ケムリクサ 第10話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
峻峰を越え、たどり着いたジュウジマ。
苛烈を増す環境、減りゆく生命の雫。
旅路の先、青く光るは灯火か、はたまた誘蛾灯か。
進む、進む。
途切れた大地の先、かすれた記憶の奥。
命の旅はまだ、終わりを告げてはいない。
未来を背負い、過去を越えて、私たちは進む。
そんな感じのシンジュク最終決戦ッ! ケムリクサ最終局面開始である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
命の水を削り落とす、厳しい旅路。黙示録的な崩壊の景色。
一歩一歩、活きた証を刻みながら進んできた旅が、”何か”に行き着く予感。
りんちゃんとわかばの土壇場ラブコメ&記憶解放も良かったが、旅の総括に相応しい静けさが良い
新たなる世界を切り開く(だろう)二人を送り出すために、赤い命を燃やし殿を守るりつ姉、りなちゃんズの笑顔には全力でキレちまったけどよ…ああいう強くて優しい奴らが、死ぬのはぜってぇ許せねぇからよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
引き出された起源の先といい、最終話に向けてむっちゃ引っ張る構成だった。”強い”なぁ…。
お話は激戦から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
今更ながらこのアニメ、省略が巧いよね…。戦いに至るまでの過程は、この場面では飛ばしたほうがよく刺さるわけで。
同時にまったり遠景で旅路を見せる所は、毎回飛ばさずちゃんとやる。一つ一つ異なる景色には、全て意味があるから。
©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト pic.twitter.com/NEOY3UMpEH
自分たちが何を描いて、何を見せてるか鮮明な物語は、僕にとって食べやすい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
”水”が新世界を生きるケムリクサ人間にとって、どういう意味を持つかしっかり描いてきたからこそ、さり気なく見せられる屋根の上の枯渇が、ズンと胸に刺さる。
『マジやべーじゃんッ!』ってなる。マジやべーじゃん!
”好奇”をその根本に持つとずっと描写されてきたわかばが、危機的状況でも世界の成り立ちに興味をいだき、葉脈めいた大地の支えに目線をやるのが、結末への伏線として機能もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
『なんでもかんでもケムリクサ』
りなちゃんのツッコミは多分、世界の真実を射抜いている。
”本体”と言われる赤いケムリクサ、記憶を司るダイダイのケムリクサ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
主役たちのヒューマニティは、ケムリクサに直結している。
それは便利な道具、生き残るための武器というだけでなく、もっと根源的で内面的なものとして、彼らを取り巻いてきた。
ならば、この奇妙に変貌した世界もまた、ケムリクサを根本に置いていると考えるのは、自然な推論だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
そこを抜け目なく補強するように、青の葉脈がビル街を支える奇妙な光景にわかばの視線は向く。
そこには”徹底”がある。姉妹が別々に感覚する、世界の形のように。
©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト pic.twitter.com/GFcyf0132B
汎用センサーを積んだわかば、”視覚”を継承したりんちゃんが最初に、世界の果てに浮かぶ”青”に気づく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
りつ姉は自身に搭載された”聴覚”では感覚できない色合いを、二人に教えてもらうことで後から知る。
このやり取りには、それぞれが別の感覚器で世界を認識し、それが交雑する様子が刻まれている。
これは異質な世界に適応したポストヒューマンの特色として、バラバラな世界に取り巻かれつつも確かに繋がっている在り方として、ここまで幾度も積まれた描写だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
彼らは異質な感覚でそれぞれ、別の世界を捉えている。
しかし僕らよりもバラバラなはずの彼らは、その異質性を有意義につなぎ合わせている
危険を回避し、『そういうものだ』と個性を認め、自分には見えないものを見てもらう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
感覚の断絶には確かな橋がかかっていて、それは多分、”好き”と呼ばれる感情で支えられている。
姉妹は同じ根から別れた同質な存在で、しかしバラバラであり、その上で意志を持ってお互い繋がろうとしてきた。
そんなヒューマニティの輝きを書きたいから、彼女たちはそれぞれの感覚を分割特化させられ、戦いや旅の中でさりげなく、バラバラを繋ぎ合わせて生き延び、先に進み、何かを知っていく物語が書かれたのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
未来に待ち受ける希望と絶望が、赤に青に入り交じる景色を見つつ、そんな感慨を覚えた
赤い霧が強くなりつつも晴れて、知ってるはずなのに怪異なシンジュクが、顕になっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
相変わらず、赤い廃墟には異様な迫力と美しさがある。
新宿バスタ、歩道橋、立ったまま死んだ遺骸のようなオブジェ。
新世界の住人たちは、景色の意味も知らぬままただ進む
©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト pic.twitter.com/K7aKASCF4B
わかば達にとってジュウジマの景色は、なんの過去も意味も持たない”今”でしかなく、しかしそれをモニタの外側から観測してる僕らにとっては、人間文明が崩壊してしまった微かな痛みと、奇妙なカタルシスを内包する”未来”だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
この空間的・時間的なズレは奇妙に面白く、SF的な味わいを強化もしてくれる
『あ、バスタこんなになっちゃったんだ…』と僕が勝手に思うのは、そこで営まれていた賑やかな日々を知っているからこそ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
しかしケムリクサ世界の住人にとっては、この奇妙な廃墟だけが目の前に広がっていて、ノスタルジーが介在する余地はない。
文字文化が崩壊し、人類がいかに活きたかという遠過去が残っていない世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
そこを歩く人達は、自分たちがどこから生まれたかという近過去もまた、白紙の中に失っている。
それを”思い出す”ことで世界の真実が顕になる構造は、記憶の遠近法を上手く活用していて面白くもある。
画面に描かれたものをより広い、画面の外側に敷衍して想像力を呼び込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
SF…というか、物語が奥行きと感慨を生むために必要なレトリックを、この一見素朴な物語は随所に張り巡らせて、見事に機能させているように思う。
ここら辺の喚起の自然さ、強さ、巧みさは、作品の力強い背筋であろう。
徹底した色彩のコントロールもその一つで、激戦をくぐり抜けて見えてきた”青”は見知らぬ色合いであり、同時に安全と安心の色、一度も見えたことのない空本来の色でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
それがどんな意味を持つか、残り二話が描くこととなろう。そして全てを無に帰する色合いでないことだけは、しっかり予感できる
『明言しないがしっかり判る』というのは、当惑を遠ざけつつ味わいを深める、とても難しい語り口だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
この作品の”色”は、色彩が持つ根源的なイメージ喚起力、示唆力を活用し、その場面がどんな雰囲気なのか、目の前に現れたアイテムがどんな意味合いかを、的確に伝えてきた。
一行が見上げる”青”が何を意味するか、それを初めて見る彼らは知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
その不安と期待は、クライマックスに向けて物語がどう進むか判らない、だからこそ先を見たい僕らの気持ちと、的確にシンクロしている。
その青にたどり着けば、何かが終わり、何かが始まる。
そういう思いを、わかばも僕も持つ
そして第7話、唯一安らげるエデンたるナナジマの色彩が”青”であったことも、二人が目指す未来が危機ではなく平和に繋がることを、静かに暗示する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
話のターニングポイントであるあそこが、同時に帰還するべきホームとしても機能してるの、構成が強いよなぁ…。
ここら辺の運び方は非常に上手く、幾度目かの感心をしてしまった。禍々しい赤と対比することで、そこに宿る希望が強くなる配置も、ぐっと高く遠く見上げるレイアウトも、非常に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
ただ綺麗な未来としてではなく、禍々しさも宿してる所が上手いよな~。終幕に必要な、ドキドキとワクワクが強くなる
と、その前に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
しっかり休んでお水を飲まなきゃ、ちゃんと戦えないからなッ!!
最後の水を飲み干す一行に、悲壮感がないのが逆に辛い。死地に赴いてなお、笑顔を忘れたくない。そういう旅だったから、その終わりもまた。
©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト pic.twitter.com/Zypim0uoFH
やってることは特攻隊の水杯なんだけども、りなちゃんもりつ姉もあくまで穏やかで朗らかで、今までの旅を振り返りつつ、未来に目を向けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
ここら辺は”死”が身近な赤い荒野に産み落とされ、姉妹をもぎ取られながら生き延びてきた彼らのメンタリティ、小社会の文化なのかもしれない。
社会による庇護がない姉妹にとって、”死ぬ”ということはかなり現実的なオプションで、実際バタバタ残酷に食い殺されてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
だからイチジマで綺麗に死んでいく選択肢が当たり前に出てきたと思うのだが、わかばが登場したことで彼らは…その免疫であり頭脳であるりんちゃんは道を変えた。
留まるよりも、先に進む。道へ飛び込み、新しい”好き”を掴んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
その変化と決断を僕は10話見てきたし、それがどこに行き着くか、ここからのクライマックスはとどまらず叩きつけてくれるだろう。
むき出しの死と、笑顔に包まれた生の入り交じる旅。
それが終わり、新たに始まるのだろう。
それが何かは、封じられた遠い過去に、あるいは自分の心の中に宿っている。答えはいつでも、最も近い場所にあるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
原点に戻るためには、長く険しい旅を続けなければいけない。
そういうオカルト(あるいは物語)の秘奥をしっかり踏まえているところも、この話の好きなところだ。
りなちゃんが掲げた灼熱の葉が、命が燃え尽きる寸前の灯火なのか。それを越えて未来へ進むための、燃え盛る活力なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
明るい祝祭のようで、確かに”死”が匂う決戦前夜の景色に、どうにも落ち着かない気持ちになる。活きてくれ…ッ!!
明日、全てが終わるかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
そんな予感に眠れぬ”妹”に、”姉”は言葉をかける。
姉でいてくれたことが、姉でいさせてくれたことが、私たちをここまで導いてくれた。だから、ありがとう。
まぁね…号泣ですよ。人のあり方が活写されておる…。
©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト pic.twitter.com/nISkcKhDqZ
今回りんちゃんは顔を書かれないカットが多くて、それが逆にここから先のクライマックスで、戦士の仮面を剥がして良くなる前兆なのだな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
姉を殺され、家族を守るために戦士でい続けた彼女の中には、とても柔らかいものが溢れている。
りつ姉に感謝を告げた時、それは多分表に出ていた。
しかし真実、彼女が泣き虫の妹に戻るためには、世界の真実を暴き赤い暴虐に打ち勝つ必要がある。それは”ここ”ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
だから、りんちゃんの表情は仮面に隠され続ける。
しかし、その奥に何があるかはわかる。
”姉”として集団に位置づけられたものが、それを意識して演じていたことに。
それが人間として命を、魂を生き延びさせるために不可欠な、とても尊い嘘だったことに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
りんちゃんは気づいているし、感謝の言葉を届ける。りつ姉もまた、その嘘こそが自分を活かし、皆を生かしていたことに感謝を返す。
このお互い判っている感じ、それを伝え合う素直さが…ヤバいわけです…。
胎盤に守られ腹から生まれてくるホモ・サピエンスと、赤い姉妹は別の生まれ方をした。”血縁”と呼ばれる絆で繋がるための、血はたぶん流れていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
しかし旧人がそこに見出したような意義と尊さを、彼女たちは姉妹という”かたち”に見出し、それぞれ姉という立場、妹という立場を背負い、進んできた。
肉体を砕かれたとしても、そうして選び取った嘘が死んでいないということは、地下街と山で出会った死せる姉妹が教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
彼女たちは未だ、一緒に旅立ち進んできた”姉妹”だから、ケムリクサの新しい使い方、妹たちの真実、世界のあり方を教え、道を切り開く助けになってくれた。
同時に”死”は厳密なものでもあって、それを観測してしまった姉妹たちに、亡霊は出会うことは出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
あくまで部外者であり、”血”から弾かれているわかばだけが、愚者の特権として死者と出会い、言葉をかわし思いを繋ぐことも出来る。
確かに隔たれつつ、なお繋がる人の不可思議。
様々なアスペクト、様々な色合いで旅路に刻まれたジンテーゼの一つとして、嘘でしかない姉妹と、それがかけがえなく魂を支えてくれた事実は、夜闇に優しく解けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
姉たちが心配で、でも大事な話を邪魔しないよう、ひっそり聞き耳立てるりなちゃんズの健気がよぉ~…マジで刺さるんだよなぁ…。
夜は明け、運命がやってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
”青”を見れる二人は高い高い塔へ旅立ち、その背後を姉妹が守る。
散る”赤”は生命の証か、別れの挨拶か。絶対死んじゃやーだーッ!!
ここでわかばが血縁の外側に遠ざけられ、しかし隣り合って見守る姿が良い。
©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト pic.twitter.com/I3dmY3pR86
確かに引かれている一線を、赤く滲んだ雲間で強調する背景美術の冴えとか、マジ悪魔的だと思うけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
同じところから生まれ、生き死にの歴史を共有してきた姉妹の関係に、わかばは混ざりきれない。混ざりきれない異物であることにの特異性と意義がある。
それを確認する、勝負のレイアウトであろう
この断絶を更に乗り越えて、人型でなくケムリクサからも生まれていない機械的・道具的生命が、姉妹の死地に寄り添っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
シロ…お前もまた、この戦いに挑んでくれるのだな…。
万言を費やすよりも、遥かに強く優しい絵文字。マジ負けねぇからよ…。
©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト pic.twitter.com/DE2oAYpL0m
姉妹を置き去りに未来に進む決断は、情の深いりんちゃんには身を切られるよりも辛いだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
事ここに及んで、自分の中に深く染み込んだ”毒”を警戒する…素振りをくずさないりんちゃんだが、身内と認めなかったはずの奇妙なシロムシの笑顔に、信頼を預ける。
それは分からないはずの、断絶した感情。
しかしそれが”読める”わかばだけでなく、りんちゃんにもシロの思いは、伝える”ことば”は届き、未来に漕ぎ出す背中を押していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
わからないもの、それでも繋がるものを受け入れ、信頼を預ける。
繰り返される異物との同化こそが、より善い生存の可能性を増やしていく。
ここまで旅を重ねてきた一行が、複数の感覚器、別々の起源を組み合わせたサイボーグ(キメラ、あるいは集団人体)でると、この作品は幾度も描いてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
後方と先端、それぞれ持ち場は別れても、生きるための戦いは同じだ。皆バラバラの、でも同じ”好き”で繋がっているのだ。
『それが理解ってりゃ”無敵”だろ!』と、思いが吹き上がりつつ心配でもあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
優しい泣き虫の未練を断ち切るために、あえて笑顔で死地に赴く。完全に”士”なんだよなぁ、殿担当班。
その思いを背負い、二人は上る。
赤に包まれた絶望の先、青く輝く誘蛾灯。
©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト pic.twitter.com/RLztZLZJTX
その意味は未だ分からぬが、ともかく最終決戦である。アガるぜ~。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
わかりんロマンスもまた最終局面であり、『全部やっておきたいから!』と身体的にダイレクトアタック! お前の全てを暴いてやるぜぇ~!!
ここのりんちゃんマジカワで、とても素晴らしかったです
©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト pic.twitter.com/LT1oEMdPye
植物由来の彼らは生殖もロマンスも、ホモ・サピエンスのスタンダードとは違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
命と記憶、人間の尊厳を秘めた魂の座を触られることは、その相手を特別と認めることであり、我々にとっての性交渉と近く…また完全に別物でもある。
そこには恥じらいとエロティシズムがあり、闘争への決意がある。
相手の指を己の中に受け入れ、秘めたものを共有していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
記憶の葉を読み解く操作はセックスの暗喩でありながら、独特の詩情とおかしみ、不思議な納得を混ぜ合わせ味わい深い。
彼らの恋は、こういう形で結実するのだ。
そういう感慨が、このラブ・コメディにはある。
いいシーンだ。
りんちゃんの秘められた部分を探るわかばの指は、白い霧の向こうにある記憶を呼び覚ます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
それは彼女が今の彼女になる前に、始原の記憶。
霞の彼方に見えるのは、赤いケムリクサを抱く少女。
すべての始まりは、最も身近な場所にあったのだ。
©ヤオヨロズケムリクサプロジェクト pic.twitter.com/xmlP2PqI0Z
わかばが赤のケムリクサを外部から”操作”することが、りんちゃんの中にあった(しかし忘れられていた)過去を掘り返す流れは、(世界観とキャラに見合ったセックスの暗喩、というだけでなく)この作品全体が見据える”他者”のあり様が滲み、面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
自分の中にあるものは、自分しか見つけられない。
しかしそれは、異質なる他者が触れて、あるいは鏡と照らしてくれることで初めて見つけられるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
私たちは一人では、自分の中にあるものすら…あるいは自分の中にあるからこそ見つけられない。誰かが指でなぞり、操作するからこそそこにたどり着ける。
そうして見つけたものは、私だけの宝物だ。
なので、他者たるわかばにはりんちゃんの記憶は見えない。そこには個人の尊厳と、奇妙なおかしさがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
そうして回帰された過去は、未だ赤く染まってはいない。世界がこうなってしまう前、始まりの人の物語が何を描き、何に繋がるのか。
過去も未来も、まさにクライマックスである。
そんな感じの残り二話、全領域で温度を上げれるだけアゲるぜ! という回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
最後の水、散る命、厳しい旅路、蘇る記憶。
話が満足して終わるために必要な、圧倒的な盛り上がり。それを呼び覚ます土台を丁寧に、徹底的に積み上げていて、このお話の基本的なパワーの強さを再確認しました。
同時に盛り上げるだけでなく、ここに至るまでの旅路がどんな価値を持ち、何が生まれ何を見れたかをしっかり確認してたり、シンジュク最後の旅路もまた個別の妖しさと美しさがあると描いたり、横幅の広いエピソードでもありました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
終局に力を振り分けつつ、脇もしっかり固める。つえーわ。
世界の真実がバコバコ明かされそうな、白き記憶蘇生。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月22日
青き輝きの先にある、凶悪な赤。
殿を務める姉妹とシロ、未来を掴まんとするりんちゃんとわかばの運命は、一体どうなってしまうのか!!
いやー…最終決戦、見事に盛り上げられてしまいました。次回と最終回、非常に楽しみです。