白い砂のアクアトープを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
折れかけたくくるの心を救った風花は、ティンガーラのペンギン飼育員として沖縄に根を下ろす。
心強い援軍に支えられ、諏訪に命じられたバックヤードツアーに奮起するくくる。
部署を越え、人を繋ぐ。
太陽少女の初仕事は、果たして成功するのか!?
そんな感じの水族館細腕繁盛期第二章、女神を迎えて上げ調子な第14話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
最高のタイミングで女の心をズブズブにした風花来訪…その勢いそのままに、『なんかくくるの新生活、上手くいくかも知れねーな!』と思わせる話運びとなった。
第1クールといい、最初の二話は一繋ぎだな、このアニメ。
同じ職場、隣の部屋をガッツリ抑え、完全に一人の女を破壊(&再生)する気満々の風花の立ち回り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
”海咲野くくるをキメきる”という、甘やかな殺気すら漂う笑顔だ。
ここまでやられちゃ、もう風花抜きの人生を描けないでしょ…心の芯までズブズブだ!
(画像は"白い砂のアクアトープ"第14話より引用) pic.twitter.com/aWH0ZUCRO8
前回社会の洗礼を手厳しくぶっこまれて、心がグラグラに揺れた所で、欲しかった全部がド濃厚に脳髄に叩き込まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
飴と鞭と寝床のバランスが、まさに完璧なんだよなぁ…
こういう追い込まれ方をして、こういう救われ方をしてしまうと、まぁ人間ぶっ壊れるでしょ。怖い、怖いなぁ…(関係性の陸奥)
前回くくるを追い込んでいたのは、辛い状況を誰にも預けられない孤独であり、風花の存在はそれを全て埋める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
理不尽な上司も、慣れない仕事も、ギスギスした職場環境も、風花がいてくれれば耐えられる。
海咲野くくるにとって、宮沢風花という人間はそういう唯一性を持つ。
それは両親との死別以来、頑なに弱さを見せず必死に立ち続けたくくるが、幼馴染にも祖父母にも預けられなかった想いを、開放し炸裂させた結果である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
ずっと解き放ちたくて、でも抱えるしかなかったもの。
風花はがまがまの暗闇、そこから抜け出した光の中で、くくるの全部を抱きとめたのだ。
そういう人間が隣にいれば、そらまー仕事も人生も上向きになっていくわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
今回は前回強調された断絶を埋め合わせるように、ティンガーラに馴染めなかったくくるが色んな人と距離を詰めていくエピソードである。
その歩みは、風花が新たな職場に馴染む足取りと重なっていく。
あなたを見てると頑張れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
あなたがいるから戦える。
そういう存在との二人三脚が、少女たちの何を埋め、彼女たちを取り巻く世界の何を埋めていくか。
そして、何がまだ埋まりきらないか。
今回の物語は、そういうものを切り取っていく。
人当たりの柔らかな朱理ちゃんは最初からくくるの方を向き、諏訪さんは柵越し、どこか遠い視線をくくるに向け続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
つっけんどんな態度、足らない説明とコミニケーション。ここの溝は、大変大きい。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第14話より引用) pic.twitter.com/xjURQFWeWP
ペンギン担当に配属された風花にも、距離がある人と親しく接してくれる人がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
陽気で近い距離感のマリナさんと、がまがま閥の縁故主義に思う所ある知夢。
ここの溝も、なかなか埋まらない…と思わせておいて、今回接近の足がかりを得ていく。
知夢の課した試験に付き合う形で、かわいいかわいいペンギンちゃんの色んな表情が見れて、まさに最高であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
個体識別は尊厳あるコミュニケーションの第一歩と、鳥の顔と名前、性格と特徴を一致させる所からスタートである。く、区別つかねぇ…。
後に風花が指摘するが、知夢の頑なな態度は自分が責任を持つペンギンの命を、第一に考えた結果である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
ある意味、マニキュアにキレたかつてのくくると同じ志で、命を世話する仕事に向き合っている。
だからこそ裏口から入ってきたがまがま組に思うところはあるし、新しい仲間も厳しく試す。
諏訪さんも彼なりの理想とヴィジョンを抱えて、くくるに仕事を振ってるとは思うのだが…まぁ噛み合ってはないわな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
理想の実現は適切な経営から。
『銭あってこその健全なビジネス』という、経営者目線を当然、今のくくるは持ち得ない。
諏訪さんの元でそういう眼を育むのが、辞令の狙いかなぁ…。
頼れる”姉”に頭を撫でられつつ、くくるは望まぬビジネスに、それでも本気で取り組んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
魚大好き比嘉くんは変人だが構えない性格のようで、がまがま閥の身内飲み会にも、メガネ光らせつつ参加する。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第14話より引用) pic.twitter.com/rKgIJ9iqd0
朱理ちゃん、マリナさん、比嘉くんがこの段階から親身に寄り添ってくれる側、諏訪さん、知夢、島袋さんが一枚二枚、壁がある側…という感じか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
仕事とオフタイムの描写を通じて、ここら辺の現在地をスケッチしていくのが今回のエピソードの、一つの役割だと思う。
この現在地からくくるが”仕事”に励むことで、どういう変化が生まれていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
それが、新天地で働く今後の物語を輝かせる、大きなダイナミズムになるだろう。
ここら辺口で説明するのでなく、芝居と絵でちゃんと描く感じになってるのは、すごくこのアニメらしい。
自分が望む仕事を手に入れたことへの嫉妬すら、くくるは風花には笑顔で話せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
望んでない、やりたくないと闇の中にいたくくるは、風花と隣合い導かれることで、光の側に進んでいく。
それはお互い様で、余裕のモーニングコールキメて早朝仕事場に出ていけるのは、間近にくくるの存在を感じればこそだ
今回の風花の立ち回り、完全にくくるに一歩先んじた”姉”で、貫禄すら感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
くくるが眉間にシワ寄せて慣れない事務仕事やってる隣で、色んな個性があって、新たな環境に戸惑うペンギンたちから、確かな気づきを得る。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第14話より引用) pic.twitter.com/cxL84LqmaM
ケンカをしたり仲良しだったり、同じように見えて個性豊かなペンギンたち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
その顔はどこか、それぞれ別の場所から集い、必死に”仕事”に慣れようとしている自分たちに似ている。
鳥も人も、皆必死で元気だ。
そういう所に目を向ける靭やかさが、風花にはある。
くくるも必死にバックヤードツアーを調整する中で、朱理ちゃんとの距離を詰め、水族館という仕事の面白さを体験させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
なんとなく、特別な理由無しで仕事場を選んだ彼女が、水族館の魅力を裏側から見せるツアー、最初の客だ…という構成は面白い。
ティンガーラの魅力を、視聴者も体験できるしね。
風花を触媒に、くくるの”仕事”はスムーズに回りだす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
話が通じそうなマリナさんと、顔を見て近い距離でコミュニケーションできる。
未だ壁がある諏訪さんにも、『ペンギンを見て欲しい!』という思いでしがみつき、食い下がることが出来るようになる。
色んな部署、色んな人の間を駆けずり回って、自分を分かって貰う…そして相手を判る仕事。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
バックヤードツアーでくくるが担当しているのは、そんなコミュニケーション・ビジネスだ。
溢れる熱意を笑顔で伝え、相手の思いを受け取って、夢の推進力に変えていく。
館長代理時代も、くくるの天分はそこにあったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
まぁこの能力、数字には出ない泥っぽい資質なので、何かとデジタルに処理する諏訪さんには評価されにくい。
がまがまからティンガーラへ舞台が移って、地域と地続きなアナログ家族経済から、怜悧なデジタルビジネスにルールが移り変わった象徴…か
諏訪さんにくくるの情念イズムを解ってもらうことは、がまがまには確かにあったものを新時代に継承する試金石にもなるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
前回冷たく切り捨てられたように、旧世代の経営はメンテナンス費用を稼げず、夢を棺に閉じ込める結果に終わった。
でもそこには確かに、とても大事なものが沢山あったはずだ
くくるが大事にしたいものは、古い形そのままでは通用しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
ではどう変わり、何を残すべきなのか。
企画担当として走り回る中で、そういう物を見つけて、冷たい現代ビジネスの権化に届けるクエストに、くくるは挑んでくることになる。
バックヤードツアーは、その第一回目…かな?
くくると風花は肩を寄せ合って、お互いの”仕事”に挑んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
新しい居場所に戸惑いながら、それぞれの個性を輝かせるペンギンと、そこに反射する自分たちの肖像。
くくるは風花を助ける中で、彼女が見たものを自分に引き寄せていく。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第14話より引用) pic.twitter.com/40CLVuaTKU
やっぱ風花が額に汗し、メモを取って”仕事”する描写はどっしりした現実感を作品に与えて、大変良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
これをくくるが手伝うことで、二人なら何でも乗り越えられる安心感、その努力が色んな人の幸福に繋がっていく期待感も高まっていく。
ペンギンも最高に可愛いし(何億回でも言う)
最初にがまがまに来た時は、ふわふわ極まるテキトー女だった風花が、先達にしっかり頭を下げ、人と人の間を取り持ち、赤い長靴に気合を込めて労働戦闘に挑んでいる姿には、心地よい変化と頼もしさがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
こういう変化が胸に染みるのは、2クールどっしり進行の強みか。
というわけで、ヘンテコネームと面白個性のペンギン完全暗記は大成功。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
知夢も新入りの本気を確かめ、腕組みを解いて風花を認める。
彼女の警戒が、どこから来たか。
じっくりペンギンの状況を見極めた風花には、もうよく解っている。
(画像は"白い砂のアクアトープ"第14話より引用) pic.twitter.com/IuAQlCdtGF
知夢のつれない態度が故ないものではなく、むしろ強い責任感と使命感から来るものだということを、風花…を通じてくくるも理解していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
自分一人では解らなかったこと、伝わらなかったこと、変わらなかったことが、誰かに手伝ってもらうことで変わる。
そういう可能性も、”仕事”を通じて見えてくる。
たった四人のバックヤードツアーを、諏訪は『話にならん!』と切り捨てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
シビアに経営を…経済活動の中で夢を形にする資格を見据える彼の視界は、まだまだくくるには共有されない。
つーか諏訪さんも、部下には自分のビジョンを説明・共有しろ。効率悪いでしょが…。
しかし家族連れが間違いなく、ティンガーラを好きになってくれたバックヤードツアーは、数字にはならないモノを沢山生み出している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
朱理がくくると水族館に興味を抱き、同じ方向を向けるようになったこと。
離れていた部署と人が、近づける足場を作ったこと。
『そういうもんも、確かに大事だよなぁ…』と思える、くくるの初仕事悪戦苦闘である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
ペンギンの姉弟を紹介した時、人間の姉弟も『おんなじだ~~』って眼輝かせたの、凄く良かったな。
そういうシンパシーがあると、”好き”には体温が宿ってより強くなる…と思うのだが、まぁ数字には出にくい。
しかしビジネス最前線だと、そういう体温ある顧客との関係性をこそ重視してるわけで、くくるの一見非合理な労働哲学こそが、ティンガーラが次代の資本主義社会を生き延びていく鍵…なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
数字に出にくい大事なものを、どう数値化して共有し、制御し、増進していくか。
『最終的には、ここら辺にも触ってくんのかなー』っていう印象だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
がまがま的なものと、それを殺した諏訪さん的なものを止揚して、くくる的な未来を無限の天の川のように輝かせる物語になってく…かな?
ここら辺は、今後の転がし方を見ないとなんとも言えないわな。
つれない上司に、思わず怒りの鉄拳。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
”姉”の包容力に脳髄溶かされつつ、くくるは風花入ればこその奮戦を感謝し、風花はくくるがくれた未来を寿ぐ。
完全に開始(はじ)まってんだよなぁ…2つのファーストペンギン、その麗しき輪舞曲(ロンド)が!
(画像は"白い砂のアクアトープ"第14話より引用) pic.twitter.com/4AQHiYHVhi
というわけで、先週積み上げたストレスを上手く燃料に変えて、くくると風花の初仕事が確かな成果を得ていくカタルシスを生み出す、楽しいエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
マジで風花登場から全ての風向きが変わって、問題はありつつも全体的にいい感じになってるの、面白くてしょうがなかった。北から来た天使や…
くくるを取り巻く人達との距離感、壁の分厚さも見えてきたし、そこにどういう角度で、何を譲らず挑んでいくかも解ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
難敵・諏訪さんをギャフンと言わせるにはまだまだ実績不足だが、風花がいれば企画仕事も笑顔でファイト!
まーじで海咲野くくるの風花ジャンキーっぷりが凄い。法規制すべき。
風花自身にもまだまだ学ぶべきことはあり、それを真摯に受け止める姿勢も今回示した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
山あり谷あり、ディスコミュニケーションとギスギス山盛りの職場に二人のペンギンがどう滑り出していくか、今後が楽しみになるお話でした。
ティンガーラ組もいいキャラしとるので、今後の掘り下げワクワクするね。
追記 くくるは一人で戦ってると折れることが前回示されたので、今後も二人三脚基本で進めていくとは思う。その癒着を引っ剥がし、傷ついた脚で一人立てばこその尊厳と愛まで踏み込んでくるか……欠片も目が離せねぇ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月8日
リアルの自分自身シスコンなので、年少者が”姉”に抱く依存と信頼にどうしてもフォーカスすっけど。
風花にとってもくくるは唯一絶対の運命で、信頼と依存は相当ディープなんよね。
この相互ズブズブなのに爽やかな風が吹き抜ける感じ、独特で最高に良い。今後も死ぬほどズブれ!