時光代理人 -LINK CLICK- 第7話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
番外編を一つ挟んで、己の無力に苦しむトキに持ちかけられた新たな依頼。
受けるか、断るか…という新章開幕である。
いやー…エグいね!
『これ断ったら、お前人間じゃないよ?』という圧力満載で、あくまでトキがダイブを選ぶよう積み上げられる親子の哀しみ
一瞬の忙しさが生み出した死角に、人生で大事なものをすべて壊され、それでも諦めきれず藻掻くお父さんを、果たして見捨てられるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
ママンのぶっ壊れた姿、異能だけが掴みうる手がかり…最後の仕上げでリンの個人的な繋がりとヒカルの真心を足して、トキは再びダイブに挑む。
”時光代理人”である以上ダイブは必然なのだが、四川で描かれたようにそれは人の心を削り取る、あまりにも厳しすぎる旅路だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
人間であるなら耐えきれない運命の重さに、優しすぎるトキが背を向けるのも当然であるが、それと同じ心が、親子の絆を無視させない。
ここで『トキは親を地震で失い、家族の絆に特別な思い入れがある』と既に描いておいたことが、ビシッと聞いてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
バスケにだけは本気でなければいけなかったように、失われた親子関係を異能で繋ぎ止めれるのなら、傷つくと解っていてもトキは潜るしかない。
ダイブの重さ、厳しさを激しく叩きつけた上で、そこに戻るしかない主人公の宿命、逡巡と決意をたっぷり魅せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
見てる側の感情をどう上下させ、作品に深く共鳴させていくか。
ここら辺の手腕がやはり図抜けて優れていて、サスペンスとカタルシスの編み方が巧い。
三年何の手がかりもなく走り回り、利用されてぼろぼろになりながらまだ探すお父さんの姿は、トキの異能だけが解決しうるものが、まだ世界にあることを教える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
刑事さんが隣りにいるのも、それが誠実で熱心なのも、尋常な手段では解決できないことを教えている。
おまけでお母さんぶっ壊れて描写も入れて、大地震を経て『もうママが泣くのは見たくないよ!』と思ってる視聴者も、『トキ…辛いのは解るが潜れッ!!』という気持ちになってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
潜れば、もう一度あんな悲しい出来事に出会うのに?
そう、それでも潜ってほしいのだ。
こういう気持ちに視聴者を引っ張っていって、自然と”時光代理人”をリスタートさせるのが、まー凄い手腕である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
気楽な気持ちで仕事を始め、その重たさを知って立ち止まり、それでももう一度潜る。
物語内部のトキの動きは、視聴者がこの作品を受取る流れと、綺麗にシンクロしている。
それがキャラクターとドラマへの同調力を高め、他人事ではなくなんとしてでも異能で解決しなければいけない事件として、ドードー失踪事件を盛り上げてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
かなり大きな振幅で揺さぶってくるのだが、それが作者の想定したラインにピッタリ重なるのが、作家の手腕…という感じ。
事件の導入となる三年前の描写が、忙しさに押されて子供を見失い、一瞬の死角が生まれる説得力を良く高めていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
息苦しくせわしなく、経済に押されて大事なものを見失う。
…やっぱそれは、『今の中国に良くある風景』なのだろうか?
第1話のエマのように?
作品に込められているだろう社会批評意識を、肌感覚で咀嚼できないのは少々寂しくもあるが、異能ミステリを切っ先に携えて、特別な力のない”現実”を切開しようとする姿勢は、強く感じられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
経済活動に邁進し、失われつつあるもの。
それを保存しうる”写真”へのダイブ。
三年前に失われた子供と、リンの後悔。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
ノスタルジーと切迫感が、ミチミチと静かに、強く画面を埋めていく。
これはここまでのエピソードにも共通するモチーフだが、今回は失踪事件解決という具体的な手触りが強くあるので、また質感が違う。
一人の少年、一つの家族を、救えるかもしれない希望。
それが運命への無力感と、密接に繋がっていることは既に描いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
それでも、トキは自分の意志で過去に潜ることを選ぶ。
この”それでも”というのが主人公の資質として大事だから、一回ベッコベコに凹ませてから、絶対受けざるを得ない依頼を持ち込んできたんだろうなぁ…。
これまでは撮影者の一人称にシンクロしていたダイブは、今回監視カメラの三人称(あるいは無人称)へと書き換わり、トキはトキ自身として過去に潜ることに為る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
それは運命と触れ合う時、防壁になってくれた他者がもういない、ということだ。
”それでも”選んだ新たなダイブは、トキに直接責任を迫る
早速過去のリンに見つかってパラドックス発生しそうなところで次回に続いたが、前半の山場を越えて、ちょっと異能ミステリとしてのルール変更…というか新たな局面が出てくるのも、時機を心得た見事な運びだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
これで一体、どうなってしまうのか…自然、そこに興味が出てくる。
観客に見せるべき情報の量と、タイミングを精妙に制御して、サスペンスとミステリを成立させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
この冷徹な手腕が、ダイブに伴う感情の強さ、そこで掘り下げられる人間の喜びと哀しみと、しっかり併存しているのが強い。
人情の機微が熱いだけでも、クールな構成が整ってるだけでも…
これだけの牽引力を、作品は持ち得ないと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
キャラの心情にシンクロして作品に潜ってもいいし、俯瞰で謎や話作りを追ってもいい。
あるいはそれがお互いに支え合い、物語を高め合う妙技を楽しんでもいい。
そういう多角的な面白さが、新章開幕で更に加速している感じがある。
他人の人生を借りる代理人ではなく、そこに存在するはずのない当事者として、事件に降り立ったトキ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
彼が見つめ受け止めるものは、やはり重く苦しいだろう。
それでも、そこに潜る意味はある…となるのか、優しさが宿命に押し潰されていくのか。
先は読めず、異様に楽しみである。
あ、情が規則を横紙破りして、監視カメラの映像がトキまでリレーされていく描写、生々しいセキュリティ崩壊の描写で、大変良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
ああいうところの生っぽさがしっかりしていることが、ダイブというファンタジックな設定を、硬い実在感で作品に成り立たせてるんだろうなぁ…。
次回も楽しみ!
追記 こういうクッションかけてテーマに触る手付きが巧いと、作品に洒脱な匂いが漂い、スタイリッシュなテイストを活かすことも出来る…と。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年5月31日
現状批判が作品の秘めたる刃だとすると、アバンラストで言っていた『欲望が全てを押し流す』というのは重要なんだろうな。
トキが苦しみつつやってる”仕事”が、何のためにあるのか。
忙しさの奥、見落としてるものは
ティースタンドの悲劇は、そういう意味でも他人事ではないのだろう。