最果てのパラディンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
メネルを先導に、襲撃された村へと辿り着いたウィル。
鍛え上げた業前は悪魔を容易に屠るが、死せるものは帰らない。
焼け焦げた村に燻る、半妖精の苦悩と後悔。
神と人、生者と死者の媒となる聖騎士は、無明を照らす輝きとなりうるのか。
そんな感じの戦闘シーンは無双で終了! 勝より大事なものがある!! 戦友邂逅後編である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
村焼きデーモン共は廃都市で練り上げた実力であっさりぶっ倒し、しかし戻らぬもの、残り続けるものをどうするかは別問題。
やっぱ”聖騎士”が主人公である意味を、しっかり見据えたアニメだと思った。
不当な暴力的占拠を排除し、人々の活動領域を再獲得する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
葬礼を執り行い、死者の無念を払って生者の未来を切り開く。
序章でも発揮されていた聖騎士の努めであるが、死体しかいない廃都市を出て、生者の領域に触れたことで生まれた、新たな責務がある。
神と人の媒となり、悪因を断ち切って生き直す手助けをすること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
メネルの改修がクライマックスに用意されているのは、”宗”というものが持ちうる可能性をしっかり見据えて、キャラクターと物語に宿そうとする息吹を感じ、大変に面白かった。
悪を切って捨てた、その御後が大事な話なのだな。
スカウトとファイター、ドルイドとプリースト。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
職分が違う二人が慎重に、占拠された村へと歩を進める序盤の描写も、ワクワクしていい。
やっぱ精霊の助力を請い木々の天蓋が安らぎをくれる描写とか、シビアな経済原則に従って矢を回収する所とか、地味なファンタジー描写はたまらねぇ。
ウィルの実力に比すれば、村を滅ぼし人を絶望に追いやる軍勢も鎧袖一触。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
メネルの後詰もあって、戦闘は危なげなく終了である。
闘いそれ自体はサクッと終わって、生み出された絶望にどう向き合うかって所に焦点があるの、独特ながら正当だなぁ…確かに、大事なのは”それ”よ。
メネルが手を伸ばせない、焼け焦げた少年の遺骸を迷わず抱きしめ、再び手を繋ぐ仲立ちをするウィルの在り方は、阿羅漢として大変立派なものであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
あそこで坊やの手を取れなかったのは、彼の信頼に答えられなかった無念と後悔が主であり、醜い死体への嫌悪ではないと思う。
擦れっ枯らしの野盗に道を過ちかけたメネルであるが、それも流れ流れ辿り着いたこの辺境の村が、彼の故郷に為ればこそだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
理不尽な暴力を前に何も出来ず、生き残った連中に人道を歩ませることも出来ない。
村が滅ぼされて以来、彼はずっと無力感に苛まれていたのだと思う。
ウィルが死者と生者の間に立つことで、後悔とだけ対峙していたメネルは確かにそこにあったものへと立ち返り、前に進む切っ掛けをもらえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
真に高徳な行いを見届けて、ウィルにしっかり謝罪するメネルが、蛮なれど粗ならぬ魂を感じさせて良い。
ここで話はメープル婆さんとの再開に進み、ヒビの入った強面がガラリと崩れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
正しく優しく在りたい心を、素直に形にはしてくれない厳しい世界。
そんな中でも差し出された手は、あまりに虚しく崩れ落ちてしまった。
全てが焼け焦げた荒野で、はたして正しく生きていく導きはどこにあるのか。
張り詰めていた弦が切れるように、メネルは赤子のように泣きじゃくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
魂を抱いてくれた第二の母と再開する道を、ウィルが銭と槍と魔法で切り開いたからこそ、たどり着けた正念場である。
こういう所まで人間が流れ着く算段をつけるのが、媒たる僧職の生業といえよう。
人生の荒波に揉まれ、獣に落ちかけ死を望んだメネルであるが、かつてメープルと出会い、今ウィルと邂逅した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
流転する人生は様々に試練をもたらすが、確かに良縁は手を差し伸べている。
かつて掴んだもの、未来に伸びるものに目を塞がず、膝を曲げず、立ち上がる強さ。
それは危険な森を駆け抜ける狩人に生来備わっていたものであり、メープルとの語らい、ウィルとの出会いはメネルが本来持っていたものを、思い出させただけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
グレイスフィールに帰依する発心も、『よく生き、よく死ぬ』という願いが彼の魂に、本来あったから形になったものだと思う。
この帰依は、燃え落ちた思い出の中で放たれた『神が俺に何をしてくれた!』という咆哮に、メネル自身が己に答えたものでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
ウィルは坊主なんだから滔々と説教して改心させりゃ良いものを、ただただ媒となり、為すべきことを為し、対話を見守るだけだ。
邪悪な暴力を無双の力で排除するのは、あくまで前座。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
全てが焼け落ちた場所で、それでもなお実りある道へ進むとき何が大事なのか、時間を使って浮き彫りにしていく展開と言える。
その焦りのない歩みに、ウィルが”聖騎士”である意味が照らされてる感じがする。
葬送を終え、とっておきの馳走を持ち出して、生者は宴に酔いしれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
それは滅びと死を跳ね返し、死者の思いを引き継いでここで生きていくための、大事な儀式だ。
そうなるためにまず、野ざらしにされた死体を背負い、布をかけ、土に安らがせ、祈りを捧げる必要があった。
ウィルはしっかりそれを成し遂げて、戦友の隣に座る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
眼下に広がる夕景はとても美しく、辺境を支配する残酷など悪夢に思える。
しかし、確かにそれはあった。
飲み込まれて、メネルは獣に落ち、絶望に食われるところだった。
そして、それは跳ね返された。人には、出来ることが沢山ある。
ウィルがメネルを折伏されるべき悪党ではなく、頼りがいある冒険の仲間と扱ったこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
暴虐と理不尽に支配された辺境で、人道を踏破する物語を共に進んだことが、メネルの荒廃した魂にどう染み込んだか、過去語りはよく伝えてくれる。
自分のことも、相手のことも、聞かない方が良い。
メネルの生き方は訳ありの集うフロンティアで、自分の弱さに踏み込ませないための処世術であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
それを崩してもいいと、思いを託され変わっていく自分を託してもいいと、思ったからこそ過去を語り、自分を晒し、信仰を告げたのだ。
それを受け止め、媒する。間を繋ぐ。
そこに僧職の強みがあり、ウィルを主役とする物語の眼目があるのかなー、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
前世の後悔を引きずるウィルとはまた違う形で、メネルも過酷な現実に苦しみ、『よく生き、よく死ぬ』ことが難しい。
しかしウィルがその行いで示した希望が、亡霊の残した言葉が、狩人の道を変える。
メネルの変化はウィルが触媒となっているんだが、彼自身その尊さに気づかず、サラーっと受け答えしているのは、持ち前の善徳であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
無双の剛力を誇らず、他者を踏みにじる暴力を退ける。
力の意味をちゃんと考えつつも、主役が常に謙虚なのは清々しい。
メネルの帰依を描くことで、グレイスフィールの神徳が死者(あるいは死者のなりそこない)だけでなく、生者も導くことが鮮明になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
信仰とは死にゆくものと生きていくものがどう向き合うか、その仲立ちをするものであるけど、同時に生者が己の生を踏破する上で支えとなり、灯火ともなる。
神めいた力を発揮するためのパワーソースでも、迷える亡霊を祓う念仏でもなく、生きているものの糧としての信仰。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
それがどんな形をしているか、辺境の厳しい現実、その只中でもがくメネルを描いたことで、とても良く描けたと思います。
英雄のセカンドエピソードとして、いい話よねこれ。
無論高徳なる聖者であることだけがウィルの全てではなく、友を求める若人でもあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
強い思いで結ばれたメネルとの邂逅は、一人間としてのウィルにとってとても大事で、大きなことだと思います。
心を覆う頑なな鎧、生き延びるための警戒心。
そういうのが壁を超えて溢れる話で、俺ァ好きだね…。
やっぱどうにもならない悩ましさ、とても苦しい理不尽含め、人間の生業を受け止め導いてくれてるキャラが、俺は好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
辺境に生きる人々を獣道から人道へ、灯火を立てて導いたウィルがそういう男(ひと)なのだとしっかり判るエピソードでした。大変良かった。
ここから逞しき射手を仲間に加え、旅は続いていくのでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年11月20日
ウィルとメネルの凸凹は大変噛合が良くて、いいコンビだなー、とこの二話で思わされました。
厳しい旅路も、仲間となら越えていける。
冒険譚の本道を進む足場がしっかり整い、次回も大変楽しみです。