王様ランキングを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
王国に暗雲が立ち込める中、ボッジは修業を終えた。
鍛え上げた力は血を流すためではなく、何かを守るために。
それを証明するように、針剣は鞘走るなり暴を制した。
そうして掴んだ強さで、何を切り開くか。
信じる心こそが、最強の剣なのか。
そんな感じの待ってましたの俺つええええ! 修行の成果を披露し、新たな課題を見せる第10話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
魁偉なるボッス王がその腕力で切り開けないものが、王宮に満ちている今だからこそ、彼の息子が辿り着いた”強さ”の意味がよく染みる構成となっていた。
ボッジは強さの証と授けられた針剣を、むき出しのまま持ち歩かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
それを血に曇らせることなく、抜くべき時にだけ抜き放って、他人を威圧はしない。
”暴れん坊”アバン三兄弟(最高のネーミングだ…)が、これみよがしに斧をぶら下げていたのと、面白い対象であった。
王国を打ち立てるほどの剛力があっても、運命と業には抗えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
未だ真意を見せないボッス王の静寂に、宿る虚しさを果たして、ボッジの剣は打ち払えるのか。
剣の宿命を乗り越える時、一番大事なものはなにか。
デスパーさんを教師に、カゲくんを学友に、ボッジの人生教室は続いていく。
修業を終え堂々街に進み出る時、ボッジの周囲を書が囲んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
知は力であり、蓄えた解剖学知識を力に変える方法を、デスパーは教えてきた。
それさえあれば、頼りない針も必殺の一撃となりうる。
ようやく手に入れた”力”の証明に、ボッジも自慢げである。
(画像は"王様ランキング"第11話より引用) pic.twitter.com/lp8lGZnR5O
しかしカゲくんはその刃に宿る力を、どうにも信じきれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
これは王宮と母の愛に庇護されて、世界に絶望しなくてすんだ少年と、その世界に母を殺され己を嬲られ、人間のド汚ぇ部分、世の中の世知辛い部分を身をもって知っているカゲくんとの、大きな違いだろう。
ボッジは汚れることのない純粋さで、力を追い求める人達が忘れる真実を体現する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
力強く輝く、太陽のようなキャラだ。
彼一人では描ききれない陰りを作中、血の通った一大事と描くためにカゲくんがいて、ダイダがいる。
カゲくんはボッジとともに居ることで、世界と他者への信頼を再獲得していく。
同時にボッジも無条件の光というわけではなく、少年らしい不安さと悲しみを、常にまとっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
つうか強制的にハンディを背負わされて生まれ、社会的承認を受けられないまま無茶なロールモデルに突っ走り、挫折と罵倒を受け続けた彼には、”自信”はかなり遠いものだ。
それでもなお、泣けて笑えるのは自分を心から信じてくれる友がいるから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
そのカゲくんが、ボッジは本当に強くなったのか、厳しい世界に立ち向かえるのか疑うと、太陽も陰ってしまう。
世界が生きるに足りると証明するには、ボッジの輝きを見つめ続けてくれる、カゲが必要なのだ。
こういう所デスパーさんは良くしたもので、他人を信頼する強さを子供たちに伝え、視線を上向きにさせようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
キミたちが信じるものは、ちゃんと強い。
そう胸を張って断言してあげる仕事をやりきっていて、やっぱこのオジサンは偉い。
偉いオジサン多いからなぁ、このアニメ…。
膝を曲げで両腕を抱き、親友に信じてもらえない悲しさに瞳を伏せたボッジの、顔を上げさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
心に染み付いた不信感を抑えきれず、親友の自信を陰らせた自分を、カゲくんに教える。
点穴剣術を鍛え上げたことより、こういう正道を子供らに伝えてる所に、勇者指南役の実力を感じるのだ。
カゲくんがボッジの英雄譚、第一の観客となることで、彼自身の捻れた人生が真っ直ぐになっていく構造は、僕はかなり好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
全体的にカルマが濃い世界観なので、運命を切り開く主役たるボッジは(色々厳しい圧力に凹みはありつつ)、正しく真っ直ぐ進める眩さがいる。
そんな彼の偉業を認め、親友として間近にい続けることで、カゲくんは救われていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
本当はこうであって欲しかった世界を、本当のことだと信じられるようになっていく。
そしてその信頼と期待が、ボッジの背中を支え、さらなる活躍へと押し出しもするのだ。
この観客と主役の相補性が良い。
続く酒場のやり取りも、後にネタばらしされるように一種の劇場性を持っていて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
凝った構図と迫力の遠近法が心地よく踊る中、ボッジは修行の成果を発揮する。
顔面ボコボコになって帰ってきた所から仕込んでたって、デスパーさんはマメだなぁ…。
(画像は"王様ランキング"第11話より引用) pic.twitter.com/Fv6AcVndhX
やっぱハイクオリティに描かれる仕草や静物、それ自体が力強いメッセージとして機能している作品であり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
ボッジは鍛え上げた力をまず、デスパーさんを庇う形で発揮する。
己が盾となり、暴力に屈しない勇気とタフさ。
剣を抜いて相手を制するのは、その次にあることなのだ。
この逞しさを支えるのが矜持であり、ボッジのそれは膨れ上がった己の肉体ではなく、布製の柔らかな冠にこそ在る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
それは親友が自分の夢を認め、自分に適した形に整えてくれた象徴なのだ。
布の王冠をかぶり直し、細い剣を堂々構えることで、ボッジは彼の王道で頼もしく武装する。
『俺はこれだけ強いんだぞ!』と、パンプアップした肉体やむき出しの刃でこれみよがしに主張する存在…冥府に赴くまでボッジがロールモデルとしていたマチズモに、対抗しうる自分だけの価値。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
ボッジは修行の中でそれを獲得し、暴力を制していく。
ただ剣が強いから、動きが早いから勝つのではない。
誰かが自分を見て、その正しさを認めてくれると思えるから、剣を手に入れたボッジは強いのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
この心魂第一主義は、御伽噺めいた舞台設定とヴィジュアルをこの作品が選んでいる意味を感じて、とても良い。
素朴なナリを選んだからこそ、ダイレクトに語り、伝えられるものは確かにあるのだろう。
デスパーさんはプライドと愛こそが刃を制し、世界を救うと信じている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
小さな体で弱者を庇い、細い剣で巨悪に立ち向かう。
そんな正しさを己に背負い、血を流さない制圧を続けられる器と、ボッジを見込んだのだ。
(画像は"王様ランキング"第11話より引用) pic.twitter.com/4f1dlMEgj0
今回ボッジとカゲくんとデスパーおじさんが、ニコニコしてる描写が沢山あって最高なわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
しかめ面で孤独に玉座に腰掛けているより、誰かと笑い合ってるほうが世界は多分暖かくて、でもボッス王はそういう道に進めなかった。
巨大な剣を振るうための力を、悪魔に願った代償。
我が子の小さな肉体の上に王国を打ち立て、今もう一人の身体を乗っ取って、修羅の巷に立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
マッチョを極めた王はとても孤独で、寂しい感じがする。
それは刃を振るえば必然的に生まれる血の意味を、知らぬまま突き進んだ結果ではないか。
彼の犠牲となったボッジこそが、その宿命を祓うのではないか
そういう事も考えさせられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
デスパー直伝剣の三カ条を、酒場の客がさっぱり分からない描写が良い。
それは思いが通じ合った仲間の中だけで解ってもらえれば、誰かを…剣を振るう自分自身を守る武器になる。
信条という刃は、鞘に収めたままでも威力を発揮しうるのだろう。
同時に僕ら視聴者も、デスパーさんが伝えボッジを支える教えがどんなものか、彼らの暗号を考える必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
考えたいな、と思わせる魅力が、この作品にはある。
そういう風に見ているものを吸引し、キャラクターが向き合い闘っているものを身近に、手触りと暖かさを籠めて届ける力。
それがこのアニメの、一番つえー所じゃねぇかな、などと考える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
剣と魔法のファンタジーではなくとも、ボッジ達が苛まれる人生の問題は共通で、それを悩み苦しみながら越えていく姿は、答えを僕らに伝えてくれる。
あるいは答えってなんなのか、自分なり考えたくもなるのだ。功徳なことだ。
優しいおじさん達が大集合して、ボッジに自信をつけさせるためのお芝居…とばかりは言えない、本気の実力審査を終える裏で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
カゲくんとボッジは強さの源を語り合い、賢き蛇の助けを思い出していた。
(画像は"王様ランキング"第11話より引用) pic.twitter.com/ynKVzioYi8
蛇は知恵深い獣なので、ボッジが有する”強さ”を見抜いて鍛えていたのは、納得なわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
『オッス、俺陰謀家のろくでなしです』みたいなデザインと顔してるベビンおじさんが、蛇可愛すぎ死ぬとか絶対言うな人間なの、最強が過ぎるでしょ…。
『俺ダイダ派だから。ボッジかんけーねーから』とか…
通るわけがねぇんだよなァ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
ベビンさんが親書を託し、カゲくんに為すべきことを教えてくれたおかげで、ダイダの嫉心は致命に届かず、道が正される希望も繋がった。
べビンさん自身は血まみれの強さ…ボッス王的な修羅の道から、けして抜け出せない(抜け出さない)人だと思うけど。
”蛇”らしい思慮深さで王国に、人間に大事なものが何か、しっかり見通す賢さを持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
そんな彼が、王器と見込んだダイダに薄汚れた誅滅を命じられた時、相当ショックだったんだろうなぁ、と思う。
国の汚い部分を引き受けて、王たるべき輝きを守る報国の盾として、使命を全うできなかった無念。
それもまた、この優しき蛇の巣で癒えると良いなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
ミツマタちゃんが賢く優しいヘビちゃんなのも最高だけど、ちび蛇ちゃん達がニョロニョロ動き回って、修行とか治療のお手伝いしてるの最高よね…。
賢く優しい獣達が好きなので、大変ありがたいアニメです。
正面から敵を粉砕し、遺恨の輪廻に沈む以外の王道を、ミツマタとベビンは空に見据える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
その体現と期待されるボッジは生身の人間でもあり、己を襲った陰謀に震えていた。
高く理想を見通せる場所から、低く深い陰りに逃げようとした時、カゲが道を塞ぐ
(画像は"王様ランキング"第11話より引用) pic.twitter.com/d4VzxshQC2
ここで子供として人間としてボッジ当然の迷いを、それをカゲくんの思いが正していく歩みをちゃんと描くのが、このアニメの良いところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
信頼に背く。
カゲくんがこのエピソードの最初やりきれなかった弱さは、太陽のようなボッジだって当然持っている。
実際裏切られ死にかけているので、そらまービビリもするだろうよ、という感じなのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
それでも母を信じろと、カゲくんが立ちふさがるのが良いなぁ、と思う。
どんだけ世間の冷たい風にすり減っても、消えない魂の核の所に、おふくろの暖かさがあって。
それをヒリング渾身の生き様が、蘇らせもした
確かにそこにあるはずのものから目を逸し、人間性の闇に沈もうとする時、ボッジは暗い場所にいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
本来日陰者、ボッジのような真っ直ぐな心を育めなかったはずのカゲくんこそが、二人が向かうべき光の只中に先行し、親友を立ち止まらせるのだ。
お前は、弱い。
その言葉は細く尖らせた針のように、的確にボッジの心を貫く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
信じきれぬ弱さが何を生み出すか、己に鑑みてよく知っているからこそ、カゲくんはここが人生の天王山、心と体の張りどころだと得心して、光の中に身を躍らせる。
世界に裏切られ続けた少年が、それでも世界を信じることにした瞬間だ。
そう生きてもいいかなと、思わせてくれた親友こそが信じる強さを手放しかけている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
ならば今度は、俺が思い出させる番だ。
そう決意して、グイと身を乗り出して真実を伝えられるカゲくんは大変偉い。
この偉さの出どころが、他でもないボッジとの出会いってのがまぁ、運命のうねりよね…。
親友の言葉は疑念の闇を払い、己の中に確かにある温もりを思い出させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
それは肉を咲く刃より、生殺自在の針剣よりも強い剣である。
強くなったはずのボッジに宿る、けして越えられない弱さ。
それを描く筆に、気合い入りまくりで凄い。
(画像は"王様ランキング"第11話より引用) pic.twitter.com/Tki4I9p5k6
ここで誤った己を叩き直すべく、自分で顔面ボッコにして心に刻める辺り、やっぱボッジってスゲーわ、って感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
そらカゲくんも、軽くドン引きするわなぁ…。
人間として子供として当たり前の弱さと、超人的な克己心が同居してるの、面白い造形だよなぁ…。
あるいはこのように立ち止まって、己を厳しく問いただす鉄槌を持ち続けるから、彼は英雄の器なのかもしれないが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
愛を、正義を、人が人でいられる縁を。
信じ続けることは、重たい刃を奮い誰かを害することよりも、遥かに難しい。
そんな心の強さは、常に試され揺らいで行く。
そんなことをボッジをカンバスに描かれると、父たるボッス王が選んでしまった道の重さと暗さが、より際立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
野心を込めて悪魔と結んだ時、彼には目の前に立ちふさがり『お前は弱い』と告げてくれる友はいなかった。
孤独は苛烈なだけでなく、誤ちを加速させもする。
だからこそ他人の声に…自分の内側から湧き上がる思いに率直に、時に己を殴りつけてでも正せる勇気は大事なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
やっぱこの、人倫のど真ん中を堂々貫きに来るスタンス、俺は好きだなぁ…。
照れのない真っ向勝負だからこそ、ぶち抜けるものが在るのだ。
信の刃を心に納め直し、帰るべき場所へと帰ることを決めた少年たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
闇の奥、異形の騎士と謀略が待ち構える先に、果たしてどんな未来が待つのか。
つーか一大大河ロマンになってきたから、残り話数でゼッテー終わらねぇだろッ! 二期はよッッ!!
(画像は"王様ランキング"第11話より引用) pic.twitter.com/ktln3XW1r1
アニメの範疇でどういうエンドマークつけるか含めて、次回も大変楽しみであります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
今週は優しく強く賢く獣とおじさん達が、ワッサワッサと大量摂取できて最高だったなー…。
デスパーさんを三枚目にすることで、彼が体現しボッジに与える絶対的な正しさが浮かないようにしてるの、巧いなぁって思うよ
すんげぇ当たり前でだからこそ強いことが話の核にあんだけど、それがうわっ付いた説教にならないよう、血と痛みのある生きたテーマになるよう、色々工夫してんのよな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
かわいいボッジを、何かと言うとボッコにして泣かせるのもその一環なんです! ”癖”ではないんです信じてッ!
…まぁ”癖”だよね。
追記 ”ちゃんと面白い”ってのはとても大事で、だからこそ実現が難しいと思う。成し遂げてる作品は本当に偉い。
しかし王ラン、御伽噺のど真ん中を駆け抜ける素朴さと同時に、四天王の実力とか、ボッジが手に入れた新しい力とか、バトルものとしてのワクワク感をちゃんと作って楽しませてるの、凄いバランス感覚だな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
修行をタメて期待を煽った上で、しっかり見せ場を用意して力を披露させる。
ドルーシさんのモードチェンジとかもそうだけど、活劇の一番基本的な面白さをちゃんと作って、感心するだけでなくワクワク出来る話になってるのは、とても凄いことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月16日
いいお話は多角的に楽しめるものだが、説話としての芯がブレないまま色々魅力を積んでるのは、間違いなく強さ。