ゲキドルを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
ゲキドル旗揚げ公演を成功裏に終えたアリスインシアターは、次なる芝居に勝負をかける。
せりあに寄せられる、あいりの熱い期待。それを越えて潤む視線。重なる唇と、甦る記憶。
オーロラが見下ろすここは、人形たちの家。
火傷するかのような熱を秘めて、舞台は加速していく。
そんな感じの序章終了! 行くぜゲキドル本格始動!! な第四話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
元々感情のアクセルが特別性なアニメだと思っていたが、あいりもせりあも凄い勢いで激情を大暴走させ、画面のテンションは上がったり下がったりのジェットコースター。
コレに世界崩壊と新公演が加わり、異様な熱が出てきた。
先週見せた艶かしく、しかし妙に醒めた”性”の描き方は今回も元気で、バス停にひらめく光に照らされた潤みが大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
あれが特別なバースデイが生んだ一瞬の眩暈なのか、性指向に支えられた確固たる意志なのか、読めねぇのがゲキドルである。わっかんねー…。
あいり一人がフルスロットルなら『クレイジーなアニメだ…』で終わりだが、受けるせりあもツルンとした表情に濃厚なトラウマを抱え込み、ありきたりの日常から一瞬で墜落して、どす黒い闇を吐き出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
それが崩壊しつつもなんとか活きてる池袋に重なり、異様なグルーヴ感が生まれていた。変なアニメだ
つーわけで、いつもどおり樋口が健気なところから物語はスタート。相変わらずツンデレ間違えてるねぇ…教科書変えたほうがよくない?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
千秋楽の盛り上がりを背中で聞きつつ、せりあはいつかの舞台を夢見る。
空っぽな私がようやく見つけた、私が私でいられる場所。
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そんな明るい未来が、メール一発、”誕生日”の三文字で闇に塗りつぶされるのが、ゲキドルというアニメである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
ほんとシーンとシーン、感情と感情の変化が急なのだが、その急加速が”演劇”という主題に妙に噛み合い、当惑と同じくらい不思議な納得があるのが、面白い作品である。
五年前の消失事件から癒やされきれていない世界も、その傷を笑顔に押し込んで常人演じてるせりあも、劇的なるものの種子を孕んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
日常に隠された秘密がはみ出すときに、ドラマは駆動しだす。
そのスピードは急で不格好だが、その勢いが独特、かつ僕には面白いのだ。
新入り団員が笑顔と青春の裏に隠したものに、誰も気づかないまま物語は新しいステージに入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
衣装も不揃いなド地下集団が、成功を掴んでいくサクセスストーリーも、抜け目なく作品の柱に使ってくる所が、妙な器用さで良い。
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あいりはジュニアアイドルと雛咲いずみ、二つのトラウマをせりあに助けられ、乗り越えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
その劇才と人格を買って唯一主役に推すが、まぁ当然安牌を切られる。劇団運営は、現ナマが絡むリアルなビジネスなのだ。
ここの肩入れが、新しい相方への期待だけではないとは、このリハクの目を持ってしても…
実はこのお話、結構セリフで説明せず、画面や行動から読み解く仕上がりになってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
世界にもキャラにも秘密は多く、気になるポイントを一瞬クローズアップし、印象に刻みながら物語は進んでいる。
それがスムーズには進行せず、サインが出きってない状態でドガンとイベントが起きる…こともある。
全部が全部唐突ではなく、結構巧いこと伏線張れてる局面も在るのだが、唐突に腹をぶっ刺してくる一撃も打つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
そのサプライズが油断できない視聴を生み、心地よく不意打ちされる喜びにも繋がるので、なかなか面白い。
イヤだって、この段階のあいり、確実に役者としてせりあを買ってるでしょ…。
しかし見えるものとその内側にあるものには乖離があり、それを体現するのが主役のせりあでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
憧れのいずみの芝居に涙を流したと思えば、モニターから迫るトラウマに怯え、切断する。
自宅での服装と振る舞いが幼いのも、まぁ伏線よな…五年前で時間止まっとる。
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アイドルにうつつを抜かし、フツーに学生生活が送れているようでいて、発電インフラにも心にもダメージが残る池袋。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
せりあはそんな作品の舞台を、擬人化したような少女かもしれない。後悔に囚われつつ、自分が自分でいられる場所を探すさかしまのアリス。
Seria⇔Arisuを、双子に付ける両親の正気…。
一方憧れの星は弛むことなく鍛錬を続け、自分所のトップの胡散臭さに警戒バリバリだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
声が鳥海の時点で推定有罪(偏見)であるけども、お前はなんで盗撮しておるのか。
記憶の中の少女、ひっくり返った車とかをちゃんの関係はなんなのか。謎は多い。
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ここら辺、来週掘ってくんのかなー、ってポイントだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
SMTを支えてるシステムも、アリスインからパクったものだとすると、耳障りの良い”希望の舞台”も胡散臭いしなぁ…相当拗れてそうだ。
そこにアリスインの元エースが移籍して、主役二人の感情を集めてるのがまた…ややこしい…。
表向きはなんかいい感じにツルッと転がりつつ、要所要所に引っかかりを残す作風は、裏を読みたくなる面白さがあって良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
『なんでこの組み合わせなの?』と、最初に見た時感じた疑問に、魅力的な謎解きを提供しつつ歩調を合わせてくれるのはありがたい所。
まぁ歩き方ヘンテコだけどね。そこも良い。
芝居を自分で作り上げていく役者と、作り上げたものを吸収していく役者。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
あいりとせりあは、お互いの個性をぶつけ合いながら未来に進んでいく。
…って紋切り型とは、ちょっとズレた場所に軸足があんだけどね。
せりあのコピー能力は、抱えた空虚の代償だし。
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心のないはずの人形は、まるで慈しむようにせりあに近づき、願望を反射する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
そこに特別なものを見出してしまうのは、ありすを失った歪みの投影でしかない。
しかしバランスを欠いた心は充足を求め、それは誰かが求めるものを演じる鏡写しに、強く増幅されていく。
ドールは、何らかの思惑や意思が持って動く存在なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
それとも人間の欲望を反射・東映・増幅する道具的存在でしかないのかは、まだ判らない。
せりあは前者出会ってほしいと期待して、失われたアリスの個体名をドールに付けた。
名付けは呪いの一歩目であり、彼女は道具との共犯に囚われていく。
何かを演じ、嘘を引き受ける。演じることで、空っぽではなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
役者への憧れもまた、不在なる”アリス”を探すせりあの歩み、その一つだ。
ドールも芝居も、せりあ自身もなにかの代用品でしかないからこそ、完璧に欲望を投影する。
それでは足りないと、あいりは言い続ける。
そんなせりあの危うさに、樋口はしっかり視線を向け…しかしデートの特権は、あいりが掻っ攫っていく。あ、哀れな女(ひと)よ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
まこちんマジでいい人なので、どっかで報われて欲しいね…舞台から離れている立ち位置が、唯一性として生きれば良いんだが。
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あいりは肌もあらわな水着を着こなし、パフェを思い切り頬張る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
先週苛まれていた”性”のトラウマを越え、一歩未来に進んだとこういう演出で見せるのは、なかなかクレバーであると思う。
あの時は一人で食べていたものに、せいあは匙を伸ばさない。しかし、目の前にはいる。
せりあの助けを受けてあいりが乗り越えたものに、あいりは多分物語全部で挑んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
いつかデカすぎるパフェを、二人が笑顔で食べ切れる日は来るのか。
来そうな気配は匂わせつつも、『来る!』と断言できないのが、ゲキドルの面白いところである。なんかありそう。
その予感は追悼の花火に静かに結実し、あいりの指先は温もりを求めていく。画面の湿度が上がってきたぞ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
これが単純なデートではなく、五年前の傷を悼む式典であると、ひっそりしっかり見せてる所とか、僕好きだよ。
それはさておき、性欲の暗喩として花火は高く上がるけど。
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ここでの繋がりが、個人的で特別で濃厚な性的接触にOKを出したサインなのか、楽しい一日を与えてくれたあいりへのお礼なのか、付き合いの良い笑顔の仮面の一端なのか、全く判別つかない所が凄いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
あいりが何を望み、肌に触れたかはよーく分かる。潤みすぎッ!!
しかしそれを受けるせりあが何を考え、何を望んでいるかは見えにくい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
いかにも青春絵巻を駆け抜けていきそうな外装の奥に、すげぇ濃厚な影が宿ってて、いつ牙を剥くか判ったもんじゃない奥行き。
それが、描かれるものの真意を隠していく。そこが良い。
かくして緑の光に照らされて、欲望は火花を散らす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
加熱していく想いを公共交通機関に横取りされぬよう、伸ばした手。事故めいて重なる唇。
さっきまでの青春絵巻の風通しが、秒速でぶっ飛ぶエロティックな急加速。良いぞ…これがゲキドルだ!
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ここで嬉し恥ずかしハプニングして終わりかと思ってたら、あいりが鬼の踏み込みを見せて”意思”を見せてきたので、俺はぶっ飛んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
緑色の光にくすぶる、確かな情欲。潤む視線と誘う唇。
一回目は事故だったが、二回目は欲望を込めて、確かに強く。
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急といえば急なんだが、同時に『まぁ、そういうこともあるかな…』という不思議な納得もあり、ヘンテコなキスシーンであった。コイツらの感情が二秒で沸点まで行くのは、既に描いてる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
女同士であることにカケラも悩んでねぇ風味なのが、いいと思います。
問題にしたいのはそこじゃない。多分。
せりあも劇団の頼れる先輩、新しく出来た友達が唐突に性的接触ブチ込んできた事ではなく、それが蘇らせる記憶と罪悪感におののく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
なぜ、忘れていたのか。
己が空疎な咎人であることを。
暴走したリビドーに頭抱えるあいりを置き去りに、せりあはアリスの元へ帰る。
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思わず『そっちかい!』とツッコんだが、せりあを芝居に駆動させてる傷を識ってるのは、それを投影されてるドールしか現状いないわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
あの子のポワッとした表情の奥に在るものを、劇団もあいりも知らないまま、状況が亜音速で煮え立ってるんだよね…なんだこれは。
父母はおらず、祖母は不在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
空っぽの家で”誰か”を求め続けてきたせりあが、自分の欲しい物を一方的に投げかけられる相手。答えてくれる相手。
それが人形であり、芝居なのだろう。
それは美しい鏡の国。投げかけたものを裏切らない。
…ヤベーんじゃねぇの、これ?
そんな直感を裏打ちするように、人形の瞳が輝きオーロラが吠える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
かをちゃんは過去の再演に頭を抱え、狂ってしまった世界を癒やすはずの装置は、せりあの中の悪夢に形を与えていく。
人形は自分の意志を持たない。肯定されたいという願望を、そのままに引き受けていく。
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鏡写しに歪んだ私と、決別したあの日。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
世界に入った罅は家族を奪い、その欠落は満たされなかった。さよなら、私のアリス。
誕生日を孤独に祝うはずのキャンドルが、全てが決定的に壊れてしまった瞬間の墓碑銘になる演出は好き。融けた蝋燭は、元には戻らないのだ。
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暗く、内向きで、真逆のありすに憧れ続けてきたせりあ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
生き残ってしまった痛みを笑顔に押し込んで、空疎を周囲に気取らせることなく増幅させていた彼女のトラウマが、あいりのキスをトリガーに炸裂していく。
いやー…やっぱヤバい主人公だったね! 大好きさッ!!
かくしてドールはあいりの望みを反射し、未来と許しを与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
それはアリスが生み出したものではなく、虚空に反射する欲望の山彦だ。二人だけ、舞台装置もない場所で演じられるセレモニー。
そこに谺するのは、狂気か救済か。
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罪悪感と一人芝居が無限にハウリングしてるヤバ状況に一切ツッコまず、『なんで人形が隣りにいんのよ!』とキレ散らかすあいりさんは、やっぱり流石だ。問題にしたいのは、そこじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
五年前と同じ本数のキャンドルが立つケーキは、実際には存在していない。
しかし、せりあの認識には確かにある。
あの時融けてしまった蝋燭が戻ってくれないと、せりあは救われずアリスは取り戻せない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
意思なき人形がその願いを反射した結果生まれたのは、”マッチ売りの少女”めいた狂える一時しのぎでしかなく、せりあの虚無はこの芝居では埋まらない。
埋まってはいけないと、多分この作品は書いている。
んじゃああいりの唇がそれを埋めるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
加速した欲望を、勝手に叩きつけて相手を人形扱いしてるのは、アンタも同じだろ現状ッ!
『とにかく落ち着いて、必要な手順を踏め…』と言いたくもなるが、手続きをかっ飛ばしてガンガン加速していくこの感覚が、また面白くも在る。劇的だ…。
求められるもの、既にあるものを空疎に埋める、せりあの芝居。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
自分の中にある情念を燃やし、制御不能に暴走していくあいりの情念。
正反対な二人は、素直に欲望を投射し合う鏡写しとはならない。
人形ではないあいりはアリスの名を拒み、せりあはキスに背中を向けるだろう。
その身勝手な自我こそが、芝居に熱を入れ嘘を本当にしていく。見ているものにも演じるものにも、何かを生み出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
アリスインシアターは人形の家、勝手に動いてキスをする。さて、次なる演目は…。
ゲキドル、加速してまいりました。次回も楽しみです。
『女の子同士なんて…』とか『急に気持ち悪い…』とか言わず、妹死んでるのに人生エンジョイしてる自分に背中向けるとか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
目の前で繰り広げられる狂気の一人芝居ではなく、自分がそこにいないことにキレるあいりとか。
ヌルい定番蹴飛ばして、ズレたところでドラマ回ってるのやっぱ面白いな…みんな変
特別なメモリアル・デイの気配に当てられ、むせ返るリビドーを叩きつけたあいりをせりあがどう思ってるのか、現状サーッパリ解んないのが凄いよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
それはそれでOKなのか、NOなのか。
キスやったら問題になりそうな所を、スルーしてトラウマに行く。異質だが、面白い一手だ。
間違ったツンデレでグダグダやってるうちに唇を奪われた樋口に逆転あるのかも含め、凄い速度で唐突に飛んできた女女情愛要素をどう転がしていくかも、大変楽しみです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月26日
そっか…”ある”のかこのアニメ。嬉しいじゃねぇの。