その着せ替え人形は恋をする を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
紗寿叶の気弱な専属カメラマン、心寿とも”好き”で打ち解け、合わせの舞台となる廃病院へ向かった一行。
雷雨の中で語られる、選んだ理由、選ばれた意味。
創る喜びに胸を高鳴らせる新菜を誘い、海夢が向かったのは…湘南江の島!?
そんな感じのコスプレ青春群像劇、色んな輝きが眩しい第8話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
”ワンダーエッグ・プライオリティ”のアクションディレクターがコンテ演出、キーアニメーターが作監を担当し、いつも以上に繊細でフォトジェニックな美麗が踊る、力強いエピソードとなった。
極端に細い描線、常時揺らぎ続けるキャラクターの実在感、フォトリアルでありながら幻想的でもある美術。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
神経質とも言える表現力は”着せ恋”でも元気で、コスプレに青春を賭ける子供たちの震えが、心地よく伝わってきた。
前半廃病院の暗く密閉された空気、後半江ノ島の白飛びした開放感と、対比も良い
お話全体から見ると箸休め的な短編連作なんだが、そこに漂う息遣い、初夏の潮の香りまでアニメに落とし込んでいる筆の強さが、それで終わらせない力こぶを宿していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
こういう”カウントを整える回”にこそ、異様な仕上がりのエピソード来る時ってあるよね。
まぁ着せ恋は、全話つえーが…。
というわけで前半は、心寿も交えての合わせチーム交流エピ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
”写真”を題材にする回だけあって、レンズ効果や照明、遠近感やボカシなど、実写的表現が随所に効いて見応えがある。
作中『巧い写真』とされてるものが、実際に巧すぎる説得力ね…。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第8話から引用) pic.twitter.com/8mpIt5hkkx
『いつもに増してまつげなげーな…』などと思いつつ、お話は”ジュジュ”誕生の秘密とか、”好き”で繋がる青春サークルなんかをスケッチしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
心寿の深いところに踏み込むより早く、『あ、この子お姉ちゃんの一番のファンなんだな…』って理解らせてくる話運び、とっても好きよ。
恋愛も趣味も最高に輝かせながら、”好き”への讃歌を奏でるこの物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
海夢ちゃんの好き好きグイグイスタイルは、心寿の壁を秒で溶かし、あっという間に和やかな空気が生まれる。
ナイーブな描画が心寿の難しさ、それを超えてく海夢ちゃんの強さを活写してて、演出とドラマ噛み合ってんなー、て感じ。
今回のコスプレ豆知識はカメラについてで、お値段とか使い方とか、絆深まる語らいに混ぜて教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
知らなかった世界を知れる窓として、ドラマの勢いを殺すことなく適度に知識を摂取できる作りになってるの、本当に良いし巧いなー、と思う。
凄く独特で、王道なリアリティの編み方…つうか。
廃病院での影の使い方、やや引き気味のカメラで真ん中に人物置く見せ方とか、鼻の奥にサイダー弾ける演出多くて、ファンとしてはありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
不気味さと同時に、何かが起きそうな異界のワクワク感があるのが、後に起こる雷雨の語らいの準備をしてて、表現力の上手い使い方だなぁと思う。
こういう細かい巧さは随所に満ちてて、心寿と海夢ちゃんの間にはまだ窓枠があって、そこに踏み込んでるのは海夢ちゃんの人差し指だけだったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
腰に構えた両腕は、抱えた心の重荷を支える怯え。
乾心寿、身体はデカくとも根がビビリである。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第8話から引用) pic.twitter.com/AkCGWfKnfl
『コスプレしないの?』と問われて、一瞬の躊躇いを見せつつはぐらかした心寿のドラマが動くのは、まだこれからである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
今回本格始動するのは姉の方なんだが、こういうところでキャラを細やかに表現し、のちのドラマの足場作ってるの、タクティカルな表現力だなー、と感じる。
さて、その姉。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
”烈!”作画がどー考えても本編と同じスタッフなところに、『俺たちゃエッグ世界で戦ってきたんだぜ!?』つう叫びを聞いた(間違いなく幻聴)
着せ恋見てると、自分がワンエグに思ってるより囚われてる事実を突きつけられるよ…。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第8話から引用) pic.twitter.com/BYyNNEq6ri
画面の中の夢が立体化し、自分と重なる瞬間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
ショーケースを鏡として、ジュジュ様の感じた奇跡を視聴者にも解らせる演出は、大変いい。
五条くんも同じ輝きを人形の顔に見て、孤独な時間を過ごしてきた。
”好き”に出会うことは呪いも生み出すが、根本的には輝く祝福だ。
あるいはそれが祝福になるように、この子達は必死にあがいて、全力で走ってるわけだけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
誰かの一番に選ばれる喜びを、かつて祖父に差し出した五条くんが、嫉妬するほど一目惚れしたジュジュ様からそれを差し出されるの、因果が繋がった感じがして大変いい。
たった一人の家族として、自分の”好き”を導いてくれる師匠として、五条くんの大切なおじいちゃんの気持ちを、コスプレに関わって広がった人の輪から教えてもらう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
こういう形でも、五条くんが”コスプレ”やる意味を際立たせてくるの、多角的でいいなぁ、と思う。
前回絵付けが良くなったのを褒められたシーンもそうだけど、一見関係のない事が大事な”好き”を育んで、色んな広がりが世界を豊かにしていく描写が確かなのが、爽やかでいいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
同時に二人きり、狭く暗い場所に膝を寄せ合うからこそ言えることも、然るべき場所でしっかり描く。
ホラーテイスト漂う廃病院は、ツンツンしたジュジュ様が自分の根っこを五条くんに預けるための、大事な舞台だったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
そういう場所を時にコミカルに、雰囲気ばっちり描ける強さは、やっぱ良いなと思う。
この閉じて湿った感じが、後半一気に反転するのもカタルシスあってグッド。
つうわけで海だよ海! マジワカメなんですけど!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
初夏の江ノ島海岸を、青ではなく白に統一してどっしりカメラを据え、そこを駆けていく二人の青春…宿る息吹を伝える。
短編映画的なな絵作りが、大変いい。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第8話から引用) pic.twitter.com/HhSHhLFAaX
話としちゃ日常のスケッチ、五条くんと海夢ちゃんの青春の1ページって位置づけだが、そこが徹底的に良い雰囲気で、最高の青春が泡立ってると常時伝えてくる、細やかな描画力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
風に踊る髪の細やかな描写が、彼らの繊細な心を上手く反映している。
細やかに目の前で動く、活きた少女の多彩な表情。
海夢ちゃんは感情と表情が豊かなのがチャームポイントだが、とにかく細やかに動き続ける今回の作画は、そんな生物的な魅力を伝えるのにとてもいいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
もともとそういう作風なんだが、今回は特に強めのブースターが乗って、バリバリ暴れてる印象。心地よく、常時揺らぐ揺らぐ。
『つーか…海辺デートじゃんッ…』と、特に大事なことはなーんも起きねぇからこそ大事な描写の中、名状しがたい感情を突き動かされながら呻くわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
五条くんは始めて見る波打ち際に戸惑い、思い切って一歩を踏みだす。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第8話から引用) pic.twitter.com/lN3TZy3UtT
彼が踏み出す先には海夢ちゃんが先にいて、彼女がいてくれるから初めての怖さより、自分の目と肌で感じる波の心地よさを、手のひらにすくい上げることも出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
コスプレも、波も。
閉ざされていた五条くんの世界は、海夢ちゃんとともに進むことで、眩しく開けていく。
”アニメーション”としてみると、五条くんの足に戯れる波、寄せて砕けて形を変えるその動きこそが、今回の白眉なんだろうな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
変わっていく世界を、五条くんはもう恐れてはいない。
そこに彼を連れ出した少女は、赤子のように無邪気に喜ぶ少年を、鋭い視線で射抜いている。
ふわっと柔らかなギャル仕草で心を掴みつつ、少女が想い人を見つめる真剣さ、鋭さで突然殴りつける所が、良い不意打ちで好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
テンション上がった限界言語をあえて抑えて、江ノ島の風に静かに、とびきりの決意を乗せる。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第8話から引用) pic.twitter.com/pTd1qrnjil
チャーミングでコミカルに描かれてきた海夢ちゃんの恋が、どんだけマジか…そしてそれが、彼女の美質である飾らない可愛げと同居しうることを、彼方の少年を見つめる視線と、そこに踏み込む一歩が伝えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
夏休みデートをそれとなくもぎ取る時、バクバク高鳴る心音を隠す健気が、大変いい。
友達距離感を偽装したまま、とびきりエモいシチュエーションに滑り込ませるように、恋の尻尾を捕まえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
その抜け目ないズルさが、気取られたくない強がりが、画面の繊細さとばっちり噛み合い、海夢ちゃんがどんな物語を歩いているかを、よく教えてくれる。非常にいい。
最後のシーンがまた良くて、前半主題になった”カメラ”を、見事に回収していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
その美しい姿を、どうしても切り取り残し伝えたかったから、人は写真機を手に取る。
撮影担当の五条くんではなく、被写体である海夢ちゃんが撮るのが、とてもいい。
(画像は”その着せかえ人形は恋をする”第8話から引用) pic.twitter.com/GynWVJqioz
熱い感情が思わず醒めて、でも頬を赤くする体熱がずっと残ったまま、フレームの中に一瞬を収める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
心寿が姉を思ってシャッターを切る時、必ず心に宿る思いが彼女だけのものではないと、前後編を繋ぐ演出だろう。
そんな風に繋がりながら、それぞれの”好き”を焼き付けながら、青春は弾む。
その足音がよく伝わってくる、大変いいエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
やっぱこの鮮烈な透明感と、地面に足がついた浮遊感は強いよなぁ…詩的なんだけどファンタジーに浮きすぎない感じで、ユートピア的ラブコメとの相性が抜群だ。
心をえぐり倒す青春バトルロマンスともな!(ワンエグ亡者の呻き)
大きく構えすぎず、本気の”好き”で人生が良くなっていく実感を濁りなく描く本作品。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
こういう形で、なんでも無い最高の一日がしっかり描かれたのは、お話の背骨としてめっちゃ強いと思います。
この話数に溢れる空気を胸に吸い込みながら、物語は続く。
次回も楽しみッ!
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年2月26日
今回のサブタイは姉の巨大過ぎる光に魅せられつつ、それを自分と比較して影に入っちゃう心寿の気持ちが巧く乗ってると思う。
逆光に沈み舞台裏に立ち続ける彼女が、ホントはどんな光を浴びたいのか。
それが今後、話の軸になっていくわけだ。