・前置き
(これからBNA第10話の感想書きますけど、遅れた言い訳と前置きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
作品の質がどーとか嫌いになったという話では全くなく、むしろシリアスに丁寧に作ってくれたからこそ、自分が巧く受け止めきれずにここまでズルズル来ちゃった感じで。
と書きながらまとめたほうが良いな、と思ってやります)
(元々シビアな現実認識を、獣人というフィルターを通してフィクションにしている作品ではあるのですが、疾病と人種というファクターが全世界を巻き込んでいる現在と、強く呼応する流れになってきていて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
作品の外側(にありつつ、内側に食い込む領域)をどう扱うか、姿勢に困ったのもあります)
(普段は極力、作品に描かれていないものを引っ張ってくるのを抑えている(そう、これでも抑えてるんです)感想なんですが、今回のエピソードを見て僕の中で繋がったものに言及しないと、感想も言えねぇなって感じにはなって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
今回はアニメに描かれていないものにも適宜言及しつつ、感想を書きます)
(加えていつもよりメタ領域からの読み…つーか断定を多く振ることにします。アランの言説をこの段階で切り崩しておかないと、作品の土台になる倫理を真っ直ぐ扱えないので。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
クライマックスを前に、もっともらしさで鎧っている彼の有り様。その悍ましさを語らないと、結構なんも言えないと思う)
(それはほのめかれされつつも、未だ明言はされていない領域なので、僕がアタマん中で勝手に思ったことなんですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
極力客観でやろうとはしてても、これは”感想”であって”分析”や”研究”ではないので、身勝手な妄想をパなすのもまぁ、ギリギリ許されるかなぁ、と思うことにしました)
(とまぁ、グダグダ前置きが長くなりましたが、感想本編に入ります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
『たかがアニメ』を見て思ったことを書くのに、こうも想いを整地しなきゃいけない面倒くささに呆れつつも、まぁこうやるしかないよな、と思い知らされました。
感想を楽しみにして頂いてる方には、遅れて申し訳ない。)
・本編
BNA ビー・エヌ・エーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
頻発する、獣人凶暴化事件。その裏に潜むシルヴァスタと対峙した時、一つの真実が顕にされる。
獣の血に潜む、他者と相容れぬ凶暴さ。それを収めるために、獣人という生き方は”治療”される必要がある。
誇りを奪う施療に銀狼は牙を剥き、少女は戸惑いつつも、明日を待つ
つう感じの、嵐の前触れなエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
獣人を街に住めぬ獣に変えてしまう、凶暴化現象。その真実…の一つが、アランから語られた。
科学の精髄たる製薬企業のトップが、冷静に語る”病理”としての獣人の性。その治療として、突きつけられる銃口≒医療器具。
公衆衛生と科学の装いで以て、差別と暴力をさも当然と語る姿勢には(おそらく意識して)優生学の匂いがプンプンするが、まだこの段階では尻尾を出していない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
もしかしたら彼の言っていることは正しく、ヒポクラテスの誓いを遵守する善人なのかもしれないが…ここ偏見に満ちたメタ読みを押し付ける。
医療と暴力、科学と私欲、公平と偏見が渾然一体となった、シルヴァスタの言説。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
正しさを取り繕いつつ、それが善に…より正確に言えば特定集団のより善い未来に全く繋がっていない不公平は、昔と今と、悲しいことに多分未来も吹き荒れるだろう権力のドレスアップ手段を、しっかり写し取っている。
何かを隠している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
頭を下げ、科学に基づいた言葉で正しい行動をしていると見せているが、アランを取り巻く作劇技法は軒並み、そういうサジェスチョンをし続けている。
獣人は病気で、劣等種で、治されなければいけない。
それが覆される欺瞞であると、論理の鎧の隙間から滲ませている。
それを感じるオタクの感性と、自分がこのお話に向き合っている姿勢を勝手に信じて、予断多めでこのエピソードを見て、語っていくことにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
本当は極力、出たもので判断するべきなんだろうが…『科学的に正しい差別』をブン回すアランを一時でも肯定すると、俺このアニメ見れんのよね…。
さてお話は、馬獣人の暴走から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
今までも獣人が獣相をむき出しにするときは、怒りと暴力が溢れていた。しかし矢場以来の変化は、制御不能、コミュニケーション不能な暴力性を、強く滲ませている。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/cdZuLPfV2Y
前足の蹄は形を失い、獣人の”馬性”は奇っ怪なキメラへと変貌している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
これが彼個人の内部、あるいは獣人種の特質としてあるものなのか、特定個人、特定集団がその利益のために誘導しているものなのか…。
未だ、謎は多い。
アランが弄ぶペンは、状況を操るタクトなのか?
みちると士郎にとって謎であるように、それは僕にとっても確定できない疑問である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
獣人のろくでもなさ、どん詰まりの愚かしさを描いてくるのと同じくらい、その只中で生きている逞しさ、喜びもまた書いてきたこの作品が、獣という生き方を『治す』暴力を、許すか否か。
最終決戦と、そこに伴うネタバラシは作品が扱ってきたテーマ、発するメッセージ全体の価値を決定的に決めそうで、今まで以上に目が離せない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
相当難しい領域にあえて踏み込んでいる作品なので、どういう結論にどういう経緯でたどり着くかは、凄く大事だと思う。信頼もしているが、不安でもある。
みちると士郎は力を合わせ、街から外れた場所…暴力行使が社会を壊さない場所へと、馬獣人を誘導する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
『今度は殺さない』
チョーカーを外す士郎の決意は、医療の装いで覆われた鉄の暴力に乱されていく。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/rVdUZ03hA4
みちるを守る盾となった士郎を、貫いたのは注射器ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
弾丸で獣を(つまり人も)殺せる、”天使の機械
(エンゲル・マシーネ)・それがシルヴァスタが、獣人の暴走を扱う手段である。
公衆衛生が持つ暴力性のビジュアル化は、”銃夢”のザレムや、”ハーモニー”の超医療都市を思いださせる。
あなたの、みんなの健康のため。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
人が(つまり獣人も)生きる存在である以上、中々否定し得ない公共益。普遍の価値観。
獣人暴走事件を”病理”として扱うことは、シルヴァスタの暴力行使、アランの謀略を正当化する一つの足場だ。
それは疑いようもなく科学的で、社会に認められた”良いこと”だと。
そう言われながら、銃を突きつけ体を切り刻まれ、強制収容所とガス室送りになった人達の死骸で、この作品も僕らのリアルも、たっぷり埋まっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
ロゼ市長と士郎が出会った場所は、匿名化されたダッハウだ。この世界もそういう歴史があり、彼らはそういう体験の上に、アニマシティを作った。
そういう千年の地獄を加害者として被害者として体験しているから、士郎は人間を信じない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
しかし目の前に、善き人はいる。
みちるの言葉で獣相を納め、人に戻って言葉を使う。そういう理性は、まだ獣神に残っている。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/CtfSGTxupQ
今回士郎さんは、獣になったり人になったり忙しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
彼を代表とする旧き獣人…人と獣が相反するしかなかった時代の存在は、譲れない誇りや理不尽への怒りを燃やして、獣に変わる。
その業が制御不能なのか。獣は人の最も善い部分を共有できない存在なのか。
大神自身も血みどろの過去の中、それに思い悩んできた。だからこそアニマシティには強い希望を懐き、その理念を守ろうと走っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
そのためには、ただ獣であるだけでは足らない。憎悪する”人”の、それでも憧れたより善い側面を、自分に引き寄せていく必要がある。
それが非常に難しいことを、幾度も繰り返されるメタモルフォシスは語っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
大神の頑なな人格が、彼が背負う獣人史と誇りが、獣であることを捨てさせはしない。しかしその激情を檻に入れなければ、人のようには生きられない。
なら、治しちゃえばいいじゃん。
真実と啓蒙の光を背負っているようで、薄暗い陰りがずっと晴れないアランは、状況を解決する唯一の”正解”として、獣人の中の獣を殺しにかかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
まぁ綺麗に取り繕ってはいるが、要は断種だからな…。そら、士郎さんも牙を剥くわ。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/VXVhT3uzaT
彼の口から語られる、惨劇の真実とシルヴァスタの起源。獣人が獣人である以上避け得ない、獣の暴走。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
ニルヴァスタ・シンドローム。
『…疾患に特定の地域や民族名を入れるんじゃあないッ!!』と、初見時ガチギレしちゃった…。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/kftGRs2wSn
都市化にともなう、他者との隣接。異質な集団が群れをなし、一箇所で暮らすことで産まれる不和とストレス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
それが何にたどり着いたかを、現実のほうが色々見せてくれている状況ではあるけども。
アランの言を取れば、それは獣人に避け得ない科学的事実で、獣は街には住めないのだ。
虐殺と絶望から救われたからこそ、人として隣り合える”獣達の街(アニマシティ)”を夢見た市長と、その夢に未来を見た士郎さん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
その願いを、残酷に踏みにじる”事実”である。…本当に?
アランは情報の扱いが怪物的に上手い存在として描かれているので、まぁ信じたくはないわな。
大神の牙に対抗するために突きつけられたドローンは、アランの言説をショウアップするメディアとしても機能する。また、患者を鎮静させる医療器具としても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
その複合も、ある種のキマイラか。衛生と支配と宣伝は、混ざり合うのだ。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/I5g7XvQ41B
今まで理性の権化として、希望を失わず街を導いてきた市長が、その夢を砕かれたとき獣になるのが、僕はとても悲しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
彼女は人になりたかったわけでも、獣に落ちたかったわけでもない。あくまでその結節点にある獣人として、より善い生き方を模索してきた。
それが壊れる。苦しい瞬間だ。
それでも彼女は激情を納めて、あくまで人として政治家として、為すべき対処を探っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
士郎さんが打ち込まれた弾丸/治療薬を跳ね除け、ガラスをぶち破って意思を通すのとは、違う方向性。
しかし両者には、同じ獣の血が、そして人の血が流れている。
獣を人に変える”治療”に、士郎さんは怒りをむき出しにする。みちるはその眼前に立ち、両手を広げてそれを抑えようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
屈辱の歴史を身に刻んだ、最も古い獣神。
人から獣に変じた、最も新しい獣人。
二人の思いは平行線を辿る。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/8pYMHKHxQ2
暴力で壊れたガラスが壁となり、お互い分かり得ないものを強調する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
生きていることが唯一の価値なのか。
人の証たる尊厳を投げ捨ててまで、生きれはしないのか。
おそらくどちらも正しくて、どちらも譲ってはいけない思いのぶつかり合い。
過酷な状況が、それぞれの魂を剥き出しにしていく。
士郎とみちるが交換した、実体のない刃。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
言われたくなかった、言いたくなかった言葉の応酬は、お互いの表情を歪ませ、痛みを刻んでいく。
あまりに長すぎる生は、憎悪を固めただけか。
元人間は、結局アニマシティの”客”でしかないか
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/1thQP2ocMd
緊迫する状況、譲れない思いが顕にした対立だが、それがより善い融和へと導かれる前段階であることを、二人が好きな自分としては願いたい。仲良くしてくれよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
まぁ、二人共この後、言ってしまったこと、突き刺さった思いに悩んでいる様子を見せているので、すれ違いでは終わらんだろうけど。
己の信念を遮るなら、この牙で噛み殺す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
大神はそういう生き方を悔いてチョーカーをはめて、しかしそういう”獣”はいつでも顔を出す。その宿命を、どうにか収めるべく苦しんでもいる。
みちるの瞳に反射した、憎悪の怪物としての自分
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/xeyNF9Mtho
もう一度、世界を赤く塗るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
そう問うてくる反射像を前に、士郎はなんとか激情を収める。
街が街として、獣人が人として暮らすために必要な、秩序の守り手。刑事たちの銃を突きつけられ、彼は再びガラスを壊し、孤独なストリートに逃げていく。
答えは、簡単には出ない。
士郎にはロゼ市長、みちるにはなずな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
信念や立場の違いはあれど、魂の奥底で繋がった者たちが手を伸ばしてくる夜。
すれ違いに見えても、なずなにみちるの言葉と思いは届いていて、彼女はもう親友の前で、偶像を演じない。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/3gBXNQkqoe
そんななずなだから、自分が直面した凄く難しく、凄くシリアスな問題も話せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
生きていれば、人も獣人も関係ない。
少女たちはそう事態を捉えるけど、士郎がそうではないこともまた、みちるは知っている。
判らないことを知ろうと、目を開けて思いを馳せる力を、この街で鍛えてきた。
『でも、士郎さんはそうじゃない』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
そう呟く伏せた視線が見ているのは、頑なで激情に荒れ狂う士郎だけでなく、その思いも背景も共有しきれないなずな自身でもあるのだろう。
もっと立派なら、もっと大人なら、士郎さんのことも判るのかな。
そんな思いが、憂いにはある気がする。
なずなは腹蔵なく、自分が抱えた真実を顕にし、未来に希望を伝えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
神≒偶像≒アイドルとして、獣の性を慰撫するライブ。自分の夢であり、みんなの希望になりうる未来に、なずなは明るく微笑む。それが、みちるの救いにもなる。
いいシーン…って言いたいことろだが、ケツモチがアランじゃな…。
親友の時間は思わぬ闖入者で破られ、なずなはすぐさま神を演じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
それは真っ赤な嘘なんだが、『より良きけもの人』という倫理モデルを生み出し、獣が人として他の獣と、他の人間と隣合う支えにもなっている。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/3YmouSkZYw
大神の抑え得ぬ激情を見た後だと、”デェス・ルーヴ”という虚像が支えているもの、生み出しているものの大きさは、みちるならずともよく刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
そういう希望(あるいは信仰)を虚空に投げかけるからこそ、支えられ得るものが世界にはある。剥き出しの事実だけが、世界の救いではない。
その嘘の源泉が、獣人の命と尊厳を守るために闘い続けた士郎の神話であること含めて、親友がかなり大したことをやってる姿は、みちるにとってデカいんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
嫉妬も羨みもするけど、でもやっぱり凄い。そう素直に認めることも、人間としての”化け”か。偉いよ、二人共…。
ロジックで”何か”を糊塗して状況を進めていくアランと、理屈を超越した嘘で確かな救済を生み出しているなずな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
重なっているようで正反対な二人の歩みは、破綻を約束されたペアダンスのように思える。
みちるとなずなの対話は影が一切かからんのに、アランとの対峙は影まみれだしなぁ…。
なずなが背負うことになった疑・宗教性と、それが素朴に実用的に獣の生き方を補助している様子は、アニメでは結構見ない視点で個人的には面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
細かいことはどうでも良くて、祈りを受け止める器が欲しい。庶民のタフな宗教≒虚構受容は、上手いことステレオタイプから外れ、独特なものを描いている
偶像としてのなずなの影響力に、みちるが感じ入る表情を見せていたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
士郎さんも盟友の決意を、静かに受け止める。ロゼ市長…アンタなんも間違ってないよ…。
誇りに死ねる狼だけが、この町で暮らしているわけじゃないのだ。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/cJ2dpoqI3p
やっぱ細かい表情を丁寧に切り取る作画のクオリティが、このアニメを非常に雄弁にしていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
自分を支える誇りに、盟友が背中を向けた。そのショックに揺れつつも、視線に籠もった思いを見て取り、士郎さんが思い直すまでの感情のうねり。
こういうのを丁寧に積むことで、説明しない情緒が満ちる
そういう表現力は作品のアタマっから元気だったし、クライマックスを超えて物語が幕を閉じる瞬間まで、豊かに暴れるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
僕はまぁ、そういうアニメが好きである。注意を払わないとすくい上げれない部分ではあるので、難しさに繋がってしまってるかも、だけど。でもやっぱ好きだわ。
主を失った書斎は、あまりにも広い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
そうみちるが感じるのは、士郎さんと凸凹いがみ合いながら過ごした日々が、与えてくれたものがとても大きいからだろう。
ムカついて、でも否定できないほど立派でもある、古い獣の生き様。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/dBTOckvG5r
それが去っていった空白を、街の陰りが引き寄せていく。マフィアと士郎の接触は、一体何を生み出すのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
街を泳ぐ”車”という密室で、ロゼ市長のシーンとスムーズに繋いでいく演出が、痺れるほどに巧い。
皆誇りと思いを込めて、閉ざされた部屋に飛び込んでいくのだ。
そこには信頼と可能性だけでなく、裏切りと暴力も当然満ちている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
首相と市長が並び合う政治的密室に、突きつけられた銃。それは殺しの道具でありながら、妙に清潔な医療器具の匂いを持っている。
それが、僕にはおぞましい。
© 2020 TRIGGER・中島かずき/『BNA ビー・エヌ・エー』製作委員会 pic.twitter.com/3NaEOrYy36
閉ざされた窓を大神は突き破り、市長はそこからの裏切りに縫い留められた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
アランは冷たい謀略を檻の向こうで張り巡らせ、みちるは帰らない頑固爺を思って、複雑な表情を見せる。
”誰もが息を潜めて 境界線をなぞり続けてる”のだ。
あるいは正当化された暴力で、一線を引き直すか。
獣の因子に仕込まれた爆弾が、街を壊す前夜の静かな嵐を切り取るエピソードとなりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
アランの胡散臭さは最高潮に達し、しかし決定的にその足場を崩す”本当”は、まだ見えない。
彼が論拠とする科学的な差別、衛生的な暴力を否定する材料が、主人公と僕らに(まだ)開示されていない。
そういう意味ではフラストレーションが溜まるのですが、それに反発して飛び出した士郎さんにも、とどまって迷うみちるにも思いを伸ばせる描写が多数あって、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
神を演じて善をなすなずなも、人生を賭けた夢を壊されなお前を向く市長も、みな立派だった…。
そんな人たちの思いが臨界を迎えそうな、獣達の抑えられない業の果て。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
それが否定し得ない科学的事実と、語りかけるアランにつきまとう影。
オメー一切偽りも私心もなく公正だってんなら、あんな怪しい色彩で演出されてんじゃねー!! って感じ。
まぁ衛生と差別と暴力が混じり合ったキメラが、我々の世界で何を噛み殺してきたかってのは今までの、そしてこれからの歴史…そして現在進行系のニュースが、イヤってほどサンプルを出してくれてます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
そういう論理を振りかざすアランを、俺は信用したくない。生っぽく危ういんですよね、奴の語り口。
主役が立ち向かうべき”敵”(って言っていいよな?)に、そういうリアリズムと同時代性を宿せたのは、この作品の強さだと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月17日
科学と公平に鎧われた刃が、獣達の街を切り崩す時。
人々は何を思い、何と戦うのか。
その先に、何が待つか。
あと二話…僕はとても楽しみです。