であいもん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
楓色づく頃、”緑風”にも新たな風が吹いてきた。
何事も完璧を目指し、頑なに己を閉ざした私市緋色が巻き起こす、一迅の旋風。
それも柔らかく受け止めつつ、一果の学校で開かれる和菓子教室。
のらりくらり芯もなく、しかし確かに受け継がれたものが、今若き魂に…。
そんな感じの秋風颯々、人情の色合いがほんのり世界を染めるであいもん第7話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
硬すぎる新入りと、ちと周りと噛み合わない一果のクラスメート。
二人の生きにくさが和と”緑松”の差し出す和やかさに巧く溶けて、いい塩梅の着地点を見出すお話二つであった。
安定した味わいで、大変良い。
前回人生の大きな潮目を超えて、一果の中で和の値段が上がってる感じがエピソードに静かに漂っていて、なんか良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
政さんの工芸菓子を見て完璧を志した緋色にしても、先生の言葉に救われた和にしても、皆誰かから何かを受け継いで、より善い自分になろうとする。
見守られ受け取る側だったものは、いつしか優しさを手渡す側になって、生きることに迷ったり難しかったりする若人の手を引いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
託されたものを受け取り、新たに委ねる連環が、葉が落ちて新たな芽吹きの準備をする季節と巧く重なって、なかなかに風情があった。
というわけで第1エピ、ふわふわな和とは明らか相性良くなさそうな緋色が、ガチガチに固まった”完璧”をちょっと崩されるお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
太平楽でテキトーに見えて、個人のどこに急所があるのか、結構冷静に観察している和の描写が良かった。
こういう所、視野広いし温かい人よね。
完璧を志す緋色の、張り詰めた頑なさにかつての一果を見てるおとんも,つまりは和と触れ合うことで角が取れた今の一果をよく見てるということで、そこら辺親子だな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
無論人間である以上見落とすものはあって、なればこそ先を行くものが諭したり、後ろから支えたりで、のったりのったり進む。
客前でキャンキャン、身内の言い合いをさらけ出す若造共に、政さんが職人…つうか商売と人付き合いの基本を一喝するの、芯があって好きな描写だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
”作る”と”売る”は繋がっとるので、そこを切り離して勝手に人生から捨てようとしてる緋色に、修行の意味も込めて接客担当させてたんだろうなぁ…。
何が必要で何が不要か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
手前勝手の狭い了見で選んだ”完璧”は、脆い自分を守る鎧でもあった。
そこら辺の人間的な震えを見つめつつ、巧いこと緋色の涙と叫びを引き出せたことで、彼女も巧く”緑松”に馴染んでいくだろう。
和が結構変化がないキャラなので、伸びしろ多めな新人足すの、良い手筋だわな。
さて、そんないい風が拭いてのBパート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
学校での和菓子教室ということで、細かい手業が丁寧にアニメになって見れるのが、大変に良かった。
なんつーかな…実際の世界にある”善いもの”を、アニメフィルターを通して色づけ直し、動きを付け、新たに作ってくれる行程自体が、僕は好きなんだろうな。
クラスメートとキャッキャする一果、和のトボケに赤らむ表情を大量摂取できて、大変ありがたかったが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
皆が笑顔のお教室に、一人もじもじと涙を抱える少女と母の肖像が、なかなか繊細なものを切り取ってきてよかった。
親の目線では、何やっても可愛い幼子のままでも、子供の自我は否応なく育つ。
大人になりきれない和だからこそ、何気ない笑いが可能性を殺し、耐え難い屈辱が”よくある風景”に滲む実感をよく憶えていて、助け舟も出せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
大概の大人も友達も分かってくれない心の震えに、目線を合わせて代わりに思いを伝えてくれる人のありがたさも、良く覚えている。
先生の言葉が自分を助けてくれた、遠い日のことを大事にしていたから、今度は自分が同じ思いを抱える子供に、欲しいものを差し出す側になれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
大人になり母になるうち、気づけば忘れてしまうそういう微細な感覚が、和の中に残っていることが良く分かる。
同時に母が己の子供時代の実感を忘れたのは、何しても可愛い我が子を受け止め守る側になり、それに相応しい強さ…鈍感さを鍛えた結果でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
親になれたもの、大人になり残ったもの。
それぞれが置き去りに掴めなかったものがあるが、それは消えてなくなったわけではない。
AパートもBパートも、和が掴み得たものが誰かの傷を埋め、人生を良い所に連れて行く話として描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
基本的にそういう話でこのアニメ転がっていくわけだが、やっぱそれを掴んだ結果背負いそこねた成熟の意味を、和を主体に厳しく問うエピソードがそろそろ、欲しくもある。
肩の力が抜けた和の幼さと、不思議と立ってる大人としての芯。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
このバランスはとても良くて、色んな人が惹かれ助けられている。
だからこそ、そういう生き方が置き去りにしているものが必ずあるはずで、それもまた誰かに補われながら、より良い場所にたどり着けると、アニメのどっかで描いて欲しい。
悩みや苦しみから特権的に浮遊した、解決担当のサポーターとしてだけではなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
選んだ生き方の影で生まれるままならなさ、ゴツゴツとした面倒くささに正面から和をぶつけて、彫り込む話があってもいいかな、とは思うのね。
それが厳冬、アニメ最後のエピソードとしてくる構成…かなぁ?
先読みはさておき、涼し気な秋風に相応しいさらりとした人情噺二つ、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月18日
ここら辺の小さな起伏を丁寧に、手触りよく仕上げていく安定感は、やっぱこのアニメの強みだと思う。
秋も深まる中で、次回はどんな景色に和菓子が隣り合うのか。
大変楽しみです。