スケートリーディング☆スターズを第4話まで見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
架空の団体スケート競技”スケートリーディング”に、挫折した元天才児と、腹違いの天才に執念を燃やす参謀気質の青年が挑んでいく物語である。
ここまで感想を抑えていたのは、いくつか理由がある。気になるポイント…というか。
一つには主題となる”スケートリーディング”の顔が、第4話まで自分的に不鮮明であったこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
導入となる第一話は主人公・前島くんのキャラと人格、流石井くんとの出会い、終生のライバルとなる篠崎くんとの関係性が描かれるが、リーディング競技がどのようなものかはほぼ描写がない。
そこにあるのはソロのジャンプ競技で生まれた因縁、挫折と止まった時間、くすぶっていた思いに火がつく様子である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
それはそれで面白く、だから様子を探りつつ視聴もしていたわけだが、やはりオリジナル競技を押し出す以上、そこにどんな特徴があるかは早めに知りたかった。
永遠の二番手に甘んじ、それでも絶対の天才にしがみついていたかった前島くんは、その当人にプライドを砕かれ、スケートから離れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
その結果、彼の人格は子供時代のまま止まってしまっていて、時計が動いていない。
そこがどう転がっていくか、見えにくかったのが二つ目のポイント。
周囲が指摘するように、彼が時計を止めている間にかつての馴染みは自分たちの世界を作り、絶えず努力を続け、チームになっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
そこに横から乱入して、俺の情熱は止められないからお前ら協力しろとほざいても、まぁ素直には受け止められない。
相棒となる流石井くんもなかなかいい性格をしていて、嘘はつくルールは破る不意打ちはブチ込む、兄に勝つためなら何でもするダーティ&クールな青年である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
そのギラついた感じが良かったりもするが、そこから変化がないのなら見るのは厳しい。
さてどうなるかな、と思ったが、第四話までで越えてきた
第一話で(その未熟さと冷徹含めて)主役二人のキャラ、ライバルの怪物性が見えた後、第ニ話と第三話はほぼセットだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
転がり込んだチームに認められるべく、チーム内対抗戦が始まることになる。
強すぎる個性がチームとしてまとまらない中で、頭脳担当の流石井くんは策を講じていく。
その過程で、調和と役割分担が大事なスケートリーディングの基本と、それを揺るがす主人公の資質が見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
前島くんは協調性と優しさがゼロのクソガキで、他人の思いは踏みつけにするし誰かを思いやる強さも足りないが、とにかく美の才能と執念だけはある。
問題児主人公を受け止める部員は結構いい人たちで、特に寺内部長と桐山副部長の二人三脚は、見ていて素直に応援したくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
寡黙に部員を見守る寺内くんの包容力と、ガミガミ言うべきことを言って部を引き締める桐山くん、そしてオネェなマネジの望月くん。
部の中心になる三年生のアンサンブルが、むちゃくちゃヤンチャしてくる主人公コンビに怯みつつも言うべきことを言って、上手くバランスを取る感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
間に入る二年生も、アクは強いがリーディングには真剣で、それぞれの思いがある。
そう、色々問題はあるが、皆スケートにはちゃんと汗を流す。
やる気ゼロの昼行灯監督も、『現役復帰までの足掛けだ…』というポーズを取りつつ、要所を〆て子供たちが高く飛べるよう、いろいろ考えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
そういう真剣さで、時間を書けて積み上げたものに、前島くんが全く追いつけていない描写もちゃんとある。
協調性ゼロの主役が、協調性を重んじる競技に飛び込む意味。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
それは自分に欠けているものを、学び取り入れていく”教育”の側面が、結構あるんじゃないかな、と思う。
彼はソロでは得られない快楽を対抗戦で見つけて、それに目を輝かせる。それを引き上げていく醍醐味も、肌で受け取る。
無論、プライドが崩壊した子供時代で時計が止まってしまっている彼は、年相応の成熟でもってそういうモノを受け止めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
なんとなく、感覚で伝わるだけだ。
しかし確かに共有されるものはあって、それが戌尾ノ台というチームでしか出来ない、ということに、第4話で気づいていく。
自信過剰な久遠寺くんと偶然一緒に滑ることになり、こちらを尊重せずに”滑らされる”感覚に前島くんは強い違和感を覚える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
アイツラみたいに楽しくない、気持ち悪い。
我が強くバチバチぶち上がるだけと思っていた、間に合せのチームメイトは、実は特別な共鳴のある相手だった。
これもまた、子供の皮膚感覚で前島くんに体得されていく。『ただ、なんとなく』でしかないが、確かに彼の世界は”滑らされる”不快感に少し変わって、ちょっとだけ誰かを大事にできるようになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
多分そんな感じで、前島くんはちょっとずつ、あの時凍った時計を進めていく人なのだと思う。
そこら辺の個性を飲み込んで、『あ、ただのクソガキじゃねぇのね』と納得するまでに4話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
最近の基準だと遅いし、そもそもこういうタイプの主役、描き方にしない感じもあるが、それもまた一つの個性かな、と思える作品ではある。
ジワジワと積み上がるものが、前島くんをどう変えるかは楽しみだ。
スケートリーディングの公式試合がまだないので、競技として独特で鮮烈な”美”が何処にあるのかは、正直納得しきってない感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
しかし複数人がシンクロしながら、一つの舞を作っていく軍部の気持ちよさは、第三話の対抗戦で片鱗を感じることが出来た。
今後前島くんはさらにバチバチ周囲と衝突し、致命的に団体競技に向いていない自分と出逢うことだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
その時『俺はこうだ!』と我を通すか、はたまた自分を変えうる強さを獲得していくのか。
それが出来ることは、4話までで示されている。やや浅い感触だが、けして嘘ではない。
そういう変化の物語に、他人も自分も計算可能なリソースとしか三白眼とか、他人が視界に入ってないのに集団競技に来た天才とか、色んな連中が噛み合ってくると面白いな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
つーか人格整ってないやつほどジャンプが高い世界観なので、あらゆる場所に火種があるんだよな…。
それが、子供たちがちょっと強く、ちょっと優しくなる着火剤にもなると、この話をもっと好きになれるかな、と思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
人数多い割にキャラが飲み込みやすく、個性がうまく書けているのはとてもいいポイントだ。枢やなのデザインも、いい仕事をしていると思う。
しばらくはチームがチームになるまでの物語をやると思うが、そこで見えてくる戌尾ノ台の個性がどう噛み合うと、リーディングは爆発するのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
競技の独自性を、クソガキ前島くんの人生修業と合わせて見せてくれると、僕の好みである。子供が育つ話が好き。
次回第五話は、合宿の中で生真面目な…そして正直パッとしな窪田くんが、前島くんと競う物語になりそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月11日
才に溢れた問題児は、人格百点の凡人とぶつかることで何を見つけるのだろうか。
作品を構成する歯車が噛み合いを見つけ、良い加速をしてきた手触りを逃さず、生かして欲しい。
次回も楽しみだ