BLUE REFLECTION RAY/澪を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
女子寮居残りの代償として、真夏の大掃除を始める陽桜莉達。
過去の記憶に震えつつ、気丈に振る舞う犠牲者達。
取り返しのつかない罪に怯える女達。
陽桜莉と瑠夏は、ありふれた日々から漏れる思いを間近に浴びる。
それは陽光に似て眩しく、月光に似て切なく…。
そんな感じの真心人情派異能百合群像劇、ほっこり日常回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
開幕のフルアーマー掃除戦士都に始まり、ブルリフ節が随所に唸る楽しい回…であり、随所にリフレクターを巡る切なさがしっかり反響するエピソードでもあった。
笑った直後に、エモで殴られる。これがブルリフRだッ!!
震える都、ツナマヨにぎり食わせる都、干からびる都、BBQを衆生に施す都大明神。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
とにかく都が可愛い回で、彼女が大好きな自分としては大変ありがたかった。
能力を持たず、異能の犠牲になりかけた弱い少女が、どんな気持ちで生き続けているのか。
このアニメは、それを見落とさない。
力があることが物語に存在する理由ではなく、力がないことが救済の理由にもならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
少女たちが一人間として、世の理不尽と震える心を手放さず、微かな希望を諦めずに進んでいく道を、都は異能を持たないが故に、一番力強く進んでいると思う。
自分を陵辱しかけた仁菜ちゃんに怒り、怯え、当然震えつつも、飢えているならツナマヨ出す。百ちゃんの漬物も添える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
明るく強がって、自分の中に脈打つ感情としっかり向き合い、”敵”を弱って寝込む一人間としてちゃんと見る。
都はそういう事ができる少女なのだと、楽しい日常が教えてきた。
ホントなぁ…感情激発させて拒絶してもおかしくない状況なのに、ちゃんと飯を出して、相手の目を見て話そうと努力する都は偉い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
そんな彼女が無敵に強いわけではないと、幾度も震えている掌を切り取って教えてくるのが、このアニメの視座である。
脆く弱いからこそ、共に在る意義を抱きしめて。
フワフワお姫様のワガママで女子寮に殴り込んできた亜未琉が、その実瑠夏に”遺言”を残すために時間を作ったと判る流れも、大変切なかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
百合アニメのイノセント担当みたいな立ち回りは、かつての彼女の残滓であり、心が壊れていく絶望の中選び取られた、少女の強がりでもあろう。つれー…。
しかし今回綴られた朗らかな日常が、ヘヴィでシビアな現実に対置される嘘なのかといえば、消してそういうことはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
この笑顔も喜びも、繋がった縁も友情も、全部本当のことだ。
でも人間の摂理と世界の宿命は、輝きだけですべてを満たすことを許してはくれない。
お姉ちゃんと紫乃は、世界に満ちた光と闇の内、絶望だけが全てなのだと思い込んでしまった。そうならざるを得ない絶対的な敗北を、既に経験している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
そんな中でも救いを求めて、略奪による救済を、コモンの扉を突破し世界律を書き換える革命を目指している。優しいからこそ、闇の聖母となるのだ。
しかし彼女たちの救済は、あまりに人間的な少女たちに消えない傷を残す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
全てが救われるとしても、心の一部を抜かれた少女…彼女たちに関わったモノたちの喪失と哀しみは、これまた嘘ではない。
不要な痛みに思えるものこそが、かけがえのない幸福を支えてもいる。
この理不尽なままならなさは、一度間違えなければ思い知らされない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
瑠夏が救いそこった思い出に縛られているように、都が恐怖と戦い続けるように。
亜未琉がもう思い出せない空白を、それでも切なく抱きしめて、残されるもののために言葉を遺すように。
この世界に生きる少女一人ひとりが、個別の痛みと後悔を抱え、それでも諦められずに闘い続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
颯爽と強い風を装っている楓夏が、壊れていく亜未瑠と己の過ちを見かねて、瑠夏にフラグメント抜きを依頼するシーンとか、大変キツかった。
誰もが、震えを抱えて生きている。
亜未琉を特別に愛する気持ちに向き合えなかった結果、フラグメントは砕け散った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
その後も日々は残り、残骸は笑えすらする。
必死に人間の形を演じる少女たちの有様は、愚かしい喜劇であり、あまりに切ない喜劇であり、地獄でそれでも笑う人間への讃歌でもある。
『コイツラ、必死に生きてんな…』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
ブルリフRのどこがいいかというと、この感慨を幾度も味わえるところだと思う。
まートンチキな作品だしそこが可愛くて良いんだが、この舞台に上がってる連中はみなそれぞれのやり方で、痛みと過ちに向き合い、自分に出来ることを探し続けている。
人であるということがどういうことか、自分なりに考えながら、自分たちの戦場から逃げず、日々を生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
エロ本も拾うし草も毟るし、漬物もツナマヨもバーベキューも食べる。
そういう生活臭と、心の形、救済の在り方を探す手付きは密接に結びついている。
痛みを切り離すことが、新たな悲しみを生む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
だからもっと別の救済を、私達は探さなきゃいけない。
第1クールラストで紫乃に問われた、人間の宿命という大きなものに向き合う覚悟と答え。
それはとても大きくて、しかし陽桜莉たちだけの実感が籠もった、嘘のないものでなければいけない。
今回散々笑って食ってぶっ倒れて、イヤってほど”人間”であるなかで掴み取った一つの答えは、彼女たちが物語に向き合う時、とても大きな力になるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
それは一歩ずつ、自分だけの歩みを重ねながら掴んだからだ。
こういう形で、”日常回”が物語に不可欠なピースとしてハマるの、凄い構成だと思うよ。
人の宿命と救済つう、デカいネタを扱うこの物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
ともすればテーゼが上滑りして、『何いってんだコイツ…』となりかねないんだが、少女一人ひとりの肖像を(笑いを交えつつ)しっかり描き、心の震えと強い決意をちゃんと刻んでいくことで、見つけるものに嘘がない。
腹を満たし、その成員として掃除の義務を果たし、倒れればケアもされる”家”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
仁菜ちゃんは女子寮に保護され、己が犠牲としたものの震えを間近に感じることで、フードの奥に閉ざしていた罪をようやく、外側に出す。
そこから、彼女の物語は始まっていくのだろう。
ナイフで切り裂くことだけが救いだと、飯も食わずに殺戮の概念になろうとしていた日々は、人間でしか無い仁菜ちゃんを追い詰める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
それだけが答えなのだと思いつめていたものに裏切られ、彼女もまたフラグメントを失っている。
その欠落を、都がちゃんと見て、暗い闇に自分から踏み込んでいるのが…。
しかし陽桜莉に拾われ飯を与えられ、都と亜未琉の言葉を聞いて、仁菜ちゃんも否応なく、自分が人間でしか無いことを思い出した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
ここから、山田仁菜の贖罪と希望は始まっていくのだろう。
その再生が、かつて美緒に、バイロンの詩に救われた日々を嘘にはしない。
すれ違い間違えたように見えても、仁菜ちゃんがピンクの”お家”を抱えて街をさまよったこと、その果てにお姉様に出会ったことは、嘘ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
他の少女たちのフラグメントと同じく、嘘にしてはいけないし、嘘であってはいけないのだ。
そんな風に不屈の人道を踏破していく足場を、瑠夏も陽桜莉も固めていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
どれだけ心が見えても、最後に残る自分だけの本当。暴かれても奪えない尊厳は、人と人が別れているからこそ生まれる。
陽桜莉が哀しき人の宿命にこそ、真実の救済…その端緒を見出しているのは面白い。
結局人はわかり会えないし、だからこそそれぞれが尊い。そして、その宿命に絶望する必要はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
分からないまま隣り合い、思いを受け取って戦いに挑む。諦めず、何もかもを嘘にしないまま、もっと高い場所を目指す。
そういう道へ、この日常を抱きしめて物語は進んでいく。
大変良いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
犠牲者も加害者も、己の心に秘めたものを曝け出す勇気を、ふれあいの中で手に入れていく。その先に、誰かが誰かを、自分自身を許せるのか。
仁菜ちゃんが陽桜莉と接触したことで、”贖い”という問題にも深く踏み込みだしてるの、メチャクチャ面白いな…。
自分が理想と信じたもののため、踏みにじってしまったものへの贖い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
仁菜ちゃんが今滅茶苦茶苦しんでるポイントって、青の勢力全員に及ぶ問題なわけで。
丁寧に時間を使い、彼女が何に苦しみ何に笑うか描いたことが、後の物語に効いてくると思うんよな。
そして仁菜ちゃんの苦しみに寄り添うことが、陽桜莉や瑠夏、都をもっと強くもしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
判りあえない宿命を幾度も突きつけられて、言葉に窮しつつも相手の顔を見て、遠い場所から踏み込もうとする決意が今回…そして作品全体で幾度も切り取られているのは、この作品の良いところだ。
陽桜莉と都がお菓子越し、思いを語り合うシーンで強調された遠近法。心と心の、絶対的な遠さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年7月23日
それを前提として、この物語は編まれている。
思いは必ずすれ違い、耐え難い悲しみを生む。
それでも救いたいと、寄り添いたいと思い悩むモノたちの歩みは、何処へ続くのか。
次回も楽しみ。