SPY×FAMILYを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
”梟”に課せられた次なるミッションは、面接のため妻を作ること!?
運命が導いたお相手は、”眠り姫”の名を持つ凄腕の殺し屋。
嘘まみれの交際は、一足飛びに爆炎のエンゲージへと突き進み、秘密だらけの最強家族が誕生するのだった!
そんな感じの新感覚ファミリーコメディ、ヨルさん登場の第2話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
前回鮮烈に顔見世した父&子に負けず劣らず強烈な、血みどろヒロインの颯爽登場となった。
ほっこりヒューマンドラマとハードアクション、鮮血の裏稼業にちょっとのスカッと要素と、沢山の笑い。
色んな要素を一箇所に詰め込んで、その全部が面白い贅沢なお話を背負うに足りる、良い造形のキャラである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
暗殺者としてスパイとして、完璧にキメてるようでいてどっかが抜けてて、『そうはならんやろッ!』とツッコみたくなる隙が完備されてるの、つくづく仕上がってんなー、と思う。
というわけで本編…に入る前に、石浜真史全開のOPがまず楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
皮膚感覚的に気持ち良すぎるカットの繋ぎ、3つの絵柄を景気よく切り替えるスピード感、主張の強い監督クレジットと、石浜のオタクが大喜びする要素が全盛りで、大変グッドだ!
(画像は”SPY×FAMILY”第2話から引用) pic.twitter.com/6tvxLJXAfb
アメコミ調・童話調・スタイリッシュなアニメ調と、短い時間で絵柄がコロコロ変わるのは、フォーカスが当たる人物によってジャンルもエピソードの味付けも大きく変わる、作品の特色を見事に切り取ってると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
そのどれも個別の楽しさがあり、混ざりあうとなお面白い。
そういうアニメの、そういうOP
ロイドさん主役のスパイアクションとしても、アーニャ主役の児童頑張り物語としても、ヨルさん主役の血みどろ裏街道家族劇としても、全部おもろいんだよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
これらは家族にバレてはいけない秘密で、アーニャの読心能力を通じて視聴者にはバレバレのコメディで、結構な死人が出てるリアルでもある。
この境界線がくっついたり離れたり、ジャンルを高速で行き来しながら、笑いと温もりを接着剤にしてひとまとまりの面白さにもなってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
この高速で自在なステップ、力みを見せない軽やかさがウリのお話だと思っているので、その看板になるOPアニメがこういう表現を選んだの、凄く納得だった。
そんなスラップスティック・コメディに華やかさと血の匂いを連れてくる、我らが”はは”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
ヨルは婚姻マウントで気持ちよくなれてしまう、俗で平和な日常に馴染みきれない、漆黒の花である。
平穏な表層からの乖離を、ポットの反射が良く照らしている。
(画像は”SPY×FAMILY”第2話から引用) pic.twitter.com/4pXJYPKLtj
では血まみれの暗黒が彼女の心地よい居場所かといえば、そういうこともない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
大量殺戮の証は暗い闇の中に遠ざけられ、果たした仕事よりも、一張羅が破れたことのほうが大事だ。
その小市民な感覚は、自身が生み出した皆殺しの暗さから、奇妙に浮いている。
殺しはあくまで任務の副産物、あくまで偽ること…を通じて子供が笑える国を守るのが仕事なロイドさんに比べ、ヨルさんは”公”を背負わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
大事なのは弟との生活であり、自身を取り巻く小さな厄介事であり、もはや日常となってしまった血塗れの”仕事”だ。
奇妙にぶっ壊れた日常的感性を保ったまま、しかし面白くもねぇ市役所的生活にも沈みきれず。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
用意に殺しを解決手段と選んでしまう獣を、内側に隠した人間凶器は、どこかぼんやりと不鮮明なまま、光と闇の間に立ち続ける。
この危険な壊れ方が、静かなる戦士として強い自己を持つロイドと、良い対比だ。
世間に顕には出来ないとしても、ロイドさんの仕事は自分…の延長線上にある家族で収まらない、大きなものを護るミッションである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
しかしヨルが化粧室の眩さから見つめる血みどろの暗黒は、、あくまで私益の末端でしかない。
その生臭さを一瞥はしても、背を向け”普通”にはなれないいばら姫。
お互い思惑を抱えた二人は最初、白々しくその顔をショーウインドウに照らしながら出会う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
当たり前の幸福は遠く遠く眩しく、ロイドさんの作り上げた完璧は、そこから跳ね上がる泥を見事にはじく。
スパイと殺し屋、暴力を背中に隠した同志。
(画像は”SPY×FAMILY”第2話から引用) pic.twitter.com/a7Ni1KI6WY
二人が嘘なく思いを通じ合わせられる場所は、<梟>が飛ぶのに相応しい光と闇の中間点…バイオレンスでロマンティックな月夜であり、手榴弾のエンゲージリングは、彼らの現状を嘘なくテラスフェティッシュとして、大変鋭く機能する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
とても奇妙で、嘘まみれで、でもどこかに真心のある不思議な繋がり。
前回アーニャと作り上げたのと似ていて、でもまた異なる関係を、ロイドさんはヨルと結び合わせていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
ロイドさん無敵のスーパースパイなんだが、どっか常識置き去りにしたぽやぽや感があり、そこも”お似合い”なのが良いバランスなんよね、この仮面夫婦…。
ロイドさんが爆裂させる超暴力は、微かないら立ちを即座に鏖殺に直結できるぶっ壊れ女を、受け止めるための土台であり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
ヨルさんパッと見より遥かにぶっ壊れてるので、暴力耐性ある相手じゃないと一緒に踊れないんだよな…。
そういう意味でも、お互い様のパートナーではある。
この間を繋いだのが面白いこと大好き! ワクワク天使アーニャちゃんであり、前回ほど”全力”ではなかったが、要所要所で最高可愛かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
読心能力で二人の真実を唯一知れるけど、自分自身捨てられたくないので嘘を守ろうとするアーニャの立ち位置は、物語全体をコントロールできる要…
なんだが、とにもかくにも子供なので、お話が面白くなる方向へとゴロゴロ転がしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
その浅はかな健気さがまた面白く、アーニャが読心した驚愕の真実をどう使って、話がとんでもない方向に行くかを見守る楽しみも、今後元気になってくれそうだ。
前回ロイドさんが掴んだ嘘まみれの真実が、力みなく自然な”家族”としてもう活きてる様子も確認できて、そこもまた嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
ロイドさんに優しくされてホッコリするアーニャも良いが、乾いた暮らしを送ってきたスパイがアーニャに優しくすることで、元来眠らせてる”人間”に近づく様子も良いのだ。
家庭を通じた人間性の回復はヨルさんも似たようなもんで、あまりに遠すぎる”普通”の輝きは、絶対に普通じゃない爆炎のエンゲージ…ここから始まる嘘っぱちの家族生活によって、”いばら姫”に近づいてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
三人の生活描写は次回以降として、それが面白いものになる予感は、既に大変元気だ。素晴らしい
あと細かいところだと、市役所のマウント合戦だと当てこすりのネタだったスパイ密告が、ロイドさん視線だとリアルな政治戦の顔を見せたり、家族が今後生きていく”東”が相当荒んだ権威主義国家であることが、サラッと書かれたりもした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
ここら辺の”匂い”の出し方は、流石の手際である。
ヨルがその半分を置く血みどろの暗黒は、別に家族喜劇の当て馬ってわけではなく、否定しようがない一つのリアルである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
そのやるせないぶっ壊れ方をサラッと…でも嘘なく描く筆と同じものが、ロイドさんと任務(家族の成立条件)を切り取る画角にも、しっかり息づいている。
戦争回避の大義も、そのためのしょーもない学園大作戦も。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
何一つ真実を伝えない嘘の関係も、そこから生まれる光も。
全部入り混じりながら、一つの物語として面白く立ち上がってくる勢いと精密さが、やっぱり面白いお話だと思う。
虚実の境目が、笑っていくうちあやふやになっていくダイナミズム。
いばら姫の華やかで麗しく、血みどろに壊れた顔は、そんな作品の面白さをしっかり伝える、よい描かれ方をしていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
遠くボヤケた”普通”の光にも、屍に満ちた暗い闇にも、居場所を見つけられない迷える黒鳥。
彼女を我が家に迎え、ヘンテコ家族の物語も本格始動です。
次回も、とても楽しみですね
追記 美術やデザインに静かに意味の刃を仕込む手腕、圧倒的に冴えてて毎回感心する。
あ、漫画ではそんなに気にならなかったんだけど、ヨルさんの部屋着。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
赤が眩しく背中大胆に開いてて、ぼんやりしている様でいて超絶危険な彼女の”性”を、巧く伝えてるなー、と思った。
自分の危険性と凶暴な壊れ方に無自覚だから、こういう服着るんだな…つう納得
(画像は”SPY×FAMILY”第2話から引用) pic.twitter.com/vxgvZUrjMr
家具にも赤が巧く使われてて、拭っても拭っても血がつきまとういばら姫の心象として、凄く良かったな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年4月16日
こういうあんま主張しないところの情報圧縮が異様にスマートなのが、サラッと重くない食感にしっかりした満足を宿す魔法…その一端なのかなー、とか考えながら見てる。