トロピカル〜ジュ! プリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
最強のヤラネーダに囚われたまなつは、伝説のプリキュアと人魚の夢を見る。
伝承と忘却の果てにある、一つの真実。
バトラーが邪悪な本性を顕に、愚者の棺に全ての命を捧げる。
人は何を忘れ、何を求めるのか。
深海に問いただす、最後の戦いが始まる!
そんな感じのトロプリ・クライマックス、バッコンバッコン真相開示な第43話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
ノンキでお軽い話し運びながら、この終幕に至るピースはしっかり積み上げて進んできたこの物語。
ドミノが一気に倒れて、真実が形になっていくカタルシスはやはり、心地よい。
冒頭、街中昏倒してる絵面のヤバさでスケール感を出して、クライマックスに相応しい空気を出してきたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
やっぱ最終決戦くらいは、世界の命運背負ってデカいバトルしねーとな!
ローカルな手触りを大事に進めてきた、トロプリの舞台となったあおぞら市には、愛着もあるしね…。
つうわけで譲れない戦いが始まるわけだが、ここでチームを分断して、まなつとローラ、それぞれ個人で最後の課題に触れ合う運びは面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
まなつはプリキュア代表、ローラは人魚代表で、それぞれ過去に運命を越えられなかった大人の鏡として、”今一番やるべきこと”に向き合う形だ。
優しく見守り正しく導いてくれていたはずの大人が、””現実”なるものの限界にぶち当たって越えられない素顔を見せてくると、プリキュアも終盤だなー、という感じがする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
スタプリでプリンセスたちが『無垢なるフワくんを犠牲にして、世界を守れ! 当然の犠牲だッ!!』とか言い出す時とかね。
第37話で故国と大人の限界点を叩きつけられ、幼年期を終わらせたローラ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
彼女は今回も、無邪気に正しいと信じられた世界の歪みと向き合い、それを突破できなかった大人の言葉を聞くことになる。
”現実”なるものの苦さを叩きつけられ、それでも歯を食いしばるローラは綺麗だ…。
陸と海に分断され、一つには混じり合えない世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
その重たさを和らげるために、グランオーシャンでは”忘却”が物質化・制度化されている。
女王様はそれだけが、現実を維持するためのシステムだと飲み込んで、玉座に立った。
その現状肯定はプリキュアになり得なかった、挫折の反射でもある。
思い出が願いを歪める危うさは、ラスボスである魔女様でも、しっかり描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
きれいな思い出が世界を汚す毒になる前に、それを白紙に封印する”現実的”な対処は、グランオーシャンの外…モニターの外側にも多数、あるだろう。
そんな風に哀しみと上手くやっていく方法を、飲み込むのが”成長”だ…
という結論を、当然”プリキュア”は支持しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
ローラは一年続いた物語の主役として、かつてプリキュアであり人魚であったもの達が一度も成し遂げ得なかった、夢を忘れない茨道を”現実”に切り開く一歩へ、力強く進んでいく。
世界が、”現実”が何を言おうが、夢を忘れず思い出を捨てないこと。
作中唯一人魚でもありプリキュアでもある存在へと己を昇華したローラ(この逆位相が、海でも呼吸可能な人間であるまなつ達だが)は、その分断を忘却で塗りつぶすしか無かった大人たちとは、違う結論を掴みに行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
『そんなもんだ』と諦めて、悲しい終わりを飲み込む古臭いやり方なんて、まっぴら御免
当事者として”人魚姫”にプロテストしてた頃から、ローラは熱意と改革の人であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
魔女とプリキュアの真相、憧れと見上げていた人の限界点を叩きつけられてなお、ローラはより良い道を探し、自分のしっぽで突き進もうと足掻く。
足掻くためにも、諦め忘れ去られた過去を知らなければいけない。
ここら辺、今回心地よく因果が繋がった第22話の人魚伝承とも、響き合う生き方である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
女王様は『人間と触れ合わなかった』と、ルールに従って思いを封じた過去を告げるけども、それは月光の下溢れ出て、人間の夢に既になっている。
そしてその真相を知らずとも、彼女の愛弟子は新たな伝説を生んだ。
いくらシステム化された忘却に押し込めようとしても、世界を守るために輝いた魂は物語を生む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
それは語り継がれ、あるいは思い出されて”今”へと溢れ出し、また新しい物語へと変わっていく。
そんな連続する変化と継承に、大きな力が宿っていく。
(本編がこういう形で忘却と記憶、物語を扱ってくると、劇場版がその補助線として、いい角度で刺さってくるなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
理不尽な死を超えてなお、歌い継がれる物語。
ローラがあの冥府から持ってこれたのは思い出と歌だけであるが、それこそが世界に命を取り戻す唯一の武器なのだ)
システム化された忘却と、自分ひとりだけの宝物のはずの記憶。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
その境目があやふやになるほど、権力と同一化してしまった”大人”から見ると、若きローラの不屈と決意は眩しく、また悲しい。
遠く離れるほどに、愛しさは刃となり心を刻む。
その哀しみには、時だけが教える重い実感を宿す。
しかし世の全ての人が…”悪役”たる魔女含めて…宿命に飲まれるとしても、ローラたった一人がそれを覆せない道理も、また無いのである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
私は、私だけは、どんな運命も書き換えてみせる。
そのローラの決意を若さゆえの傲慢と侮ることも、不可能と罵ることも、僕には出来ない。
ローラが”現実”の重さ暗さを知らされてなお…というか、知らされればこそ魂が燃える、根性曲がりのタフな女であることは、一年付き合ってよく知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
彼女ならば、たしかにそれを選び、成し遂げるだろう。
そんな納得と信頼も、ちゃんとある。
”納得と信頼”という意味では、まなつが自力で夢から醒め牢獄から抜け出し、『今一番やるべきこと』として”対話”を選んだの、爆笑しつつ死ぬほど嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
『殴りつけるよりまず話そうぜッ!』っていう、甘っちょろい選択…あまりに”プリキュア”であり夏海まなつ。
話してどうにもならない状況かどうかは、一回話してみなきゃわかんない訳で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
まなつはそこを探る手間を惜しまないし、常に相手の言葉を聞き魂を知ろうとする。
おバカキャラとも描かれる子だが、そういう所の視力…見えたものに突っ走る行動力は物語開始時から、ずっと優れていた。
敵の本拠地に踏み込みラスボスにぶつかるこの局面で、そういうまなつらしさが健在…というより、普段より元気なの、一年トロプリ見てきてよかったなぁ、と思わされる展開だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
思い出は毒に変わり、根源は失われていく。
忘却はシステムとなり、人はみな諦めていく。
そんな”現実”が色濃く最終決戦に宿る中で、子供たちは…”プリキュア”は最善の理想を絶対に諦めず、堂々掲げ続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
御伽噺はそれでいいし、そうあるべきだとも思う。
高邁で綺麗で、時に嘘くさい『人間のあるべき姿』ってやつを、児童に向けた物語が紡がずに誰が語るんだ。
それが遠い理想であると陰影を付け、物語としての立体感を出す意味でも、女王様と魔女様、明暗2つの”大人”が最終決戦、存在感を増すのだと思うけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
ローラもまなつも、そんな自分たちのシャドウにちゃんと向き合い、対話をする。
大人の諦めを、忘却の果てにあるものを見ようとする。
特にまなつの世界に、女王と魔女が飲み込まれた陰りは薄いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
世界全てを喰らうほどの邪悪も、話せば解ってもらえる。戦う以外の解決がある。
まなつは心底そう信じているし、その純粋こそが救いであり、新たな可能性を掴む突破口にもなる。
だが影は、常に現実に寄り添う。それは否定し得ない。
その真理を認めた上で『それでも』と告げるべく、プリキュアは”光の戦士”なのであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
イノセントであるがゆえに主役たり得るまなつが、どうしても背負えない部分をもうひとりの主役、ローラが補助する形になっているのは、良い構成だなと思う。
まなつだけが夢の中、過去の真実を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
伝説のプリキュアが魔女様…仮面の人魚を助けた時、サイズは違えど今と同じく怖くて悪そうな格好だったのが、自分的には凄く印象的だった。
忘却に飲み込まれ、根源すら失われた願いのために世界を足蹴にする”悪い人”になる前から、彼女はあのような外見だった
それでも伝説のプリキュアは傷ついた人魚を助けたし、その温もりが…転じて世界を侵す毒に成り果てたとしても、今でも魔女様の魂を灼いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
まなつが魚の足をしたローラに、一切物怖じせず近づいたのと同じ心が、上手く行かなかった過去にも確かにあったのだ。
仮面の人魚が(あえてこの言葉を使うけど)”醜い”ことは、このお話がテーマと扱った”メイク”の、大事な逆位相だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
今回まなつがリップで武装してから未知に踏み込む演出は、大変優れたものであったけども。
それは外見を整え、見た目だけを”美しく”する所作ではないはずだ。
人生全てを決めてしまうほどに強烈な出会い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
間違いなく”善い”ものとであった仮面の人魚は、悪に落ちたからといって”醜く”なるわけではない。
彼女は彼女として、そのようにある存在なのだ。
そして伝説のプリキュアも、そこには拘泥しない。目の前に在るのは、ただ傷つき助けを必要としている存在だ
だから手を差し伸べた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
全てが忘却に沈み、悲しい衝突と別れの果てになお、因縁が長く影を伸ばす結果に終わったとしても。
あの洞窟で差し伸べられた手、温められた魂に価値がないとは、絶対に言わせない。
言わせないために、ローラは魔女の記憶を再生しようとする。
陸と海、あなたと私の境界を超えて触れ合った記憶が、いかにして争乱と呪いに変貌したのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
それは来週本格的に掘り下げられるとして、魔女様は世界を犠牲にしてまで何を忘れたかったか…何故忘れたかったかすら、忘れてしまった存在だ。
多重の忘却の果てに、根源を見失った亡霊である。
伝奇力あふれるネーミングから期待されてたとおり、最高級の邪悪力を発揮した”愚者の棺”で、永遠の命と孤独を手に入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
生命がこの星にいた記憶と物語を白紙に戻す絶滅計画を、何故行わなければいけないのか。
その核に”プリキュア”があるからこそ、バトラーは魔女と戦士を出会わせなかった。
逆にいえば、すべてを忘れ世界を呪うシステムに墜ちたように見えて、確かな灯火が魔女様の中には残っているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
”プリキュア”に感じる愛おしさが、根源なき衝動のそれでも根源として未だ残るからこそ、バトラーはその忘却を自分に都合の良いよう、上手くコントロールしてきた。
『そういやボケ老人と小悪党家族に囲まれ、”悪の大幹部”っぽいことこの人しかやってなかったな…』と思い返される、バトラーさんの黒幕っぷり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
肩の力が抜けたハンディな構成を選びつつも、埋めるべき伏線はしっかり描写してきたので、彼のポジションにも納得である。
面白くもなんともねぇ永生願望ではなく、前回回想に滲ませていた悪の権化たる魔女様への憧憬こそが、世界をぶっ殺す初期衝動だと俺に嬉しいが…どうなるかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
魔女様の忘却と根源は、期待以上のデカさでありがたかったので、真・ラスボスにも情念の熱量を期待したい。
伝説のプリキュアも肉体を失った亡霊で、善い終わりを与えられなかったかつての半身を救うのに、”今”の子供たちに縋るしかねぇ、悲しい立場だしなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
ここら辺、思いを見失って実体だけある魔女様と、思いしか残ってねぇ伝説のプリキュアで、いい対比なんだよな。
”現実”を満たす理不尽に押しつぶされ、あるいは忘却を、あるいは無力を背負った人魚と戦士。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
そこに”今”をひた走るローラとまなつが、どういうアンサーを叩きつけるか。
次回、クライマックスに相応しい価値観の正念場となりそうである。
やっぱヒーローの物語なら、”それ”が最後に問われる展開が好き
加速するスケール感に全くついていけてない、相変わらずの小悪党ホームコメディ組の描写も、また大変愛おしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
敵のおうちに踏み込んで、どんな”生活”してるか見ちまったら、もう殴り合いは出来ねぇんだよなぁ…。
エルダちゃんの私室、土管とお人形可愛かったですね…。
チョンギーレさんがラスボスの居場所教えちゃうの、コミカルに描かれてはいたけども、彼もまた”対話”に開かれた存在なのだと伝える描写で良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
そういう”人間”を相手に続いてきた、のんべんだらり世界侵略も遂に大詰め。
想定被害規模はプリキュア史上でも、なかなかのもんだぜ!
その上で真実知ったローラがあくまで『思い出させる』ことに拘ってるの、強くていいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
世界全部が生きるか死ぬか、”現実”的に考えれば問答無用に停止スイッチを暴力で押し込むべき所で、過去を背負い未来に進む少女は諦めないことを選ぶ。
そこに確かに、綺麗な思い出があったのだと。
まなつ達との思い出を絶対に失いたくない自分だからこそ、微かな希望を捨てられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
グランオーシャンの真実、女王様の限界点。
幼年期の先にある世知辛さを見せつけられてなお、ローラは自分と魔女、ふたりの人魚に大事なものを最後まで、貪欲に追いかけ続ける。
そのもの解りの悪さが凄く僕の好きなローラで、とても嬉しいです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
どうにもならない世界の実相を思い知らされてなお、それでも胸の奥の炎で凍える掌を温めて、真っ直ぐに未来に手を伸ばす。
やっぱね…子供たちのそういう姿を見るのが、僕は好きなんです。
そのローラの掲げる灯火は、既に諦め忘れてしまった大人たちの魂もまた燃やして、かつて子供であった事実を、綺麗な夢に目を開いた思い出を、蘇らせてもいくでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
そんな風に眩しい存在にローラが為れたのは、やっぱまなつがいたからで。
そして太陽の如く眩しくトロピカる存在にまなつがなれたのは、ローラの名前すら知れなかった思い出が、傷となって彼女の生き方を変えたからで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
そんな風に生まれていく連鎖がちゃんと描けているのは、忘却と継承をテーマと選んだこの作品の、とても良いところだと思います。
あんま声高にエモく描くタイミングが多くないので、ともすればテーマ不在の状況主義的作品とも捉えられかねないけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
トロプリは”プリキュア”らしく、そして自分だけの新しい語り口で、叫ぶべきことをしっかり伝えている、いい作品だなと思う。
この硬軟のバランス感覚は、確かな強み。
こんだけ過去から未来に繋がっていく記憶と時間を扱っていながら、主役のテーマは『今やるべきことを』なんだよな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
点にしか無いように思える”今”に三昧することだけが、それが連なった時間という線、人という面、それらが織りなす立体的な世界を生み出しうる。
そういう真理を、おバカなまなつが一切自覚せず体現している所に、如来の尊格を感じたりもしますが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
ただそれを、今やり遂げるべきだと思えたから。
燃え盛る一念は果たして、世界を殺す闇に立ち向かいうるのか。
次回も、大変楽しみです。
追記 んで、あの人達がそういう貌する存在だってことは、このアニメずーっと書いてきたわけで。こういう所でも蓄積を生かしてしっかり回収するのは、いい幕のヒキ方よ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月10日
つーかチョンギーレさんが意思なき暴力装置に貶された時、エルダちゃんとヌメリーさんが見せた表情見れば、この人らと相手全否定の殺し合いできねぇのは明白で。
家族がその尊厳を剥奪され理不尽に食われた時、”人間”はああいう貌するわけですよ。
それ見ちまったら、もう殺せんのよ。