かげきしょうじょ!! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
安藤のロミオが予科生を飲み込む中、遂にさらさのティボルトがオーディションに挑む。
記憶の底から引きずり出すのは、あの時の笑顔と涙。
全員が総力を尽くした果てに、選ばれたもの、選ばれなかったもの。
降りしきる雪は、サリエリの苦悩を癒やすのか!?
そんな感じの遂にオーディション決着ッ! 最後の主役は杉本紗和ッ!! な、かげきしょうじょ最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
ここで紗和にスポットライトを当てて、全員主役の群像劇としてまとめ上げる構成を目指して、全13話走り切る作りだったんだなぁ…と、納得しきりのフィナーレであった。
漫画とアニメ…物語体験の質が大きく異なる特質を、どう活かすか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
作品ごと、作者ごとに百億の答えがある問いだと思うが、米田監督とスタッフが選んだ答えは”これ”だったんだという、納得と感謝がある。
さらさと愛ちゃんを大きな柱にしつつも、その周囲の少女たちを引き立て役にしない。
少女全員が抱えた業と強さ、光と影を掘り込み組み合わせて、それらが一つの学び舎に集う面白さを浮き彫りにしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
選ばれたさらさではなく、選ばれなかった…ここまでメインでスポットライトを貰わなかった紗和を、最後に真ん中に据える話運びは、そんな狙いを鮮明にしたと思う。
原作読んでる、読んでない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
お話の何処を重視して欲しかった、このエピソードは見たかった、こういう呼吸で描いて欲しかった。
色んな願いと不満は人それぞれ、様々あると思うが、群像劇としての”かげきしょうじょ!!”をメインターゲットに据え、それを描けるサイズのキャンバス、画材を慎重に選び…
実際に一話一話、渾身にして繊細な筆先でアニメーションさせていった挑戦は、僕にはとても意義あるものに思えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
面白かったし、綺羅星の如き多彩な輝きが、一人ひとりへの愛おしさが、溢れる物語であったと思う。
いい最終回、良いアニメでした。(早い結論)
さてお話は、安藤教諭一切手加減なしのロミオから始まる。まーた愛ちゃんのまつげが長い…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
観客も共演者も気圧され飲まれる中で、さらさは幼い時の記憶を武器に、その圧力に抵抗していく。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第13話より引用) pic.twitter.com/NUk3IxowwW
ジュリエットが役を忘れて安藤の音量に引っ張られる隣で、さらさは『ただ声を張り上げればいいというわけではない』『遊びの芝居はない』という教えを支えに、さらさのティボルトを作っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
かつて自分を引き裂き、重い呪いに変わったものを、それでも武器に変えて、自分だけの型を魅せていく。
愛ちゃんはさらさとの出会いとときめきを、彩子は思い出の中の愛を、紗和はさらさへのライバル意識を、それぞれ自分の中から引っ張り出して舞台に投げかけた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
虚構の役を演じる時、そこに血が通うためには、生身の体験が必要になってくる。
人を魅了する嘘を作るには、自分だけの本当が大事なのだ。
さらさにとっての”歌舞伎”がそうであるように、愛ちゃんにとって”母”は甘いだけの思い出ではなく、しかし今戦うためのかけがえない本当として、土壇場で引っ張り出される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
悲しい思い出を傷で終わらせず、幸せに上書きしていくには、そんな風に経験を刃に変えて、共に戦うことが必要なのかもしれない
暗闇に引き込むような紗和のティボルトと対照的な、闇の中の輝きをさらさは演技に宿す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
閉ざされた道の途中で、確かに教えてもらったこと。
呪いのように投げかけた言葉が、流させた涙。
さらさは自分だけの役に没頭しながら、思い出を乗りこなしていく
(画像は"かげきしょうじょ!!"第13話より引用) pic.twitter.com/rlnElZ60XI
これはずっと続いてきた描写だが、さらさの芝居を見る先生達はそこに、観客席の想定を受け取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
自分一人で手一杯、客がどう感じるかという視点がない予科生のレベルから、半歩はみ出した高く広い視座。
芝居は必ず客が見ていて、だからこそ面白いのだという、血に焼き付いた感覚。
忘我の極みに己を追い込み、虚構と一体化する没頭と同時に、客観的に自分がどう見られ、自分をどう演出するかを感得できる才能。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
これは例えば、運動会で転んだ後、観客が一番見たい情景を星に働きかけて、瞬時に作ったことにも通じる。
その時、客は何が見たいのか。客に何を見せたいのか。
最高の一瞬を切り取る”見栄”の意識、恋人になったのに泣く暁也の純情。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
恨み、憎み、死にゆく存在がそれでも抱え込む人としての輝きを、さらさは”さらさのティボルト”として選んだ。
そこには、諦めたはずの花道が臍の緒のごとく、確かに繋がっている。
その痛みと思い出は、けして無駄ではない。
煌三郎兄さんからの指令を、さらさに”言わせる”形で達成した暁也がなぜ泣き、なぜ必勝を誓ったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
想像するほどに複雑で、なかなか答えの出ない描写であるけども。
さらさは恋人であり幼馴染であり共犯者でもある青年が、眦に宿した思いを、確かに憶えている。
それは花道を譲ってあげた、恋人になってそれを開いてあげた記憶を追い越して、”さらさのティボルト”を闇に瞬く星として演じさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
その眩しさが、これまで描かれた渡辺さらさそのもので、大変良かった。
深い陰りに向き合っても光を浮上させるこの天性に、愛ちゃんも惹かれたんだろうなぁ…。
さて、オーディションを終え皆、気もそぞろ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
それぞれの挑戦に答えが出る瞬間は、まさに峻厳である。
さらさが意地悪な”お姉様”に足止めを食らう中で、愛ちゃんは一足先に結果を知り、雪の中涙を流す。
その悔しさは、本気で挑めばこそ。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第13話より引用) pic.twitter.com/vfQuQNfbf0
さらさに出会い、芝居に出会い、紅華を一時しのぎのシェルターではなく人生を賭けて挑む舞台と定めたからこそ、愛ちゃんは敗北に泣く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
14歳の初恋にしては、あまりに大人過ぎた。
十分少女でいることを許されなかった彼女が、クマのぬいぐるみと一緒に切り裂いてしまった無垢は、今の愛ちゃんには遠い
それでも下を向かず、涙を隠さず、『もっと』を求める姿に、醒めきることで自分を守っていた面影はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
第1話では太一に手を引かれ、焼き肉を食べさせてもらって生きるチカラを蓄えていた少女が、この最終話で抱擁を拒む。
暖かなシェルターから離れた、寒くて孤独な場所でも、もう一人ではない。
そう思うからこそ、”友達”が為すべきことを自分で考えて、さらさを待てるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
ぶきっちょに形だけ、友情に憧れていた夏からあまりに大きな変化で、愛ちゃん物語一つの到達点として、この雪の涙はあまりに眩しい。
き、綺麗や奈良田はん…。
4/40だけが選ばれる厳しい結末には、当然やっかみの声も出る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
しかし星野薫…あまりにも気高く、熱い涙と祝福、友情と抱擁であった。
ここで悔しさに号泣しつつ、合格した彩子をまず祝福できる魂が、どんな苦しみに支えられているのか。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第13話より引用) pic.twitter.com/04m6GFS1CW
それを僕らは、第8話とか第5話とかで既に知っているわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
彩子の実力を信じ、厳しくも熱く見守ってきた一人として、ここで堂々嫉心を跳ね除け、清く正しく美しい紅華魂を体現できるのは、やっぱ凄い。
弱さも清らかさも全部込みで、なりたい自分を貫く輝き。大変に眩しくて、涙出るね…。
戯けた仕草を見せる聖が、文化祭のスカーレット役に、その先にある舞台に何を思うか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
一瞬だけ、窓ガラスはその複雑な表情を照らす。
この”お姉様”の視線と、さらさを待つ愛ちゃんの視線が重なって描かれるの、二人の関係が好きな視聴者としては嬉しい
(画像は"かげきしょうじょ!!"第13話より引用) pic.twitter.com/U8NXlbdw2O
身じろぎもせず、選ばれた未来を見つめる少女。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
何気ない祝福の奥に、揺れる運命をたった一人知る少女。
窓ガラスを反射板にして、万華鏡のように人生が揺れている。
……特典ドラマCD、三本中二本聖軸にしてるのに繋げる演出だよなぁ、ココ…。
勝者が慄くように選別の結果に向き合う裏で、敗者はその重さを噛みしめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
何でもよく出来て、手抜かりなく努力して、着実に歩を進めればこそ。
燦然と輝く才能に、一気に追い抜かれる瞬間に怯える。
紙一重で出来た鉛の刃が、心に突き刺さる。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第13話より引用) pic.twitter.com/mrCncI8uOP
優等生の背中に灯った赤信号を、一年間”お姉様”として、同じ最優秀生徒として時を過ごした竹がほぐしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
出来て当然と見られる重さ、生真面目に着実に積み上げる実績。
百年の重さが積み上がった看板に、唯一触れることを許される重責と誇り。
紗和が彩子を見守り信じたことが、あの飛翔する歌声を後押ししたように、生真面目な後輩の努力と苦労を知っているよと、告げてくれる人の思いこそが、紗和を暗い泥から引っ張り上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
何でも出来ちゃう優等生も、悩める人生劇場の主役。
それが最後に顕にされ、報われていく。
自分の光が何処にあるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
竹の言葉で紗和は前を向き直し、胸に突き刺さった鉛を引っこ抜いていく。
溢れた涙は、敗北を飲み込めなかった苦しさが雪解けた現れなのだろう。
薫が即座に差し出せた勝者への祝福を、紗和は泣いて初めて行える。
(画像は"かげきしょうじょ!!"第13話より引用) pic.twitter.com/y0SDX6WxT5
そういう複雑さが当然、無敵の委員長にもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
でも胸を塞ぐ重苦しさに足を止めることなく、紗和は光の方へ歩いていく。
そうさせてくれる人と出逢って、そうできるように自分を押し出して、時に笑いも交えつつ、勝ったり負けたり…あるいは勝ち負けを越えた場所に進んでいくのだ。
大木先生が突きつける”萌え”は、ガチオタでもある紗和だからこそ、問答無用の納得を生む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
その答えを、安藤教諭と話した直後には聞けなかったこと…自分とよく似た竹のエールと抱擁を受け取らないといけなかった所に、杉本紗和の…この作品の”人間”があると思う。
なぜ、自分は選ばれなかったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
それを受け止めるのは、誰だって怖い。迷うし、戸惑う。
でも少女たちは震え涙しながら、それぞれのやり方で敗残から立ち上がり、高く視線を上げて進む。
そこにはシリアスな苦渋だけでなく、思わず笑ってしまう不思議な救いも、ちゃんとあるのだ。
委員長の重たい青春のたくりが明るく眩しく、笑いとともに出口を見つけて、強く気高く美しい紅華乙女に相応しい握手と祝福を、さらさに差し出せて本当に良かったな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
その輝きは全自動で型押しされるのではなく、一つ一つ個別の形に、魂を手でこねて作られるのだ。
だから、尊いのだ。
かくして一つの戦いが終わり、また新しい幕が上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
次なる乙女を導く星として、ポスターを飾る初仕事。
未来はいつでも、前向きに開いて風を待っている。
そこに笑顔で進んでいく姿は、とても強く眩しい。
双子が仲良しで…嬉しいッ!!
(画像は"かげきしょうじょ!!"第13話より引用) pic.twitter.com/4M2LKYPNIa
というわけでさらさ達の人生の物語はまだ続くが、アニメは一旦の幕引きであります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
大変に面白かったです。
僕は第1話見てソッコー原作ダッシュを決めた超にわかですが、漫画を読み、アニメを見れてよかったな、と思っています。
24分13話というフレームに、魅力あふれる物語をどう押し込むか。
何を切り捨て何を選び取り、どんなテンポとアングルで作品の輝きを届けるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
大変難しい問題に、必死に誠実に挑んで一つの答えを出した1クールだったと思います。
人生、みんなが主人公。
キャッチコピーにすると在り来たりで薄っぺらいが、実際に血を宿すとなると極めて厳しい、群像劇の答え。
これが嘘にならないようにエピソードを配置し、瑞々しい青春の輝き、舞台の熱量、薄暗い痛み、それを越えていく強さ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
沢山の眩しさを随所に埋め込んで、爽快でありながら重厚な青春絵巻を、堂々と語りきってくれました。
みんな必死に、切実に、自分を探し理想を演じ、一瞬一瞬を走り抜けた。
そこに宿った笑顔も、涙も、叫びも、全部が嘘ではなく確かな手触りで、見ているものに届くよう、しっかりアニメートしていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
色と動き、タイミングとテンポ。
視聴者がコマを進めるメディアではなく、製作者が時空を握り込む映像表現としての強さと責任に、造り手がどう向き合うか。
映像が生み出す印象が、どうドラマとキャラクターに突き刺さっていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
それをしっかり考え、形にするべくもがききった力作であったと思います。
凄く真摯な力みが宿ってんだけども、物語とキャラが持つ可愛げは損なわれず、むしろ磨き上げられた軽味が、笑いとときめきを強くしてくれるような。
そういうアニメでありました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
まーとにかく自分にとっては愛ちゃんのアニメでありまして、語り部であり演じ手であり児童でもある彼女がどう己を取り戻し、運命と出逢って、持ち前の優しさと熱意を再生していくかを、勝手ながら滂沱の涙とともに見守らさせていただきました。か、可愛いよ愛ちゃん…。
無論群像の主題と選び取られた全てのキャラクターが、エゴと祈りを共に背負う人間の体温をしっかり宿し、それぞれの強さ、それぞれの震えを宿して、眩い群像の伽藍を作り上げていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
一人ひとりの物語を分厚く編めばこそ、それが生み出す大きなタピストリが、輝いて見える。
紅華という青春の箱庭全体が、価値あるものと思えるよう、そこで学ぶ少女たちの物語をしっかり磨き上げる構成。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
学園の、劇団の、集団の物語として、とても力強いフレームが組み上げられていたと思います。
似ていて真逆な”歌舞伎”を、主題の影として置いたのも良い。
夢を追う若人の爽やかな飛翔が、必ず分厚い陰りを付きまとう宿命を逃げずに描けばこそ、そこから立ち上がり歩み直せる強さもまた、鮮烈に輝く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
人間の薄暗い部分をしっかり見据えつつ、その引力に負けず前を向いて紡がれる物語と、それを背負うキャラクター達の、熱すぎる息吹。
そういうものを間近に感じられる、大変良い物語、素晴らしいアニメでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年9月29日
とても面白かったです、ありがとう。
選び取られなかった物語、あるいはここから続く物語も是非に見たいですが、それは先の楽しみとして。
今はなにより感謝を。
お疲れ様、良いアニメでした!!!