デカダンスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
怪物が跋扈し、人が泥まみれで生きるワイルド・ワールド。
それは何者かに管理されたワンダーランドでしかなかった。
企業の所有物として、生き方を規定されながら檻に生きる”戦士”の生き様から、外れ倒れようとしていたカブラギ。
その心に、狩るべきバグが突き刺さる。
という感じの、オイオイオイ大変なことになってきちゃったぞ!! な第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
イヤー…確かにあらゆる瞬間に既視感があるナァ、とは思っておったのだが、こういう形でネタを拾ってくるとは…。
というわけで、荒野サバイバルかと思いきやメタゲームディストピアでした!!
まぁこの構造自体ももはや定番ではあって、重ねたからといって無条件にオリジナリティが出るものではないのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
しかしこのサンプリング時代、大事なのはネタそれ自体ではなくどう重ねどう魅せるかっていう編集だとも思うので、今回注入されたポップカラーの劇薬をどう使っていくか、俄然注目である
まぁナツメの身体欠損差別ネタと同じく、メタゲーム憑依ネタも結構危ないネタではあり、地雷原の上でどう巧みにタップダンスするかほくそ笑む、趣味の悪い注目なのは否定しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
ヘタにリアリティを階層化すると、途端に作品の温度が醒めたりするからなぁ…いやー、どう踊るんだろうか。
というわけで、戦士階級のお葬式から始まる今回のお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
『彼等なりの生死感を、守ってもらってる割に内勤階級冷てーな…』と思ったけども、世界観のネタバラシを食らった後だとむしろそっちに納得ではある。
いや、人間にチップ埋め込み怪物離して地球全体テーマパークて…。
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異常にポップなわりに奇妙にズレてる上部レイヤーのデザイン含めて、いい塩梅に気持ち悪い設定がドシドシ出てきて、どう受け止めればいいか決めかねるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
上層階級に見えるポップモンスターも、企業の歯車(Sprocket)として生き死にを決められ、”現実”をゲーム化することでしか憂さが晴らせない
ナツメに見えている(戦士/内勤)という”現実”の構造は、それをゲームとして『勝手に闘って、勝手に死んで、勝手に泣いてる』連中にとっても(企業/歯車)として、実在を蝕んでいるわけだ…が。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
モロに人間じゃねぇポップモンスター達が、人間を入れ物に破滅娯楽で憂さ晴らしとは、極彩色の悪趣味だ
戦士階級が皮膚染めるのも、モンスターとしての”生身”にアバターを近づけシンクロ率を上げる行動なんだろうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
戦士に”昇格”して怪物の乗り物になり、ゲームにミスれば使い捨てで潰される人間サイドに取っちゃ、まぁタマったもんじゃねぇよ。何がテーマパークだコラ!!
ガドルの出どころが”デカダンス”運営と決まったわけではないので、色々詰めきれない部分もあるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
まぁ超がつくほどにロクでもないわけです。
そしてカブラギさんは、そんなメタ構造に挟まって擦り切れてしまっている、と。また意外なところにオリジンあったね…。
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パカッとアタマ開けて、特別な外装に着替えて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
用意された生き死にゲームに身を投じて、ランキングに一喜一憂する。
常にUIが覆い焼きされている、娯楽でしかない現実。その外側には、デカダンスに住む”人間”のヒリついた生死とはまた別の、出口のない鬱屈がたまり込んでいる。
そこから飛び出そうとしてリミッターを解除し、生身の生き死にへのシンクロ率を上げれば、スコアは上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
だがそれ自体が巨大な檻の中でのあがきでしかなく、はみ出せば脳を焼かれ、廃棄され、あるいは都合のいい歯車に落ちていくしかない。
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『上部構造からコンニチワ! お前らのリアリティを好き放題ファックしてやるぜー!』って感じでもない、一瞬の麻酔薬としてのゲーム化された現実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
それを監督する者たちは、オーディンが連れている二羽のカラスの名前を持つ。デカダンス世界は、デジタル化されたヴァルハラ、というわけだ。
しかし確かにそこには生の実感があって、だからこそニュービーは危険な賭けに身を投じ、システムに焼かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
カブラギさんがリミッター解除のことを教えたのも、システムの歯車だった時は実感できなかった”生”が、ランカーとして暴れる”ゲーム”にはあったからだろう。
そして、反逆の値段は高く付く。
他のランカーが膝を屈せず、”矯正施設”なる超ろくでもない響きの地獄に落とされたのに対し、カブラギさんはバグ狩りの現実を飲み込んでしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
システムに寿命まで管理され、あくまで道具的存在でしかない憂さをぶっ飛ばしてくれる超娯楽を維持するための、もう一つの歯車に落ちる。
荒くれ暴君に見えたドナテロが本気でマイキーのために怒ったり、いかにも卑劣漢っぽく思えたターキーが誇り高く死んでったり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
ランカー達の肖像はいい意味で意外で、生き残っちゃったカブラギさんの屈折もよく見えた。
たとえスイッチひとつで命を狩られる、ゲーム的存在でしかなくても。
ポップモンスター達にも”現実”の人間と同じ矜持があり、それをへし折られた痛みがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
…んだけど、そんな”人間”にチップ注入して人格ハックして、潰れたらやり直せばいいアバター扱いにしてるのもモンスター達なんだよなぁ…。
メタ構造と同じく、倫理と話の落ち着かせ所も複雑になったなぁ…。
デカダンスの上部構造にある、複雑怪奇な企業システムがどうなっているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
それはシステムが用意した娯楽の範疇で暴れ、ぶっ潰されてる一般モンスターの視線では(まだ)見れない。
残酷な神に、ゲームプレイヤーとアバターが手を組んで反抗していく話…になるのか? 読めね~~~。
というわけで、回想は終わって”現実”の続き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
超巨大テーマパーク”デカダンス”を危うくするバグを狩る猟犬になったカブラギさんは、唯一自由にできる寿命という尊厳を弄びつつ、歯車として錆びつくままに任せていた。
ナツメが見てるのとは(文字通り)違う世界に輝く、”活動限界”
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死にたい時に死ぬくらいしか自由がない多重の檻の中で、しかしナツメは自分の生を必死に生きて、戦士に無邪気に憧れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
ゲーム世界から現実世界に落ちてきたカブラギが、世界で唯一アバターではない戦士に駆け上がるナツメと一緒に、”生”を取り戻す話…なのかなぁ?
生き死にの重さ、世界の構造を知らない無邪気、脅しのかけ方。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
ナツメは全ての意味で”ズレ”てるんだけども、考えてみるとそっちの方が本当でもあって。勝手にゲームにされた現実の住人の視界には、(僕らと同じように)UI浮かんでねーもんな。
しかし彼女が乗り越えようとしている被差別の壁、職業の壁、社会階層の壁は、システムがモンスターを現実のうさから遠ざけるために、現実をテーマパーク化した副産物でしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
誰かにとっては命がけの人生が、誰かにとってはゲームでしかない。この構造は、かなり多層に作品世界を貫通する。
カブラギのバグ狩りを、ナツメはごくごく普通の悪徳と思い込んで、自分の全てを迷いなく差し出してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
何も知らない踏み込みに手を伸ばして、カブラギさんはもう一度、緑色の生命の滴を体に入れる。
まだ、生きてみるか。
そう思える可能性に突き動かされて、カブラギは進む。
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その歩みに、世界の真実を知らないナツメはどうしても取り残されるのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
このズレが噛み合って、スプロケットがチェーンに動力を伝える瞬間が…多重にリアリティが遠い世界を変えていく物語が、今後生まれるのか。
そこら辺、今後の焦点であろう。
ナツメが作中例外的に表情豊かなのも、現実とゲーム(と、ゲームを遊ぶモンスターの現実)に分断された世界の中で、唯一”生きてる”存在だからだと思うけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
しかしシステムは、そういう活力をバグと判断し、生きる死者とみなす。
ここら辺のズレは、ちょっと面白い。機械は生を認識できないのだ。
チップを埋め込まれないまま、生きる死者(ヴァルハラの住人たる資格でもあるなコレ)として唯一、戦士の領域に踏み込んだナツメ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
魂を怪物に乗っ取られた遊技場と知らぬまま、憧れの視線を向ける少女に、かくしてカブラギは再起動の足場を見た。
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そこにかつて、マイキーに見た輝きを重ねていること…人間の現実が、怪物たちのゲームでしかないことを、ナツメは知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
奇妙にズレたままの師弟関係が、二人に何を与えていくのか。物語を動かす歯車が、異常な角度で一つハマるエピソードである。
つーか”肌屋”がある以上、やっぱ戦士階級に引っ張り上げられる前の人間はフツーに”人間”で、ガドルに無茶苦茶にされた地球も仮想ってわけじゃねーんだろうな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
ポップで可愛い絵面なんだが、確実に人は死に…つうか死ぬより酷い目に合い続けてる企業ディストピア加減、嫌いじゃないよ。
つーわけで、世界の真実がドドーンと押し寄せるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
む、難しいッ! 書きつつ自分なりに整理してみたけど、そうとうメタレイヤーが多層に重なってて、作中のリアリティを定位していくのが結構難儀な作品だと思った。
しかしドラマと噛み合わせて、上手く届けたとも思う。
デカダンス世界のザラツイた生っぽさと、上位現実の狂ったポップさの”ズレ”を飲み込むのも、また結構大変だったけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
一見気楽に見えて、ゲームプレイヤーたちの抑圧と鬱屈も相当なモンなので、溜め込んだストレスをどこで発散するかよね。モンハンしてもスッキリたぁ抜けねぇだろ、コレ…。
人間にタダ乗りして使い潰してるモンスターたちにも、彼らなりの生死と抑圧があると判ったところで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
それを”現実”を生きるナツメの活力、真っ直ぐさとどう噛み合わせ、摩擦を生んでいくのか。先がまーったく読めなくなったのが、楽しくもあります。
気持ちのいい横殴りだったな…次回も楽しみ。
・総評的な追記
デカダンス、二話で多層構造が暴かれたことで、色んな”ズレ”の話なんかなー、と自分なりに足場が出来て、結構面白くなってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月15日
離人感を仮想/現実に重ねて問う作品って、さじ加減間違えると他人事のまま終わりがちだけど、さてどういう風に血肉を通し、メタネタにした理由をつけるか。楽しみ。