イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 20/07/12 スチームパンカーズ『ウェスト・エンド・テイルズ』

昨日はNGPの新作、スチームパンカーズを遊びました。蒸気満載な伝奇世界に、己のパンクを突き立てろ!

シナリオタイトル:ウェスト・エンド・テイルズ システム:スチームパンカーズ GM:シェンツさん

アカメくん:”赤ジャケットの”クラウス:17歳男性:ガーディアン/ギガントアームズ:用心棒 キラキラした瞳で英傑探偵の助手をしていたが、陰謀に巻き込まれて初代レッドジャケットは失踪。荒れた生活を送りつつも、継承したスチームギアと正義を裏切れない屈折世代。嫌いなものは金持ちと抑圧。
浅間忍さん:ミハイロビッチ:13歳男性:チャレンジ=クロノウェポン:蒸気工 卓越した身体性能と、フットボールへの熱い情熱を持つ少年。父の作り出したサッカーボール型ギアで悪党を懲らしめつつ、フットボールが世界を平和につなぐ日を夢見ている。
コバヤシ:”戻り越え行くもの(オルペウス)”ラザロ・ライヘンバッハ:17歳男性:ノーブル/スチームウェア:貴族 陰謀に巻き込まれ死亡した貴族の少年に、異世界の電霊が憑依した再生者。100年後の知識と倫理観、不屈の闘志と死なない体で、蒸気世界により良い結末をもたらすべく奮戦する。

というわけで、スチームパンカーズ初プレイ。こんな感じの、10代パンクス大集合絵巻となりました。GMには『初手で異世界転生はないんじゃないの?』と太めの釘ぶっ刺されましたが、すまねぇ……システムに慣れてからじゃないと直球投げれない体になっちまってるみてぇだ……。
実際のプレイは……非常に面白かったですッ! 現実の歴史から分岐し、蒸気に塗れ改変されていく伝奇な背景世界の作り込み。抑圧に満ちた世界と、それを跳ね返すPCの気概と唯一性。色んなキャラクターと冒険を見たくなる、ワクワクなセッティング。
システムデザインが関わらないアナログな部分も非常に良かったし、僕等の好み、環境の雰囲気としっかり噛み合っていたわけですが。デジタルなデータの組み方、ゲーム全体のデザインが非常に明瞭、軽快、的確で、遊んでいて非常に楽しかったです。
ミドルシーンとクライマックスを同様に処理し、しかし『こなしてる』感じが少なく手応えがしっかりしている判定周り。抑圧を力に変えつつ、それを求め過ぎれば大事なものを見失う人間性処理の巧みさ。扱う数字は多くないけども、緊張感とビジュアル喚起力のある活劇。ダイス目が荒れるんだけども、豊富で優秀な有限リソースを使って的確にカバーできる安定感。
どれを取っても、実プレイで何が引っかかり、ゲームを遅延させ、思考リソースを奪うのかしっかり考えたデザインとなっており、プレイが早く、楽しく、充実したものになるようしっかり仕事をしてくれました。

特に抑圧周辺のデザインは非常に優れていて、今までちまちま数字を足し引きしていた人間性のやりくりをカードで簡素化、ヴィジュアル化することで、より鮮明なゲーム体験を作り出していました。ぶっちゃけ、相当な発明だと思う。分かりやすくて、処理が軽くて、直感的な納得力が高い。
判定は荒れるんですけども、その分設定効果が非常に強く設定されていて。自分のキャラクターを彩る大事な設定をロールして、セッションの音頭を積極的に上げるように、判定が自然と要求してくる。それがOKかどうかはGMや他PLではなくPL本人が判定するようになっているので、納得力も高いし処理も早い。
個人的な感触としては、活劇まで演出をタメるよりも、ミドルで積極的に吐き出してリソースを事前準備するようにしたほうが、トータルの演出がスムーズに流れるかな、と思いました。最後にタバで演出してると、間尺を特定PLが持ちすぎる状況になりがちかなー、とか感じた。
演出や情報突破によるボーナスが軒並み汎用的、かつ強力で、補充が必要なポイントにフレキシブルに届くのも、ストレスなくてよかったです。抑圧に直接触れるので、カードが偏った時の是正とかもスムーズにやれて良いですね。他PLとのコミュニケーションも助けてくれるし。

ミドルとクライマックスを同質処理するので、情報は”倒す”感じになるんですけど。どれだけ倒せば、誰を倒せば話が進むか、システムレベルで明示されていて、セッションをどう体験するかのマッピングが明瞭なのも良かったです。ただ情報が出てくるのではなく、クリアーするとしっかりデータ的な見返りがあるのも嬉しい。
ミドルとクライマックスを一本化することで、地味にゲームを停滞させるポイントである『誰がシーンを貰うか』に方向を付けて、迷わない工夫がしてあるのも良かったです。行動値ってステータスが、ここまでミドルで光るデザインは凄い。シーン貰うムードじゃない時は、戦闘と同じように”待機”することでパスも出来るしね。
シナリオ記述も、読み上げていくだけで初めてのプレイが上手くいくよう丁寧に、気配り満載でしっかり整えられていて、非常に親切でした。最後にGMという難行に挑んだユーザーをしっかり褒めるのが、マジ偉い。初めてのプレイでルールブックがそういう事を言ってくれるの、本当に大事だと思う。

実プレイの方はパンクス大好き伝奇大好き人間が四人頭を突き合わせて、魅力的な世界に思い切りダイブしました。むちゃくちゃ楽しかった。実在の世界を恐れることなく題材にしているので、あの時代独特の風俗や文化、階級格差や時代潮流なんかをコスりつつ、独自の味わいでロールを交わせました。
色んな階級、色んな信念に分断されつつも、押し付けられる(あるいは自分から引き寄せる)抑圧を跳ね除け、より良い未来を掴み取らんとする志は同じ。PCを”スチームパンカーズ”と定義することで、キャラの横幅とブレない共通点がぶっとく生まれて、反発と連帯を楽しくロールできました。
自分は『初手異世界転生(ルール面での保証は一切なし)』という、結構な危険球でしたが……まぁまぁ上手く投げれたんじゃないかな。伝奇世界の異質な部分を目立たせるためには、現代人の知識と倫理観をそのまま持ち込んであぶり出しにするのが効くかなー、とか思ったんだよ!(今更な言い訳) あとはめフラ面白かった。
そんなわけで、非常に楽しいセッションとなりました。かなりのポテンシャルと完成度を誇るシステムなので、今後もドシドシ遊んでいきたい。ネタはたっぷりあるからよー! 同卓していただいた方、ありがとうございました。