ワンダーエッグ・プライオリティ 特別編を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
ゲームは終わった。
聖餐の獣を贄に捧げ、少女たちは欲しい物を取り戻す。
そうして手に入れた奇跡に、しかし彼女たちの居場所はなかった。
消えた友達、去りゆく夢。
全てが思い出に褪せて、子供たちは現実の岸へと船を進める。
それで、全部…
終わりません、という、ワンプラ最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
むぅふ…収まりの悪い結末のような、今までずっと書いていたものがそのとおりに結実したような、なんとも噛み砕き難い最終話となった。
三ヶ月の間を置き、作品へのシンクロ率が下がってるのもあるが、この結末にどう居場所を付けたものか。
多分貴方たちと同じく、僕にもよく解っていない。なので、書きながらまとめていこう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
友情は永遠ではなく、ワンダーランドに迷えた時代はあっという間に色あせていく。
理不尽への復讐心を抱えたまま、しかしもう時を巻き戻すことは出来ないもの。
意思を込めて、夢の列車から降りるもの。
死と永遠の魅惑に誘われて、深い夢の淵へと弾き出されていくもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
涙とともに全てを飲み込んで、青春の褪せた続きを進みかけて、永遠の夢に漕ぎ出していくもの。
四人の道は、綺麗に別れた。
これを裏切りと取る人も、勿論いると思う。それだけ、この作品で描かれた麗しく友情は眩しかった。
卵が結んだ特別な絆は、転校の忙しなさで自然消滅してしまう儚いものであり、アイは再び一人、ねいるを求めてガチャを回す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
振り出しに戻る。死と夢に沈む。
何もかもがリセットされた、徒労の果ての物語のように見えるし、行動を拾っていくと実際、そういうものなのだと思う。
不思議な装飾を全部剥ぎ取ってみると、アイは学校共同体に馴染めず、夢想に溺れた人生の脱落者だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
一瞬訪れた特別な夢を忘れられず、消える永遠の背中を追いかけて、社会や常識…桃恵がそこで生きる事を決断し、リカが否応なくそこにいるしか無い場所から離床していく。
そういう人は、たくさんいる。
ドロップアウトした負け組、現実に適応できない障害者。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
引きこもりの少女は、そういう殻に帰還して物語は終わる。
そここそが、自分の居場所なのだという確信あればこそ、それは”復活”なのだろう。イースターエッグは、一周回って割れたのだ。
非常に鮮烈な美術で、夢と性とあどけなさの入り交じる特別な空間を描いたこの物語は、それを駆動させるフリルの存在、強烈な”死”のルールを突きつけて、一気にゲームを終わらせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
あっけなく石像は人間に戻り、奇跡は成し遂げられ、その代償として獣たちが死ぬ。
少女たちは現実に出産される。
奇跡は望んだ通りには叶えられず、パラレルワールドから引き寄せた可能性は、戦士をはじき出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
命をかけてでも取り戻したかったものは、もはや少女たちを覚えてはおらず、ひどく冷たく彼女たちを切り捨てていく。
全てを捧げる献身は報われず、世界を変えるために闘った人を、もう誰も覚えてない。
よくある話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
それを突きつけてくる現実は重たく、強く、子供の細腕で押しても動かない。
ドット達が問答無用にぶん回した、タナトスの刃を前に子供たちが、何も為し得なかったのと同じだ。
夢の国で積み上げた愛も知恵も勇気も、殻から出たら何にもならない。
…のだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
この物語は、夢の儚さと現実の強さを、ニヒリスティックに対比しながら『世の中こんなもん』というための物語だったのだろうか?
作品は答えを明言しない。
凄く残酷に、少女たちを青春の夢から追い出して、渇いてロマン皆無な現実に置き去りにする。
もしかしたら、視聴者も。
ならばガチャを回し、美しい夢と戯れた精髄を…僕だけのエッグを手に入れるのは、僕の最後の仕事なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
そんな余地を残してくれていることに感謝しつつ、随分ハードに投げ出されたなぁ、という感覚もある。
この途方に暮れた作中状況とのシンクロ感は、実は結構好き。
桃恵は強い決意を持って、夢から降りる。それは痛みに満ちた悪夢だったからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
リカは涙にくれるほどの痛みを込めて、しかしもう夢の国にはいけない。
二人は否応なく、アイやねいるから離れて現実を生きるだろう。
(画像は”ワンダーエッグ・プライオリティ 特別編”から引用) pic.twitter.com/p22bo1lS3o
ゲームを終え、犠牲の意味を知った少女たちを包むのは、カラオケボックスの安っぽい照明であり、それに照らされる儚い友情でしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
特別であり得た時間は終わり、それぞれがもう戻り得ない過去に時折思いを馳せながら、夢の続きを生き続ける。
世の中、そんなもんだ。
夢想との闘いからドロップする桃恵を詰る舌を僕は当然持たないし、岸辺で泣きじゃくりつつも地下アイドルに復帰し、夢が叶わなかった今に取り残されるリカを、惨めだとも思わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
美しい夢の特別さは、都合よく全てを押し流してはくれない。
そういうルールで、このお話は駆動していた。
それは結構誠実に、様々な暗喩の網の目に埋め込まれていたと僕は感じている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
残酷で、危険で、嘘と裏切りに満ちた甘やかなるテーマパーク。
そこでしか通用しない夢の貨幣が、何もかも充足された結末を変えるほど高値ではないことを、描写はジリジリと積み上げてきた。
その上で、不確かな夢に遊び続けるのか、イラガっぽい現実で大人になるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
少女たちは自分の意志で選んで、あるいは否応なく流れていく運命に押し流されて、道を選んで別れていく。
それはもう、交わらない。
大人の特権としての酩酊の先、あるいは一瞬のセンチメンタルの中で。
桃恵やリカは、過ぎ去った輝きを思い出すだろう。一度携帯電話を投げ、”現実”に適応しようとしたアイちゃんのように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
大体の人が、そういう歩みで青春を引きずりながら、痛みと喜びが入り混じった思い出を杖にして人生を歩いている。
ありふれた、あるいは普遍的な青春の終わり。
リカと百恵が、ビターな現実適応エンドに漂流したのだとすれば、アイとねいるは夢に遊離し続ける終わりへと流され、またたどり着いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
僕らの現実では、永遠に引きこもっているピーターパンとか、死によって大人になる道を絶たれた(絶った)存在として、世界の端っこに置かれてる連中。
そちらの岸へ、二人は進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
ワンダーランドから魔法を手に入れて、現実でも実りある生活を選ぶみたいな、甘っちょろい両取りをこのお話は許してくれない。
夢の残滓だけを抱えて現実に褪せていくか、永遠の微睡みに食われて穴に堕ちるか。
どちらかが突きつけられる。中間点はないのだ。
これは”Wonder”を現実に従属させず、その凶暴な牙を猛烈に突きつける終わり方だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
妄想とか、夢想とか、夢とか無意識とか。
お前らが一方的に手綱を握っていると思っているものは、現実とやらと同じくらいに重たく、凶悪で、魅力的だぞ。
そういう視線が、舞台裏に赤く光っている気がする。
それはここまで積み上げてきた美しい世界、傷がありつつ強く脈動していた物語を、最後まで信じ切る決断のように僕には思える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
自分たちが作ったものは、いいとこ取りの気持ちいい結論を許してくれるほど、ヌルい地獄じゃなかった。
そう言われると、僕は頷く。確かに、その通り。
ねいるはアダムをアイに預け、タナトスの岸へと進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
掴んだ奇跡はひどく残酷で、けしてアイの死闘に報いるものではない。
感謝を伝えたいとだけ、戦いの中で掴み取った結論も、記憶が消えていれば掴み取りようがない。
(画像は”ワンダーエッグ・プライオリティ 特別編”から引用) pic.twitter.com/IWeLKt99oL
歯車一つかけちがえば、何もかもが消えてしまうほどに儚い世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
エッグの戦士たちは、ポマンダーの獣…あるいはもう一人の自分が否応なく”死”に食われたときとはまた別の角度から、強烈な一撃をもらう。
お前らのやったことは、ここまで積み上げてきた物語は、虚しく報われない。意味も居場所もない。
パラレルワールドからの奇跡の引き寄せは、小糸ちゃんがどんな人間であったか…彼女に認められてたアイがどんな人間であったかを、ひどく不確かにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
立場を変えれば、淫行教師はただの被害者。
嘘つきで狂暴で、自分を泥に突き落とす側に、死ぬほどに焦れた相手は立っている。
この喪失感と無力感に追い打ちをかけるように、ねいるはあいるに弾き出されて現実から消える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
元からAIでしかなく、そもそも存在しなかったとリカが諦める存在の、儚く遠い質感。
アイちゃんの安住は、もうそこにしか無い。
(画像は”ワンダーエッグ・プライオリティ 特別編”から引用) pic.twitter.com/hcKBTJGx1T
ガード下の暗闇は、エッグの世界に幾重にも投射されてきた洞窟と産道と重なる。ここは死の国、夢の国…少なくともその境界である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
そこで(第1話のカナブンのように)怪しく光る携帯は、何も言わない。
思い出はかき消え、友達への連絡はつかない。
苛立って、投げ捨てようとして、戸惑って、壊す。
緑色に怪しくひらめく水面。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
電子の夢でしかなかった友達。
桃恵は意を決して列車から降り、リカは全てを取り戻したいと血が滲むように泣きながら、夢の闘いから降りる事を選び取る。
アイは、どうするのか。
全てが不確かで、危うく、狂暴な夢の国を、褪せるまま立ち去るのか。
イラガっぽい現実を進むアイには、緑色の光と揺らぐ水面が、幾度も訪れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
ネイルと再開できた幻想が、フリルの背中で妨げられる夢の録画でも、リカとともに泣きじゃくる場所も、全て水に隣接している。
それは子供時代を揺らす羊水であり、死の川…忘却の川の水であろう。
それを飲んでしまえば、もう現実には帰還出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
ねいるとフリルがそうであったように、生まれ得ざる夢の領域に踏み込むことは、ひどく危うい。
現実の岸に座るものは、ヨモツヘグイを飲まない。アイだけが、死と夢の水を飲み干す。
(画像は”ワンダーエッグ・プライオリティ 特別編”から引用) pic.twitter.com/22lCw0DYX1
闇の中怪しく輝く誘惑、この物語でアイがずっと身を置いて、かけがえのない友情と冒険を生み出し、ひどく残酷に現実へと出産した子宮を、アイは投げ捨てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
子供のように母の膝で泣きじゃくることで、万能の癒やしを得て現実に適応する。
ねいる以外は、現実に帰還する。
帰るべき母の膝が、試験管ベビーでありAIでもあったねいるにはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
二重三重に”普通のこども”であることを剥奪されたねいるには、ひどく微かな縁と、寿に託されたアダムしか残っていない。
ねいるから、もう電話は鳴らない。
死の魅惑に引き寄せられ、吸い込まれる大きな川に、友達は呼ばない。
だから現実に屈服したようにも思える少女たちの運命と決断は、良いことなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
あんな場所、遊んでて良いことなんにもない。
多分そのとおりで、それくらい危険だからこそ悍ましく魅力的なのだ。
そこの縁で遊び続けていたら、大人になんてなれない。
忘れて、巣立って、傷ついて。
そんな道筋を見つけつつ、アイは”復活”を選ぶ。再びガチャを回し、タナトスと戦う始点へと一人、帰還する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
夢の国にいない自分。
輝きを色あせていく自分。
友達を諦める自分。
それが”死んでる”からこそ、その決断は”復活”と呼称される
(画像は”ワンダーエッグ・プライオリティ 特別編”から引用) pic.twitter.com/E3MX4A6VQu
Wピースの笑顔は、アイちゃんが天使なんかじゃない事の照明だと僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
小糸ちゃんに捨てられた代用を、ねいるに求めているズルさ。
全てを白紙に戻すルールすら、自分なら乗り越えられると信じる傲慢。
永遠に届かない誰かの気持ちを、勝手に確信する身勝手。
ずっと、彼女は天使ではなかった。
戦士であることを選び、闘って報われず、失ったものを取り戻すために現実という陸地に続く道を塞いで、洞窟の奥へ、水の底へと潜っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
それが出来る才能…あるいは狂気は、アイちゃんだけにある。
あるいは、最初から妖精のような存在だったねいるにこそ。
褐色のピーターパンを忘れられず、オッドアイのウェンディはネバーランドに舞い戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
そこは大人にならなくていい国、大人になれない国だ。
つまり時が止まっているということで、なるほど死の国である。
あんなに輝いていた友情すら”自然消滅”させる、現実という凶悪な渦。
永遠の闘争に帰還するアイちゃんの結末は、それに抗い、逃げ出す決断かも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
しかしそれを彼女が選び得たのは…ひどく報いがなく、痛みが山と積まれた闘いからそれでも、自分の全てを賭してもいいと思える何かを掴み取ったからではないか。
携帯電話に残らない、ヒビの入った絆に、己を投げ出す
逃げ道も帰り道もない、凄まじく危うい決断であるけども、それはアイちゃんだけが為し得た決断だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
そこから現実に戻り、生き続けるものもいる。
アイちゃんの決断にある愚かさと輝きは、当然桃恵にもリカにもある。
あの子達がバカな子供だったとは、絶対に言わせない。
不思議の国がなくったって、僕らは皆あれくらい魅惑的で、危うく、儚い場所に隣接して生きていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
そういう危険極まるWonderがないまま、人が生きるのはとても難しいと思う。
上手く乗りこなし方を見つけたり、あるいはミテミヌフリをしたり。
それとも、その輝きを諦めたり、飲まれたり。
道は様々にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
そのどれもが、愚かで生臭く、唯一で絶対の決断だ。
こんだけワンダーランドを主題に話を進めてきて、それと同じだけの理不尽な存在感を現実に与える所が、不親切であり誠実だな、とも思う。
夢は、無条件に現実に勝ち得ない。
逃避先、あるいは死体遺棄所。
思い返せば、彼女たちが遊び巣立ち戻ってくる夢の国には、そういう匂いが漂っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
それを的確に回収して、それぞれのキャラクターに未来を選ばせ、進ませる最終回であったと僕は思う。
自分の中では、凄く”ワンダーエッグプライオリティ”らしい物語として、終わってくれた。
人生の優先順位(priority)は人様々だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
何かを選ぶことは何かを切り捨てることで、例えば桃恵は死の恐怖と挫折感に苛まれながら、現実を生きていくだろう。もー唐揚げは食えないね…。
リカも時折、夢の国の入り口で無駄な努力をしながら、地下アイドルを頑張ると思う。
それは必ずしも、自分の意志で選び取れるとは限らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
夢の国も現実も、望んでもいねぇ重たい事実を突きつけてきて、代価を要求した上でやらずぶったくり、理不尽に何もかも奪っていく。
それでも、否応なくついた優先順位の先に、それぞれの道はある。
儚く消えたように思える思い出たちも、しかし失ってはいけない羅針盤のように誰かの胸で輝き、また一人、道を間違える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
そんな優先順位の付け方、バカのやることだよ。
誰かが、エッグの戦士たちが選んだものをそう蔑するだろう。
人間になんて、ならなくていいよ。
それが慰めにならないから、ねいるはえいるに弾き出された先に、微かに希望を見出して巣立っていった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
彼女を誘うタナトスは、えいるの殺意であると同時に、フリルの親愛でもあったのだろう。
そこから、友情の刃でねいるを引きちぎって、アイちゃん二度目の闘いが勝利に終わるか。
それは描かれない。それで良いな、と僕は思う。ワンダーランドでの闘いは、永遠に続く。続くことを、アイちゃんが選んだからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
それがひどく危険で、誘導された道であることを作品は幾度も示している。
バカのやることなのだ。
でも、アイちゃんは優しいバカだった。だから、僕はこの話が好きだ。
死を選んだ少女たちと思いを通わせても、卵は儚く塵と消える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
もともと、何も確かなものは残らない闘いとして、この物語は書かれ続けた。
血を流すような思いも、奇跡のように紡がれた友情も、何もかもが色あせていく。
サイダーみたいに? …多分ね。
それでも生の岸で生きていくものがあり、夢の河に戻るものがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
どちらの国でも叶わない望みがあって、そこでしか掴めないものも、多分あるのだろう。
パラレルワールドの摂理が、世界を捻じ曲げたとしても。
四人が過ごした日々の思い出は消えない。
甘く、人生を歪めるほどに強烈な毒。
それを弾けさせて、ねいるを奪還する闘いに…甘美なる狂気に己を蘇らせる道に、アイちゃんは進んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
その闘いに、桃恵とリカは多分合流しない。
ネバーランドに入れるパスを、彼女たちはもう持っていない。優先順位を、そこには付けなかったからだ。
それでも、大人と子供、現実と夢幻の岸に別れ、それぞれに自分を殺しに来るワンダーキラーと闘いながら、時折思い出すのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
とても噛み砕けない挫折の果てにも続いてしまう人生を、一歩一歩当たり前に進んでいく道の途中で。
奇跡にワンチャン全ツッパ、ドロップアウトどんと来いな闘いの中で
あの子達がこの物語を、苦く甘く思い出してくれると良いなと、僕は思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
それだけは、夢の国の扉が閉じても、世界が書き換わっても奪えない。
それだけしか、夢の国からは持ち帰られなかったのだ。
劇的な死で青春が絶たれるのではなく、苦い現実へ巣立っていく…そして夢に戻る終わり。
ずーっと、あの子達が死なないかハラハラしていた身としては、いい最終回であったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
作品が語るべきところは…まぁひどく不親切で駆け足ではあるけども、ちゃんと言い切れていたと僕は感じた。
いい話だったと思いたい、綺麗に見終わりたい気持ちが、フィルターかけてる感じもあるよ。
でもこの作品が描いてくれた美麗なる残酷が、最後にニ人女の子を飲み込むほどの重力があるのだと、ちゃんと形にしてくれて嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
タナトスとの長い闘いは、けして終わらない。スッキリする結末はない。
皆がそれぞれ、己の優先順位でいるべき世界、あるべき望みを掴む。
”Wonder”なるものに無敵の魔法を求めるのならば、あまり良い結末ではないかも知れないけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
それが現実からの安全なシェルターではなく、悪魔も悪夢も暴れまくるもう一つの地獄であり、そこに挑めばこそ何か…とても儚いものを掴めると描いた作品だと、僕は思うので。
いい最終回でした。ありがとう。
追記 この発言は、エッグの世界が魅せてくれたグロテスクな夢が輝いて見えたこと、それが現実を駆逐しうると思えたこと、そこに鑑賞の足場を置いていたことを否定するものではない。
ワンプラ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
エッグの世界の圧倒的な魅惑が、現実の切断面に残酷に否定されたとも取れる話の収め方は、夢こそが唯一絶対のルールだと思い込む思春期の”のぼせ”を、視聴者に追体験させるある種の映像的、作劇的トリックなのかな、と思ったりもする。
奇跡であれ破滅であれ、あそこで掴み取ったものが絶対のルールとしてセカイを支配しうる、特別な高揚感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
あそこまでグロテスクで美麗ではなくとも、青春という季節にはそういう認識の塗り替えがあって、それがふとした瞬間猛烈に醒めることも、また一般的かと思う。
少女たちはそれぞれの形で、Wonderなルールでは超えられない壁を突き立てられ、その先に続く細く荒れた道に優先順位を付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
世界を埋め尽くしていた圧倒的な美と力が、けして全てを征服しないハンパなくすぶり方を抱えて、それでも何処に進むか選ばざるを得ない。
その高揚と冷水ぶっかけ感を追体験するための装置としては、あの夢はあまりに魅力的すぎて、圧倒的に過ぎた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
アンフェアな演出計画が当然のように座礁した…とも言えるだろうけど、しかし自分は裏切りではなく納得を、この決着に感じている。
あるものは諦めて離れ、あるものは諦めきれず食われる。
夢と現実の勝負どちらが勝つか、それは決まっていないし、別にキラキラと眩いものが用意されているわけでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
その残酷な狭間にある一つのファンタジーの背中を、アイちゃんは追いかけることを選んだ。
少女が四人いたことで、強制的で必然的な幻滅の先に、どんな優先順位を付けるかは多層化する。
どれもが正解で、どれもが正解ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年6月29日
何もかもが不自由で、たった一つ選べるものは確かにある。
そういう物語として終わったこと、WonderとRealityそれぞれの、怪物的な顔をしっかり描いたこと。
俺は、それがとてもいいことだと感じている。