最果てのパラディンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
ワイバーン殺しの英雄の、首を取るか誉れを与えるか。
王弟は後者を選び、ウィルは”最果てのパラディン”となっていく。
大義と名分を得た聖騎士は荒くれ者を率い、辺境を害する悪魔との戦へ突き進む。
待ち構えるのは栄誉か、死か。
星は運命を飲み込み、眩しく輝いていた
そんな感じのタイトル回収! いい最終回だった…な、最果てのパラディン第10話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
王弟殿下、神殿長、”貫き”のレイストフ。
世評風聞に惑わされぬ硬骨漢達は、ウィルの瞳に宿った”意思”の輝きを正しく見抜き、それぞれの力と野心を託す。
平和、信仰、冒険、栄達。
望むものは様々なれど、誰かを貶めるのではなく己を高め、実力者を蹴落とすのではなく手を繋いで夢を叶えようとする、気持ちのいい男たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
白帆の街に集った者たちが手を取り、ウィルの辺境サクセスの土台が整っていく様子は、見ていてとても楽しかった。
変人好きの王弟殿下は、ウィルを殺すより活かすことで己の責務を果たす道を選び、一大騎士叙勲を任じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
信じるのは己の信念と、眼の前の男のみ。
ウィルの実直な勝負が、最高の目を出して止まった形である。
相手がクズだったら悪手だが、人を見る目は鍛えられてる、と。
このお話何かと、色んなレイヤーでの情報戦の描写が多くて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
街の風景から政治的文化的状況を見抜いたり、売僧に見える神殿長の身魂を感じ取ったり、物事の本質を見抜く”眼”が重視されている。
預けるべきでない相手に体重を預ければ、運命の足元が簡単に崩れる。
そういう厳しさは油断ならない緊張感を生み、物語が士官するのを防いでくれるし、厳しいからこそそれを超えた時のカタルシスも大きい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
王弟殿下に自分を”張る”事に決めたウィルは、下手に己を飾ることなく、前世の後悔と父母の練磨に磨き上げられた魂一つを、男に預けた。
エセルバルドもそれが分からぬ人物ではないので、赤裸に信念を預けてくる男に自分と国の命運を”張る”ことにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
かくして公的身分と行政府のお墨付きをもらったウィルは、自分の理想を、神に与えられたミッションを堂々、軋轢なく果たすことができる立場になる。
これは重責も危険も伴う道で、ツンデレ爺さんはそこ心配して抗議に来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
部下をよこして権威を盾にすれば良いものを、ここで身一つ文句言いに来るあたり、この人も実直である。
フツーの組織だと、汚れ仕事を副官がやって、トップはキレイな看板やりたがるもんだと思うが、神殿長は違う。
綺麗な信仰だけでは成り立たない、人間の集う場所としての神殿の底の部分を、積極的に掃除し、厄介事をひっかぶる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
その立ち回りを支えているのは、ウィルが王弟殿下を動かしたのと同じ清廉な信念である。
こういう所が共鳴するので、グイグイ一座がまとまっていくんだろうなぁ…。
ウィルが己の証を立てる時、非常に古めかしい言葉遣いになるのは、200年前の典礼を完璧にこなせるのに日常的な祈りは出来ないポンコツ加減と合わせて、大変面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
明治時代にタイムスリップしてきた平家の公達が、元勲相手に唐突に和歌を歌い出し、大物だけに通じてる…みたいな面白さあるな…。
ウィルの生硬な実直さは、世の浮ついた部分に飽き飽きしている世俗と宗教の二大権力、そのトップによく通じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
表面だけを整えて形を繕い、世の本質に己を捧げる気概もない軟骨ヤロウの相手をするのに、バグリーもエセルバルドも飽き果てていた。
”人物”を待っていたわけだ。
ここに身元不確かながら、実力と志が頭抜けた青年がやってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
物腰は古風ながら高貴で高潔、瞳の奥に燃える炎。
後ろ盾となり、己の夢を共に託す相手として申し分なしと見取って、実力者達はウィルを後押しすることに決める。
ここでちゃんと人定めをして、人間の根っこで決めてるのは良いね。
腐敗した権力を正しいウィルがぶっ倒して成り上がるルートもあったと思うんだけども、このお話はピラミッドの最上位にいる人こそ実務的なロマンティストだと考え、主人公を品定めさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
余人が知らぬ世界の本質が見えるからこそ、なかなか理解されない英傑は、同じく英傑を知るのだ。
それを考えると、神殿長が王弟殿下の後押しを受けて今の地位に立ってるっぽいのは、納得できる描写というか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
人間の表面ではなく最奥を見定めて、面白いと思える相手に”張る”のが好きなんだろうなぁ…。
結果として金銭的、政治的リターンがあるならなおよし、みたいな。
逆に言うと見限った相手には相当冷酷なはずで、『真っ直ぐ育ってよかったね…』って感じではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
ここら辺、ウィルの実力が鍛錬と教育で育まれ、後ろめたいチートではない所が(作中でもメタ的にも)、説得力の足場になってる感じはある。
己に恥じる所、何もなし。
何の曇りもなくそう断言できる鍛え方してきたのが、バトルだけでなく交渉の現場でも生きてる感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
このお話は真っ直ぐ生きることがしっかり報われ、夢を追う奮闘がより良い結果を生み出していく、結構真っ直ぐな骨組みを持っている。
そのストレートさが、好きな所なんだと思う。
エセルバルドの”俗”、バグリーの”聖”と心を通じわせたウィルは、辺境に宿る第三の力…街に根を張らず己の信念のみに従う”暴”にもアプローチしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
レイストフさんもまた、表面だけでは生きず魂の奥に在るものを、見据え進む信念の持ち主である。
人間社会の全領域に、心通じる味方を得る。
今回のお話は、まぁそういうエピソードであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
酒場でのやり取りが西部劇っぽくて、遺跡を出ていこう漂ってるフロンティアな香りが好きな僕としては、とても嬉しい描写だった。
やっぱ酒場には本物の荒くれがいて、主役の瞳を見据えて、無謀な挑戦に身を投じて欲しいもんだよ…。
世評に涼しい顔をするだけでなく、ちょっと物申して正すべきを正す描写があったこと…それが少年らしい友情に絡んでいるのも、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
ランジェリーもセクシーなメネルが、従者扱いされれば正す。
”エルフ混ざり”への蔑視なんて、ウィルには関係ないのだ。
年齢も身長も得意領域もてんでバラバラなPTは、闊達な自由さを上手く作品に宿し、闘いだけでは終わらない奥行きを生んでもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
ビィは間近な英雄たちを題材に己の欲を満たしつつ、ウィルの広報担当官みたいな役割も担う。
政治と世評が大事なのは、既に描かれた所。
ビィの歌は、そこにこそ届く。
これを循環させる血液が銭金であり、こっちはトニオさんが担当する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
仲間たちが志で繋がりつつ、それぞれ身勝手な願いに利があるよう、お互いを利用しながら前に進んでいる感じが、風通しが良くて好きだ。
ゲップが出るほど過剰に、主役ワッショイはしねーんだよな。いい塩梅。
それぞれ出来ることも欲しいものも違う人間が、寄り集まって何かを願う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
その難しさも、その時大事なものもちゃんと描くエピソードとなりました。
相手の根っこを見抜こうとする瞳と、隠し立てなく己を見せる窓となる瞳、両方ちゃんと書かれてるのはバランス良いよね。
騎士叙勲が時間使って書かれていたのも、結構なハァハァっポイントでしたね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
ウィルが文明に馴染んでいく時、適切な言葉と振る舞いで相手の信用を掴む描写と合わせて、”典礼”というものがどういう力を持ってるかは、結構意識して作品に取り込まれてる感じあるなぁ…。
これは神殿長が奇跡を考えるスタイルとも通じてて、真実心が通った”かたち”が持ってる意味と、それを真似てこれみよがしにぶん回すパフォーマンスは、切り分けて考えてるお話なんよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
ウィルの騎士叙勲は権力獲得のパフォーマンスであると同時に、確かな祈りと至誠が宿った真心の儀礼でもあって。
そんな風に聖俗併せ持った巷を駆け抜けていくからこそ、ウィルは”聖騎士”なのかなー、と思ったりした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
俗世から切り離された信仰の場つったって、神殿が政治的経済的アクターとしてデカい存在で、人の世の塵から自由ではいられないのは、神殿長が述べたとおり。
んじゃあ俗世は欲だけで動いているかと言えば、王弟殿下は形のない信頼に国の未来を”張る”し、銭金で動くはずの冒険者もウィルの瞳をじっと見つめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
マグマのように静かに熱く、人間の営みの底流となっている”信念”への視線が、よく見えてくるエピソードでした。
これはアンデッドしかいない廃墟都市では生まれ得ない、生きて死んでいく人間あっての面白さで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
それを守るためにも聖騎士は軍勢を率い、辺境揺るがす悪の巣窟へと挑む。
良いよぉ…大変盛り上がってきたよォ。
シティアドベンチャーは堪能したので、次はダンジョンハックだッ!
政治経済バトルも大変面白いけど、ウィルの超絶英雄無双も見てておもしれーからな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
同時に向かうべき冒険が大変な難事だと、ハラハラ盛り上げる筆も元気で。
さて英雄伝説の第三章は、一体どんな風雲を語るのか。次回も楽しみです。
追記 メディア化されることで超越的な暴力は社会に位置を占めるし、英傑ウィルが望まず持つ強制力もその棘を柔らかくされる。ここら辺の作用は、この世界で強力なメディアであるビィの吟遊詩も同じ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
大掛かりで正式な儀式に拠って、ワイバーン殺しの功しはオフィシャルな立場を与えられ、社会に流通しうる信用貨幣として鋳造されていく。
ただただ圧倒的な力を振るうだけ、民を守るために動くだけでは、その正しさが機能する効率は極端に落ちてしまう。
ワイバーンを素手で絞め殺す英雄詩的な行為を、どう人間は加工して処理可能なものにするか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月18日
そこではどんな思惑が絡み、利と信が渦を巻くか。
そして儀礼は、その過程においてどういう仕事を果たすか。
そこら辺の社会学を、なろうテイストでうまく料理したエピソードでもあったな、今回。