BLUE REFLECTION RAY/澪を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
夢のように触れ合った日常が行き過ぎ、少女たちは荒野を目指す。
美弦に導かれ、失われた思いを取り戻すべく闇に身を沈める涼夏と亜未琉。
閉ざした心を開け放ち、背中に誰かを背負う丹菜。
刃境に鳴り響く鋼のオルケストルに、瑠夏はただ立ちすくむ…。
という感じの、ゆるふわ日常百合アニメだと思った!? 宿命の伝奇バトル再開! ブルリフR第16話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
二話たっぷり、戦場から離れた少女たちの思いを積み重ねた結果、運命の決断、ぶつかり合う鋼が大変に痛い…し、納得も行く。
それぞれが切実なものを抱え、それぞれの道を選ぶ。
トンチキテイストで忘れがちだが、群像劇が輝くために必要な個別の意志と決断、それを生み出す価値判断がかなり精妙に描かれているこのお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
道が分かたれ、ぶつかるシーンがやっぱり面白いと、再確認させてくれる哀しきバトルであった。
というわけで、物語は涼夏と亜未琉のもとに闇の聖母が降臨する所から。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
教会決戦からこっち、すっかり人間やめて拗れた関係につけ込む妖怪みたいになってるな、お姉ちゃん…。
そうなっちまったのも、本当に大事なものを掴みそこね、心が砕かれた結果である。優しすぎるんよ、お姉ちゃんは…。
本当に大切なものを前に足踏みした結果、それが砕けて掌を滑り落ちる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
涼夏と美弦の後悔は黒く共鳴し、フラグメントを奪ってコモンの扉を開く道へと、二人は歩みを進めていく。
陽桜莉達が成し遂げる光の共鳴に対し、後悔で繋がる闇の共振も、この世界には確かにあるのだ。
甘酸っぱくて不安定な、踏み込めば崩れてしまうような慕情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
涼夏と亜未琉の関係に、百合だのレズだの恋心だの、分かりやすいラベルを徹底して貼らないのが、スゲーこのアニメらしいと思う。
それは繊細で、個別で、暖かくて残酷な感情の網。絡み合って、解けないから愛おしい。
当人がその思いに名前を付けず、顔のない怪物のまま抱きしめ続けているのだから、物語の筆記者や視聴者が、名前を付けてわかり易くしていいものではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
震える少女たちの想いに、異能の力で寄り添う物語に必要な手付きが、二期からのニューカマーにしっかり伸びているのはとても良い。
フラグメント強奪により、二人の間にあるものは決定的に変わってしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
失わなければ一緒にはいられないと、亜未琉が思いつめたその心が、本当はどんな形だったのか。
壊れた記憶を継ぎ接ぎして、それでも繋がり合おうとする今の二人に、それを確かめる手段はない。
砂のように溢れていく記憶を、ずっしり横たわる後悔を前に、それでも奇跡を掴みたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
赤い指輪を取った涼夏の決断は愚かであり、哀しいほどに切実だ。
敵に回る愚者が、なぜその決断をしたのか。
そこにはどんな願いが宿り、BBQ食ったり大掃除したりする、当たり前の人間味と繋がっているのか。
バカみたいに幸福な、青春の1ページを的確に描いておいたおかげで、二人の決断、取り戻したいものの手触りは真に迫って僕らに届く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
ここら辺の描写の効かせ方は、ブルリフRの物語的背筋の強さがよく見えて、非常に良い。
トンチキなだけでなく、仮想の中に実際活きる人間として、”匂い”があんのよな。
一方仁菜ちゃんも己が傷つけたもの、新たに手に入れたものの意味を噛み締めて、”お家”に辞書を叩きつけていた。え、辞書?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
『気でも狂ったかー!』と言いたくなるが、バイロンの詩集に刻まれた、絶望と希望を唄う言葉に救われた彼女が、言葉で過去を壊すのは納得である。
帰るべきお家は、すがるべき希望は空っぽだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
涼夏達が過去を取り戻すべく指輪を取った行為の、半歩先を行って仁菜ちゃんは思い出の正体を知る。
パンドラの箱を開け、その虚無を叩きつけられた少女は、獣のように鋭く笑う。
そこが、山田仁菜の再生点である。
母が娘に遺すにはあまりに悲しい、空疎な夢と甘い嘘。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
その正体を知ってなお嗤う仁菜ちゃんがカッコ良すぎるが、娘にそれしか渡せなかった母を思うと、あまりに哀しくもある。
ままならないものが絡み合う世界の中で、それでも何かを掴み取る。
仁菜ちゃんは漬物とツナマヨおにぎりたらふく食って、その覚悟を固めたからこそ、自分の背後にあるものを認識しだす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
他人から奪う生き方から、他人を背負う生き方へと。
犠牲者である都に、密着は出来ないまでも同じ椅子に腰掛け、言葉を交わす姿も眩しい。
『山田先輩にいやらしい触り方すんなー!』と思わず叫んだ、詩の復縁リビドー大暴走にも、毅然とした表情を投げかけて対峙する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
戦う仕事は自分が引き受けて、守る仕事はなんの能力も持たねー都に預けるの、あの子がどんだけ強いのか、仁菜ちゃんがもう知ってる感じバリバリで最高。
実際、迫りくる異能パワーに欠片もひるまず、己の体を盾に眠れる仲間を庇おうとしてたからな、都は。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
マジで魂が黄金で出来てて、画面に映るたびに好きになる女(ひと)だよ、白樺都…剣を持たないバトルウォーリアー過ぎる…。
仁菜ちゃんが青の陣営に混ざったことで、どん詰まりに見えたフラグメント復活の試みにも、道が見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
ここら辺、見返りなく優しくした事が善い結果につながってる描写で、このアニメらしいホッコリした善良さが良く出てると思う。
そういうルールも、セカイには確かにある。
んだが、超世知辛いのも事実で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
ユズとライムが”狭間の世界”で伝える、一つの真実。
コモンに接続することでフラグメントは持ち主に帰還するが、そのためにはコモンの扉を開けなければいけない。
今まで拒絶していた敵と同じ道を選ばねば、主役は救済を掴めないのか?
フワッとした外見に似合わず、主人公が貫くべき正しさを厳しく問いかける、ブルリフRらしい展開が陽桜莉と瑠夏を厳しく試す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
おまけに楽しい夏の日を一緒に過ごし、”遺言”を手渡された連中が敵に回る展開だ。そらー、瑠夏も思い悩むワイ。
ここで瑠夏の剣だけがバッキリ折れるのは、共感力が強く、自分の正しさを確信しない慎重さが彼女にあればこそだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
他人の心が解ってしまうし、そこに踏み込む傲慢をどうしても背負いきれない彼女は、よく躊躇い迷う。その結果掴みそこねた思いに、延々縛られている。
助けれるはずのものが救えなかった、そんな強い自分にまだなっていなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
涼夏を前にした弱腰には、そんな後悔が滲んではいる…んだが、『ウジウジしやがって…』という気持ちには、全然ならない。
瑠夏という人間が、今まで描かれた人格当然の結果として、こうなった。そういう納得がある。
陽桜莉は目の前に在る幸福を疑わず、無遠慮に進んでいく強さがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
それが瑠夏の躊躇いを補ってもいるんだが、それは弱さへの共感を損ないもする。人の心がわからない…わかりにくい主役なのだ。
瑠夏の臆病な繊細さは、これまでも…おそらくこれからも、陽桜莉の欠落を補っていく。
ここのバランスが、超常のバトルを共闘し楽しい日常を共有する中で、築かれ描かれてきたのが、この話の良いところなんだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
瑠夏の弱さは瑠夏の良さでもある以上、ここで迷うのは必然的なリスクでもある。
判るからこそ、迷ってしまう。瑠夏は”そういう”女の子なのだ。
迷いは心を弱くする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
これまで描かれたルールに従い、瑠夏達はフラグメントを奪われてしまう。
それを取り戻すためには、敵と同じ道を進むしか無い…のか?
諦め、奪い、作り出す。
それ以外の道を求めるからこそ、陽桜莉は姉を刺す覚悟が決まらない。
ここで、仁菜ちゃんが抱え込んでいた真実を強制的に共鳴させて、陽桜莉に分け与えて次回に続く…となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
”お家”は空っぽだったが、仁菜ちゃんの心には他人に差し出せるものがまだまだ沢山あって、それを分け与えたいと思えたからこそ、壁ドンして胸触るのだ。ツナマヨ握り、マジ人生の糧。
瑠夏が美弦に共鳴したのは、取り返せない後悔を取り戻したい願いが同じだったからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
そこには痛みがあり、絶望がある。全てを打ち砕く残酷を知ってなお、諦めきれない願いがある。
明るい笑顔の仮面を未だ付ける陽桜莉には、そういうモノが(まだ)ない。心底、世界の暗さを知ってはいない。
つーか、飢えを凌ぐために濡れティッシュ食ってるようなどん底状況を体験してる以上、”知って”はいるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
しかしそれを、誰かに届き世界を変える形で自分のものには出来ていない。
仁菜ちゃんが差し出した過去への旅は、そんな痛みと暗さを陽性の主人公に、果たして思い知らせる/思い出させるのか。
ここで自分が主役となって、お姉ちゃんを絶望させたものを引き受けることで、陽桜莉に欠けていた影が補填され、影故に光を求める”敵”達に届く言葉を、掴むことも出来ると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
次週描かれるだろう真実への旅が、今まで書かれた欠落を満たすと期待できるから、マジでワクワクするのだ。
話も終盤に差し掛かり、色んな因縁と思いが複雑に渦を巻く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
その一つ一つが彫り深く思えるのは、やっぱ超絶トンチキの中でかけがえない日常を描き、活きる息吹を与え、厳しく正しさをとい続けてきた蓄積が、物語にあるからだろう。
お前らの道は、間違っていないか。
物語は少女たちに常に問いかけ、無条件に肯定されかねない立ち位置を厳しく揺らがせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
その試練を超えればこそ、掴み取った思いと答えに陰りなしと、見ている僕らも頷ける。
お話に分厚さを与える上で絶対必要なこの工程を、このアニメは結構生真面目にやり続けている。そこが好きなんよ。
お姉ちゃんの失われた大切は、陽桜莉最大の痛みであり、それを知ることで涼夏や紫乃の欠落に、上っ面ではない共鳴を生み出すことも出来るだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
仁菜ちゃんから分け与えられた真実への度は、主役が主役として、物語をより善い結末に導くための正念場になりそうだ。
次回も、とても愉しみ。
追記 詩という”エロい”キャラを配置することで、コモンに繋がる深層心理とリビドー、根源的な肌寂しさを埋めるために真実必要なものが照射されているの、巧い話作りだと思ってます。清純になりがちな物語に、一筋婀娜の色を足したのだ。
しっかし仁菜ちゃんが過去をぶっ壊し、背中に命を背負う真の戦士に目覚めるほどに、ネト付いたリビドーにから回る詩の薄っぺらさ、そうならざるを得ない哀しみが際立って、滅茶苦茶面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
アイツ欲望主軸で動いているように見えて、『欲望する私』つうファッションに束縛されてっからな…。
本当に大事なものに向き合う時、人は泥臭く余裕なく、何かを飾る暇はなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
クライマックスに向け、各キャラクターが自分の大切、それを求める自分自身に嘘なく地金を晒す中で、詩は快楽のファッションで自分をまとって、一人うわっ付いたダンスを続けている。
飾ったエクスタシーよりももっと柔らかく、もっと形のないものを求めている自分を掴まない限り、詩が本当に欲しいものは掴めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
山田先輩も、本気で殴って本気で抱いてはくれないのだ。
駒川詩…そろそろ、本気でお前の詩を謳えッ! 貴様だけのバイロンを見つけろッ!!
作中一番エロティックで、性に開放的という仕草で描かれている詩が、その実一番空回りしてるのは、『身体の快楽をどれだけ演じても、魂が求めるものにはたどり着けない。形だけ開放されていたとしても、真実には一番遠い』つうリビドーへの卓見が焼き付いてて、大変好きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
形だけのエロティクスに蕩尽していても、真の忘我(ecstasy)には到達し得ないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月2日
『テメーは形だけ追っかけてる、ファッションマゾなんだよ! 真の痛みがこえーんだ!!』と、あの段階で看破してた山田先輩、やっぱ根源的に生真面目だよな。
人も世界も見えてしまうからこそ、生きづらいのだ。