ワンダーエッグプライオリティを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
”愛の鞭”なる暴力を、頭を下げて受け取れば、誰かが愛してくれるのか。
欲得まみれの愛を受け取った結果、死地にまで追い詰められることも、またある。
良い子、悪い子、普通の子。
どれになっても追いかけてくる痛みを、友情という刃は切り開いて…くれるのか?
そんな感じの、萌えナイズされた(されてるのか?)アリスの地獄、ワンプラ第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
もう一人のワンエグ戦士、ねいると出会ってもアイちゃんの日々は変わらず、友達を求めつつ世界に窒息されかかり、既に自死した子供の思いのために、血みどろになって夢を駆けていく。
友達ってなんなのか。自分ってなんなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
キラキラな青春の中で問い答えられる、フツーの方々もまた世間にはいるのだろうが、アイちゃんとエッグの子供たちがそれを掴むためには、極彩色に染まった血の池に必死に戻り、何も掴めないまま帰ってこなければならない。
夢での傷は現実に反射し、夢で勝ったとしても死んでしまった友達は帰ってこない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
友達になって、心の中の本当に寄り添って、必死に一緒に戦った子は、夢から覚めれば墓場に帰ってしまう。
既に終わってしまっている少女の物語は、夢でどれだけもがいたとしても逆行しない。
そんなルールを、新体操部のみなみちゃんを巡る冒険で伝えるエピソードだったかな、と思う。”タッチ”かよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
みなみを暴力顧問から守って、甲子園ではない何処かに連れて行ってくれる特別な男の子は、この作品には出てこない。
エッグの仕様上、アイちゃんの戦いはいつでも手遅れの致命傷だ。
それでも、現実の中と外で戦うことになんらか、実りはあるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
夢の卵は孵るのか。時はさかしまに戻り、胸にポッカリと空いた空疎と罪悪感が取り戻される日は、やってくるのか。
多分そこに、甘い期待は持たないほうが良い。
EDで歌うように、命は泡と弾け簡単に消えるのだ。
多分、この作品好きにならないほうが楽である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
今後もいじめと自殺、なんとかして生きていきたいのに生きられなかった子供たちのもがきはエッグの中(と、それを包む殻)に投射され続け、彼女たちはひどい目にあい続ける。
それを甘い炭酸のように、喉越し良く楽しむ残酷趣味が、ないわけじゃない。
でも現実に置き去りにされたエッグの戦士たちと、彼女が抱える亡霊たちとの友情が、サイダーなどではないとやっぱり、前回と今回で思い知らされてしまったので。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
好きになりながら、美しく残酷な世界で展開していく戦いを見守り(あるいは窃視し)続けるしか、僕にはないのだろう。
アイちゃんはねいるに出会い、拒絶され、みなみちゃんとの死闘を潜り抜けてその結果は灰に終わり、傷を背負って現実に戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
そこでねいるは同じく、夢の負傷を背負って傷つき、アイちゃんは言葉にならない言葉を、メッセージアプリから投げる。
勇気を出して、普通の女の子として友達になって、生き延びる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
エッグの中で、そこを超えた作品世界の現実で、そしてそれが孵化する僕らの、Clover Works製ではないリアルの中で、沢山死んでいった子供たちの代わりに。
あるいは、他の誰でもない彼女たち自身として、深い後悔を抱えて。
その歩みは、自分を取り戻そうとする(あるいは終わらせようとする)夢の中の戦いを反射して、中途に終わるかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
しかし皆、必死に生きようとしている。
幻想と現実が同じ麗しさで描かれる、境界線の曖昧なこの物語を見る時、その視線は忘れないようにしたい。
痛い話なのだ、つくづく。
というわけで、アイちゃんとねいるは現実でコミュニケーションを取り、見事にすれ違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
壁に書かれた向日葵のように、虚しく太陽を探し求めるアイちゃんの働きかけは跳ね除けられ、友情の卵は孵らない。
ひまわりの花言葉は”憧れ”。二人の間では、今は画餅である。
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殻の中にヒキってはいるが、アイちゃんは(多くの子供、かつて子供だった全ての人がそうであるように)友達に憧れ、外側の世界で充実することを夢見ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
小糸ちゃんの死(それが自死か殺人かはまだ理解らぬミステリで、多分その境界に意味はない。小糸ちゃんは殺されたのだ)で、途中で挫滅しても
アイちゃんは特別なファンタジーを共有できるかもしれない期待感を持ってねいるに(不器用に)話しかけ、ねいるはそれを跳ね除ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
ねいるの内面は、彼女が戦う夢に潜らない今回よく判らない。
どんな家庭が、どんな痛みが、どんな死が、彼女を洞窟の奥に誘うのかは、まだ見えない。
しかしそれが、アイちゃんと同じ鏡に揺らぐ、危ういイマージュであることは察せられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
立ち、膝を曲げて肩を並べ、再び立つ。
わざわざエッグを抱えて戦いに飛び込む理由を共有し、アイちゃんは少なく交わした言葉に強く共鳴する。
死んだ友達を、あるいは殺した妹を。
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取り戻すために、無垢なまま死んでしまった子供たちの卵を孵化させて守り、その遺品と遺言を引き継ぐ仕事をやっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
誰かのため。それはいつでも、自分のため。
エゴと愛の境界線を明瞭に引こうとする、思春期の潔癖が、そんなものわかりのいい正解を拒絶する。
アイちゃんの主観で進んでいくこの物語には、謎が多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
世界を俯瞰で覗き込む見通しの良さはなく、おっかなびっくり洞窟に隠された謎と脅威に衝突し、驚かされ続ける。
分からないことは多い。
それは世界レベルの謎だし、思春期の子供が(あるいは様々に人間が)出会う普遍の疑問でもある。
何のために戦い、生きるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
友達は、肉親は死に惹かれて落ちていったのに、自分は生の岸で生き延びてしまっているのはなぜか。
アイちゃんにはさっぱり分からず、だから殻にこもって自分を守り、しかしそのままではいられない。
友達は欲しいし、わからないまま殺されるのも嫌だ。
殻籠もりのヒッキーの割に、アイちゃんはコミュニケーションに積極的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
ブツブツ文句をいいつつも、自分から手を差し伸べ、相手の話を聞くのを止められない。
優しくて、結構勇気がある子なのだ。
そんな子も、小糸ちゃんが死ぬのは止められなかった。殺すのに加担してしまった。
その後悔を、エッグを巡る冒険は、そこで生まれる出会いと痛みは新生させてくれるのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
卵を割りさえすれば、オムレツは作れるのだろうか?
OPですれ違う少女たちの有様、よりにもよって”巣立ちの歌”は、疑念に不穏な予感を返す。し、死にそう…。
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アイちゃんは昼間の現実を歩かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
それは後悔を蘇らせる殻の外の地獄で、光が見えるのは夜の夢の中ばかりだ。
だから多分、フードを下ろすことなく未来の同志とすれ違っていく映像は、現実のものではない。
イメージ、気づかれていない過去、あるいはあり得た可能性。
それが儚い夢のように、サイダーの泡のように消えて、血みどろの死体が現実に置き去りにされる”巣立ち”に、僕は備えるようにしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
多分この話、あんまり甘くはない。
願いは当然のように踏みにじられ、全ては徒労か幻像で、何もかもが泡と消えて、それでも諦め切れはしないだろう。
サイダーの泡(これも、水と空気が触れ合う境界面、”殻”を有しいつか弾けることを約束された卵と言えるか)のように、喉越し爽やかに少女たちの青春を飲み干せ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
EDで歌っているのは、このお話のお綺麗な外面がツルリと撫でるのはそういうスタンスだが、中に詰まっているのは山盛りの毒だ。
ファンタジーというのは大概そういうモノで、現実を駆除しうる薬は毒気と生臭さがあって初めて効くわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
家庭という殻に侵入してくる異物に、アイちゃんは自分の殻を引き上げて対抗する。
それは弱々しく、母に接近してくる”男”の気配を遮断/排除しきれるものではない。
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だから夜、携帯電話に夢を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
背中を向けた連絡先、託された奇妙な名刺。
ねいるを彼岸に引っ張っていくバスには、エプロンを付けたひよこ。エッグの戦士たちを戯画したものが、画面を埋め尽くす。
繋がれない思い、よく判らないアドレス。しかし、繋がりではある。
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”Blue Corp”とは、いかなる企業体なのか。少女でしかないねいるが、なぜそこのVice Presidentなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
アイちゃんがワケわからないように、僕もさっぱり判らない。
それは戦いを終えて、傷ついた二人が秘密と友情の兆しを屋上で共有した後、動き出す物語の種子だ。
アイちゃんは自分の戦場で、小狡く賢い自分を演じようと頑張ってみる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
安全圏で見て見ぬ振り、良心の痛みはカーテンにくるんで無視!
…そういう卑怯者のスタンダードで生きれるなら、君はこんなに苦しんでないんだよ…。
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一瞬の夢想に踊っているうちに、卵は地面に落ちて女の子(の死体)を孵化させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
アイちゃんは悪夢のルールが分かってないみなみの手を引き、フードを上げて戦闘態勢に入る。
結局、誰かの痛みを無視できない。
自分が感じたものも、他人が受け取っているものも。
豊か過ぎる感受性に傷つけられながらも、アイちゃんはエッグの戦士であること、死んでしまった声なき子供の代弁者/代闘士(Champion)であることを諦めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
顔面を張って、気合を入れる。
それは自分の傷のため。失われた友情のため。
目の前で転がる、死体への弔慰のため。
アイちゃんはミテミヌフリに受けた夢の傷を抑えつつ、暗がりで惑うみなみちゃんを護る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
いつかぶち破られる柔い防壁だとしても、一瞬二人きりでいられる、自分を守れるアジールへと手を引いて連れて行ってあげる。
勇気があり、優しく、また功徳なことである。
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そこに握られているのはくるみちゃんの遺品であり、彼女なりの物語を死で終えてしまった友達の遺志を背負って、アイちゃんは戦っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
それが夢の中の虚闘であることは、もう知っている。
屋上に立つ女神像が、再び動き出すかなんて分かりゃしない。
それでもアイちゃんは戦ってしまうし、くるみちゃんのペンを捨ててしまうことも出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
守ってしまうし、寄り添ってしまう。
夢の中なら無敵。
それはただ戦闘の話ではなく…というか、夢の傷は現実に容赦なく反射しているわけで、無敵なんぞではないが。
ミテミヌフリとして自分を守るしかなかった現実を超えて、友達に優しく、強く、正しく居続けられる自分を掴めるという意味で、”無敵”なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
殻の外側で、無敵でありたいと願いつつヒキるアイちゃんを、見るものはいない。…まだ。
逃げ出せたアイちゃんの自虐を、みなみは羨ましく見つめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
それは過去形であり、学校サボる悪い子になれなかったから、逃げて逃げてアジールに飛び込まなかったから、みなみちゃんは既に死んでいるのだ。
その無念に、アイちゃんは寄り添う。話を聞き、武器をとって戦う。
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みなみちゃんには友達がいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
いたら、”愛の鞭”という名の威迫と強要に追い込まれて死ぬことも、なかったのだろうか?
それともアイちゃんがそうであったように、保護者は簡単に加害者に変わってしまって、命はするりと友情を滑り落ちていってしまうのだろうか?
虚しい問であるが、それでも後悔が深く突き刺さってしまったアイちゃんはそれに向き合い、血みどろで戦うしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
死人の夢に潜り戦うことで、アイちゃんは過去を思い出し、僕らはそれを見る。
何があって、何が取り返せず、何を取り返したいと願うのかを。
アカがエアコンを通じて伝える言葉に惑わされて、アイちゃんは避難所の崩壊に気づけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
世界のあり方を告げる言葉は雑音で、大事なものは友達そのものの側にあるのに、そこから眼を離してしまう。
ひどくありふれた、僕らの愚かしさ。
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エアコンやカナブンの死体やトイレットペーパーが喋るのは、夢らしい支離滅裂であり、これを現実に敷衍すれば社会不適応の妄想となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
しかしアイちゃんを取り巻く現実においては、世界のルールはこういう形でしか提示されない。
扉を蹴破り、90度の服従を強要する連中が、何を教えてくれるというのか
そういう相手にも、避難所の扉は通じていなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
夢なんだから都合よくルールがネジ曲がればいいものを、悪夢というものがそうであるように、ワンダーキラーとの戦争はどうしても、外部への接続点を作らねばならぬようだ。
卵とは、まぁそういうものかもしれない。
ワンダーキラー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
それは『不思議を殺すもの』なのか、『訝しむべき殺し屋』なのか。
どちらにしても、みなみちゃんは自分を殺した顧問に頭を垂れ、服従と卑屈な笑顔を差し出して頭を撫でられる。
怪物は歯のある女陰めいて弾け、その本性を顕にする。
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アイちゃんは怪物に勝てないまま、意識を切断され友達を奪われる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
いいよいいよと笑って、彼女も死んでいった。殺されていった。
閉じるまぶたに焼き付いているのは、消えない罪悪感と後悔。たしかにあったはずの、友情の名残。
諦めきれないもの。卵の中で、さざめく鼓動。
アイちゃんは夢の中で意識を手放すことで、過去を思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
現実において何を為し、何を成せず、無様に生者の岸に置き去りにされてしまっているかを。
第1話で屋上に続いていたロッカーは、アイちゃんの罪を閉じ込めた棺でもある。
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そこで見て見ぬ振りをして、恐怖に震えながらも成し遂げられなかったものを、この夢なら…”無敵”の自分なら果たしうるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
それが、死んだ友達を取り戻す手立てとなりうるのか。
物語は、確たることをまだ言わない。
ただ、凛と美しい残酷が踊るさまを描く。
ロッカー越しに震えながら、カメラで切り取る蛮行。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
全てが終わり、ボタンをはめ外装を作ろう姿でしか語られない、おそらくそこにあっただろう蹂躙の残滓。
ひどく生臭い暴と性は、砂糖菓子のように美しい光で淡く包まれ、その苦さを確かに伝えてくる。
点々と流れる血。アイちゃんの卑怯と無力、みなみちゃんの成熟と反抗の証。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
不可逆的に、不可避に大人になってしまう”生理”を、責め立て殴りつける怪物は、みなみちゃんを子供の檻に、自分の制御可能な範囲に閉じ込めようとする。
出るなら殺す。もう、死んでる。
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再演される反抗を、ミテミヌフリは名前に反して窃視する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
卑怯者共の視線、安全圏からの透明な視線の暴力。Penetrating。
月経の残滓を追い、身を乗り出して覗き込むクズどもを前に、アイちゃんの怒りが、くるみちゃんの遺品が膨れ上がる。
殻の隙間から覗き込んで、不意を打とうとするアイちゃんの試みは情けなく失敗する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
意気込みに反して、巨大な怪物に襲いかかる歩みは鈍く、等身大の少女らしく震えている。
くるみちゃんの武器は、みなみちゃんのワンダーキラーには銀の弾丸足り得ない。
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アイちゃんは殴り飛ばされ、傷ついた友達と同じ立場になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
暴力に脅かされ、思いを殻の中に閉じ込められ、暗い場所へと押し込められる。
雛鳥が皆そこから生まれてくるというのは、殻を破って生きれた生存者の、便利な言い訳だ。
その裏では百億の若鶏が、生まれぬまま死んでいる。
ロッカーという殻の中で一度、アイちゃんは死んでいる。友達を守れず、戦えず、加害しミテミヌフリをしてしまったことで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
ワンダーキラーはそういう薄暗い場所へ、自分を守ってくれるアジールではない窒息性の卵へと、アイちゃんを返す。みなみちゃんを押し込め、殺した。
それは愛だから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
自分を傷つけるもの、価値がないと蔑むものは世の中の当然で、惨めであることは当たり前だから。
負け犬最後の予防線を、必死大事に抱きしめるみなみちゃんに、アイちゃんは叫ぶ。
クソが…大間違いだぜッ!
まったく、ほんと通りだ。
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体育倉庫の闇をぶち破り、光の中に生まれ直す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
その時の産声は、『それは間違ってる』だ。
それは愛じゃないし、愛されたいと思うのは嘘じゃない。
目の前にいる私の友達は、殴られて当たり前のクズじゃないし、それを護るためなら血まみれにだってなる。
本当は、あの時もそう言いたかった。
”無敵”でいたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
その後悔と、小糸ちゃんを同じ眼鏡のみなみちゃんに投影する身勝手と、それと重なり合う、既に死んでしまったみなみちゃんの声を聞く感受性が入り混じって、アイちゃんを突き動かす。
生き延びてしまった惨めさを抱え、それでも殻の外へ突き進む。
アイちゃんの鶏鳴を受けて、みなみもまた立ち上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
ただの三色ボールペンに戻ってしまった遺品の代わりに、今まさにこのトラウマに苛まれている死者の武器を拾い上げて、アイちゃんは怪物に対峙する。
誰かの借り物の思い出で殺せるほど、殺意はヌルい相手じゃない。
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それを手渡すためには、みなみちゃんが自分を死に導くほどの暴力にも頭を垂れる”いい子”ではなく、己の身体と精神の生存を吠える”悪い子”である必要があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
逃げれる強さ、ヒキれるアイちゃんへの憧れに、一歩進める出会いが必要だった。
皆闇に押し込められながら、愛される自分を求める同志だと。
響き合う心がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
噴出する乳に眼を塞がれ、未来が見えなくなったとしても導いてくれる、確かな繋がりがいる。
一人では、夢での闘いすら勝てない。
死人もまた、喉の奥に閉じ込められていた叫びを開放し、誰かに受け止めて貰う必要がある。
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そうして傷だらけで勝ったとしても、死人は蘇らない。時は巻き戻らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
アイちゃんは知らなくても良かったエッグの中の記憶を、自分と何処か似てる友達が暴力の果てに死んでしまった事実を抱えて、まだ生き続ける。
その荷物を、引き受けたほうが良かったのか、殻の中に忘れてしまうのが良いのか。
どっちにしても、アイちゃんはロッカーに閉じこもった卑怯で残酷な自分が耐えきれないから、エッグと出会い夢と戦っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
安全圏で身を守ってればいいや! と舌を出しても、生まれてしまった声が、死に行く前に言いたかったことが、孵化する手助けを止められない。
自分と他人をひっくるめた、誰かの痛みを無視できない”無敵”の自分を引き寄せるために。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
本当は『止めてください!』と言いたくて、でも言えないまま殺されてしまったみなみちゃんの思いを引き受け、同じ傷を受けて戦うことしか出来ない。
アイちゃんは、そういう子である。功徳なことである。
死人の魂を引き受け、孵化させ、戦い、守り、その叫びを世界で唯一人覚えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
エッグの戦士であることは、とてもつらいと思う。そら、『クソが…』言いたくもなる。
自分がみなみちゃんの、くるみちゃんの声を聞き、遺品を引き受け、友情を覚えていて、何になるのだろうか。
アイちゃんは今後、世界と生き死にの身も蓋もなさ、不可逆性のニヒリズムとも戦っていくことになるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
時はさかしまに戻らず、罪は贖えず、死人は帰らない。
それでも、閉ざされた場所から声を上げ孵ることは出来るのだと、アイちゃんは信じて突き進む。
突き進まなければ、殻の中でただ死ぬのだ
夢…ニュクスの卵から目覚めた後に待っているのは、夢に食われかけたねいるの傷だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
それは容易に、致命打になりうる。死に行く子供の無念を引き受ける闘いは、否応なく命がけなのだ。
そのルールを、大人に行っても判ってはくれない。
頚椎カラーで武装して、アイちゃんの夢闘は続く。
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果たしてそこにあるのが、死と虚無に閉じていく無痛なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
それとも、ガムシャラに誰かを求め、硬い殻を叩き続ける血しぶきなのか。
アイちゃんは水の中に沈んで、一時的な死を体験することで、死んでしまった親友の思い、ねいるの真意に潜ろうとする。
それは、ただの遊びだ。何の実効性もない。
それでも、そうせざるを得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
殻の向う側にあるものをわかろうと、身勝手な共感を伸ばして血みどろに汚れる。
そうすることでしか、自分を取り戻せない所にアイちゃんは埋葬されている。
背丈は勝手に伸び、身体は血を流す。少女ならば、尚更多く。
それでも、ねいるは妹一人を救わんと死地に赴く同志なのだと信じて、アイちゃんはICUに潜り、屋上で語り合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
それは音にならない言葉。
閉じ込められ、窒息させられる雛たちに許された、スタンプ付きの囀り。
そこから広がる屋上には、夢とは違う色彩が確かにある。
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ここでもアイちゃんはICUという暗がりに潜り、ねいるを連れて一緒に出ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
そこに寄り添う”母”が、どんな圧力をネイルにかけているかは、物語が転がる中で判ってくるだろう。
どちらにしても、少女たちは夢の中で、現実の中で幾度も暗い洞に飛び込み、狭い出口を抜けて光に帰ってくる。
あるいはそこから落ちた小糸ちゃんのように、帰ってこれないかもしれない。ねいるの傷、アイちゃんの傷は夢ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
そんな風に、幻想の殻に逃げ込むこともまた、けして楽ではない。ヒキりつつも、誰かの手を握って殻の外に出ざるを得ない少女達の、戦いは続く。
極力触れ合わないようにと、殻を立てて出会った二人はしかし、傷を共鳴されてどうしても近づいてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
命の糧を差し出し、受け止め、それが甘やかなものだと瞳を輝かせてしまう。そういう子たちなのだ。
無限の世界が広がる屋上には、白いフェンスの殻が立つ。
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それが保護膜でもあることを、小糸ちゃんの落下死体は語っている。むき出しの現実にすり潰された時、人はひどく呆気なく、当たり前に死んでしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
その後悔に、見て見ぬ振りをしてまた殻にこもるか。
卵殻の盾、友情の刃で少しでも、殻の外を目指し進むか。
物語は、もう孵化している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
ねいるとアイちゃんは出会い、彼女たちだけの囁きで繋がっている。
その歩みは、残酷で淡い。
どれだけ夢見ても取り返せないもの、吠えようが薄ら笑いで踏み潰されるものを、追い護る闘いは続く。
それはどうやら、独行ではないようだ。
かくしてお互いの瞳を見たアイちゃんとねいる、未だ見ぬ二人のエッグ戦士、卵から孵化する死せる同志達が、どんな闘いに挑むのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
それは不明だが、多分面白い。同時に、ひどく痛い話になるだろう。
人生はサイダーじゃねぇ…ねぇんだよ。地獄みてぇなEDだな。
泡沫のごとく散ってしまった、数多の若き無念。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
それを殻から取り出しても、煙と消えてしまう夢の闘い。
そこから出て、あるいは潜って、戦士たちは何を掴むのか。
夢から覚めても消えない友情は、多分見た目ほど甘くなくて、泥と血の匂いがするのだろう。
それを嗅ぐべく、来週も見る。面白いアニメだ
追記 憑かれるアニメだ。だから好きなんだが。
しっかし、このまま残り10か11か、多分それ以上の少女たちの声が卵から孵り、現世に虚しく解き放たれていく様子を見ることになるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
しんどいな…判ってたけども。
完成された幻想がブチ壊しになっても、殺された子供たちが都合よく現実に戻り、幸福を掴んでくれる話のほうが、やっぱ楽だ。
名前の通り”愛”で血みどろ、戦い抜くアイちゃんの物語は、常に後手後手だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
死人は戻らないし、もっと早く出会っていることも、掴んだ友情で死の運命を書き換えることも出来ない。
その徒労感は今後も、ずっと付きまとう。そういうものをまん中に据えた、ひどく現実的な話なのだろう。
そういうメッセージは明瞭に出続けているので、彼女たちが土足で己の春を踏みつけようが、残酷さに食われようが、想いが形にならなかろうが、『裏切られた』とは言わないよう、覚悟はしておきたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
まぁ確実に、スッキリとは終わらないだろう。微か、嘘のない何かが荒野に残ってくれれば良いなと思う
追記 その選択肢が突きつけられた時、『生者だから/現実だから』というのが特権的な優先順位にならないことは、既にここまでの物語が描いたとおり。優先順位もまた、変化し越境するのだ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月19日
Priority。優先順位。
死人を閉じ込めたワンダーエッグには、優先順位が否応なくつく時が来る、ということなのかもしれない。
数多の無念、無限の痛みと共感を閉じ込めた墓場の中から、たった一つを選び取る残酷。
それが、アイちゃんが最後に戦うワンダーキラー…かもね。