スーパーカブを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
少女たちは征く。
遠い春を待つのではなく、スーパーカブで掴まえに、旅に出る。
故郷の町を離れて広がる、見知らぬ景色に瞳を輝かせて、天然色の世界を突き進んでいく。
そうして旅の果てから戻った街を、また並んで進んでいく。
この、何処へでも行ける私の箒で。
そんな感じの、青春踏破疾風録最終話ッ! スーパーカブ VS 春!! である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
お話の盛り上がりとしては前回ヴィヴァルディをバックに椎を助けた…後、その寄る辺ない哀しみを受け止めカブとともに挑むと決めた時に、最高潮を迎えた感じもある。
ないない少女は、友と夢と力を手に入れた。
大事なのはその決意であって、後は長い長いエピローグだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
東日本完全制覇の勢いで、総天然色の世界へ突き進んでいく、三人の旅。
無敵のあたしら感満載のカブ旅は、笑いと驚き、優しい心配りに満ちて温かい。
春に始まった物語が、一巡りして春に戻る。
その途中で手に入れたもの。
小熊がカブと一緒に、カブだからこそたどり着けた場所とその先。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
そういうモノを、どっしり腰を落とした旅路と一緒に見せてくれる、大変”スーパーカブ”らしいタイトル回収回でした。
散々情景で魅せた後、最後にモノローグでカチッと終わらす構成も、最後まで心地いい。
小熊の心境を写して灰色だった世界は、今回はずっとフルカラーに彩られ続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
草薙の美術力が全方位で暴れ狂い、最高の背景を致死量血管に注入され続けて、流石にぶっ飛んだ。
いやー…最後にこれで乱打(ラッシュ)キメてくれるの、最高だな…。
(画像は"スーパーカブ"第12話より引用) pic.twitter.com/wGffIh5pxT
旅は様々な名勝を通り過ぎ、それを照らす光も朝ぼらけ、暖かな昼、夜闇の静けさと、様々な色彩を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
それはないないな灰色に閉じ込められてきた少女が、カブという足を手に入れてどれだけ多様で、どれだけ広い場所へ漕ぎ出せるようになったか、雄弁に語る。
北杜の景色、移り変わる四季を定点で追いかけ続けたカメラがあればこそ、最終話で色んな場所に行く広さは、スッと染み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
冬の寒さ、世の世知辛さに泣いていた椎も、その涙を受け止めきれなかった小熊も、こんなに明るく美しい場所に、自力で進んだのだ。
同時に、自分たちを送り出し出迎えてくれるホームの美しさも、最終話は変わらず切り取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
ずーっと同じアングルで、しかし多彩に顔を変える北杜の景色を切り取り続けたの、アニメの中に”時”を宿す妙手だったよなー…
(画像は"スーパーカブ"第12話より引用) pic.twitter.com/ViXK2iCCzG
カブと出会って一年、小熊の住む家が変わったわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
しかし旅立ちに『行ってきます』と告げる心持ちは、カブといる一年間で育まれたものだと思う。
そこは生活を入れる無味乾燥な箱ではもはやなく、それなりに実りある小熊の日々を、確かに見守るホームなのだ。
椎のお母さんがずーっと、超心配そうに娘見てる様子を切り取ってるのが、大変良かった。マジめちゃくちゃ見てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
そらー直近で事故ってるので気が気じゃないだろうが、娘はあの冷たい水に囚われ続けることに、涙するほどうんざりしている。
小熊とカブへの信頼を支えに、憂いを晴らし新たに進む。
おふくろ見ててくれ、私は宿命に克つッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
そういう巣立ちの逞しさが、フルアーマー椎から感じられる。
椎の父母の視線は娘を通してその友達にも伸びていて、親なきパンクス達は血の繋がらぬ…しかし確かな温もりに背を押され、旅に出る。それもありがたい。
というわけで西日本吶喊、春を捕まえに行く旅路の開始である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
とは言ってもある意味ボーナスゲーム、アクシデントや試練は顔を見せず、日差しも朗らかにカブを祝福して進む。
そういうのは先週やったからな!
(画像は"スーパーカブ"第12話より引用) pic.twitter.com/rmvdHjOUuR
カブ乗りとして積んだ経験が、危機の予兆に感覚を研ぎ澄ます大人の知恵を、小熊に与えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
文化祭バルが伸るか反るかの時に、対案を仕込んだ上で輸送任務に挑んだのと同じ、頼もしい逞しさ。
美しい景色と同じくらい、その実感が椎を喜ばす。
小熊が細やかなケアをするのはカブだけでなく、今回非常によく椎を見ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
春を掴まえて蘇るだろう彼女の夢の、足しになるように中山道を選び、カフェに入る。
ないない少女が見せた気遣いにこそ、彼女のカブが生み出した最も豊かな実りがあると思う。
モジモジしてる椎をしっかり見て、トイレ休憩も取るしね。やっぱ、背中を追うだけ追わせてケアしきれず、つめてー水に突き落として泣かした事をパンクスなり、色々考えているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
ここら辺、気にしつつも遠い椎との距離感を丁寧に書いておいたことが、変化を際立たす演出であろう。
春の気配を宿した山は鮮やかに青く、皆で食べるサーモンクリームサンドは大変美味しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
タッパー飯の荒廃から、小熊のメシもここまで来た。
椎と小熊の間で、思いやりがラリーされているのが大変良い。前回心と体を温めた、カレーうどんの返礼と言ったところか。麗しい…。
少女たちの笑顔を乗せたカブは、スルスルと日本の春を行き過ぎていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
琵琶湖湖畔、特別な旅行…完全に”キメ”れるムードを、野放図な礼子の裸体がぶち壊しにするのもまた、大変良い。
ツーリングの空気を、共有される最高の楽しさを、静かに摂取出来る筆致。
(画像は"スーパーカブ"第12話より引用) pic.twitter.com/RdiXxFpZrU
その穏やかで爽やかな喉越しが、彼女たちを1クール見守った物語のシメとして、大変にありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
何も出来ない無力感を打ち破り、何処にでも行ける自分を信じる。
そのための助けとなり、実感を生んできたカブもまた、無言で少女たちの春に寄り添う。ありがてぇ…。
出会ってから親しく交わりつつも、隣に並ぶことはなかった椎が礼子に密着し、カブ乗りが見てる景色を共有する旅。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
喜びを素直に瞳に浮かべ、笑みを輝かせる椎がいる旅は、今まで書かれたパンクス二人の物語とは少し味が違って、大変に良い。
この輝きを取り入れて、小熊も礼子もまた変わる。
或いは自分の中にある、けして変わらないものを相手に照らして、より強く確認していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
カブが繋いでくれた友情と一緒に、突き進んでいく桜追いの旅。
『福井のアタシらマジ無敵』感、マジスゲーな…。浮かれすぎッ! そこが良いッ!
(画像は"スーパーカブ"第12話より引用) pic.twitter.com/jP537k1nQ2
寒く長いケの日を越えて、ハレの祭りに浮かれて騒ぐ。三人だけの旅は、一つの季節が終わったことを寿ぐ、彼女たちだけの祝祭なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
トンネルを越えて、誰よりも早く春を掴まえる。
彼女たちは成し遂げた。
出来ないと諦めていたものを踏破し、自分の意志と足でたどり着いたのだ。
縋り付いてきた椎のために、スーパーカブの魔法を嘘にしないために、礼子の無茶な夢に乗った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
それは同時に、小熊自身のためでもある。
冬に負け、現実に負け、何もかも諦める自分を飲み込みたくないから、あの時いつもと違う道を行った。
そこへ導いてくれた、水色少女のモールトン。
小熊の決断は椎のためだし、自分のためだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
魔法のカブがあったからこそ来れた場所だし、自分の意志で切り開いた道だ。
そんな風に、普段は遠く離れているように思えるものを近づけるのも、乗機たるスーパーカブ…それをタイトルとするこの物語の特質か。
待つのではなく進む。与えられるのではなく掴み取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
ひどくちっぽけで、しかし確かに世界全てを変えうる手応えに満ちた旅路は、この南端で終わりはしない。
春を奪った女達が、故郷に桜を持ち帰る。そこから、道は続く。
(画像は"スーパーカブ"第12話より引用) pic.twitter.com/wVrH1oLks8
再び灰色に戻った世界は、しかしもうないないではない。かつて危機を告げた携帯が、今は新しい喜びを教えるべく鳴る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
窓越し、血の繋がらぬ父母が見守る先で、水色のリトルカブに夢中な友を見て微笑む。
檻のように思えた故郷が、今は様々な色彩で笑っている。
そう思えるようになったのは、最後のモノローグで小熊が語るとおり、小熊自身の意思が掴み取ったものであり、株が友にいてくれたからこそたどり着けた境地でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
カブに乗る私と、私が乗るカブ。そこに、もう境目はない。
(画像は"スーパーカブ"第12話より引用) pic.twitter.com/QmMvfVaPKr
初心者を真ん中に挟んで、三人で進む。青春は青信号、止まるべき場所はもうない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
…否、また理不尽な現実が立ちふさがって、少女たちは歩みを止めるだろうが、しかし諦めることはない。
力強く輝くヘッドライトを導きに、行きたい場所には何処へでも行ける。
スーパーカブが、連れて行ってくれる。
そういう物語が、春に戻ってきて終わりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
大変に良かったです。
季節が一巡りすることで、灰色だった小熊の世界に何が追加され、何を掴み取ったかがとても鮮明でした。
カブに乗れば、この色彩が必ず手に入るわけではない。
でも、幸福を求める心を羽ばたかせてくれる魔法は、確かにそこに宿った
テザー段階から異様な美術のクオリティ、雰囲気の良さを漂わせ、相当にハードル上げて視聴したわけですが、いい意味で裏切られるアニメでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
期待した空気感、静かで豊かな筆致は120%で叩きつけられつつ、小さく確かな成長の手触りが随所に宿っていた。
一話冒頭からどっしり時間を使って、ないない少女がどれだけないないなのか描ききったことで、カブと出会い生まれる色彩、カブを乗りこなしていく過程の手応え、それが連れてくる変化と友情が満ちていく様子が、しっかり伝わった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
灰色のキャンバスに、確かに鮮やかな色が宿る様子…その多彩が判った
おかっぱ頭に素朴な表情、一見”いい子”に見える小熊が相当なパンクスであり、その荒ぶる魂に無自覚だった所から、カブの力を借りて魂を目覚めさせていく物語も、大変良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
一度何処へでも行ける自分を知っちまったら、もう立ち止まれねぇ。鎖には繋がれねぇ。
生粋の反骨者が覚醒していく物語、ワルい友達を隣においてガンガン加速していくお話としても、トルクと最高速がしっかりあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
マジで既存の秩序にノー興味、好きなやつと好きなことしかしねぇ…って所で終わらず、好きなことするために好きじゃないこと好きになる様子も、ちゃんと描かれていた。
ないないな状況に置かれていた小熊が、精神的な充足、友人との豊かな絆、社会的生物としての適応を、カブに乗っかってちょっとずつ手に入れていく充実が、作品に手応えを生んでいました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
ビームが出なくても、魔王がいなくても、成長というものは描けるわけです。
季節の移ろいを丁寧に追いかけ、小熊がちょっとずつ何かを掴まえていく様子、それが積み重なっていく気配を感じさせてくれたのも良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
常時ビカビカの夢景色ではなく、あくまで小熊の主観に塗られて基本灰色、しかし世界は美しい…という塩梅に仕上げたのが、風景のリアリティを上げていた。
小熊と同等以上のパンクスたる礼子も、憧れ憧れていた椎とのすれ違いと触れ合いも、しっかり抑えた筆先で丁寧に描かれ、大変良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
ド派手なアニメ味は控えめにしつつも、確かに彼女たちの友情は眩く麗しいものだと思える加減で、しっかり関係性を積み続けたの凄い偉い。
カブ…に限らず、小熊が様々なギアで武装し、何でも出来る自分を道具を通じて実感していく様子も、モノとヒトの幸福な関係性を上手く浮き彫りにしていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
カブに乗る私と、私が乗るカブ。その両輪があってこそ、小熊の一年間は山あり谷あり、手応えに満ちて喜ばしかったのだと思います。
空っぽだと自分を任じていた少女が、しかし灰色に流されるまま諦めきれず、少しの偶然を自分の決意で掴んで、大きく人生を変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
そんなシンプルで骨の太い物語を、リアルな生活描写で彩り、そこにある小さく確かな問題克服の手応えとともに変化させていく。
このジュブナイルな視座が、常時ブレることなく作品をナビゲートしていたことが、作品の分厚い存在感を支えていたと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
ありふれた高校生の、ありふれた絶望を踏破していく、けしてありふれていない人生の物語。
それが画面を越えて、自分たちの手元に走り出してくるような手触り。
これは小熊とカブの物語であると同時に、貴方と貴方を何処かへ連れて行ってくれる何かに、届きうる物語なんだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
そういう確信と野心が、静かに燃えていたこともまた、良かったと思います。
普遍的なものを、静かに語ろうと奮戦していた。そういうアニメは大好きだ。
最終話を祝祭の果て、桜掴まえて終わらせず、北杜に帰ってきて春に漕ぎ出していく所に続けていったのが、とても好きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
永遠に灰色のままと思っていた小熊の日々は、カブに乗り友達と肩を並べて、カラフルに続いていく。まだまだ、大変なことも楽しいこともある。
そういう継続性…人生の主役として、継続的に生き続ける自分をを小熊が信じられるようになるまでの物語だから、道は果てなく続いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
それはもう憂鬱ではなく、走った先にある見知らぬ景色も、走ること自体も楽しいのだと、小熊は知っている。
カブが教えてくれている。
自分たちが何を書き上げたか、凄く自覚的で誇りに満ちたラストカットだったと思うのです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月23日
そういうところに、自分たちのカブにまたがってしっかりたどり着けた、優れたアニメーションでした。
この道の先も是非に見たいですが、今はお疲れ様を。
大変面白かったです! ありがとうッ!