東京24区を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
加速する街の状況に、電子の檻に宿るアスミの亡霊は混乱を深める。
テロ容疑で拘束されたシュウタに突きつけられる、火災事件の真実。
迷いと後悔に向き合い、新たな道に進み出すために、少年は全てが始まった場所へと仲間を呼び出した。
そんな感じの真剣10代殴り場ッ! 思いは拳に乗せて吐き出せ!! な、東京24区第11話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
もうちょいスマートに状況転がしてくるかなー…とも思ってたが、蓋を開けたら超泥臭くオールドスクール青春物語してきて、ビックリするやら納得するやら。
まーこういう話だよなぁ…。
凄く率直な物言いをすると、この作品にそこまで体重預けきれていない感じもあるので、あの殴り合いは『ようやった!』と肯定するより、やや気恥ずかしい古臭さと、『やっぱこういう方向で突っ走るんだな』という納得が混じった、なんとも難しい食感で噛み締めてた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
商店街の書き方といい、やっぱ古い
古いは古いんだがその泥臭さはそこまで嫌いじゃなく、殴り合い宇宙を通じて元サヤに戻れたRGBには頑張って欲しくも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
そしてクライマックスを目の前にしたこのタイミングで、こういう青春殴り合いに感情と状況の整理を預けちゃう筆致が、扱ってる題材とマッチしているかは、ずっと疑問である。
さておきお話は先端テックの話を横に置いて、シュウタ魂の歩みを重点的に描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
筑紫さんの追い込み方がなかなか良くて、筋肉の鎧で震える魂を覆ってきた少年が、何を後回しに悩んでいるかを巧く暴いてくれた。
火災事件の真実は納得出来るもので、大きな疑問点が一つ解消して嬉しい。
キャラとドラマの原点なわりに踏み込みが浅いなー…と思っていた部分なので、子供らは疚しさから、大人は政治的思惑から、それぞれ目を逸らしていたって真相は納得である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
万能の神ならぬ立場ながら、悲しい結果を導いてしまう至らなさを嘆き、『ああすれば…』と思い返してしまう人間の性。
それは例えば区長が完璧な世界を求めて、一度封印したカナエシステムを駆動させて、一度死んだ娘の魂まで苦しめてるのと同じ気持ちなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
決断は責任を生み、一度進んだ道には加速がついて後戻りが付かない。
大人たちが飲み込まれてる落とし穴に、ハマる前に存分に悩み、語らえ。
筑紫さんがCMDをシュウタに預けたのも、自身は守れなかった過去をある意味、ヒーローに取り戻してもらう賭けなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
黒葛川さん救出を経て、シュウタが筑紫さんに認められるようになった描写は、過去編と絡んでなかなか感慨深かった。
屈折しつつも、立ち止まり引き返し未来に賭けるのを諦めない
”大人”の書き方にもグラデーションがあって、黒葛川さんと筑紫さんは過ちつつも立ち止まれる立場で、区長とゼロスは行くとこまで行くしか無いポジション…て感じだな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
そして大人ぶってたコウキとランちゃんも、そういう不可逆の一歩を踏み出…しかけた所で、シュウタの実直な語りかけに捕まる、と。
アスミを殺すか、眠らせるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
選択し得ない問題を前に追い込まれたシュウタが、マリに頼ったのは良かった。
第2話で複雑な陰影を見せてた彼女が見つめ、苦しんだ場所に、死人の方ばっかり向いて、マッチョであることで苦しみを封じてきた少年が、ようやく並ぶ。
そういう場面だった。
シュウタをヒーローにしたアスミの巨大さを、どう解体し昇華していくかが、青春譚としてのこの話の大事なポイントだと思っていたが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
ここでシュウタがマリに辛さを預けることで、アスミが成仏した後一緒に時間を過ごしていくパートナーが、しっかり固まった感じもある。
それはシュウタにとって無謬の英雄だったアスミが、システムに囚われた生贄として苦しむ、たった一人の人間なのだと思い知らされたからでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
こういう当たり前の大事なことを、生前気づけ無いまま事態が転がっちゃった切なさとかは、結構好き。
死や時間という、人の領分を大きく超えた理不尽。
それに包囲されて何も出来ない、無力な自分を思い知ることが子供時代を終わらせるトリガーだとしたら、大人の時間を始める合図はそれを認識した上で『それでも』と這い上がる事なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
ここでまずマリに相談することで、シュウタは大人である自分を支える杖として、彼女を選んだ。
アスミではなく
死によって永遠に大人になることが出来なくなったアスミに捕らわれていれば、シュウタも前に進めないし、アスミも亡霊として歪んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
理不尽をどう飲み込み、間違えだらけで無力な人間が明日という日を、どうすれば少しはマシに出来るのか。
古くて新しい、現在進行系の問いかけだ。
…なんだが、”古くて”の部分はオーソドックスながら結構丁寧に終えていながら、”新しい”の部分があんま鮮烈に描けていないので、作品全体が飲み込みにくくなってる感じはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
パーツとして組み込んでる要素は結構ナウいのだが、接合面が滑らかじゃないというか…もうちょい噛み砕いて欲しかったかな
シュウタが二人を呼び出して青春殴り合いで本音を引っ張り出す展開も、それ自体は好みだし悪くもないのだが、作品が見据えてる近未来的ヴィジョンにマッチした選択だったかというと、個人的には疑問が残る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
未来に繋がる現在のスタイリッシュさと、泥臭い青春物語のミスマッチを狙ったのかもだが…
やっぱ現状、ネタを切り開くエッジの鈍さ、それを画面に広げる手付きの泥っぽさが先に立って、違和感が先に立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
あそこで延々本音とキャラが抱える問題点、克服するべき矛盾と望んでる解決策をダイレクトに叫ばせる以外の表現が、選び取れたんじゃねーかな、と考えてしまう。
『なければならない』に固められ、迷える少年が大人の鎧を着てる状況を、文字通り殴り飛ばして壊しに行った展開自体は、結構好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
クライマックスが始まってから、現場で青春のぶつかり稽古されても、別の意味で冷えてたと思うしね…事前に爆破解体しておくのは大事だと思う。
『アスミのため、皆のため』を看板に、自分のエゴと向き合えてないコウキの欺瞞とか、自由を標榜しつつ混乱を広げてるランちゃんの暴力性とか、問題点に率直にツッコみ、少なくともRGBの間では共通見解を作れたのは、クライマックスを突破する上で良いことだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
アスミの死を通じて己の無力と世界の残酷さを知り、『こうでなければならない』と思い込んで迷いを封じた二人は、シュウタの呼び出しを起爆剤に、悩んでも良い子供に戻っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
相談と対話を通じて、必然的に欠けてしまう能力を補完し、世界を少しでもより良くしていける人間種の特性。
そこに立ち戻る話運びとも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
ただ…中庸と対話が唯一の処方箋だと解っていても、自分から見えている世界に閉じこもり、寛容を投げ捨てて他者を排除する引力は、あまりにも強い。
答えが分かっていながら、それを実行できない難しさ、愚かさ、至らなさの手触りは、重たくリアルだ。
ここに殴り合いで自分たちの答え、悩める少年としての現状を確認したRGBが、どういう説得力を以て切り込んでいくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
作品として出すだろう答えが、どんだけ視聴者に…つうか俺に刺さるのか。
そこが、クライマックス最大の焦点だ。
なまじっかリアルなネタだけに、そこの精度は大事よ、自分的に。
このお話が見据えた秩序と自由、加速する技術と人間社会の変容って、自分的にも大事なネタで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
だからこそそれをフィクションとして噛み砕く顎と、複雑で難しい問題を単純化して示す腕は、シビアに見ちゃう部分があって。
『いや、その描き方ヤベーだろ…』みたいな判断も、幾度かしてきた。
ぶっちゃけオールドスクールな青春物語を戯画したような殴り合いで、わだかまりが砕けて関係がより善くなった今回のクライマックスは、複雑に絡んだ問題を扱う物語としては、シンプルで無邪気に過ぎると思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
アンタらは”それ”で良いかもしれないけど、アンタらが触るネタは、そこまで単純じゃねー
そういう乖離を、青春が拳に乗っかって躍動するアツさに確かに炙られながらも、どっかに感じてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
ここら辺のズレは、先進化する社会とそこから取りこぼされたスラムの中間点として、”三丁目の夕日”的古き善き商店街を配置しちゃうセンスと、どっか通じる。
少なくとも僕は、そう感じる。
加速する管理技術社会と、そこからはみ出す自由の叛逆。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
幾度も描かれた物語を別の角度から描きなおしたい試みは評価するが、どっかに結構デカいズレがあって、それがこの最終盤まで埋まんなかった感じはあるな。
これが僕個人の感覚なのか、客観的評価足りるべきものかは、よく分からんが。
暴走する秩序と自由、それを加速させる技術を描く定形から外れるにしても、もうちょい刺さる書き方があったんじゃないかな、というこの疑念。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
これが確信となるか、『スンマセンでした』と撤回するかは、やっぱ最後まで見ないと判断付かない部分だろう。
ただ…大事な人の理不尽な死を飲み込みきれず、幻想を砕かれてなお夢に縋り、ヒーロー目指して突っ走って何度も間違え、それでも必死に走った青年が、”考える”という彼なりのヒロイズムにたどり着くまでの話としては、凄く好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
シュウタを好きになれたのは、僕がこの話と向き合う大事な足場だ。
超越的な技術と能力を扱うヒーロー物なのに、あんまスカッとせず鬱々と思弁的なのが、僕は結構好きなポイントで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
シュウタの等身大の…というには、辛いことが多い青春にしっかり歩調を合わせて、なんも考えねー脳筋クソガキが、打ちのめされて立ち上がる歩みをちゃんと描いたのは良いことだ。
そういう視点から見ると、あの殴り合いは大変シュウタ”らしい”解決で、『まーそうなるな…』と納得もできるわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
色々ありすぎて疎遠になりかけてた三人が、人生の原点で元のヒーローユニットに戻る話としても、悪くない展開だしなぁ…。
ここら辺の情のドラマと、扱うテーマの接合面を…
自分なり納得させて、終わりを見届けたい気分である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
ガチャガチャ文句言った所で差し出される作品に変化はないわけだし、こうして書いて言語化する中で、適切な距離を自分なり測って、そこまで自分を引っ張っていく方が建設的だよなぁ、やっぱ。
この感想は、そこら辺の位置調整でもある。
『そんなら鍵かけて一人でやれ!』って話にもなるのだが、まぁ自分が感じたものをWebの海に流して、どっかで誰かに引っかかって独りじゃないんだと感じたいのよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
話がズレたが、そんな感じで腑に落ちる描写と喉に引っかかる展開、両方があるクライマックス前の因縁整理でした。
区長攻略の難しさが”説得”にあるとゼロスに語らせて、息子であるコウキが異能を活かして道を作る予感を、的確に作ってたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
クナイの遺産を通じて、電子の亡霊に生ったアスミと対話する見せ場を、ハッカーであるランちゃんにトスしたり。
そういう地ならし結構上手かったのは、大変良かった。
今回殴って整えた青春の土台を活かして、あまりにままならない世界を少しでも良くしていく飛翔を、どう描いていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年3月30日
24区編入投票というリミットも迫り、お話も残りわずか。
一体どんな決着が見れるか、次回も楽しみです。