ヴァニタスの手記を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
遂にダブシェの機械が起動した。
ジャン・ジャックは己の血をノエに注ぎ、過去と真実を託す。
形なき獣が人を食い、魔女を狩る世界を壊す誘惑が、従者を獣に変えたのならば。
魔女の犯行動機はすなわち、無形の誘惑に姿を与え、その手で縊り殺すこと。
そんな感じのジェヴォーダン編クライマックス、バトルと真相究明でギュンギュン加速する、ヴァニタスアニメ第16話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
囚われのノエはジャン・ジャックの後悔を託され、事件の真実を見据える覚悟を決める。
さて、魔女の犯行動機は…? というエピソード。
ノエの能力って因果関係を一気に暴く、ミステリとしてはインチキな力なんだけども、事実を見ただけでは真実がわからない事を示すことで、異能ミステリとして面白い切れ味に仕上げてきたな、という感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
彼が城に囚われてる状況を、過去を一気に開陳する足場として生かしたのは巧い。
ジャン・ジャックの回想、獣のフーダニットを解いても謎は残るわけで、そこに迫ることこそ復讐の真意を知り、クロエとジャックを犯した病を癒す鍵だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
ノエは血の記憶を通じて、”探偵”としての資質に目覚めても行く。
それは擦り切れた復讐者に、甘い希望を信じさせることでもある。
”復讐”というキーワードでジェヴォーダンの事件とヴァニタス…彼が好きなノエが繋がり、当事者性が出てくるのも、面白い話運びだと感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
もし今回の事件に深く切り込み、クロエが何を殺したくて、ジャックが何を守りたいかを知れれば、ヴァニタスが自分の傷を見据え、癒やす助けになるかもしれない
そういう譲れなさが、事件に宿っていくのはなかなか良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
ぶっちゃけ過去の因縁具合からすると、このエピソードの主役ジャンヌだからな…。
こういう形でジャック→ノエ→ヴァニタスと、事件を前に退けない理由が手渡しされていくのは、なかなかにドラマティックだ。
ノエの異能は、ジャン・ジャックの記憶を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
獣の噂は不安を増幅させ、ダブシェ家は魔女の根城として焼かれていく。
ネーニヤは優しき従者を誘惑して、真命を奪い獣に貶めた。
その復習として、クロエは世界を変える…と思わせておいて、真相は一手ズレる。
今回事件の中心にクロエに誘惑された存在、それが生み出す悲劇があるので、彼女がどんな存在かよく分かる回となっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
悪魔は誘い、弱き人はそれに屈する。
打倒するならば誘惑を跳ね除け…あるいは逆手に取り、知恵で上回る必要がある。
蘇った魔女狩りと合わせ、中世テイストが濃い話でもあるね
僕はこのお話、蒸気化された近代≒人間の領域と、永遠に保存された中世≒吸血鬼の領域が衝突する物語として見てる部分があるんだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
近代化するフランスの中に、突如噴出した非合理なる中世として、かの”ジェヴォーダンの獣”事件を選び、そこに魔女狩りを絡めて語ってくる今回、視線が重なり嬉しい
ネーニヤは旧き狂気に人を誘い、啓蒙の光を遠ざけて歪な怪物に貶す存在なので、同罪反復の古臭いルールで、ジェヴォーダンを焼こうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
ジャックも主大事の気持ち、風聞と狂気に踊らされる愚民への憎悪を煽られ、真命を明け渡して獣へと堕ちていく。
永遠に同じところを回り続ける狂った輪舞曲(それは普通には死ねない吸血種の、通奏低音でもあると思うが)は、クロエ自体も捉えた…と推測したくなる所で、ノエはそれ以外の可能性に目を向ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
何か語られない真実が、表にならない願いが、この雪の城に眠っているのではないか。
その探偵めいた目線が、望んで獣に落ちた愚物を救わない判断から、ヴァニタスを遠ざけていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
お前が信じるなら、俺も信じよう。
俺を信じさせるだけの答えを、俺に見せろ。
そんな形で、ヴァニタスはノエを信じ、他人に甘える。
こういう形でしか、彼の人間性は発露し得ない。
そんなツンデレ…というには辛く悲しい二人の関係が、よく見える回でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
ジャンヌ然り、出逢った愛でギリギリ、人間の領域に踏みとどまってる主役だよなーヴァニタス。
そのやけっぱちなデカダンスが、仏文的で好きなんだけどさ。
ネーニヤが誘惑しなくても、吸血鬼でなくとも、人間は形のない悪意に溺れ、悲劇を拡大していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
最初は形のなかった”獣”は、ヴァンピール狩りの風潮と合わせて犠牲を喰らい、それが”獣”を実在させていく。
ネーニヤという存在は、世界にありふれているものが凝集した結果なのかもしれない。
では、どうそれを越えていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
どう世界を書き換え、魂を犯す病に打ち勝つのか。
ここで主役と同じ世界改竄者(その手段が自動オルガンなのは最高)が、自分なりの答えを突きつけるのはとても良かった。
狂える悪魔の願いどおり、ジェヴォーダンを消して世界を乱すのではなく…
むしろ悪魔の無敵を切り崩すために、一族の悲願を使う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
雪の城に閉じ込められた自分に、ただ一人寄り添ってくれた人を貶めた悪魔こそが、彼女の復讐対象だったわけだ。
クロエが”良い釘宮”であって欲しいと願ってた視聴者としては、大変ありがたい逆転劇である。
悲惨な境遇と狂える誘惑に晒されつつ、クロエは貴種の誇り、父の愛、従者との絆を見失わず、一族の念願を悪魔祓いのために使う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
それが果たして、作中随一の強敵を討ち果たす決定打となるのか。
未来は理解らぬが、微笑む君は綺麗だ。
(画像は”ヴァニタスの手記”第16話から引用) pic.twitter.com/DpSGqoNIk0
不確かな噂から始まり、急激に事件に巻き込まれ、段々と因縁と動機が分かってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
旅情ミステリとして結構面白い展開を見せたジェヴォーダン編であるが、この笑顔が一つの結末である。
これは魔女の顔、聖なる復讐者の顔、誘惑に屈しなかった貴種の顔であろう。
『ネーニヤを実体化させて殺す』という結論は、悲劇の根源がどこにあるかをよく見据える知恵と、一族の悲願を己の感情に任せて使わない理性、自分を愛してくれた誰かに報いる正しさが、折り重なって生まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
この清廉な気高さは、同じ復讐者であるヴァニタスにどう刺さるか。
そこも気になるところである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
クロエは雪の城から出て自分と世界の時間を先に進める事を願っていたので、”獣”にはならない。
誘惑に負けて”獣”になったジャックは、クロエと永遠に繰り返す時間を求めて、銀の森という結界に閉じこもった。
そんな彼も、ノエに血と思い出を託すわけね…。
亡霊のように蘇る悪しき”中世”を、どう打ち払って未来に進んでいくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月4日
そんな大きな見取り図も感じられる、面白い転換点でした。
このままだと暴力的嫌がらせ装置にしかならないアストルフォの活躍含め、さて次回どうなるか。
大変楽しみです。
オメー何しに出てきたんだマジ…。