9MuH
そういう変化と継続を、色んなキャラ、色んな角度から切り取る話なのかなー、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
MANKAIカンパニーは変化を生み出す場、人生を変えていく触媒として、よりポジティブな意味を持ちうるのだ。
そしてその変化は、一座全体へと波及していく…のか?
その難しさも、良い視力で切り取ってくる
日向に一歩踏み出しても、椋の自己評価の低さは変わらない。天馬が舌打ちし不機嫌になるたび、舌はもつれ芝居は絡む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
プロとして経験を積んでいるからこそ、スタートラインにすら立ってない椋の成長をどっしり待つ選択肢が、天馬には取れない。
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現状、天馬にとっての”リーダー”とは『一番目立つやつ』『一番偉くて発言権があるやつ』くらいの意味しかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
それを振りかざして自意識を満足させるより、豊富な演劇経験を共演者に分け与え、より良い芝居を汲み上げる導き役を、いづみちゃんは天馬に期待している。
だが、高校生はなかなか飲めない
天馬は自分ひとりが綺羅星として輝く以外の形を、まだ見つけられていないのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
しかし春組千秋楽に”何か”を感じ、弱小劇団に足を運んだということは、自分の心に他人を入れて感動する重難さが、まだ生きている、ということだ。
いづみちゃんそこら辺見取って、リーダー仕事で伸ばすつもりか
夏組の物語は、俺様役者が”和”を学ぶドラマを、大きな軸に据えてきそうである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
とすれば夏組は、天馬が”リーダー”になっていく過程を、より善く響かせる共鳴板でもある。
三角の笑顔と彼なりの心遣いが、椋にも届いて微笑みを生んでいる描写が、僕は好きだ。
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ゆっくりと、しかし確かに一座が生まれつつある隣で、リーダーは悩んでいた。そこに静かに寄り添い、同じ方向を見る春組座長。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
演目も役者も違う。同じ場所には立ち得ない。
でも一つの演目をやりきった経験から、差し出せるアドバイスはある。
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分断を強調する柱と影が、実体験の籠もった咲也の言葉で和らいで、同じ月を一緒に見上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
常に必至に走り回っていた大根役者が、こうもどっしり後輩に道を示すようになるとは…なかなかに感慨深い。
夏組がカンパニーになる物語は、春組が手に入れたものを再確認する舞台でもあるわな。
役者と監督、それぞれがより善い舞台のため、眠れない夜を過ごす。椋が原典読み漁って、足りない部分を埋めようとメラメラしてる描写が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
あといづみちゃん、相変わらず役者個人をしっかり見て、今後の方針も明瞭に立てながら、焦らず立ち回ってるね…強いわ。
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ノートに『他の四人にアドバイスしてくれるようになると、夏組はもっと成長する』と書かれた”リーダー”は、彼なりのリサーチを踏まえて、みんなで寝ることを提案する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
『それ咲也に言われたことの丸コピじゃん! 訳解んないし!!』と、最初はいづみちゃんも距離がある。
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しかし成長途中なりに色々考え、自分の体験を仲間に分け与えようとする意思を受けて、ドアの向こう側(≒光のある方)にちょっと身を乗り出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
照れくさそうに視線をそらす先に、咲く一輪の花。監督と夏組リーダーも、同じものを見つめ、同じ方向へと進んでいく。
道半ばなれど、歩みは次第に整う。
その過程をどっしり追った、夏組第二編でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
木漏れ日のバックステージを重ねる中で、椋と幸の断絶と融和、変化と希望を視聴者に焼き付ける演出は、なかなかに演劇的で良かったです。
実力も性格も凸凹噛み合わないながら、一歩ずつ歩調を合わせ、同じ方向を向いていく夏組。
その舳先に、抜群の演技力と未熟な人徳を併せ持った天馬がいるのは、なかなかに面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月26日
咲也とはまた違った座長として、彼がどういうカンパニーを作っていくか。そこで花開く、それぞれの個性と思いはどういうものか。
夏組公演も、波乱と期待に満ちた物語となりそうです。次回が楽しみですね。