ましろのおとを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
松吾郎杯団体の部も、ついにフィナーレ。
三味線同好会はただ、全霊をバチにぶつける。
生まれた音は風花にも似て、特別な景色を生み出していく。
勝敗の残酷と、己の可能性に青年たちが震える中、決着の瞬間が訪れる。
そんな感じの、団体戦フィナーレである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
同好会員それぞれの努力と意地が形になる演奏シーンも良かったが、『やりきった』で満足せず、自分の中の手応えと結果が重ならない悔しさ、演奏を評価されることの難しさ、本気で挑めばこそ生まれる涙と、苦いものがたくさん描かれた。
ポヤッとしてたりナメてたり、どうも三味線に半身の構えに思えた女子勢こそが、”三位”という結果に納得できず、心の底から悔し涙を絞り出しているのが印象的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
この痛みを引き受けて、朱利ちゃんはもっとたくさん弾くだろう。結ちゃんは、『これ終わったら辞める』を撤回するだろう。
三味線は情念で鳴る楽器だが、それを弾くこと、演奏と勝敗に向き合うことで生まれる情念も、またある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
そういう黒く重たい炎に、涼やかな涙を混ぜることで少女たちはより強く、三味線を鳴らすことが出来るようになる。
そう思える、意味ある”三位”だったと思う。
脇で応援してた小藪先生は『立派な結果じゃない!』と、客観的に見れば確かにそのとおりな感想を述べ、舞台に立ってた五人はそれに納得しきれない表情なのは印象的だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
弾くものにだけ、伝わる手触りというものがある。それは雪がその鋭敏な感覚で、ずっと感じていたものだ。
時に厳しく人間を試すその実感を、あの五人が共有できたのはとてもいいことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
初めての大会、他人の評価、数字にならない音の広がりと手触り。
子供たちが同好会を始め、たどり着いた一つのゴールに何が待っていたのか、非常によく伝わる書き方だった。
それはとても実りの多いもので、勝つことだけが未来を生み出すわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
これまでの同好会の集大成であり、これからの同好会の足場となる、非常にいい経験だったと思う。
やっぱ人間ドラマの畑を耕した上での演奏が、華やかに咲く作品である。他校、やや弱いんだよなここが…。
あんだけバチバチやりあってた海人に、神木清流の名器を預け、癖が強いが芯の太い音を響かせて、演奏全体を支える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
雪はソリストではなくバンドマスターとして、全体の調和と構成をよく考え、仲間の顔を見音を聞いた演奏へと、五人を導いていく。
聞くという、導くという喜び。
これをこの団体戦の結論として雪が選んだのは、やはり清流との合奏が彼にとって特別な体験であり、彼の音にねじ伏せられ、合わせられる喜びを、彼なりに変奏した結果なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
たった一人、自分だけの音が鳴ればいい。
そう思って東京に出てきた青年は、様々な出会いを経て今、合奏をしている。
かつて『合わせられない』と切り捨てた素人達が、どれだけ必死にバチを握っているか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
その衣舞紀を感じながら、感謝を込めてバチを打つ。
仲間に出来る限り、自分に出来る限りを最大限やりきることが、限界を超える演奏へとみんなを、自分自身を導いていく。
そのために、遠慮はいらない。
細棹の技法を雷先輩に要求し、演奏に艶をつけるアドリブも、先輩への信頼あってこそ生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
雪が誰かに体重を預ける時は、ぶっきらぼうな乱雑さがどうしても付きまとい、それが誤解…っていうには、あまりに『そりゃそうだ』なんだが…を生む。
若菜ちゃんがフォローしてたように、言葉が下手な男だ
しかしずっと一緒に弾き続け、色んな衝突を経て仲間たちも、そんな雪が理解ってきている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
言葉で触れ合い時に殴りつけ、何よりも音を通じて思いを受け取ってきた。
朱利ちゃんが飲み込まれかけた緊張が、”沢村くんの音”で解けて覚醒していくの、凄く良い描写だった。
やっぱなにより、朱利ちゃんは雪の音に惹かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
三味線で理解り合うことしか出来ない男を、三味線で求めてる少女がいる。このぴったり感が土壇場で出たのが、凄く運命的で良いなー、と思ったのだ。
音楽の物語なので、人間関係も”音”に支配されてて欲しいのよね…。
ホールを飲み込んだ風花の音も、雪の『俺が俺が』で生まれたわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
五人の合奏をより良く、より強く響かせるために、自分の才能を活かす。みんなが鳴らしてくれた音あってこそ、自分の音が高らかに鳴る。
このときの雪のバチには、強い感謝が乗っていた。立派なことだ。
『勝ちたい』と気軽に言い、届かぬ夢を見る仲間を、雪はずっと隣で見ていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
『勝たせてやりたい』と思う自分と、雪はどこで出会ったのだろうか?
一人になるしか無い、じっちゃのコピーでしか無い。
そう嘯いていた真っ白な音には、気づけば誰かの思いを引き受け、高らかに鳴らす情の色合いが乗った
そういう所に雪がたどり着けたのが、僕は本当に良いことだな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
勝敗、調和、感動、融和。
”三位”に泣く仲間を見て心が揺れるのは、ここまで雪を支配していた、巧拙とは違う価値観軸が豊かに、彼に宿りだしたということだ。
ドラマを背負わねば弾けない彼の演奏は、ここから更に豊かになる。
だからこそ、かつて踏みつけにした舞の演奏をしっかり聞き、言葉を届けることも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
雪が他人の音を聞く方向に変化しているのに対し、コンプレックスに凝り固まった舞は梶くん達の音を聞かず、”ニ位”に不平を漏らす対比が面白かった。
そこに、総一がひたりと釘を刺すのも。
個性と業豊かなソリストたちの、極限のバトル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
団体戦は個人戦への序奏って側面も濃かったが、その衆目は若菜ちゃんをメコメコにした総一にあるだろう。
観客席でぼんやり、のらりくらり。駄菓子を用いた天才言語でばっか喋ってる彼が、一筋縄では行かないと判るシーンで、大変良かった。
梶くんや荒川くんも、団体戦とは違う顔を見せてくるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
合奏では悪目立ちした荒川トゥインの主張も、ソロでは全く別の評価をくだされると思うし、調和と爽やかさで一位を取った梶くんが、個性を試される個人戦でどこまでやれるかも気になる。
舞は『合奏をする』のではなく『雪に自分を認めさせる』ために、松吾郎杯団体に挑んでしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
『個性やエゴ、凸凹な技量をまとめ上げ、一つの音に仕上げてこそ合奏』という、審査員達の判断基準は正しいと思う。
雪達は”合奏”はしたが、チームの巧拙をまとめきれなかった。
独走する舞にチームの強者はなんとか追いすがったが、一つの音にはならなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
抜群無益の境涯で、爽やかな風を吹かせた梶くんの素直さが、あの場では最も評価された。
若菜ちゃんは相変わらず、作品が何を描いているかを上手く言語化し、視聴者に伝えてくれる。
調和を価値とする評価軸で”三位”になったということは、やはり同好会のド素人共は必死に努力し、雪の天才のノイズにならない、むしろ増幅できるところまで自分を高めたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
それが証明されたからこそ、”三位”で泣く。
揺るがない手応えが練習と演奏にあって、でも届かなかったから悔しい。
雪が奇策を預けられるのが、雷先輩一人だったのが同好会の敗因なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
積み上げた時間は裏切らない。雪がいる領域まで自分を高め追いつくには、もっともっと修行しなければいけない。
涙にくれる少女たちは、骨身にしみるほど切実に、それを思い知らされたのだろう。
今できる最高を引き出し、合わせ、それでも届かなかった切なさを感じながら、雪は個人戦に挑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
自分を気遣ってくれる桜ちゃんに、凄く柔らかな応対できてる様子を見て、少し泣いてしまった。
それは仲間と進んだ日々が、苦手な他人に向き合った雪自身が、与えてくれた穏やかさだ。
それが、松吾郎の名を世界に刻みたい梅子には苛立ちの原因なのが、まーた面倒くさい親子であるけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
あのアマ、天下のエゴイストとして堂々世界に息子を押し出したいんだが、それはあくまで雪の自発じゃなきゃダメなんよな。
松吾郎の音を継ぐものとして、堂々胸を張って世に出て欲しい。
こんだけお膳立てしておいて、採点には一切タッチしない所とか、変な公平さのある女だな梅子…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
合わせ、導く喜びを知ってしまった息子であるが、それが彼の音を埋没させる結果にはならないだろう。
むしろ仲間を思えばこそ、胸に疼く残響こそが、雪の音をより強く鳴らす。
そう思える団体戦の終わりであり、個人戦の始まりでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月30日
団体戦で顔を見せ、個性も分かったライバルたちが、どういう演奏で勝負を仕掛けてくるか。
一つのクライマックスが上手く、次の展開への期待を煽る運びになってますね。
次回も楽しみ!