ヒーリングっど♥プリキュア 第15話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
紫色の可愛くないマスコットに、キュンキュン来ちゃったラビリン。親友の”好き”を助けようと、カフェに通い詰めるのどか。
しかしその思いは当たり前にすれ違って、衝突で生まれた哀しみが胸を焼く。さてこの摩擦、どうお手当するか…?
そんな感じののどラビ友情回…であり、ヒーリングアニマル深堀り回であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
ビョーゲンズが異質な敵であり、しかし同質な”人間味”を持つ反発前提の他者だとすると、一緒に戦うアニマルズは融和前提の他者。
しかしだとしても、他人が他人である以上、分からないこと、共有できないものはある。
ヒープリらしい…というか”プリキュア”らしいシビアな前提を踏まえた上で、人間関係が深まれば当たり前に生まれてくる摩擦を、どう受け止めていくか、というお話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
アニマルズが一人間、一児童として抱えるアレソレに、解像度の高いカメラを向けてくれるのは、彼等のファンとしてありがたい。
さて、本筋が回る前に隙なく描写される、ビョーゲンズの社会関係。のどかとラビリンが善意を基調としつつも衝突するのに対し、バテテモーダとダルイゼンは我欲と無関心を後ろに秘めつつ、表向きなんかいい感じである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
ここに限らず、今回は特に対比の描写、演出が冴えた。
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/iw7CyxmToz
真心が否応なく衝突を孕むものであるのなら、我欲から生まれた関係性も真実味を孕みうるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
ヒープリがかなり慎重に重ねている、バテテモーダを触媒とした”敵”の人間関係の描写。そこからにじむ”人間味”。
彼らは意思疎通が不可能なインベーダーではなく、どこか私達と通じるものを持った他者だ。
しかしヒーリングガーデンを鏖殺し、かわいいかわいいアニマルズが少年兵にならないといけない地獄を生み出したのも、”死”を基調とする彼らの”人間味”であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
言葉と歩み寄りではなく、侵略と暴力を振り回す彼らが、しかし彼らなりの社会性と価値観を持つ。
そう書き続けることが、今後どう生きるか
そこは今後生きる部分として、今回は協調の中にある不協和音を掘り下げるエピソードとなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
ラビリンが惚れ込んだ”好き”をのどかは鷹揚に肯定し、一緒に盛り上がる。それは病魔に青春を塞がれていたのどかにとって、喜ばしい経験だ。
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/E1FAfDV2BF
前髪のケアを欠かさず、ナイティも可愛らしいラビリンのオシャレ力にキュンキュン来たりもするけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
誰かの”好き”を認め肯定する、非常に喜ばしいコミュニケーション。
それは今回答えではなく、問題の前提として描かれていく。のどかは他人の”好き”をバカにしない、よく出来た少女だ。
それは自分の”好き”を後ろに隠さない勇気があって可能なわけだが、ラビリンはのどかのようには生きられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
彼女が小さな体に似合わず、相当広い視野と社会認識を持っていることは、過酷な戦いにのどかを巻き込まないよう苦心していた姿からも判る。
頑是ない子供のようで、故郷を背負う戦士でもある
アニマルズは過去のマスコットと比べても、一二を争うくらいシビアな状況に身を置いて、精神を鍛えられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
そしてそのことが、誰かに自分の”好き”を笑われても平気な強さを、無条件に鍛え上げるわけではない。
歴戦の少年兵でも、恥ずかしいものは恥ずかしいし、悲しいことは悲しいのだ。
今回ラビリンの表情を描かないカットが、非常に多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
プリキュアシリーズ初登板となる飛田剛の演出が、田中仁の奥行ある脚本と上手く噛み合って鮮明であるが、ラビリンは背中に本音を隠し、周囲と価値観をすり合わせようとする。
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/LRSbEyuNZD
そこには周囲とズレたくない、恥ずかしい思いをしたくないというちっぽけな、当たり前の自意識がしっかりある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
それは『同じことで盛り上がれるのは初めてで、とても嬉しい』と感じた、のどかの気持ちと根っこで繋がってもいる。
バラバラだからこそ、重なり合うと嬉しい。外れていくと苦しい。
社会的動物である人間の根本が、友情を求め”好き”を背中に隠しもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
のどかは死を身近に置いたからこそ、己の信じる勇と善にまっすぐ踏み込む生き方を選んでいるけども、それは万人が選べる生き様ではない。
人は多様で、それが接近していけば摩擦も衝突もするのだ。
ラビリンは社会に認知されない妖精なので、のどかはその代理人としてお店に通い、”好き”を代行していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
それは非常に善良で優しい行為なのだが、僕個人としては少し寂しくもあった。
やっぱよぉ…この善良で誇り高い種族が、堂々お天道様の下を歩ける状況を引き寄せねぇとダメなんじゃねぇか?
ヒープリはリアリティフレームが堅牢な話なので、人類社会の片隅で新たな生活を楽しみ、上手く紛れているアニマルズも丁寧に描写される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
それは同時に、一人間として何かを好きになり、何かを求める彼等の表情も切り取ってしまうということで、損な彼らがコソコソ人形を装うのは、勝手ながら寂しい。
同時に彼らが”当たり前”の存在になってしまうと作品の根幹が崩れもするので、堂々己を晒して人類社会の成員として振る舞う日は、なかなか遠いとも思うのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
ホント立派に生きてる人たちなので、彼等をありのまま認めてくれる人員が増えて、社会が広がると良いな、と思っております…。
まーその達成は人類社会の変革と言うよりは、ヒーリングガーデンの復活で為されそうだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
どんだけ個人的な可愛げがあって”人間味”が見えても、安全と自己実現が可能な社会をぶっ壊し、そこに息づいてた人生ぶっ壊した巨悪なのは揺るがねぇよなビョーゲンズ…。ヒープリはシビアだ。
さて、念願のラベンだるまちゃんを手に入れた所から、不和は始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
同じ目線で歩いていても、伸びる影は別の形。血の色をした夕陽を活かした演出が冴えるシーンである。
何を言われても、私の”好き”は揺るがない。のどかの強さを、ラビリンは(まだ)持っていない。
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/k5GlseCKay
この衝突が、のどかが病床から離れて掴んだ友情の喜びと密接に繋がっていると描く視点が、非常にヒープリ的(で、プリキュア的)だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
どれだけ親密に見えても他人は他人で、魂の在り方は違う。その差異はかんたんには判らないし、なればこそ衝突も必ず生まれる。
そして摩擦があるからこそ、異質だからこそ、コミュニケーションの手を抜いてはいけないし、自分とは違う誰かとに顔を向けて、言葉を紡いでいかなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
ずっと書いてきたし、これからも書いていくだろう人間の当たり前を、どう個別のキャラクター、個別の物語として、生き生き掘り上げるか
そこにヒープリらしい証明を入れていく話とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
ラビリンが投げつけたラベンだるまちゃんは、最初はピンとこなかったけど『ラビリンと一緒に好きになった』のどかの思い、掴んだと思った友情を、地面に投げ渡す行為でもある。
そこには、ラビリンなかなか視線が行かない。そういう事もあろう…。
近づけばこそ、再確認される断絶。同じ気持ちになれたと舞い上がればこそ、叩きつけられた時の痛みは大きい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
のどかのモヤモヤは出口を見つけられず、独り寝の夜はあまりに辛い。Aパートで仲良し睡眠描いておいたのが、ここで効くわけよね…。
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/uDDbx26WBh
友達にモヤモヤを受け止めてもらいつつ、のどかの視線は地面に向き、ラビリンもニャトランと同じ高い視線には立てない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
ニャトランは無神経とナイーブが同居する面白い少年だと思うけど、自分の言葉が他人を傷つける可能性には結構気を配ってるのよね。同時に、自分を隠しはしない。
好きなものは好きと、キモいと感じたらキモいと堂々言っちゃうけど、そこに悪気は一切ない。ここら辺、ひなたとよーく似てて、面白いなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
ちゆを何でも教えてくれる先生としてマジリスペクトしてるペギタンとは、ちょっと違う関係性でもあるね。アイツマジちゆキチ。そこが好き。
背中に本音を隠し続けるラビリンと、そこに踏み込みきれないのどか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
二人を同居人として、ずーっとラテ様が見守ってモヤモヤしてる様子も細やかに切り取られているので、今後の展開もスッと入る。
かなり複雑な人間模様を描く回が、密度の高い演出で彩られているのは良いことだ。
心に曇りがあるのどかは闘いに赴く足も遅く、仲間がスルリと繋がる視線にも断絶がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
それがいつもの変身バンクを断ち切り、妙にドラマティックな分断を生み出す。日常シーンは抑圧を聞かせた分、変身失敗はド派手にぶっ刺すぜぇ! メリハリ効いてて良し。
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/YhBaUj1l6J
繋がる心が特別な力を生み出すのであれば、不和と対立はそれを奪う。道理である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
『一回変身パワーを手に入れちゃえばずっと安泰…というわけではなく、築き上げた関係性にはメンテナンスと発見が必要』というのも、ヒープリらしいシビアさか。怠けて生きるのを許してくれない世界である。
ここで物言わぬラテ様が、同居人としてグイグイ前に出て、関係改善を推し進めていく姿が頼もしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
やっぱラテ様も”人間”だからよ…ダチが仲違いしてんの見てられねぇからよ…あと人間関係のギクシャクで、ヒーリングガーデン二の舞だけはマジ勘弁だからよ…。
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/ePqRciVh4T
状況がここまで沸騰しないと、なかなか素直に思いを告げれない。それもまた、人の在り方だなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
思いは大きな力にもなるし、巨大な枷になって歩みを閉ざしもする。心が上手く運べないまま、ずっと”好き”に背中を向け続けたり、対立を絶対のものに変えてしまうことも、沢山ある。
ラテ様の後押し、仲間の理解、そしてそれぞれの魂の強さがあって、二人はそういう場所には行かなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
溜め込んだ思いを吐き出して、より善く真正な関係性を作り直すことが出来た。
そこにたどり着くのがなかなか大変だとちゃんと描いたこと含め、とても良かったです。
繋ぐ手と手の大きさは違えど、それは手を取り合えない絶対の理由にはならない。異質なものが手を繋げばこそ、生まれる力もまたある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
復活なったグレースが、迫る暴力を睨みつける視線の強さに、頼もしく優しいものを感じます。ハンサムだ…。
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/bCqXowf9u3
摩擦は生まれる。ここは無条件にお互いを理解できる、楽園なんかじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
でも、誰かの”好き”を笑わず大事にして、それを自分の”好き”に変えていくことは出来る。断絶に隠れてしまいそうな、繋がろうとする思いをもう一度言葉にして、共有することも出来る
©ABC-A・東映アニメーション pic.twitter.com/puobGkKNd5
凄く生っぽくて現代的な…そして人間が生きてきた歩みの中で幾度も語られた(悲しいかな、山程失敗もしてきたし現在進行系で失敗もしてる)テーマを、ヒープリらしい落ち着いた詩情で描くエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
人間色々、ヒーリングアニマルも色々。
多様性と融和を描くなら、断絶は避けて通れないよな…
『誰かの”好き”を、絶対に嗤うな』という靭やかなメッセージもしっかり出てて、とても良かったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
ハーブティー屋さんという”女性的”になりかねない仕事を、フェミニンな要素の強い男性に担当させたのも、まぁそういう意識じゃないでしょうか。ここら辺アップデート怠けないのは流石。
好きを好きと言って恥じない。のどかが持つ強さと美質を、ラビリンに無条件で押し付けて終わらなかったのも良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年7月14日
胸を張れる人もいれば、背中を向けてしまう人もいる。その差異を前提として、どうより善くなっていくか。
その一例が、穏やかに語られていました。次回も楽しみ。