乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
キースも無事助け出され、カタリナが学園を卒業する日がやってきた。
美味しいごちそう、楽しい仲間。
ただ無邪気に笑えた日々は、魔法省という新たな舞台でも続くのか?
悪役令嬢の物語は、まだまだ終わらない。
そんな感じの待ってろ劇場版! はめふらネバーダイ!! な、二期最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
感情のピーク自体は前回キースを救出した時に超えていて、長いエピローグのような感じを受ける、最終話らしくない…けどはめふら味が濃い幕引きかな、と感じた。
そもそも二期が物語的に大きな試練も変化もなく、種まきと現状維持に終始したお話だったので、この最終話は自分たちが作ってきたものに素直とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
Disにしか聞こえないが、こんだけ縛られた状態でキャラの魅力、作品世界の面白さで強引に引っ張れる12話仕上げたの、本当に凄いと思っています。
闇の魔力にしても魔法省への就職にしても、女性として人生のパートナーとして求められるロマンスにしても、二期はその端緒を描きつつ本格的な取っ組み合いは先に回った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
では今回卒業した学園生活に、カタリナががっぷり腰を入れて向き合ったかと言われれば、そうでもない。
生徒会に身を置きつつ、カタリナは学園という社会で何かを成し遂げたり、幼少期から培ったサークルからはみ出した人間関係を生成したりは、ほぼやってない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
おそらく画面の外側ではかなり”学生”頑張ったのだと思うが、そこにクローズアップした物語はあまり展開しなかった。
物語は一期で生成された、乙女ゲームの攻略対象であり、その枠組が用意したいびつで陰気な未来を幼年期既に蹴っ飛ばした連中との、個人的で緊密なサークルの中で展開する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
そこには顔も名前も希薄な、それ故社会的システムで関係を補助された存在は薄い。
例えば二期からの追加キャラであるソラのように、子供時代からの個人的な関係性以外の部分で繋がりが出来、自分が知らない世界を持ってきてくれるようなキャラクターとの相互的な関わりは、可能性を示唆されつつ深く彫り込まれはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
一歩踏み出せば、人身売買も犯罪も当たり前の低層社会。
それは王子や貴族だけで構成された、カタリナ幼年期以来のサークルからは見えない場所だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
闇の魔法が生まれてくるどす黒い”現実”にも、ソラ(が所属することになる魔法省)に片手を引かれ、キースを狙われ関わっていくが、あくまで”深く”ではない。
それは輪郭を描かれつつ、カタリナの世界を変えない
それはカタリナの無垢な幼さに人生を救われ、それが永続することが、牽制合戦を続けているサークルの願いでもあるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
時を止めて、剥き出しの現実からカタリナを遠ざけることが、自分たちの守りたいものを維持する手段でもある。
だから、カタリナ様はずっとそのままでいていい。
二期はこの、停滞の引力に引かれて進行していたように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
ジンジャーやフレイといった、サークルの外側、学校という社会に踏み込んだからこそ出逢える新たな可能性との物語を深めていく方向性もあったとは思うが、そちらに舵は切らなかった。
作中人物にも視聴者にも、”無垢なまま微睡み続けるカタリナ様”を求められるのだから、それを描くことが作家としての誠実でもあったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
同時に、関わりが少なく困難も達成もほぼ描かれなかった結果、学園からの卒業に正直そこまで、感慨はない。
EDのあとの二年目は、余生のように過ぎた。
幼年期から続くサークルから切り離され、カタリナ・クラエスが自分を救ってくれる特別な(そして個人的で”仕事”には関係のない)存在であると、担保されない世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
メタ構造的にも”Ⅱ”である魔法省こそが、カタリナが今まで直面しなかったものを突き出し、変化のドラマを生み出す場所なのだろう。
劇場版がそこに踏み込むのか、その余地を残すために二期が変化の少ない物語になったかは、推察することしか出来ないけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
僕らを魅了したカタリナ嬢の愉快な日々は、あまり変わりなく幸福に動いて、一つの終りを迎えた。
そう感じる最終話だった。
大団円感を強く出す、音楽主導のリズミカルなシーン運びとか、祝祭の雰囲気が色濃くある賑やかさは、大変良く演出されていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
各キャラのテーマにハメて、テンポよく見せ場を繋いでいくことで、大人数を渋滞させずに一気に見せる気持ちよさは、ちょっと古い映画の味わいがあって好きだ。
しかしそこで演出されているほどの達成感、旅立ちの感慨を正直、僕は受けることがなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
それはこの作品が、自分たちが作った幸福な夢、カタリナ主演のお伽噺に作中人物も、外で見守る僕らも魅了され、求め続けている状況を誠実に受け止めた結果だとも思う。
ではカタリナは完全に、永遠に成長を禁じられた子供なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
そう問を立て直すと、やはり違う。
闇の魔力が関わる二つの誘拐事件を通じて、二人の青年がカタリナへのアプローチを変える。
ジオルドとキースの精神が、カタリナという太陽を中心に構成されていることを考えると、それは大きな変化だ。
処女性と妊娠可能性を貨幣に、婚礼経済の担い手として結婚を背負う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
そういう貴族制度の生々しさを、ロマンスで上手く遠ざけて、カタリナの恋はとても熱っぽく、誠実なものとして展開する。
好きで好きでたまらないから、大事な仲間との関係が変化するとしても、自分を変えるとしても踏み込む。
キースの場合、踏み込んで軋むのは家族の屋台骨でもあって、無防備にその性を晒すカタリナを欲に任せて襲えば、彼自身を救済したものが壊れてしまう。(ついでに、朗らかな作品全体の空気も)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
その危険性を認識すればこそ、彼のキスは額でとどまる。
しかしお菓子とお肉食べ放題な子供時代はとっくに終わっていて、自分も姉も背丈が十分伸び、性交…に纏わる社会的責任、強くうねる感情のうねりを引き受けることが可能な存在になっていることを、キースは姉に向かってダイレクトに指摘する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
それは変化への、勇気ある志向だ。
サークル構成員の門前で、堂々とカタリナの唇を奪ったジオルドも、同じ覚悟でロマンスに踏み込んだのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
既に変化は起きている。
永遠に優しき幼年期が続いてほしいけども、その優しさだけが世界の真実ではない。
僕らは、否応なく変わっていく。
その引き金は、ありのままの自分を認めてもらえず傷ついていた子供たちを、持ち前の人格で包み込み、本来の予定より早く人間としての時間を進めてしまった、カタリナ本人が引いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
一足先に大人になってしまった少年に、翻弄されているように見えて、カタリナに迫るロマンスは彼女自身に物語…
少なくとも、その延長線上に確かにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
だからカタリナが恋の相手として誰を選ぶか、誰かを選ぶ成熟を物語世界に許容されるところまでお話が進んでいくかは、個人的にとても気になるところだ。
結局、児童の物語としてはめふらを読んでる部分が強いな、僕は…。
ニコルが二期第八話(傑作)で、伴侶と貴族の責任をサスペンドする選択を果たしたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
色んな人達の決断と努力で、皆が幸福なサークルは維持されていく。
誰も選ばなくていい、何も背負わなくていい幸福な時代を、象徴するようにお菓子とお肉と畑に夢中なカタリナ様。
その在り方は、”学校”という社会ではそこまで大きく変化しなかった。物語は、あくまでサークルの中で波立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
しかし闇の魔力との因縁が描かれ、キースを通じて生々しい”死”…そこに反射する剥き出しの自分が暴かれ、半歩踏み込んだ間合いにロマンスを進めた二期に、確かに変化の兆しはあった。
それが魔法省でどう芽を出すか…しっかりとカタリナが自分の生き方を選び取れるところまで物語が進むかを、見届けたい気持ちは強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
でも、そればっかりを追いかけて、ずっと描かれてきた優しく無垢なサークルを壊してほしいとも思わない。
選ぶこと、育つことがそんなに絶対的に偉いのか?
ロマンスの成就を、一般的なゴールと定める乙女ゲー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
その構造を全力で踏み壊し、恋と婚礼で回転する社会に参入する前の、もっと柔らかで繊細な人間性それ自体をこそ救ってきたカタリナが、幼くあり続けるがゆえに大事にできるもの。
みんなで楽しく、あるがままに、ずっと笑顔で。
その頑是ない幸福は、たとえ時の流れがその形を変えていくとしても、絶対に間違いではないと僕も思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
カタリナ様が人格チートで”現実”を蹴り破り、傷ついた子供たちを凄い勢いで救っていく物語に惹かれたからこそ、この話を見続けているのだ。
それは幸せで、優しく、でも永遠に同じ形ではない。
罅の入った卵のように、愛おしく未完成で変わりかけの、カタリナ・クラエスの青春。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
そこに慎重に手を触れながら、卵を孵しきらないように、変化の兆しを確かに刻みながら進めた12話であったと思います。
2期で描かれた変化の兆しが、劇場版でどう咲くのか。
それも楽しみなんですが、ずっと同じようでいてたしかに変わっている世界を、色んな意味でリッチに描く2期の筆致が、僕は好きでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
何かを大きく塗り替えていく、フラグブレイカーの面白さは、あまりなかったけども。
カタリナが成し遂げ、自分たちが作った物語を大事に”続き”を書いてくれました。
恋にしても闇の魔法の過酷さにしても、一気にカタリナと彼女を取り巻く世界を変えてしまうことも出来たとは思うのですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
それを選ばず、幸福なロスタイム(あるいはモラトリアム)を紡ぎつつ、でもそれが永遠ではない視点をちゃんと持って、”Ⅱ”に繋がる物語を編む選択を、はめふら二期はしました。
『それは結構、良かったんじゃないかな』というのが、卒業感があんまりしない卒業を見送っての正直な感想です。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
やっぱアレよね。無邪気で無敵なカタリナ様が、可愛く元気に走り回ってる姿を見るのが、根本的に好きなのよ僕は…。
その幸福から、どう物語を転がしていくか。
魔法省を舞台に転がる新たな物語も、大変楽しみですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月18日
劇場版に繋がる穏やかで静かな日々、そこに宿った変化の兆しを大事に描いてくれた2期、とても楽しくありがたかったです。お疲れさまでした!