小林さんちのメイドラゴンS を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
同人誌作りに、学校の班活動。
龍それぞれに人との交わり方がある。
超越種には、眠りすら余計ごと。
流されているのか、受け入れているのか。
穏やかに微睡むような日々の中で、確かに湧き上がる喜び。
そんな宝石を一つづつ、集めて繋いでいく。
そんな感じのドラゴニック・日常オムニバスアニメの第7話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
前回は一対一の距離感を大事に掘り下げた感じだったが、今回はもうちょい広い視座で意外な組み合わせとか、龍を取り巻くなんでもない人たちの顔とかが、良く見える構成だった。
名前のある特別な存在が、龍の世界を変えていく。
それを大事にしつつ、彼らを取り巻く商店街の人々だとか、学校の友達だとかを省かず描くことで、特別な場所から普遍的な社会に繋がっていく横幅が、風通し良く感じられるエピソードとなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
やっぱこの閉じない発展性が、メイドラゴンの好きな所。
というわけで今回は、ルコアとファフくんの意外な取り合わせからスタート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
不穏な空気バリバリで始まって、同人ネタで肩透かし。しかし龍だからこそ可能な激グロスケッチも、あったりして。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第7話より引用) pic.twitter.com/5fmIBcRKmh
ファフくんのエグい要求を、未完成フィギュアだの桃だのに屈折させて表現するところとか、エスプリがある笑いで好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
書いてる本も”高慢と偏見”のもじりだしなー。どこでオースティンとか読んだの…。
生まれついての気質のようなものは、人に交わってもなかなか変わらず。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
ファフくんは呪いと宝を求めつつも、それを同人誌作製に込めて、ポジティブに発露させる。
ダウナーでヒネてるように見えて、ワクワクすることに貪欲で、滝谷の提言を結構素直に受け止めるファフくんが、僕は結構好き。
1stエピソードは膝カックンの面白さというか、おねショタエロスに行きそうな所で大呪術戦になったり、暗く沈んでいきそうな所で前向きだったり、変拍子の入れ方が全体的に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
翔太くん相手だと瞳閉じがちなルコアが、オッドアイ全開だったのも、個人的には嬉しかったな…異形の縦瞳孔大好き。
トールみたいに好き好きビーム全開にするわけじゃないが、ファフくんも人に交わって変わった自分…変えてくれた人間たちが好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
ズレてはいるし、変わらない部分もあるが、そんな自分が心地よく人間社会と向き合うために何処に陣取ればいいか、むっつり考えながら生きている。
そんな生真面目な歩みが、どうしてもコメディになっちゃうところが彼の可愛げで、僕も好きなところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
龍に仮託して、性質や個性というものとどう向き合えばいいか、何を助けにより善くなれるか、人間全体のことを語ってる感じもあるわな、このお話。そこはかとなく、童話っぽさがある。
コアすぎて”豊満と偏見”は再び在庫山ずみとなったが、そのドタバタも含めて滝谷と一緒のオタクライフが、ファフくんの新しい財宝なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
そこにルコアも自然と混ざると、力みなく語ってくれるエピソードでとても良かった。
翔太くんへのエロクスグリも、ひっそり入れて完璧だッ!
続く2ndエピソードは、龍と眠りのお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
完全に小林さんちのおまんじゅうちゃんなんだよなぁ、居眠りドラゴン…可愛すぎ罪で逮捕ッ!
カンナ&イルルが甘えてるように、小林さんも龍に甘え、安心して寝てる構造が好き。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第7話より引用) pic.twitter.com/NIu5GxahNc
商店街にさまよいでたトールは、エルマと仲良く喧嘩しつつ、眠りについて語らう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
この時通りを満たす有象無象が、結構な存在感と手間でしっかり描かれているのが、この話らしいな、と思う。
彼らは龍に話しかけない。生活を共にはしないし、人生を決めてしまうような決定的な言葉はかけない。
しかし確かにそこにいるし、夜になればいなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
塒に帰って眠る人々を、トールは龍の超越知覚でしっかり感覚し、窓ガラスの向こう側に見つめている。
見えないようでいて、確かにそこにあるもの。
トールは結構それを大事に、人の中で暮らし変わってきている。
燃やし壊し争う宿命を越えて、流れ着いた否・ファンタジーな世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
あの時から心の何処かで求め、完全には混ざりあえないまま流されて、自分が変わっていく場所。
冷えて美しい夜景に照らして、トールの龍種としての異質性が一瞬際立つのが、目の良い描写だと思う。
トールにとって人間は短命で、愚かしく、異質な存在のままだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
しかし小林さんを媒介に、そうではない側面を認識し、それによって自分を変えつつもある。
平和な退屈を価値あるものと認め、人のマネをし流されるように、眠りを貪る。
眠っていても、大丈夫な場所を手に入れる。
常時発情のアーパードラゴンに見えて、結構思弁的なトールの生き方に、小林さんはやっぱりちゃんと寄り添う。無防備熟睡イルルは可愛いねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
ワンカップ越しの立ち姿が、いつかエルマが掲げたワイングラスと重なる。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第7話より引用) pic.twitter.com/zghtbE9sr9
同調圧力への順応。社会形成への無形の流れ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
砂の一粒のように、微睡みながら押し流される自分は、欲しかった言葉を探して届けてくれる人の声に押されて、物思いを始めたときよりも近く、窓ガラスに反射する。
こういう静かでナイーブな表現を、ちゃんと盛り込むところが好きなんよ。
トールにとっての人の暮らし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
小林さんにとってのトール。
それは酒や硝子に遠ざけられて掴みきれず、しかし半透明に透けてみることも出来る存在だ。
そこに凝らし、愛しい人の残り香を胸いっぱいに吸って、トールは今日も生活に勤しむための気合を補充する。
2ndエピソードは人間社会の日常と常識に、馴染んだようにも見えるトールが、思弁的な異物であることを上手く彫り込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
かなりいろいろ考えて、発情バカやってる龍なんだよなー、トールは。
だから揺れるし、迷いもする。そこに商店街の散歩とか、夜想とか、語らいとかが芯を入れる。
そうやって日々新に、自分のあるべき形を探って作り直す在り方って、言葉の真の意味で人間的だなぁ、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
『龍ってこういうものだ』という檻から解き放たれた後も、トールは『人間ってこういうものだ』という思い込みに自分をハメないよう、注意深く生きてんのよね。そこが良い。
色々考えすぎる大人に対し、子供は無邪気に目の前の日々を、胸いっぱい吸い込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
3-2のクラスメイトとカンナの、ありふれた放課後をどっしり描く3rdエピソードも、大変良かった。小学三年生のリアルが、ここにある…。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第7話より引用) pic.twitter.com/4Ogioq3bWh
『アイヌ文化圏ベースだから、イヨマンテなんだな…』と、相変わらずの生真面目さを堪能しつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
クラスから浮いた性格難の変人・才川が、カンナちゃんを媒に班で浮き上がらず、『ヤベー』言われつつも楽しく放課後過ごす様子が、なんとも温かい。
才川ってかなり独特の個性と発達をしてて、カンナ以外目に入れない危うい狭さもバリバリなんだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
当たり前の子供の生活に混ざって、クラスメイトとのフツーの触れ合いも大事にするカンナちゃんを通じて、孤立の芽が上手く潰されてんな、と感じた。
これはトールが小林さんを媒に、夜景に確かに存在する無数の営みを見たのと面白くさかしまで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
人を装う龍がそれと知らず間を取り持つことで、才川は一人でいるよりもいい感じに、クラスという共同体に居場所を獲れてるのだ。
それは僕がいっとう好きな一期第4話、カンナちゃんが学校に通うためにどんだけ小林さんが心を配り、柔らかで温かいものを手渡したお話の、ある意味答え合わせでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
あのお話で整えられた道を歩いて、今カンナちゃんは当たり前に友だちと話し、放課後を過ごす。
作画オタクの抜きドコロ、気合い入りまくりの上履きサッカーに、垣間見える竜の身体能力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
それも悪目立ちせず、ごく普通の…異様な解像度の小学三年生ライフにしっかり、溶け込んでいる。
無駄にタメない、サラッとした走り作画がマジスゲーぜ…
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第7話より引用) pic.twitter.com/YoGMUFecf3
『ここが勝負どころですよ』と、美術の存在感でも演出の緩急でもわかりやすく告げない、日常系のハイ・クオリティ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
上級生に追い立てられ、図工室に雁首揃える五人組の可愛さ。
扉に向かって近づく掌の実在感と、それぞれ異なる色合い。こうして並ぶと、カンナちゃんマジ色白。
放課後のありふれた冒険を描く筆の強さが、そここそがカンナにとっての宝物庫だと静かに語っていて、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
龍たちが新たに手に入れた喜びには様々な形があって、色んな人が関わる。
誰か一人だけを特別に選ぶ狭さが、そういう広い場所への扉を開けていくのだ。
図工準備室はやや油絵調の輝きで彩られ、幽霊の正体に挑む子供たちの特別感が、上手く反射している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
そこに潜む妖精を、カンナだけが見つける。
自身ファンタジーの住人だから、日常を変質させてしまいかねない異物に気づき、隠す。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第7話より引用) pic.twitter.com/TBVPtWeIA0
妖精に問われて人間大好きな自分を、新たに思い出して肯定するカンナちゃんが、しみじみと良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
子供らが気づかなかった図工準備室のファンタジーよりも、目の前を当たり前に流れていく日々こそが、カンナちゃんにとって特別な当たり前なのだなぁ…。
あと第1話では破壊しか出来なかったイルルが、魔力を妖精を助けるべく使ってたの最高だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
大きなツメから不格好な偽腕を経て、誰かのために帰り路を開けられる掌へ。
イルルが世界と触れ合うデバイス、その使い方はどんどん優しくなっておるね…。
かくしてなんでもない特別が戻ってきて、子供らは元気に手を伸ばす。才川は戸惑いつつも、元気な竜に引っ張られて、そこに馴染んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
アニメ的表現に落とし込まれた『小学三年生の毎日』が異様な切れ味と心地よさで、マジ良かったです。
(画像は"小林さんちのメイドラゴンS"第7話より引用) pic.twitter.com/2hf9nRTK5v
というわけで、竜と社会のお話でした。すごーく面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
一期で色々劇的なスタートを切ったからこそ、こうして平穏に流れ行く日々を新たな財宝と、竜も見定められるわけで。
その当たり前な特別に、龍たちが何を感じているか。上手くクローズアップしてくれました。
前回に引き続き、トリをカンナちゃんが受け持つ話なんですが、才川と二人きり特別な川辺を走る狭さと、班で放課後駆け巡る広さを連続させて、彼女を取り巻く社会の諸相に立体感出したのは、とても良い構成だと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
特別な貴方も、それ以外の人々も、皆がいて私がある。
それを実感しながら活きる龍たちも、そう出来る場所を整えた人たちも、みんな偉いなぁ、と思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年8月19日
異物たる龍を鏡に、共同体への静かな理想を、話の背骨に置いてるアニメだと思う。京アニは生真面目にしかやれねぇ…そこが好き。
つうわけで、次回も楽しみ!