ルミナスウィッチーズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
ワールドツアー最終目的地、リベリオンはニューヨク。
戦火から遠く繁栄を謳歌する街に、確かに存在する陰り。
自分達は、誰に歌を届けるのか。
故郷に錦を飾ったジョーの迷いに、仲間たちが虹をかける。
歌は全てを越えて、空の向こうまで…。
そんな感じの第二章完結編! ジョアンナ故郷に帰る!! である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
大変良かった。
砲声遠いリベリオンの現実を、けして重くならないルミナスらしい視線で切り取り、そこを軽やかに飛び越えていける銃握らぬ魔女たちの可能性が、鮮烈に描かれるエピソードだった。
食い詰めものの寄せ集めとして始まり、ウィッチだけに出来るステージで世界を沸かせてきた彼女たちが、どんなふうに大舞台を作り上げていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
舞台人としての奮戦も丁寧に描かれ、故郷の手触りも家族の温もりとともに暖かく伝わり、しかしそこには微かな寂しさがある。
それを越えて全力で飛び、友情を翼に高く舞う姿はとても眩しくて、とてもルミナスウィッチーズらしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
世界の美しさに讃歌を捧げつつも、闘いも貧富の差も確かに存在するやるせなさに目を向け、しかしその薄暗さに飲み込まれない。
どこか無邪気なペーソスで、絶望を塗り直していける強さがある。
この幼くも前向きな姿勢が、華やかなるNYの光と影に切り込んでいく魔女に宿って、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
時代は異なり、魔法がある世界ながら確かに、僕らが今生きている場所によく似ている世界。
故郷を奪われた人たちの寂しさと、故郷から旅立った少女の帰還が交錯する世界。
その匂いが、よく届いた。
眩き摩天楼を眺める、魔女と使い魔のお尻が大変可愛いところからスタートであるが、まー今回も獣達は仲良く可愛かったね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
ネウロイ戦役から遠いリベリオンは、エリーの故郷であるガリアの荒廃が嘘のように、まばゆい繁栄を謳歌している。
(画像は"ルミナスウィッチーズ"第9話から引用) pic.twitter.com/Vapop5Vgvp
後にジョーの家族、ネクタイをしない階層の描写を通じて、国内に確かにあると静かに語られる断絶は、ガリアを追われ、解放を夢見つつも信じられないエリーの眼を通じて、戦争と平和を切り分ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
人類文化の精髄と言える、ブロードウェイの眩しさ。
それはエリーにとって、もはや戻らぬと諦めかけているガリアの失われた影であり、土地も文化も奪われてなお、人は日々を生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
前回疎開都市に流れてきたオラーシャ人の背中に宿っていた、諦観や悲哀…それを超えてなお生きる強さを、エリーもまた持つ。
全ての異邦人が、否応なくそれを抱くのだ
今回の最後、英雄たちが成し遂げる歴史的快挙は、これまで僕らが見てきた”ストライクウィッチーズ”と本作を、見事にシンクロさせていくが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
カリカリツンツン暴れつつも、誇り高く故国解放を信じ、雷鳴を放って戦い抜くことが出来たペリーヌのような英雄性を、エリーは持ち得ない。
三年。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
失われたものが、もう戻らないかもしれないという影が心に差し込むには十分な時間であり、そう思うことでしか喪失の痛みを、凡人は飲み込めないのかもしれない。
”ガリアの魔女”にもそれぞれ個別の顔があり、苦境に顔を上げて闘うものも、諦めと片手を繋ぎつつ絶望しきれないものもいる。
そんなグラデーションを描けるのは、銃弾飛び交う場所から遠く、音楽を武器に戦う”外伝”だからこそで、こういう立体感がルミナスの醍醐味かな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
同時にこのあたり前の人の弱さに身を預けてしまうから、エレオノール・ジョヴァンナ・ガションはペリーヌ・クロステルマンではないのだろう。
前回頼れるお姉さんとしての顔が印象的だったエリーの、あまりに人間的なよろめき。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
これは今回ラスト…そこから続いていくだろうガリア凱旋公演への、見事な前奏として機能している。
文化も平和も守られているリベリオンに、思う故国。
その視線に宿る複雑な陰影を、物語は今後追うことになる。
その前に12歳の兵士と仲間たちが故郷に戻って、色々苦労する物語が挟まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
こーれがまた大変良い味で、ここに至るまでの旅で頼もしくなった魔女たちの肖像画を、気持ちよく届けてもくれる。
各カプイチャコラしつつ、しっかり仕事してるのホント好き。
(画像は"ルミナスウィッチーズ"第9話から引用) pic.twitter.com/PNkDcArDeX
若い身空で家を出て、家計を助けるべく兵士になるしかなかったジョーにとって、綺麗な布地はガラスケースの向こう側、実感のない繁栄である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
むしろシルヴィにこそ近い華やかさは、ワールドツアー最後を飾る錦となる…はずなのだが、それが形になるのはなかなか大変である。
針仕事に指はボロボロだ
絆創膏だらけのシルヴィの指は本当に尊く、こうして人間が生きるための苦労を実地で刻み込んだことが、将来国体を左右する地位に昇る本物のお姫様にとって…ロマーニャと世界にとって、どれだけ益になるか解らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
”ただのシルヴィ”として彷徨い流れ着いた、魔法音楽隊という居場所。
そこに身を置くことで、彼女は王宮からは見えないものを学び、かけがえないものを手に入れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
リベリオン脅威の生産力が、機械によって自動で作られるものではなく、人間一人一人の息吹ある労働によって支えられていること。
その助けがあって、二人では成し遂げられない夢が形になること。
綺羅びやかで虚ろな”繁栄”なるものの奥へ、シルヴィはジョーの帰郷に寄り添う形で踏み込んでいき、世界を学ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
傑作第5話の補論としても、今回のエピソードは良かったと思う。
あの時はシルヴィを支え導く立場にいたジョーが、今回は健気な悩みに揺れる中、助けられた恩義を返すように”姉”が立つ。
この頼もしさはジョーが生まれたから形になったものであり、かくのごとく助け合いながら、人はより強く前へ進むのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
こういう連帯が舞台で閉じて終わらず、工場の女たち、ジョーの家族、下町の人々と、どんどん拡大していく風通しも心地よかった。
着飾った名士だけが入れる、狭い劇場。
その虚しさに叛逆して始まったルミナスウィッチーズは、旅の最後に同じ場所に帰ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
とても柔らかく楽しい表現であるが、今回のエピソードはネクタイをする側としない側、コンサート会場に入れる側と入れない側に、リベリオンが分断されていることを見逃さない。
その境目があればこそ、怪物的な生産力で対ネウロイ戦争を支える世界の工場は成り立ち、あの摩天楼の光も輝いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
光は常に影の隣りにあり、そんな現状を前に確かに、少女たちには出来ることがある。
あるはずだ。
そう信じ、悩んだ先に待っているステージ。
NY公演は何者にも縛られない魔女らしく、自由に空を舞い破天荒に広がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
マンハッタン全てをステージに、あらゆる階層に向けて放たれる歌。
それこそが私たちなのだと、年下の仲間を導いたのはアイラとエリーだ。
(画像は"ルミナスウィッチーズ"第9話から引用) pic.twitter.com/0SDWjO2SeM
翼折れて劇場に囚われ、”上流”とされる人たちにだけ歌を捧げる日々に、満足できなかった女たちが成し遂げた、優しい叛逆。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
それは魔女だけに出来る表現法で、リベリオンへの愛を、ここで出逢った者への感謝を空に刻んでいく。
それはあらゆる人の瞳に開かれた、高く眩しいメッセージだ。
”自由の国”が眩い繁栄の蜃気楼の足元、踏みつけにしているもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
それを開放する理念と祈りを、コスモポリタンである魔女たちは堂々形にした。
色とりどりの光も、挑戦的な曲芸飛行も、ここに至るまでの日々苦労しながら、一個一個身につけた技だ。
それを、僕らは見届けてきた。
ジョーが故郷に飾る錦として素晴らしいだけでなく、期待のエンターテイナー、銃後の希望として己を鍛え上げたルミナスウィッチーズ一つの到達点として、今回のステージはとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
同時に旅立った時と戻ってきた時、2つの橋を重ねることで、少年兵ジョアンナと家族の切なさが眩く燃える。
誇り高く顔を上げ、寂しさに後ろ髪を引かれて、鉄骨の橋(最もリベリオンらしいフェティッシュの一つ)から旅立っていった、あの時のジョー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
大人びて見えても12のガキが、家族を食わせるために兵舎に向かう。
そうさせる戦況も、家庭の事情も、小さな背中で受け止めるには大きすぎる。
だからこそ全部を飲み込んでジョアンナは旅立ち、仲間を連れて戻ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
見えない壁が国や人を分断しているように見えても、空にはそんなものはなく、魔女はそれをぶっ壊す魔法が使えるのだと、自分だけに出来る歌で示してみせた。
こんなに立派になって、私は帰ってきたよ、と。
ジョーは父母に、弟たちに、祖国に、故郷に告げたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
それはとても立派なことで、こういう事が出来るから銃を握らぬ魔女たちの飛行には、大きな価値がある。
故国は奪われ、見えない壁が隔てる世界でも、私達はそれを変えていける。
その信念が、光のドーナツとなってNYを飾る。
全身全霊を燃やしながら飛ぶ中で、ジョーは自分が成し遂げた奇跡に陶然と酔い、共に飛ぶ仲間との繋がりを噛みしめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
”姉”とは血縁でも年齢でもない。
シルヴィとの戯けた会話は、そんな真実を可愛らしく、力強く示してくれる。
シルヴィが隣りにいてくれると、ジョーは妹になれる。
家族を食わせる責務、女の子らしい服を着れない事情、肌で感じる階級分断。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
そんな重荷を背負って下ろせない立場から、フッと自由になる。
そういうことをさせてあげられる女(ひと)は、勲章もらえるくらい立派だよ…。
そしてそんな連帯が、部隊のお姉さんたちにも柔らかく震えているわけよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
エリー、ガリアが帰ってくるよ。
ずっと一緒に、銃を握らない…握れない戦いに身を投じてきた戦友にアイラが告げる言葉は、とても優しい。
(画像は"ルミナスウィッチーズ"第9話から引用) pic.twitter.com/WmzjLmvEtq
飄々と面倒見よく、部隊の”妹”たちの面倒を見てきた女が抱える絶望も希望も、何より良く知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
故国開放の報を受け、あらゆる感情が入り混じった巨大な波に動けぬまま震えているエリーが、何を言いたいのか。
何を、変わりに行ってあげるべきなのか。
アイラは解っている。解っているのだ。
”妹”たちには見せれねぇ震えも涙も、預けられる相手がいてくれること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
そんな誰かが、自分の中で形にならないあまりに大きなものを縁取って、優しく手渡してくれること。
その意味がギュッと詰まった、ガリア解放の瞬間であった。
ここの絵と芝居は、どのくらいの年月どのくらいの重さ…
二人が共に歩んだかをこれ以上なく鋭く教えてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
この前段階として、『金持ち連中の綺麗な人形だった過去を乗り越え、万人のための歌を空に描くんだ! お前らついてこい!』と、”妹”巻き込んで正義の叛逆キメる描写があったのが、俺は凄く好きで。
NY全部を舞台に、透明な壁をぶち壊して理想を描くその決断は、あまりにも強く正しく美しいじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
そういうことを成し遂げられる人が、こんなにも人間的な震えと、その全部を抱きしめて、動けない自分の代わりに今言うべきことを言葉にしてくれる関係に包まれている。
そこに人が生きること、喪失と再生が入り交じる世界の不思議さが詰め込まれているようで、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
エリーはとても強くて、儚く弱い。
他の魔女たちと同じく、とても人間的な人間だ。
そういう人たちを描く時、このお話はとても爽やかで優しく、とても切ない。
エリーの愛したガリア。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
解放を夢見、どこか遠くの英雄が奇跡を成し遂げてくれて、戻ってくる故郷。
501が最終回を迎えた後の世界に、どんな世界が広がっていたか含め、かの美しき大地がどんなふうに描かれるか、次回大変楽しみです。
無敵に見える自由人の、傷つきやすい魂のスケッチ…ヤベーぜ来週は
追記 夜空にまたたく実在の星は前回あまりに眩しく描いたので、今回は使わないメリハリも好きだよ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
サブタイトル”星と共に”は、色んな矛盾を孕みつつも綺麗でドーナツは美味いリベリオンを寿ぐ、いい言葉だなと思う。
同時に隣り合い輝いてくれる魂の姉妹こそが、少女たちを導く星なのだということも、シルヴィとジョー、アイラとエリーを通じて鮮烈に描かれていた。
世界の暗い現実に目を向けつつ、ともすればガキっぽい楽観主義と希望で顔を上げ、夢を描くのがこのアニメの、とても良いところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
色々あるけど、ツアー最後に訪れた星の国は良いところだった。
そういう実感が何より、彼女たちを高く自由に飛ばしてるのが、俺はとても好きだ。
追記 娘の伸びた背丈を知らず、振り回して天井にぶつけてしまう家族コメディは、ひとしきり笑った後とびきり切なくて、思わず泣いてしまったのだった。
しかし今回くらい情念豊かに趣深く、『12歳の少女が戦場に向かう』ことを描いちゃうと、作品を成り立たせてる萌えミリの嘘が奇妙な衝突を初めて、なんか奇妙な塩梅になるのはなかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月6日
『いやー…やっぱ良くねーよガキが鉄砲握るの…』って毎回思うの、俺は良いことだと思う。