鬼滅の刃 遊郭編を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
上弦の陸、堕姫と対峙した炭治郎の炎刃は、戦いの中で研ぎ澄まされていく。
一方遊郭に張り巡らされた蛇の巣に潜った伊之助は、人食い帯と対峙する。
守るか、殺すか。
決断を迫られる土壇場で、鳴り響く轟音。
音柱・宇髄天元がド派手に、その刃を閃かせる!
そんな感じのバトルスタートッ! 血中剣撃濃度がガンガン上がる、鬼滅遊郭編第5話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
致命の一撃を狙い合う一対一の炭治郎 VS 堕姫と、全周包囲された状況で多対多の帯戦。
味付けの異なる戦いが並走することで、独自のビートが生まれる回であった。両方ハイクオリティで、大変嬉しい。
同時に考えていること全てセリフに起こすので、一瞬一瞬が命の取り合いである修羅場の空気がやや弛緩するのは、アニメ鬼滅の宿命でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
言葉の速度と剣の速さはどうやってもズレるので、言葉が追いつかない”瞬”を束ねたチャンバラを、この作画と演出で見たい気持ちはある。
まぁそれは、活劇映画に叶えてもらうとして、だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
冒頭、雛鶴を助ける天元の仕草がしっとり情愛に濡れて、大変良かった。
キャラの表面だけなぞると『ド派手を名乗り、嫁三人持ってる破天荒』つう、色々ザラツキそうな人なんだけども、その奥に何が在るか解らせる表現力は流石。
アニメで見返してみると、宇髄天元って人は(鬼滅のキャラが皆そうであるように)結構複雑なあり方してて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
血に染み付いた忍びのあり方に反逆して、チャラチャラうるさいド派手を己に任じつつも、魂の根っこはどうしようもないほどに忍び。
でありながら、それ以上に人間でもある。
しきたりとして充てがわれた三人の女を、心魂傾けて愛して守り、縁を切って常識的に生きようとはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
狂った定めに流されつつも、自分が生きたい場所を見据えて他人を背負う熱が心の奥底にあって、しかしそれを表には出さない。
意地っ張りの男伊達、優しいくせに刃でいようとする。
そこら辺の味わいが、雛鶴の背を撫でる掌によく宿ってて、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
嫁大事なら後ろに引っ込んでいれば良いものを、派手に戦場に突っ込んで血路を開く道以外は選べない。
染み付いた忍びの技を、狂ったしきたりではなく自分で選んだ未来に繋げるべく、色々あがいている。
蝶屋敷に押しかけて狼藉カマしてた時の、婆娑羅な表層が任務の中でひび割れてきて、段々と中身が滲んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
このお話のキャラは軒並み、最初は人格破綻者のヤバ人間として描かれ、接していくうちに人間が見えて身近に起きたくなるギャップを、上手く推進力に変えていますが。
宇髄さんの奥にある”匂い”みたいなものが、あのやり取りには上手く宿っていたのではないでしょうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
いやまぁ、任務に命を投げ出す前提、忍びも鬼殺隊もほぼ一緒だったりはするがな…。
崇高なる自己犠牲、命の捨てどころの描写は、この作品を掘り下げる時一番難しいナー、と思う。
さて戦場は二つに別れ、炭治郎はたった一人で堕姫と向き合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
水の呼吸での戦いが限界に達し、ヒノカミ神楽にシフトする流れが、炎使いの煉獄さんと触れ合うことで、ガチっと固まっていく戦いである。
必殺の一撃を狙い合うヒリついた感じが、やっぱり心地よい。
舐めプ混じりとはいえ、柱でもねー炭治郎相手に”いい勝負”出来ちゃってる事自体が結構な伏線なのだが、強敵相手の切迫感で上手く隠してる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
ここら辺、ドラマとアクションが上手く溶け合った書き方だな、と思ったりする。
地下に味方をタメて、合流しての激戦の準備してたりね。
そして食料貯蔵庫でのバトルは、やっぱ伊之助の変化が良く見える面白い戦いだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
日常を物理的に破壊する”猪の化け物”なのは変わらないし、関節外して穴に潜る姿はそれを加速すらしてるけども、今回伊之助は優先順位を付けながら戦っている。
無限列車での、煉獄さんのように。
帯を千切り切るよりも、囚われ助けた命が大事。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
大暴走しつつもそういう価値判断をしているのは、やっぱあの少年の中に炎が宿ったからなんだろうなぁ、などと思う。
それでも人を守る戦いには慣れておらず、うっかり闘争に夢中になりすぎてしまう辺り、良い未熟の描き方である。
伊之助が手こずってる命と使命の両立を、圧倒的な力量で一気に実現してしまうことで、音柱の格も描ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
嫁は助ける命は守る、ド派手に戦い敵も倒す。
何でもやってのける超級英雄…であることを、宇髄天元は己に課している。
はたして、人の身でその万能は可能なのか。
これは後に問い直される部分として、少なくとも今の彼は超カッコ良く、問答無用の武神として蛇の穴ぐらを制圧しにかかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
そらーお嫁さんたちも感涙必至、思わず過去回想もカットインである。
東山ヴォイスの須磨ちゃんが、一人だけ萌えアニメからやってきたはわわキャラだったなぁ…。
忍びの掟をぶち壊し、命大事に世界を塗り替える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
そんな改革者の顔を持ちつつ、より良い命の捨てどころを探して鬼殺隊に引き寄せられる辺り、やっぱ”忍び”なんだなー、と思ったりもする。
魂の根っこが、中世の動物だよね…鬼殺隊、多かれ少なかれそういう部分あるが。
近代的ヒューマニティと、古臭い共同体主義…”家”の引力が同居している味付けは、古くて新しい大正という時代に、更に古い時代の遺物を闇に狩る物語と噛み合ってて、結構好きである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
なんつーかな…フィクション内部に構築された倫理と論理として、確かに強い存在感がある。
それを作品の外側から見据え考える視線は大事だけど、同時にフィクションの中にある人間集団がそれ自体、独自のルールと尊厳を持っているのも、また事実だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
むしろそうして、作品という結界の中命を持って動くものにこそ、お話の面白さが宿る感じもある。
現代の倫理では色々考えるところのある郭を舞台にし、一夫多妻制を堂々背負う宇髄天元をゲストに据えたのは、そういう面白い視野さをより際立たせ、フィクションだからこその奥行きをシリーズに宿す意味合いも、あったんじゃなかろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
そんな事も考える、決戦開始の第5話でした。
やっぱ今の世にスタンダードとされる倫理基準から、ちょいズレてるものを主役たちが肯定する”ブレ”が、大正を舞台とするこのお話独自の面白さでもあるよなー、とは思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
そっから何がズレてるのかとか、そのズレがどう面白いかとか、色々考えれるのは自分的にありがたい。
”現実”の大正の倫理的スタンダードからもまた、現在に描かれる創作たる炭治郎たちは”ブレ”てて、常識はずれの現代的感覚があればこそ、お話を食えてる部分もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
そういう魅力的な揺れ方を宇髄天元という”忍び”は、結構大きく背負っている。
そういう事を考える、アニメ遊郭編でもあります。
さて神めいてヒロイックな登場を果たした音柱、封印を解いた双刀の冴えはいかなるものか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月2日
テンポと味付けの是非はさておき、『ぜってぇスゲェ作画が血管に注入される!』つう期待感があるのは、鬼滅アニメの良いところだよなー。
次回も、大変楽しみです。