王様ランキングを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
冥府の王、ハーデスと対面したボッジは才覚の片鱗を見せるも、より強くなる願いを跳ね除けられる。
一方鏡の秘薬を拒絶したダイダに、迫る”王の槍”アピス。
兄弟の因縁は渦を巻き、それぞれの未来を飲み込む波乱はより勢いを増していた…。
そんな感じの波乱万丈疾風怒濤、運命航路は嵐のち晴れ…となるのか、王様ランキング第6話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
冥府王との謁見なったボッジの前に拓けた新たな道と、意思を示したと思ったら猛烈腹パン食らったダイダ。
運命の兄弟、それぞれの物語が並走して渦を巻き、未来へ繋がるエピソードである。
憎み、憧れ、触れ合っては離れるボッジとダイダの物語が強い渦となり、定めが加速していく感覚がなんとも英雄詩っぽい壮大さで、毎回ハァハァしながら見ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
やっぱ語りの形態、それ自体が持っている物語性ってのはあるよなー交わりつつ独自に進む、王と死者の物語、その行方…。
ボッジは信じていたドーマスに奈落に突き落とされたことで、友と再開し道が拓けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
己を語る手段が少ないボッジの言葉となり、親友の思いを代弁するカゲくんが、大変健気でありがたい。
侮られても、嘲り笑われても、夢と君さえいれば…。
(画像は"王様ランキング"第6話より引用) pic.twitter.com/YEpxwiDix2
そんな人生の杖となるものを、ボッジは既に手にしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
自分の強みを上手く伝えられないボッジの代わりに、カゲくんは驚異的な回避能力を売り込む機会を作る。
前回デスハー王が語っていたように、生まれた時から不当に奪われたものを、補ってくれる特別な誰か。
ボッジの元にヒリングやベビン、カゲが集うのは、彼自身が出会いのありがたさ、縁の大切さを忘れない、率直な心の持ち主だからだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
そしてカゲくんも大変素直な子で、ボッジの不屈と可能性を目の当たりにした感動を、誰かに解ってもらいたいと強く表現する。
そのことがまた、ボッジの支えとなる。
理解されず孤独であることは、無力であることよりも人の可能性を奪う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
ボッジは国中から笑われても、現実に何度打ちのめされても、自分の夢を諦めなかった。
それでも孤独と嘲笑は心を削り、一人涙を流していた。
今はその魂を、共に受け止めてくれる人がいる。
冥府の底で、なんとも眩しい。
んっでっさ~~~~。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
フルフェイスに真心を隠しつつも、当惑に善良さを隠しきれない冥府騎士団団長があまりに”人間”過ぎて、俺ァビビっちまったよ…。
世界に名を轟かす非情の追跡者でありながら、目の前の少年がここまでどう傷つき、これからどうなっていくのか、瑞々しい想像力を失わない。
だから自分の槍が他人の人生を貫いてしまわないか、その矛先をちゃんと考えるし、堂々と本気の一撃を交わし続けた青年に、しっかり感服もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
最初から目の前の人間を侮らない相手には、真実の姿がしっかり映るんだな…虚心坦懐に物事を受け止められるのは、非常に大事なことだ。
”率直”という美徳はボッジの周辺に引き寄せられ、ダイダから離れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
主が価値なしと打ち捨てても、騎士団長は自分が見込んだボッジに道を示し、感動を伝えた。
ダイダを導くように思える鏡は虚言ばかりを並べ立て、真の忠義を求めて裏切られけている。
兄の影を見据える、あまりに捻じくれた愛憎
それがダイダ自身の運命を塞いでもいるのだが、しかし血潮猛り愛を求める、あまりにも人間らしい青年にそれを当然の報いとは、僕は言えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
率直で、靭やかで優しくいたいと思っても、それを果たせない捻れ。
ボッジが真っ直ぐに進む道が、救いきれない人の業を、ダイダの物語は補っている。
かくして実力を見せたボッジであるが、デスハー王は専守防衛に価値を見いださない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
ドーマスの紹介状を破り捨て、ボッジを『強い男』にする役割を放棄する。
己がそれに値する存在だと、信じてくれた共に示すように掴んだ、重たく硬い石。
(画像は"王様ランキング"第6話より引用) pic.twitter.com/cKE9Z608u7
それはボッジにはどうしても持ち上がらず、堪えていた涙は溢れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
重く、強く、大きい。
ボッス王が体現するマチズモ(巨体を誇るデスハー王も、その価値観の内部で”ランキング二位”である)はどうやってもボッジを認めないし、ボッジ自身その柔らかな手は、岩を持ち上げるのには向いていない。
では何に向いているかといえば、自分に何かを強制する力に屈しないこと、誰かと手を繋ぐことである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
門扉の外に放り出され、最初はボッジとだけ繋いでいたカゲくんの手が、優しいおじさんの思いに触れて、騎士団長とも繋がれるのは最高である。
世界は捨てたもんじゃないと、信じさせてくれる最高の友
それを否定されるのは、カゲにとっても泣けるほどに辛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
しかしカゲが代弁した思い、ボッジ自身が示した可能性はしっかり騎士団長に届き、彼は膝を曲げ視線をあわせて、打ち捨てられた紹介状の意味を教えてくれた。
叱る時『バカッ!』一言なの、あんまりに朴訥で泣けちゃう…。
カゲもボッジも誰かと手を繋ぎ、天真な振る舞いの奥に隠した寂しさを、癒やして欲しいと願う子供である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
そうして差し伸べられた手を跳ね除けるのではなく、しっかり受け止め未来に繋いでやれる存在は、やっぱ尊敬に値する。
優しいおじさんが好き。ありがとう冥府騎士団長…。
さて、母は違えど運命の双子、ダイダ王もまた過酷な定めの最中にあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
捕らえられた蝶と鏡が嘲笑う、少年の魂、その奥底。
その弱さ故に母の愛を独占し、自分にはない強さで己を上回る存在への、捻じくれた愛憎。
(画像は"王様ランキング"第6話より引用) pic.twitter.com/SsUhpLJsg6
若き暴君へと誅滅の槍を突きつけたかと思えるアピスもまた、己の弱さを鏡に付け入れられ、複雑怪奇な縁に捕らえられているようだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
いかなる存在が、王にふさわしいのか。
実力、器量、行いと理想。
様々な綾が複雑に絡み合い、容易に答えは出ない隙間に、鏡は妖しく忍び寄る。
暴力で兄を打ちのめしても、マッチョな価値観にとらえて勝利を得ても、ダイダの心は晴れなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
そんな場所にはない答えを得ねば、彼が真に求める強さ…不当に力を継承する秘薬を、床に跳ね除けた源泉は満たされない。
だが、何が強さであり何が正しさか。
真に”王様ランキング”を決めるのは誰か。
それは一見、忠義の徒に見えたアピスも知らないことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
蛇の奸智を宿していたように思えたベビンこそが、主を真に思う忠臣であった。
それを悪逆なる暗殺の使徒と使ってしまったことが、アピスが鏡の使徒として、ダイダの前に立つ因果を引き寄せてもいる。
(画像は"王様ランキング"第6話より引用) pic.twitter.com/NKsqB1V6E4
猛烈極まる腹パン食らって、どう考えてもヤベー秘薬を流し込まれる羽目になったのは、命を取れぬダイダの甘さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
しかしそこで、現実の非情に食われる選択が出来なかったことは、過酷な運命に投げ込まれた幼き王の、救いとなる…気がする。
殴り倒され、気を失ったダイダの顔に、王の重責はない。
兄を憎み、無力に苦しみ、力を求める修羅ではなく、兄と同じく無垢なる幼子としての顔が見せられるのが、無力な敗者、野望の犠牲となった瞬間だけなのは、あまりにも悲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
それにしたって、アピスの腹パン超絶過ぎるけどな! ボッジへの仕打ちといい、絶対ショタリョナの”強者”、制作陣にいるだろ…
鏡…ミランジョがアピスに囁き、彼を野望の傀儡と変えた策が一体何なのか、大変気になるところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
アピスは真剣勝負でベビンを退ける強者であるが、その心底には未だ弱かった頃合いの…誰かの力を借りて仮初の力を手に入れても消えないものが、強く残響しているように思う。
大力を生み出す巨躯を手に入れても、心の弱さは鎧えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
忠義を貫こうとしてこの墓所を訪れたアピスは、結局鏡の謀略に絡め取られ、道に迷う幼子を殴り飛ばしてしまった。
その行いは、ボッジを傷つけず、感服し道を示した冥府騎士団長と、真逆に弱い。
その弱さが、何を生み出すか。
未来は未だ見えぬまま、ボッジとカゲは華やかなる冥府を進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
様々な人々で賑わう国は、デスハー王の徳目を示す鏡か。
ボコボコの顔面には、どんな物語が秘められているのか。
思わずその奥を知りたくなるお話の種火が随所にあって、大変ワクワクする。
(画像は"王様ランキング"第6話より引用) pic.twitter.com/KwHfm3mGOE
デスハー王国が『なんか良いところ』としてしっかり表現されてるの、凄く良いと思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
ボッス王国、相当モラルが終わっててその瘴気が町並みやら、そこに暮らす人達に漏れ出てる感じあったけども、異形の民も楽しく暮らす冥府は、なんか明るい感じだもんな。
現状おそらく意図して、『王/男の資質≒相手を正面から打倒する強い力』って書いてんだけども、それに巻き込まれてしまった人達の不幸を沢山積み上げることで、位相のズレた”強さ”を描く素地は、既に整っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
このハンサムが、果してそういうモノをボッジに伝えうるか。気になるぜ…。
考えてみりゃボッジの不屈とか、それに本気で感動してしっかり支えるカゲくんの輝きとか、ゴリラ声上げながら他者を癒やすヒリング様とか、力以外の強さってもう、作中で大事な価値として描かれてる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
でも”王様”をランキングする世界は、それを認めていないように見える。
ボッジを冷たくあしらったように思えるデスハー王も、ランキングされない”強さ”以外のものを持ってればこそ、国があんな感じなんだろうし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
逆に言うとボッス王は、”強さ”以外のモノを息子たちに伝えれなくて死後拗れているとも言えるか。
やっぱ自分、この話をマッチョとウィンプの寓話として読むな…
競い、押しのけ、憎む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
そこで示される強さは、回避特化の主人公にはない。
では、何があるのか。
何が強さで、何が正しさなのか。
それを問い示す物語は、謀略に囚われた幼き蝶をも巻き込み、激しさを増していく。
いやー…面白いッ!! 次回も楽しみです。
追記 このお話、様々なキャラクターで共通しつつ、対処が異なるものを見せる技量がかなり高い。ここが上手いと、キャラは立つしテーマは立体化出来るので、話の骨は太くなるよね。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
でも国情乱れるボッス王より、マイノリティも含めて安定反映してるデスハー王のほうがランキング高いってことは、”力”に還元されない強さも含めて評価されてる、ってことかなぁ…。
僕はこの話、最終的にボッジがランキング制自体をぶっ壊すと思いながら見てんだけど、制度の内側も知りたいわね…
つーか推薦状をビリビリ破くほど、巨大な感情を弟に抱いてるデスハー兄様、ボッジに猛烈なコンプレックスを持つダイダとも呼応してんだな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月19日
血縁であるがゆえに捻れ、響き合う縁。
デスパーとの出会いがここら辺も彫り込んでくれると、大変いい感じだ。