takt op.Destinyを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
運命に押し流されるように、NYへの旅路へ赴いたタクト達。
しかし新米コンダクターとイレギュラーは、お互いを奏でる術を知らずにいた。
レニーと”巨人”を先生役に、ラス・ヴェガスで行われる華麗な授業。
嘘と優しさの向こうに、征くべき導きは見えるか?
そんな感じの復興米国ロードムービー、レニー師匠の人生授業な第4話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
現代のバビロンから大農地へと転換したラス・ヴェガスを舞台に、ポンコツムジカートと新人コンダクターが色々頑張るエピソードであった。
また新たなアメリカの景色、食卓の情景が堪能できて、旅情があって良い。
国土の防人たるシンフォニカは、真実を隠して希望を紡ぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
全てを語りきらず、少年たちに未来を切り開くすべを教えるのはレニーさんも同じで、後輩の前では朗らかに戯ける巨人は、最後の最後でシャープな横顔を見せる。
優しい嘘と、薄汚い搾取。
黙示の時代を越えても、色んな意味で人は人だ。
故郷を追われて小作に精を出すジョナサン夫妻の素朴と、懐かしき悪徳に私腹を肥やす”旦那様”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
時計の針が巻き戻ったようなネヴァダの情景が、あの世界で生きる人達の善と悪を照らしていく。
農政助成金の略取という、人類の宿敵相手に超常のバトル繰り広げてるにしては異様に生っぽい、秘められた邪悪
スゲー良い作画の中に、実在の風景ゆえのペーソスが香ってて、『やっぱこの独特の味わい、俺好きだな…』となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
滅茶苦茶中二病な題材なんだが、地面にめり込むほど土臭く、地に足付いた瞬間が迫ってくるシーンが多々あるんだよな。
その作り込まれた生活臭が、悲惨な運命にどこか、救いを呼び込む
物語は非効率的な新人コンビと、巨人先輩の華麗な銃撃から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
ショットガン持った美少女が、大平原でバッファローの怪物狩ってるの、スゲー”アメリカ史”感じさせる絵面だな…タイタンたんは、新時代のカウガールってわけだ。
(画像は"takt op.Destiny"第4話より引用) pic.twitter.com/GwKbOcbWWS
今回は表面上結構のどかなお話で、失敗ばかりの新米コンビが先輩に導かれつつ、一瞬の人情に身を寄せ、悪を正して平和を守る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
運命ちゃんが、先輩である巨人によく懐いて、何かと真似しているのが大変可愛い。
タクトに負荷をかける野放図な獣は、彼女なり人間に馴染もうと、色々やっている。
生命を削り壁をぶち抜き、やりたい放題であるけども、その歩み寄りに嘘はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
異質生命と成り果ててしまったコゼットと、新しい縁を結び直していく物語の器としても、旅の物語はいい感じだ。
懐かしい出会いが導くのは、すっかり姿を変えたラス・ヴェガス。
一面のトウモロコシ畑と、たくさんの家畜。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
泥に塗れアヒルと戯れ(運命ちゃん可愛い!)、新たなフロンティアに希望を込める。
D2が踏み荒らした大地に芽生えた、小さな希望の種。
そこから銭を吸い上げる、懐かしき悪徳の申し子。
(画像は"takt op.Destiny"第4話より引用) pic.twitter.com/6A8GYKpGWU
麦わら帽を胸に押し付けて”旦那様”への敬意を示す、あんまりにも歴史的な仕草がキッチリ再演されていることにビビりつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
レニーさんの柔らかな対応に時折伸びる影を、カメラは抜け目なく切り取る。
淡々としているようで、見せるべきもの…運命ちゃんの自由っぷりとか…をちゃんと描く筆は好きだな。
故郷を追われた青年が掴んだ、小さな幸福。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
それを凝縮したようなコーン・ディナーは、やはり印象的である。
流通網が壊滅した結果、画一的なTVディナーは食卓から遠のき、土の匂いのする郷土の食材を、糧にしなければいけない時代が戻ってきている。
トウモロコシ一色の食卓は小作人の悲しさと、それを健気な工夫で美味しく料理する逞しさを同時に示す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
それを『ごちそうだー!』と美味しく食べるコンダクター様御一行は、厳しい運命に晒された大地に息づく人々の苦労を、よく知る戦士である。
ちゃんと美味そうだもんなー、コーン・ディナー。
何かと素直になれない少年マエストロに、レニーさんは優しく声をかけ、あるべき世界の形を語る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
手繰り寄せても届かない月のように、真実は人々から隠蔽され、音楽は未だ遠い。
悲惨な現実を隠すことで、なんとか続いている希望の足音。
(画像は"takt op.Destiny"第4話より引用) pic.twitter.com/zxmIOuSUFv
それを守るために、ムジカートとマエストロがいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
それすらも優しい嘘だと静かに告げるように、偽りの希望にヒネた態度を取るタクトは光に近く、彼を諭すレニーさんは深い闇の中にいる。
けして楽園ではない世界で、それでも何かを守るために嘘を付く大人の居場所。
タクトが月に手を伸ばし、不確かな希望を追いかけてNYを目指す旅路と、この夜の情景は多分似通っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
昼間は善人面してた”旦那様”が、シノワズリー漂う邸宅で差し出された現ナマを前に、見せる悪い顔。
多分それが子供の目に入らないように、レニーさんは体を張ってるのだ。
美しく心を慰める音楽が、その背後に抱える様々な悲惨。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
『知らなくて良いこと』と嘘で守る対象は、ジョナサンのような力なき大衆だけでなく、残酷な運命に噛み砕かれ、力を得てしまったタクト達子供にも向いているのだろう。
レニーさんの柔らかくて強い生き方が、今回は良く見える。
ドポンコツの運命ちゃんはまーた壁に穴をぶち開け、彼女だけの聴こえる音楽を頼りに、闇カジノに乱入ブッこむ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
生まれ変わったはずのバビロンに、鳴り響くカジノ・ミュージック。
富の偏在も、それを覆い隠す偽証も、人の世に付き物の伴奏だ。
(画像は"takt op.Destiny"第4話より引用) pic.twitter.com/X9dqsO1kpV
それは存在しないはずのD2を呼び込み、降って湧いた特別講習を、タクトと運命は踊りこなしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
実際効率的な運用を学ばないと、タクトくん命幾つあっても足りんからな…。
指揮者と呼応する楽団であり、楽器であり、兵器でもあるムジカートと、魂を通わせ奏じる戦いの音楽。
レニーさんの導きを受けて、タクトと運命はそれを形にしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
異形の怪物と戦ってるのに、何処か長閑なのは葬礼なBGMの効果か、けして声を荒らげないレニーさんの人徳か。
二話三話と重い話が続いたので、このペーソスが妙に心地よい。
鉄火場ですら優雅に朗らかに、力まず過ごしてた巨人が最後に見せた、強く鋭い怒り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
それを妹分である運命に見せないのが、彼女のプライドなのかなー、と思ったりもする。
ここら辺は、マエストロと同じか。
(画像は"takt op.Destiny"第4話より引用) pic.twitter.com/v2N3mo51ua
正義のシェリフさながらに、裏帳簿と顧客名簿を抑え、汚い金の流れを追うレニーさんも、そんな使命をタクトに見せはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
”旦那様”がいなくなっても逞しく生き続けるジョナサンたちから、命の糧を頂いて。
強い握手で一旦別れて、旅はまだまだ続く。
ここでも第1話のように、立ち寄った街を守った報酬は土地の食料としてタクト達に手渡され、彼らの腹を満たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
やっぱモノ食う存在としてキャラを書く筆が、すげぇ強いと感じるんだよな。
旅路に通り過ぎた場所で人は生きてて、それぞれ個別の飯を食ってる。それを、タクトたちも食う。そういう実在感
レニーさんとタクトの、ちょっとゴツゴツした交流が固い握手でまとまるのも良いんだけど、なんかゆるーっと形成された、巨人と運命の不思議な縁も好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
『あ、運命ちゃんタイタンたん相当好きだな…』って、セリフ一個もないのに伝わるの、大変良いと思う。
そういう風に培った縁が、別れて繋がる視線が、一体どこに行き着くのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
旅は続く。
という所で、今回のお話は幕である。
ツンツン反抗期まっしぐらのタクトくんが、掴みどころのない師匠にかなりアツい思い寄せてるの、やっぱ良いな…。
(画像は"takt op.Destiny"第4話より引用) pic.twitter.com/CxIBnsfBoc
つーわけで激動の序章を終えて、このアメリカに生きる人達の肖像をスケッチするようなお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
凄く良かったな…。
僕がこのアニメのどこを気に入ってるのか教えてくれるような、土の匂いのするエピソードだった。
レニーさん達が柔らかな態度に、優しい嘘と靭やかな矜持を秘めてるのも解ったし。
やっぱずーっと可愛く軽妙な立ち回りしてた巨人が、民草の血啜る薄汚ぇ金持ち前に見せた一瞬の憤怒が、ビシッと決まる話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
あれが多分彼女の地金なんだが、運命の前では一切そんな気配を見せない所に、小さな異形に隠した人間味、穏やかなプライドを感じられた。
俺はそういう人、好きだよ…。
レニーさん達あんまりにもいいキャラなんで、ずっと一緒だとお話持ってかれちゃう…ので、ここで一旦別れたのは妙手だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
荒野に確かにある希望の調べ、生き残る術を教えられた少年は、己の道を進んでいく。
そこに待ち受ける未来は、どんな響きで風に吹かれているのか。
次回も楽しみです。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年10月27日
今回の話で見せた一話完結股旅モノな展開が、今後のアーキタイプになるのか、それともこっから変奏していくか。
ちと読めないが、流れ着いた街での交流とバトル、確かに為される善行は見てて心地よかった。
どっかに時代劇的な味があったのが、いい塩梅の土臭さの源流かもなー、と思ったりする。