GREAT PRETENDERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
枝村真人はチンケな詐欺師。
自称”世界一”と伸びた鼻を金髪の同業者に引っ掴まれて、やってきましたロスアンゼルス。
ハリウッド・マフィアをキャンディでハメる大仕掛けのために、十張り巡らされた嘘の網。
とっ捕まえってひっくり返って…詐欺師エダマメの未来はどっちだ!
そんな感じの、センスバキバキテンポバシバシな詐欺師アニメ、堂々の第一話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
80Sを思わせる大胆な色彩、観客をフェアに騙す物語の魅せ方、アップテンポながら置いてけぼり感のない疾走。
オシャレで殴り倒すビジュアルの真っ向勝負含め、キレとパンチのあるスタートとなった。
なにしろ脚本が”コンフィデンスマンJP”の古沢良太であるからして、題材とのマッチングはある意味保証済み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
後はアニメとしてどう魅せてどう楽しませるか、ってところなんだが、芝居や世界観の味わいもいい意味で”アニメっぽく”、細かいカット割りを活かしたヒントの出し方も適切だった。
お話としては世界一と思い上がったクソ田舎者が、練達の詐欺師にバコバコにハメられて吊るされるまでを、倒述の形で語っていく形。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
エダマメ君は如何にして、花のハリウッド大看板に逆さ吊りになったのか。騙しに満ちた三十分の開始である。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/Cd1zkNSq2m
シルエットと原色をバキバキのセンスで配置して、インストを聞かせるOPからして『オッス、これからオシャレするんでよろしく…』と、力強い挨拶である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
テイストとしては”COWBOY BEBOP””サムライチャンプルー””ミチコとハッチン””ACCA”あたりと、共通する味わいを感じる。
こういうスカしたアニメはどんだけ照れずに本気でやりきれるかが大事だと思うけど、エダマメ君の徹底した三枚目っぷり含めて、かなりオシャレの力こぶ盛り上がってて良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
泥臭いものを置いてこそ、洗練はよく目立つ。引き立て役にされたエダマメ君の、今後のリベンジにも期待したい。
さてお話は、二段じかけの浄水器詐欺から入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
『詐欺には、事前の仕掛けが大事』
『警戒心を緩める前座は、わざとらしいくらい怪しいのが良い』
後にエダマメ君がハメられる舞台は、ここではハメる側としてローカルに描かれている。
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デミタスカップの持ち方も知らねぇ、オヒキのオジサン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
揉み手で『世界最高の詐欺師ッ!』と持ち上げる三下気質が、実はエダマメ君を持ち上げハメるための遠大な仕掛け…と気付かせないために、意図して粗野に見せる仕草の数々。
ココらへんから種はフェアに撒いていて、しかしなかなか気づかれない。
迷彩を的確にかけて、短いカットにヒントを入れ込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
ミステリをアニメで活かすためにはここの巧さが大事だと思うんだけど、第一話は非常にいい感じに、テンポを殺さず(むしろ加速させるように)使われていた。
バレバレだと『あー! 騙された!』って快楽がないし、印象に残らないと不意打ちになる
情報量の制御がかなり難しいジャンルだと思うが、エダマメ君への印象の作り方含め、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
二段じかけの浄水器詐欺とペラペラ英語で『ふーん、結構やるじゃん』と思わせるけど、ガチャガチャマニアに大言壮語、『ん…実はヘナチョコか?』と感じさせるリードも、この段階で上手く張っている
早すぎる警察のご到来でケツを叩かれ、エダマメ君のいい気フェイズは終了のお知らせ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
こっからはタレ目と諏訪部声がエロい金髪詐欺師に、良いようにこねくり回される事になる。主役がエロティックなのは良いことだね…。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/XYDA1ZXdIW
激しく揺れる車、こねくり回されるシフトノブ、鏡越しに投げられる意味深な視線、胸元にペンをねじ込む至近距離。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
ティエリーはエロティックな仕草でエダマメ君…と見てる僕等を翻弄し、興奮させる。しかしそれは計算された詐術で、頭に血が上れば状況は見えにくくなる。
過剰なサービスに思えるエロティックも、状況に疑問を抱かせない物語的麻酔として使いこなす、冷静なシーンセッティング。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
テーマにしている”詐欺”とも共通する『何を魅せてどう誘導するか。つー、クールな計算がホットな誘惑と絡み合って、なかなか美味しい。
何気ない描写の全てが、巨大なトリックのパーツとして機能する、全体性の快楽。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
コンゲームモノはそこが大事だと思うけど、この第一話はとても良く部品を磨き上げ、繋げてハメる大仕掛けであった。諏訪部声に血圧上がってる時点で、もう相手の掌なんだよなぁ…。
LA渡った辺りから、エダマメ君の仮面は剥げ始める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
ご自慢の英語はズーズー弁に変換され、騙しの全容もわからないまま、ティエリーの良いように状況をコントロールされていく。
全体だと思っていたものが、実はもっと大きなもののパーツでしかない。視野がズバンと広がる気持ちよさ。
それを生み出すには、上手く視聴者の視野を絞って、製作者の意図するタイミングで広げる必要がある。それが、ティエリーが日本語で喋りだすあの瞬間なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
注意力の操作と情報の制御。
ディレクションが大事ってのは、手品も詐欺もアニメも同じであるね。ましてや、その複合作品では。
さて、エダマメ君がマジビビリする、ビバリーヒルズ悪の巣窟。やっぱカラーリングパキパキで良いなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
エロティシズムはここでも適切な煙幕として使われ、アビーは頭空っぽのクソアマを演じて、獲物の懐に既に入り込んでいる。
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ただのキャンディを悪魔の薬に変える、天下の名演。500万ドルの大仕掛けは、ひとえにアビーの演技力にかかっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
だが”名プロデューサー様”はその嘘を見抜けずに、エダマメくんと一緒に、綺麗に乗っけられてしまう。
しかし神目線の視聴者には、阿呆ではありえないアビーの鋭い視線を、一瞬見せる
メインストーリーを停滞させず、小気味よく流す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
ハメてハメられる状況をフェアに喰わせるために、必要な情報を出す。
難しい両立をちゃんとやってることで、みっちり詰まってるのにスイスイ食べれる、独自の食感がしっかり刺さる。センスっていう調味料も元気だ。
ハメ手を取り回すために大事なのは、相手を冷静にさせない勢いと面の皮。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
にゃんにゃんポーズで場を制したティエリーは、この瞬間のために型にはめたエダマメ君の口に、悪魔の薬(サクラ味)を放り込む。
こみ上げる吐き気は、アビーのぶっ飛び加減を見てビビったからか
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/szAQVoI2iC
はたまた全部が仕込みだったと、気付ける程度には知性があるからか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
どっちにしても、気づいてからじゃ遅い。エダマメくんは泥臭く、そして詐欺師らしく砂の目潰しで暴力をやり過ごし、異国の街角へと逃げていく。
でも、行く宛もないんだよなぁ…国外逃亡自体がハメ手だもん…。
ゴミまみれの裏通りすら、青く美しい色彩に染める独自のセンス。顎先を蹴っ倒されて、薄れる意識で思い出すのは数々のヒント。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
詐欺の主役と思い込んでいた舞台が、自分を便利な端役と使い倒すために、事前に用意されたものだった。
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無様…哀れ…ッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
そうマウント取るには騙し方が綺麗で、『あー、こらしゃあないわ…』と、いい感じのエダマメくんに同情してしまう。
オバちゃんがパラサイトしてた一般家屋から、スルッと退場するシーンの不気味な滑らかさとか、凄く気持ちよかった。所帯じみた一軒家が舞台の、華麗なる逆転劇、と。
かくして、”世界最高の詐欺師”は夢のハリウッドに逆さ吊り。お尻から書いて中身を埋めてく形式と”逆さ吊り”が重なってるのは洒落てるね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
エダマメ君はただのカモとして、悪くてエロいオジサンに美味しく食べられちゃうのか。凄腕詐欺師たちの狙いは、一体何なのか。
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魅力的な謎が渦を巻きつつ、見事な第一話の挨拶となりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
凄く面白かったです。ショーケースとして自作の魅力、今後の方向性を見せるのは初回の大事な仕事だと思うけども、『だいたいこういうアニメ』ってのを、よく伝えてくれる作品でした。容赦なく、客も騙すぞ!!
エロティシズムの使い方が、結構好きな味付けだったのも良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
血圧上げるサービスとして貪欲に盛り込みつつも、その興奮自体が物語的なギミックにもなる。
クレバーで情熱的に挑発してくれると、やっぱり楽しい気分になる。この塩梅で、いい感じにエロく進めてくれ。
エダマメ君を狂言回しに、うまーくドラマ世界に引っ張り込んだスタートダッシュ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月10日
この勢いを生かして、比較的眺めの物語的スパンで何を見せていくのか。二の矢三の矢に気持ちよく騙される瞬間を、楽しく心待ちに出来るアニメだと思います。次回も楽しみ。