イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プレイレポート 22/08/12 ストリテラ『魔女は朱き月の夜に』

盆のストリテラ祭り! ってんで、昨日は公式がWebにあげてくれているシナリオを遊びました。

シナリオタイトル:魔女は朱き月の夜に システム:ストリテラ

ひとりめし:ニヒルト・ルヒッテマン:外見30代男性:当主代行/怪異 胡散臭い外見をした、ヴァルター家当主代行。その正体は死にかけの当主と契約を果たしたはぐれ悪魔であり、人間のことも社会のことも自分のことも全く判っていない赤子。

拾さん:レギリオ・S=ヴァルター:10代男性:次期当主/魔女殺し 妾腹に生まれつき、魔女騒動で家族を奪われた後本家に回収された天才青年。理不尽な無明に飲み込まれ、隣に立つ人の顔を見れなくなる愚かさと戦うべく、啓蒙の光を掲げる理想主義者。

あいみのるさん:”終焉の魔女”ベルライン・ヘンリアル:外見20代女性:医者/魔女 柔らかな笑顔と確かな技術を持った、ヴァルター家お抱えの女医。その正体は長い時を生きてきた魔女であり、人に不幸をもたらす魔法の消滅を願う策謀家。

コバヤシ:”七番目の”サリー・セブンス:15才女性:メイド/凡人 ニヒルトの側仕えとして、ヴァルター家で働くメイド。貧民街で生まれ、悪魔との契約で死に戻りの能力を手に入れたが、大きな運命に翻弄されるばかり。全てを覆す奇跡を望みつつ、薄暗い影の中をおっかなびっくり、黒猫と歩く。

こんな感じのメンバーが、無明の闇と啓蒙の光の狭間にある時代、いかにして”人”であるべきかを手探りし、ぶつけ合う物語となりました。
今回出てきたキャラがシナリオで想定しているものと結構食い違って、デフォルトの遊び方とはかなりズレた構造になったんですが、そのズレをみんなで共有しつつ、このキャラクター、このプレイヤーが生み出す生きた物語としてどんな決着がふさわしいのか、どんな悩みや対話を描いていくべきなのか、しっかり意思疎通しながら僕らだけのお話を紡ぐことが出来ました。
こう出来たのも元のシナリオとシステムが強靭で、ブレても”それはそれで”と楽しめる靭やかさを宿していたからだと思います。
なにしろ基本ルールブック掲載の一枚絵があまりに魅力的だったために、実際に遊べるシナリオになったお話なので、ヴィジュアルによるイメージ喚起力、共有力がとにかく高くて、参加者全員が共通の地盤を持てたのはデカかったですね。

今回はストリテラとしては結構複雑なシステムを組み込んでいて、構えず遊べた前回の脳内会議シナリオと面白い対比となりました。
こんだけ情報とモチベーションのギャップが積み込まれて、相互理解のカタルシスを積み上げていく手数がかかるシナリオなのに、実プレイ二時間強で遊びきれて、一つの大きなサーガを走りきった実感があるのは、やっぱストリテラの強さだと感じました。
ザクザクっと構えず遊ぶことも出来るし、色々凝って苦労して、だからこその面白さを狙うことも出来るという横幅の広さ、楽しさのバリエーションは、汎用システムとしてのストリテラの魅力ですね。
データレスGMレス、シナリオ全公開という思い切った踏み込みが、結果的に多彩で広範なシナリオや世界観、キャラクターを、労力少なく『遊べる形』にまとめ上げてくれる助けになってるのは、デザインの勝利だと思います。

今回はかなり情報と状況が複雑になるので、自分が半GM的なポジションで軽めの管理をしたのですが、全員PLで完全フリーになるより、こういうシナリオにおいてはやっぱ管理担当がいた方がいい感じですね。
同時にGMレスの公平さは管理権を独占させず、いい具合に負荷を分散させ、思いついたアイデアを気楽に提案・繁栄させる手助けもしてくれていたので、そういう労力も大きく減っていた印象。
各人秘密の目的を抱え、腹のさぐりあい騙し合い、それが状況を突破するカタルシスを楽しむ(ある意味マダミス型の)シナリオだったと思うのですが、出たキャラとPLの好む物語はそれより対話と融和の物語を志向していたので、PC内部から『コイツ倒せば話がまとまる』ってのが出ない状況になったわけです。
なので、外部の襲撃者にPC全員が手を取り合って対抗する形でファイナルチャプターを編んで、参加者全員が納得できる終わりをみんなで作っていく形になりました。
この提案は他PLから出たわけで、こういうのが自然と湧き出し共有され、より納得できる終わりを掴み取ることが出来たのは、良いシステムであり良いシナリオであり、良い人々と良いゲームできたなぁ……としみじみ感じ入る。

実際にプレイに入り、濃厚な物語を生成・共有する現場に飛び込んで初めて見えてくる『あ、俺のキャラこうだったんだ』『なら、こういうお話の方がいいな』という感覚は、リアルタイムの対人コミュニケーションでお話を作っていく、TRPGの醍醐味だと思います。
自分が『こうかな』と思っていたキャラクターの形、目指すべき物語が他人の指摘やツッツキ、誘いによって崩れ変化して、しかしより”らしい”姿に生まれ変わっていく体験というのは、何度味わっても面白い。
それを参加者全員が、お互いがいてその表情をちゃんと見ればこそ、自分なり納得の行く形で受け取ることが出来たのは、とても良いセッションだと思います。ありがたいことだ。
あ、僕は他キャラのロールを煮え立たせるために、その場で思いついたテキトーに煮えてるだけのキャラが山盛り出せてウケが良かったので、大変満足です。アドリブで煮えたNPC出してる瞬間が一番楽しいのは、NOVAで育ったからだよなぁ……大好きそういうの。

というわけで、大変楽しいセッションとなりました。同卓していただいた方、ありがとうございました。