プロセカイベスト”あの日、空は遠かった”を読む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
いろんな困難を乗り越え、ライブを成功させた翌日。
志歩はセカイの屋上から空を見上げ、過去を思い出していた。
語られる傷と痛み、微かに瞬いていた輝き。
それは星座になり得なかった、星たちの思い出の物語…。
そんな感じのレオニ…ていうか志歩過去エピである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
まふかなの”いつか、絶望の底から”に続く思い出深堀りエピソードであり、プロセカの子供たちの”今”を、別角度から彫り込むフェイズに物語が移ってきてんだなー、という感慨を深くする。
物語に立体感が出るので、良いことだと思うネ。
色んな衝突と決断を繰り返して、それぞれのユニット、それぞれの速さで子供たちは、確かに大人になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
滅茶苦茶聞きにくそうなオーラ出してた志歩にあえて、咲希が踏み込んで過去を言葉にしてもらったり。
それを拒絶せず、かつての傷をみんなと共有できるようになっていたり。
ここまでの物語は無駄にならず、少女たちは確かに昨日より少し強く、優しくなっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
そんな現在地から過去を見つめ、あの時何もわからないまま流されていた激流にどんな意味があったのか、バンドという形にならなかった出会いに意味はあったのかを、少し大人な立場から考え直すエピソードである。
ていうか唐突に炸裂した、未羽という青春爆弾があんまりの火力で、全てがエモの爆心地と化した…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
レオニは運命の四人なのでガッチリバンドとして噛み合って、同じ方向を同じ強さ…になるよう、時折擦過傷も生みつつお互いをちゃんと見て、真っ直ぐに青春を進んでいく。
しかしそうはならなかった過去も、そこで確かにあった出会いもあって、そこにはレオニとはまた違った距離感が息をしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
人の間でうまく生きれない、生真面目にベースに打ち込むことしか出来ない不器用な”あの時”の志歩に、抱き合うでも見つめるでもなく、ただ隣に座る存在がいた。
それはバンドという星座を作らないが、確かに音楽で補助線を引いて結びあい、出会って別れて…また出会える関係だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
レオニは四人の結び付きが強いからこそ、外側への扉を閉ざし、空気が淀んでしまいかねないユニットだと思うのだけど。
そこに最高の風穴をブチ開ける、唐突な昔の女爆弾であった。
自分の不器用にダチを巻き込まぬよう、棘を生やして遠ざける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
そんな生き方しかできなかった昔の自分を、今の志歩が微笑みながら肯定できるのは、無論最高の友情をなんとか取り戻し、輝く”今”に癒やされているからだ。
しかし、たしかにあの屋上に、未羽とともにあったからこそ…
かなりギリギリの所で、手が届かないとしても青空は確かにそこにあって、見上げることしか出来なくても離れられない、嘘のない”日野森志歩”を、手放さずにいられたのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
うまく生きれない自分を見捨てず、腐った”普通”に迎合もせず、芯のある強さを守れたのではないか。
音楽を好きなままで、いられたのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
そんな事を、サラリとベタつかない語り口で静かに伝えてくる、見事なストーリーだった。
志歩と未羽の訥々とした友情もよいのだが、志歩が必死に守ろうとしがみついた音楽が、転校を繰り返す中寂しさに飲まれかけていた未羽の、命綱になるのが良い。
それは『日野森さんとやる音楽』じゃなくても、未羽の寂しさに寄り添い、手は届かなくとも確かにそこにある青空…だからこそ寂しい自分を、否定せずにすむ助けになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
別れた後も音楽は続いて、未羽は自分なりの音楽を杖にしてあるき続け、もう一度交差点で志歩と出会う。
別れたとしても人生は続いていくし、離れたとしてももう一度出会うかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
屋上から友達を、遠く見下ろしていた中学生の志歩は、そんな先のことは考えられなかったと思う。
生き苦しさに押し潰されかけ、巧くやれない自分に絶望し、距離をとって自分とみんなを守って、それでも苦しく寂しい。
その血が滲むほどに青い時代に、音楽はいつでも志歩の側にあって、叫ぶように引き続けたからこそ、未羽の耳にも届いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
そうして意図せず手渡された音楽が、志歩とは別の…でも何処か似た寂しさと苦しさを抱えた未羽の、生き延びる術になっていく。
それは凄く、音楽の強さと希望を信じた物語だ。
志歩と未羽があの屋上で共有した音楽は、人に属さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
ここまで『レオニのみんなだからこそ』な音楽を書いてきたお話が、ここで運命の星座になり得なかった物語に触れ、それでもなお人を繋ぎ、生かす”匿名の音楽”を描き得たのは、凄く良いことだと思う。プロセカは、音楽の話なので。
無論世界のあらゆる物事と同じく、音楽にも明暗複雑な顔があって、腑抜けたエンジョイ勢である先輩たちは志歩の熱意を踏みつけに、イヤーな傷を刻み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
そういうことも、音楽をやっていればある。
同時に、屋上で未羽と出会い、重なることがなかったあの音もまた、音楽の一つの顔なのだろう。
そのどれもが悪くはなかったと思い返せるのは、青春を生き延び過去を回想する足場を掴み取った”大人”の…あるいは生存者、成功者の特権かもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
苦しみのただ中にある時、そんな事を考える余力はないかもしれない。
それでも、そう思えるようになったのは、KAITOの言う通り祝福だ。
不器用なバンドボーイであるレオニKAITOを、今回のマッチアップ相手に選んだのは最高の選択で、楽器で喋るしかねぇ音楽バカ二人が共鳴する瞬間は、あまりにいい音鳴っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
色んな顔を持ちうるのがヴァーチャルシンガーの良いところであり神性だが、”不器用”の象徴として、彫りの深いお顔立ちでした
志歩が不器用にもがいて、彼女なり必死に考えて、自分と自分の大事なものを守ろうと、沢山間違えた過去。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
それと同じままならなさとか、必死さとか、痛さとか青さとかに現役で苦しんでいる人たちにとって、今回のエピソードは凄く”生のもの”として、届くお話だった気がする。
自分自身そうなので実感込めて言わせてもらうが、荒波を生き延びて過去を振り返る足場をなんとか確保した後も、荒れ狂った感情や暴れた痕跡は心の中に生きたまま残っていて、時折強く身じろぎをする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
何もかもが思い出になるには遠くて、でもあの時の実感を完全には再現できない、そんな空との距離感
レオニの本道からすれば、バンドメンバーになり得なかった未羽の物語はあくまで”外伝”でしかなく、しかし今回それを切り取った筆の強さは、志歩と未羽がたしかに同じ空を見上げたあの時を”オマケ”にはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
回り道に見えても、迷い道に思えても、無駄な歩みと誰かが笑っても。
確かにキミが歩み、キミと進んでくれた”あの時”には、そこに込められた迷いと痛みには意味があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
あるいは今、まさに生きる苦しさのど真ん中にいるあらゆる人に、その”外伝”は全く無駄ではないのだと、伝えるような物語。
今回のイベストは、そんな人間讃歌としての強さがあった。
これは8章立ての短編として、一回で綺麗に終わっても良い構造が、強く影響しているとも思うけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
レオニ本編はまだまだ、グラグラ揺れつつ色々笑い合い進んでいく、終わらないお話なので、ここまで綺麗に決着し、短編としてまとまりのある構図は取れないんよね…。
逆に言うと、志歩と未羽の運命が触れ合いつつも重ならず、それぞれの音楽を抱えて自分の道を進んでいる”今”があって、過ぎ去った時間を愛おしく抱きしめ直す、今回のまとまりがあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
そう思える場所まで、志歩は自分を運び、レオニのみんなを引っ張ってきたのだ。
それはやっぱ…良いな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
僕はプロセカの、眩しく輝くフィクションを描きつつも何処か、『モニターの向う側にある百万色の現実に、今自分たちが作ってる嘘っぱちを突き刺して、人生揺るがしてやる!』って野心を感じる所が好きなのだが。
そんな優しく強いビートが、元気なエピでした。
今回のエピソードは志歩にも未羽にも…あるいは勝手で優しくないクソみたいな先輩にも何処か似ていて、でもキミでしかない僕らに紡がれたエールなのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
今苦しくそれぞれが見上げている、それぞれの青空を諦めなかったことが、微笑みとともに思い返せる時が、かならず来る。
そんな綺麗事を本気で信じて、強い物語で伝えることで、セカイを越えて何かが伝わるのだという信念が、青空の太陽の如く高く遠く燃えているのは、俺は凄く良いことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
そんな青春短編としての、教導でありエールでもある強さが宿った、一つの思い出…であり、志歩達の”今”の話でした。
思い出語りに涙して終わりじゃなくて、”今”に飛び出して交差点で出会い直すラストが、やっぱ最高に良いんだよな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
あの時屋上で生まれた火花は、それぞれを照らす星になって、誇りある道は重ならずとも交わって、少女たちは自分たちの音楽を続けていく。
世は音に満ちて。本当に良いエピソードでした。
追記 毎回、プロセカのタイトルセンスはスゲーなー、と感心してる。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
今回のイベストサブタイ、”空は遠い”とは言っているが、”空は無い”とは、けして言わない。
それが友情を遠ざけつつ寂しくて諦められなくて、ずっと一歌を見つめ続けてきた志歩の過去を見事に切り取って、良いサブタイだと思う。
志歩は遠い空を掴めたのだろうか? 星は手の中にあるのか?
それは今後、チケットノルマとかプロデビューとか、結構生っぽい”音楽”と四人(+セカイと世界の仲間)で向き合っていく物語の中で、もう一度語られる”今”なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
遠くて、でも無いわけじゃない青空。
それは見る人それぞれに違う色で、でも同じ空なのだ。モチーフの活かし方が最高に巧い。
追記 こういう感じで、ダイレクトにエピソードには出ないけど確かに呼応してる『クッションをかけるパス』が生きるのは、複数ユニットの強みだなぁ、とか思う。
あと志歩と未羽の”間合い”は、中学時代の瑞希と類を思わせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
未解決のままずっしり揺蕩ってる瑞希の重たさにも今回のような助けがあり、重ならずとも交わる思いがいつか、遠い青空を自分に引き寄せる足場になってくれると示す形になってて、思わぬ所に共鳴があって良かった。
こうして並べてみると、志歩達レオニが青春を振りちぎりり新たな青春に進む足取りと、瑞希が言い出せぬまま立ち止まる物語のスピードはもちろん違くて、苦しみとの距離も異なるわけだが、根っこの部分は似通い、同じなのだと思わされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
志歩が微笑んで、傷を言葉に出来たように。
瑞希も現在進行系の痛みをどうにか形にして、客観に遠ざけることで癒やす事ができるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月18日
その時、同じく屋上で触れ合い別れていったヘンテコな青年との思い出は、どんな助けになるのか。
そういうことに思いを馳せれたのも、良いイベストだった。