時光代理人 -LINK CLICK- 第9話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
血なまぐさい連続殺人の調査を断り、トキは旧友の過去に潜る。
あやふやで愛しい関係と、曖昧なまま過ぎていく時間。
はたして時光代理人は恋の謎を解けるのか!?
…って、ヌルいラブコメで終わるとでも思ったか! みたいなエピソード。
まー、そうなるな…。
表情の付け方と芝居の呼吸が漫画的で、日本人の感性からするとやや古い匂いがある今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
性的な要素を横においた下ネタのブン回し方含め、ここら辺のエグ味が強いと『中国アニメ喰ってんなー…』て感じが強くするが、まぁそれはそれ。
第1クール終章の始まりは軽く明るく、コッチの力みを解く仕上がり
ここで腹筋を緩めておいて、こっちの顔面がボコボコに腫れ上がるまで容赦なく殴るのがこの作品だと思うので、サスペンスフルなヒキは大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
まーた感情をグラグラ揺らされ、異能が引き寄せる耐えきれない重さと、異能だけが解決しうる人生の輝きが、ラッシュを仕掛けてくるのだろう。
その前駆はアバンで既に薫っていて、ヒカルはエマの死をトキの眼から隠し、刑事はその不自然に気づいている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
サブキャラクターが結構抜け目なく動いて、その人なりの人生を必死に生きている様子を書いてくれることで、物語からたるみがなくなり、ピンと背筋が伸びた感じの仕上がりになる。
ドウドウ誘拐事件の時もそうだったが、未だ大きな出番がない刑事さんの凄みを、細かい描写で積み上げて”格”を作っているのが、それが活きる瞬間を予感させていい感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
一回蹴り飛ばした連続殺人事件は、運命に惹き寄せられてエンディングで戻ってくる。
宿命の引力は、時光代理人を捉えて離さない。
甘酸っぱい寄り道を経て始まりが終わりに繋がる構造が、なにか大きなモノが動き出した不安感を上手く煽って、終章開幕を告げている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
その巨大な暗さを強調する意味でも、今回挑む事件はハンディで気楽で、コンパクトながら人生の一大事で…いかにも、”時光代理人”が請け負いそうな事件だ。
他人事だった”仕事”が、トキの個人的経験と感情につながった”事件”になっていく傾斜が、終わりが近づくに連れ強くなっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
此処まで(おそらくあえて)あまり描かれなかった、私人としての過去と、深く繋がる友人からの依頼。
冗談を言い合える中だから預けれる、曖昧で大事な感情。
ダイブしたトキは、シャンシャンの酩酊も恋の病も、自分の体験として引き受けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
彼女が吐き出すゲロはトキのゲロであり、12時間という期限付きの幻のはずなのに、その人生は譲れない実感として、彼の中に降り積もっていく。
時光代理人とはそもそも、矛盾を孕んだ”仕事”なのだ。
正義感が強く人情家なトキは、ヒカルが拒絶した連続殺人事件に首を突っ込んで、”仕事”を疎かにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
そこは今後対峙するラスボスを覆う煙幕であり、無事解決したに見えた”仕事”は、もっと深刻で危険な”事件”の呼び水に変わっていく。
友人が恋を形にする、甘酸っぱい手助け。
コミカルに演出される気楽な稼業は、裏路地に首を突っ込む時のシリアスな暗さで緊張感を増し、ゲロでそれを解消して笑いながら大団円…と思わせて、謎めいた電話で地獄の蓋が開く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
ここら辺の緩急は、相変わらず異様に冴える。
過去/現在、異能/日常、平穏/不穏、仕事/事件。
対比概念を上手く擦り合わせて、作品が発火していくための火花を生む技術が高い作品だが、終盤に差し掛かり”公/私”という区分に食い込んできたのも、また面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
仕事として初めて出会う、顔も知らない人ではなく。
お互いのプライベートをよく知る、友人からの依頼。
それは知ってるようで知らなかった、学友たちのあやふやな距離感や、そこに埋まった暖かな感情を教えてくれる、個人的な体験だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
シャンシャンが何を感じ、ドンイーは何を思ったのか。
酩酊するトキの主観と、俯瞰で見届けるヒカルの客観がお互いを助け合って、人間誰しもが持つ小さな幸せが見えてくる
この小さく手触りのある質感が、”死”という異物で切り裂かれていくショックが、第1話ラストで明かされたエマの末路以来、作品の通奏低音になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
四川で亡くなった沢山の人達。
時光代理人として手を差し伸べることで、繋ぎ直すことが出来た、小さな幸せ。
そこで感じた、かけがえのない想い。
そういうものを、”死”は鮮烈に切り裂いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
人情家のトキにとって、その悲劇は元々他人事じゃないのだが、事件が”私”の色を濃くしていくにつれ、どんどん後戻りできない所まで体重をかけているように思える。
そこに歯止めをかけれるのは、彼の”客観”であるヒカルだけだ。
おそらく最後の電話の相手をラスボスとして、第1クールの物語はクライマックスを駆け抜けていくのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
こんだけ図式が鮮明なお話だと、主役のシャドウとして殺人犯を設定していると思うし、トキとヒカルと同質の異能を、悪用する存在なのだろうな…と思う。
四川の事件を思い返すまでもなく、”死”はこれまでトキ達が仕事の中で出会い、体験し、解決してきた人間の営みを、残酷に切断する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
『それすらも越えて、人は思いを繋いでいけるのだ』というメッセージは、時光代理人の異能の描き方、時間を閉じ込めうる写真というモチーフから感じ取れる。
殺人犯は、反転した”時光代理人”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
この読みが伸るか反るかは次週以降のお楽しみとして、”仕事”を幸福に解決し得た依頼人であり、大切な友人でもあるシャンシャンがターゲットにされたことで、一度遠ざけた”事件”は二人の前に戻ってきた。
一度だけなら偶然だが、二度あるのなら運命だろう。
あるいは、エマも合わせれば三度目か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
ここら辺の感覚を強くする意味でも、アバンで依頼を蹴る描写があったんだろうなぁ。
やっぱ主人公がそれに挑まなければいけない必然性、圧倒的な当事者性ってのがクライマックスには必要で、今回の序章は上手くそれをもり立てたと思う。
主観/感情/行動のトキに対し、客観/理性/観察のヒカルという、白と黒の対比(あるいは相補)関係も、事件解決の中で上手く強調されていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
二人は真逆だからこそ相補い、お互いに足りないものを差し出し合いながら、悲しみを減らして喜びを増やすため異能を使う。
しかし他人は他人であり、事件を遠ざけたヒカルというフィルターは刑事に怪しまれるし、トキの正義感が暴走するのを、ヒカルは制御しきれていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
お互い必須なのに、完全には混ざりあいきれない。
この関係性が、光画であり陰画でもある”写真”というモチーフ…あるいは陰陽和合に通じている。
そう感じるのは、ちと考え過ぎだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
正反対な属性だからこそ、お互いを不可避として求め合う。
ここに”男/女”の別を盛り込んでいないのが、同性バディモノとしての貪欲さだ。
…二対の関係性から、弾き出されてるリンの存在が、今後どう効いてくるか…だな。
ここまで様々な波風がありつつ、”善きもの”として描いて解決してきた、小さな人々の幸せ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年6月14日
その象徴たる恋する友人に、殺人犯の指がかかった。
過去を問うな、未来を聞くな。
”仕事”のルールで冷たく扱うには、状況はあまりに切迫している。
さて、どうなる”時光代理人”
…次回も、とても楽しみです。