ヴィジュアルプリズンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
世に妖かしの気配が満ちる、ハロウィンの夜…。
誇り高き吸血鬼たちは己の思いを歌に乗せ、赤き月の祝福を巡り闘う。
過酷な宿命の果に、少年が出した答えとは。
眩い蒼穹の先に、続いていく未来とは。
全ては、胸にあふれる歌が知っている…!
そんな感じの大東京耽美人外歌合戦、遂にフィナーレである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
あまりにいきなりなトンチキ力で殴りつけてきた第1話を、そのまま逆しまにライブ→決着→エピローグと流していく最終話となった。
あの時はさっぱり読めなかった作品の魅力と根幹が、12話分感動と笑いを通じて僕らに届いた結果…
飛行石片手にラピュタ文字を解読するムスカのように、『理解る…理解るぞッ!!』って興奮できたのは、なかなか楽しい興奮だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
いやこの最終話だけ単独で見ても、やっぱ理解んねぇとは思うし、あいも変わらずはっきり言葉にはしない雰囲気と勢いで殴りつける作風ではあるんだが。
でもその不定形の本気をけして緩めることなく、作品世界に生きるヴァンパイアが何に脅かされ、何を守りたくて歌っているかをちゃんと描いたことで、愛しく作品が語りかけるものを読み取ろうとする姿勢が、僕の中に育まれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
そういうモンが産まれるアニメは、やっぱいいアニメですよ。
行き場のない魂をハラジュクに彷徨わせ、ギルへの憧れに導かれ物語を始めたアンジュが、名もなき青年の迷いを受け止め、笑顔で『音楽は好き?』と聞けるようになったのは、最高のエンディングでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
逆回しにスターと同じ構図を使うことで、アンジュの変化、それを生み出した物語が鮮明になる。
こういうレトリックをしっかり使いこなせる腰の強さがあって、トンチキも深くぶっ刺さるんだなー、と痛感した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
いやさー…エンディングなんだから服着てよディミトリ様ッ!
最後の最後まで、自由で美しい吸血神だったなぁあの人…。
お話はハロウィンのハラジュクをどっしりと写し、『あ、もしかしたら1クール前に放送する予定だった……?』などと、今更思いつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
3バンドそれぞれ渾身のライブを、どっしり見せる構成。
第1話以来の登場となった、黒衣のバンドメンたちもノリノリだよッ!
フォント芸もいい具合に暴れて、新曲どれも良かったですが、現実と夢が交錯するO☆Zの舞台が特に良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
アリーナで見つめる観客たちは、ギルが棺から立ち上がった裏にあるリアルを、けして知らない。
それが仮初の奇跡であり、ステージが終わった時O☆Zもギルも終わることを、客に見せない。
本気で嘘を演じ、化粧で武装する”V”の矜持が、観客を熱狂に巻き込み夢を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
それは一夜で覚めるものだけど、音楽と熱は胸に残って残響し、聞いた人と世界を確かに変えていく。
そういう現実と幻想の優しい共犯が、あのステージにはあったと思います。
この作品のヴァンパイアが、人であろうと頑張らなければ簡単に獣に落ちてしまうことは、第4話で示されています。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
三者三様、それぞれの哲学を持って祝福を奪い合うバンドたちは、その活動を通じて己を人たらしめている。
同時に観客たちも、彼らの音楽を受け取ることで魂を震わせ生き直す。
歌を届ける側が一方的に優越し、搾取するのではなく、誠実に本気でパフォーマンスを編み上げることで、お互いに心を受け取り合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
”吸血”という、最も鮮烈な簒奪を己の象徴とする種族が、歌を通じて魂の糧を分け合う希望として、この物語の”歌”は描かれている。
バックステージに刻まれた、身を引き裂くほどの絶望も、それを超えていく決意も、優しい嘘にくるんだ上で歌声に滲み、真実何があるかは不鮮明だが、確かに見ているものの心に届く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
そういう虚実の境界を混ぜ合わせるアーティストの力が、一つの奇跡を舞台に乗せる。
何が本当で、何が嘘か分からないけど、目の前に叩きつけられる歌だけが真実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
そんな風に思える瞬間が。確かにステージにはあります。
ギルの再生という異常事態が”演目”として共有されたのは、そういう所までO☆Zとファンが辿り着けた証明として、凄く良かった。
剣を捨てて世界を変えるアンジュの決意…O☆Zの勝利も、垣根なく混ざり合っていく音楽の魔法が、強く背景にあると思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
第6話でガチバトル始めた時軽く『えッ!?』ってなったんだけど、この勝敗の付け方はそういう吸血鬼のスタンダードを踏まえた上で、主役が越え、変えていく前フリだったわけだ
ここら辺、アンジュが半端なダンピールだからこそ辿り着けた結末かな、という感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
超越者と人間、両方の思いを引き継げばこそ赤い月のルールを絶対視せず、剣で競い合うより歌で繋がる道を、新たなルールとして差し出すことが出来た。
ここで”PEACE”主題にするの、上松範康だなと、思うけど。
闘争の血から離れられないヴァンパイアの宿命を越え、世界を変える決断を果たすからこそ、アンジュは特別な主役であり、最後の勝者になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
この主人公の立て方は、自分的に凄く納得がいくものでした。
これはここに辿り着くまでの、思春期フラフラをしっかり書いたのもデカい。
自分が何者かわからない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
求められても、自分だけの歌なんて歌えない。
立派な大人であるギルの背中を追いかけ、時にそれを追い越して救いとなりながら、自分だけの歌を、自分だけの夢を探し求めてきた旅路。
それは超越的な伝奇でありながら、普遍的な青春としても描かれてきた。
一話ずつ自分の欠片を見つけて、アーティストとして骨が入っていくアンジュを、彼を取り巻く魅力的なヴァンパイアとともにしっかり描いたことが、彼が決定的な答えを見つけるこの決着の土台として、大事だなと思うわけです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
トンチキも耽美もジュブナイルも、全部本気。
その力瘤が愛おしいわけよ。
つうわけで夜の貴族なのに抜けるような青空を己の景色と定めて、今回のヴィジュアルプリズンはO☆Zの勝利。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
獲得した月の雫をどう使うか、奇跡は掴み取れるのか…って所で、一回タメるの、最高の展開だった。
ギルの死はハラハラを最後まで維持するサスペンスとして、イイ仕事してた。
激しくぶつかり理想を奪い合う強敵でありながら、かつて魂を繋げた親友でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
サガとECLIPSEが己の雫を捧げて、ギルの復活を手助けする流れ、最高にベタで最高に良かった。
そーだよなぁ…気高き吸血鬼は本気で競い合った後、大事なもののために集めたトロフィーを手放せるんだよなぁ…。
このお話って極度に精神主義的で、そこが言葉の真の意味でロマンティックだと思っているんですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
愛と献身と中庸っていう、”吸血鬼”に最も遠い美徳を全員が収めてるから、厳しい現実を友情が書き換え、歌が世界を変える結末もストンと収まる。
大事なのは物理的な力ではなく、歌に宿り心に燃える形のないもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
願望器の物語では基本の答えですが、しっかりそういう所に全員たどり着かせて、気持ちのいい連中のまま最高の結末を引き寄せるの、凄く良いな、と思う。
型をしっかり抑えた上で、自分たちらしく歌い上げるスタイル、やはり素晴らしい
エピローグやや長めにとって、決着を越えた先にアイツラがどう進んでいくのか、ちゃんと見せてくれたのは本当に良かったですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
ロビンは相変わらずキモかったし、イヴはママンだった…。
あとサガ様が『対バンで復活ライブ、盛り上げに行くぞッ!』と素直に言えないの、やっぱ最高。
カフェを再開し、若き吸血鬼たちに人間の社会との接点を蘇らせるの、すげーこのアニメらしいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
ゴシックな化粧と怪しげな雰囲気をまといつつ、メチャクチャ健全なんだよなー、このお話の”吸血鬼”。
閉じて腐っていくことを良しとせず、音楽や商売で他人と繋がろうとする。
けして己を譲らない肥大化したエゴが、他者を押しのけて悲劇を生み出すのが、怪物の物語の基本形だと思うのですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
『世の理から外れたアウトサイダーでも、人を愛し尊ぶことは出来るし、その時歌は特別な力になる』と、12話の物語を通じて歌い上げたのは、良い常識へのプロテストでした。
古き血を継ぐアンジュの涙が、様式通りに真紅の雫な所とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
古典を尊重しつつも、今自分が思うことをしっかり混ぜ込んで、心地よく変奏し新たなヴァンパイア像を作り上げていた所は、ロックンロールの本質に繋がる部分でもあり、とても良かったです。
ギルの歌に焦がれ彷徨っていた少年が、今度はかつての自分を受け入れる立場になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
ラストシーンの書き方からしても、永遠に繰り返されるものと、新たに変わっていくもの両方の輝きを、凄く大事にしてきた物語なのだと理解る。
様式と革新、両方あるから”V”なんだ。
己の中で燃え上がるものと、外に広がる光と風が繋がるから、音楽は魔法なんだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
主題と選んだものがどんだけ素晴らしいのか、何故力を持ちうるか、一切照れなく見据えて語る口ぶりには、力強さがありました。
こういうフルスイングで、頭をぶん殴られたいわけ俺はッ!!
というわけで、ヴィジュプリ終わりましたッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
大変良かった…超面白かったです。
事前情報から『とんでもねぇトンチキが来るぞー!』と身構えた所に、叩きつけられた衝撃の第一話。
湧き上がるワケの分からなさにブルブルしてる所を、スムーズな話運びとチャーミングなキャラがガッチリ固める。
吸血鬼がいるゴシックな世界観、音楽が生み出しうる喜びと恐れ、魂のふれあいに救い救われていくドラマ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
ぶっ飛んだ勢いはしっかり残したまま、どんどん作品が解って好きになっていく語り口の確かさは、やっぱ”本気”だったから生まれたものだと思います。
吸血鬼とヴィジュアル系が共有して持つ不安定さ、退廃と閉塞にしっかり視線を向けつつ、それでも開かれた輝きを常に大切に話を進め、曲を奏でてきた歩みには、強い安定感がありました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
徹底的に”人間”の理想形として、吸血鬼を描く。
他者を尊重し、己を譲らず、誇り高く前に進む存在。
その在り方が3バンド、それぞれの”理”を伴って多彩だったのも、キャラが多い強みを生かして良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
たった一つの答えが全てを支配してないから、色んな音楽が生まれうる。
そのかけがえない音符として、全キャラ可愛く描けきれたのはマジ偉い。
第1話の圧倒的なワケの分からなさが、こうして終わってみるといい仕事してたんだな、と思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
何言ってるかサッパリだけど、でも不思議と惹かれる。
明確な形は掴めなくても、燃え上がるような思いが籠もっていることは理解る。
そんな予感から始まった物語を、一話ずつ読んでいく営為。
一話見るごとにキャラの内面と世界設定が見えてきて、このお話がどういう視線でテーマを見据え、どういうドラマを編みたいのかが解ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
そういう相互対話がアニメとやれたのは、やっぱ凄く気持ちが良かったです。
フツーじゃない作品とは、こういう事ができるから面白い。
やっぱ自分としては、ゴシックロマンスの伝統をかなり丁寧に踏まえた上で、大胆に変奏する所はぶっ込んでくるバランスが良かったですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
宝石と化した心臓とか、夢に住まうカーミラの血族とか、吸血伝奇としてフレッシュなネタを惜しげもなく、バリバリ投入してたの大変グッドだった。
同じくらいアンジュ主役のジュブナイルとしても、ギル主役のおじさん再生物語としても、ガッツリ熱い展開を積み上げてくれたのも、凄く嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
耽美にキャーキャー言わせる部分も含め、全領域本気の本気だったの、本当に偉いと思う。
楽曲も強かったしなー…そこはエレガの強みやね。
というわけで吸血鬼らしく貪欲に高潔に、色んなものをたっぷり語りきった、見事なバンド伝奇でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
音楽をやる意味に超絶ど真ん中、メチャクチャ真っ直ぐなメッセージ出し続けてたの、最高に良かったな…。
O☆ZもLOS†EDENもECLIPSEも、みんな尊敬できるアーティストだった。
吸血鬼の悲しき宿命、世界に満ちた理不尽にもしっかり目を向けて、なおそれを越えていく人の力、音楽の奇跡をしっかり描ききりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年12月24日
この素朴で実直な書き口が、やっぱ一番好きなところなんだと思います。
ヴィジュアルプリズン、大変面白かったです。
ありがとう、お疲れ様ッ!