鬼滅の刃 遊郭編を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
口枷を噛みちぎり、鬼の力に目覚めた禰豆子は堕姫を圧倒する。
人道を外れる直前で聞こえてきたのは、懐かしき子守唄。
そんな闘いの裏側で、新たな鬼がずるりと這い出る。
妓夫太郎。
堕姫の兄、真の”上弦の陸”が放つ血鎌が、音柱の命を狙う!
そんな感じのW妹号泣回、鬼滅遊郭編第7話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
色々天秤が揺れてきた堕姫とのバトルも、無敵の天元様が瞬殺して終ー了ーッ! と思ってたら、鬼のお兄ちゃんがリングインしてきて新局面…というエピソード。
逢坂良太ボイスがねっとり卑屈で凶暴で、大変グッドでした。すげーなぁ声優って…。
色と動きがついてみると禰豆子の残虐ファイトはなかなかに陰惨で、本当に落ちる一歩手前だったんだなぁ、とよく判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
義勇さんがくれた青竹の口枷は、禰豆子から人の言葉と鬼の牙、両方を奪って守ってきたわけだ。
しかしそれは兄の危機で壊れ、兄が鞘になって止めることにもなる。
鬼の膂力を柔で制する、炭治郎の鬼殺柔術描写が妙に面白かったりもしたが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
しのぶさんのフロントチョーク対策といい、蝶屋敷でも”東京ゾンビ”みたいな絵面が展開されていたのかも知れないネ。
寝言はさておき、血に飢えた禰豆子が哀れな女郎を牙にかけそうな場面には、良い緊迫感があった。
あそこで鬼の牙本来の使い方を覚えてしまえば、禰豆子は家族を喰った仇と同じ存在になってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
この境界線で踏みとどまれなかったのが堕姫と妓夫太郎の兄妹であり、竈門兄妹はツンデレ天元の助けもあって、危うくも人の領域に留まる。
その決め手になるのは、腕力でも武術でもない。
母から継いだ子守唄の力…を思い出させ、あんだけ苦戦した堕姫を圧倒して、修羅場を引き受けてくれる兄貴分との縁である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
天元さんは忍びやるにも鬼狩りやるにもあまりにマトモで、そういう人が無理くり修羅やってるから、保たれるバランスがあるのだなぁ、と思う。
一瞬で抱え首に落とす剣閃を見ても、音柱の本質は冷徹な無音である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
暴れる禰豆子を殺すべき鬼と、冷酷に処断してもおかしくないのに、あくまで人間の範疇…背負って守るべき弱者と見て取ることで、忍びではないド派手な自分を保とうとしている気がする。
殺せば楽だが、殺さない。
そんな決断の結果、宇髄天元は自分以外仕えるものがないド派手な神様になって、ずっとやりたかった人助けを続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
恨まず、妬まず、切り捨てず。
傲慢で冷酷な印象は、流れる赤い血に比例して薄くなっていく。
そしてその人間味は、ぞろり這い出した妓夫太郎と真逆でもある。
千切れてなお繋がる手足、落ちてなお喋る首。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
グロテスクな暴力が鬼の異常性を強調する中で、妹たちは子供のように泣きじゃくり、兄はその声を聞いて必死に走る。
怪物の中の人間性、人間から這い出す怪物。
その両方が、華やぎを血臭に塗りつぶされた郭に踊るエピソードである。
抱え首は介錯の最高峰であり、『天元さんにとって”殺し”は常にそういう、敵のスイッチを切ってこれ以上悪事をさせない冷たさが宿るのだな』と納得もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
禰豆子の血にまぶたと唇を焼かれ、発音が不自由になってる状態、だんだん再生してきてマトモに喋れる状態を演じ分ける、沢城先輩の技量も良い。
堕姫は焼かれて生前の地獄を思い出し、禰豆子は子守唄に母との思い出を蘇らせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
二人の妹はそれぞれ鬼に惹かれ鬼となり、何かが決定的に運命を分かった。
その境界線は明瞭でありながら細くて、同時に残酷に硬くもある。
禰豆子には炭治郎も天元も、善逸だっている。
堕姫には美貌を鼻にかけた孤独と思い上がり、地獄を共にしてくれる兄だけが在る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
花魁が郭の花なれば、借金の取り立てに跳ねっ返りの清算を請け負う妓夫は薄汚れた泥。
ねっとりと結びつき、もはや適正距離に離れることは出来ない兄妹は、色街の光と闇を權現する。
炭治郎と禰豆子は鬼と人、バラバラであるがゆえにお互いを助け、道を正すことが出来る間柄だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
しかし堕姫と妓夫太郎は共に鬼に墜ち、もう戻れない。
怪物上等、孤独当然と荒れ狂う悪相の奥に、どんな涙と泣き声を秘めているかは、今回示されたとおりである。
それは、死に際に暴かれる過去だ。
今はただただ凶悪で、殺して止めるも難しい強敵として立ちふさがる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
下から睨めつける性悪の視線とは、また違った醜男の妬み。
妓夫太郎の異様な風体、血色に濁った瞳は大変印象的である。
その醜さは、心根が形に現れている…と、わかり易い因業デザインにまとめるのもまた、乱暴であろう。
前世でろくでもねぇ生き方していたから、真っ当じゃねぇ体もしょうがねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
他人を妬み、奪い、傷つけられたから傷つけるような道に進むのも、因果の報いだ。
そんなくくりから外れた所に、天下の大道から外れざるを得なかった亡者兄妹の外見と中身はある。
圧倒的なインチキパワーで横殴りを決め、煉獄さんを奪っていった猗窩座に続き、真っ当な殺し合いで”上弦”なるものを教えてくる、堕姫と妓夫太郎。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
静謐と爆音の緩急が心地よい天元との闘いは、命がけだからこそお互いの地金を暴いていく。
忍びらしからぬ熱と、忍びでしかない静けさを持つ男。
鬼のネジ曲がった性根と凶悪な暴力、そこに落ちるしか無かった哀しみを抱く兄妹。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
天元は背中に震える一般人を背負い、音で建物の中を確認してから爆薬を使う。
生きるか死ぬかの土壇場に倒されてなお、守るべき相手を殺さない。
それが、忍びでいられなかった男の矜持だ。
彼に対する妓夫太郎は、燃え盛る嫉心と癒やされぬ渇きをむき出しに迫る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
面がいいのは気に食わねぇ、女房三人も抱えて妬ましい。
軽薄なイケメンに視聴者も、軽く覚えた心情が暴走する。
爪を立てて血を流すほどの、醜悪の異様な加速。
それが在るから鬼なのか、鬼だから弾みがついて戻らぬのか。
そんな難問は、血みどろの問答でしか答えが出ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
鬼と人には、殺すか殺されるかしかない。
桑島法子の美声も温かい、禰豆子帰還の奇跡的例外を描けばこそ、”上弦の陸”に対峙する鬼殺隊の宿命は、紅く鮮烈だ。
優しき思い出は、鬼をも救う。
ではそれをつかめなかったものは、もう救われないのか。
妓夫太郎という最後の伏せ札が表になり、出し惜しみなしの究極バトルが展開されていく物語は、それを掘り下げていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
ギャグテイスト抱えて駆けつけた伊之助も善逸も、音柱を圧倒する強敵…兄妹の歪で強烈な絆を前に、もう笑ってはいられない。
吉原に顕現する油地獄に、沈むのは人の心か、鬼の首か。
そんな大舞台をド派手に踊るに相応しい”格”を、天元も妓夫太郎も堂々見せれた、良いバトル回だったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
相変わらずモノローグ多めながら、静かにタメル場面と、一瞬で状況が動く気持ちよさが小気味よく両立してました。
こういうメリハリは、強者の実力をしっかり伝えてくれて嬉しい。
頭の足りねぇ妹たった一人を守る鬼と、弱ぇガキぼんくらも守り切る覚悟の元忍び。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年1月18日
強さと優しさは、どんな形をしているべきか。
過酷な過去の果てに、人は何故鬼になり、鬼にならないのか。
優れたアクション描写に背中を押され、靭やかで苛烈な問が、どんどんと形になっていきます。
次回も楽しみです