リコリス・リコイルを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
先週己の道を選んだ千束に続いて、たきなも自分の未来を選び取り進む。
延空木と電波塔、2つの戦場に咲く火花がテラス明暗、その果てにあるのは…というお話。
社会の根底にあった欺瞞を暴かれて、あの世界の日本は大揺れだな…などと思いつつ、アクションを堪能する。
クルミが超音速で距離も時間も飛び越え情報をかっさらい、ハッピーエンドまでの道のりを強制舗装していく出だしは、正に圧巻だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
もともと作品からノイズを取り除く電気仕掛けの神様という顔が濃いキャラだったが、主役たちが抜けれない因縁の藪を薙ぎ払う剛腕は、大変に爽快。
ロボ太がシコシココード書いて、アナログに汗かいて奇跡を引き寄せているのに対し、クルミは音声でAIに指示出して真実を暴く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
ライバル…というにはウォールナット優勢すぎる二人の、スタイルの違いが面白く対比される回だった。
危険思想のヤバ人間だが、ロボ太は応援したくなる可愛げあるねやっぱ。
クルミが情報収集だの技術的ブレイクスルーだの、ややこしいところを全部背負ってくれるおかげで、鉄砲撃つのと青春するの以外てんでダメな主役に焦点合わせて、メリハリの付いたお話作れた部分は大きい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
時を巻き戻し、震動感知で録音されてない声まで作り出してしまえる無敵っぷりだ。
彼女が思い出に後ろ髪惹かれてくれたおかげで、たきなは自分が進むべき道を見据え、千束を迎えに行くのが間に合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
フォワードとバックアップの区分がくっきりしてて、お互い職分を果たす関係が好きだったので、最終決戦でそれが取り戻されていくのは嬉しい。
結局たきなと千束は、世界で一番美しいものとして描かれた日常に戻り、仲間たちもそこに寄り添いそうだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
落着地点から一旦離れて戻る動きを入れることで、作品が大事にしてきたものの魅力と引力が再確認できるのは、結構好きだ。
ブツクサ言いつつ、自分の決意で戻るクルミちゃんが好き。
今回のエピソードは、光と闇の境目がハッキリした作りだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
DAとして延空木に留まるべきか、立ち止まって戻るべきか。
決断を果たす時、少女から顔を奪ってしまう闇から離れ、たきなは一人光の側にいる。
(画像は”リコリス・リコイル”第11話から引用) pic.twitter.com/jZFsutSJvn
真島にひっくり返されるのも当然な、リコリス頼りの歪な平和。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
その犠牲となる少女たちにはけして与えられない”修学旅行”のチャンスが、ろくでもない殺戮合戦として与えられるのは、この作品らしいスタイリッシュな悪趣味だろう。
友達と観光名所を登って、ゴールでは特別なイベントもあるよ!
リコリスは集団で舗装された道を、競争しながら進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
千束は先生の補助も断って、たった一人不整地を進んでいく。
国家と個人、隷属と自由。
真島が銃弾で問いただしたいものが、アクションの舞台…あるいはアクションそれ自体に反射しているのは面白い。
DA…の背後にあるはずの擬・近代国家日本の権威と信頼を、幾度もズタズタにしながら暴かれていく、リコリスの真実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
ある意味社会的外科手術とも言える情報テロの先には、子供達の価値判断を担保し、居場所になってくれた場所の崩壊が待っているのだろう。
その是非は、闘いが終わった後に描かれる。
他人を殺す自由と、他人に殺される不自由が天秤に乗っかった自然状態を遠ざけて、リコリス・ジャパンは成立してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
それが白日に晒されるということは、ぬるま湯のような安心が剥奪され、不安定な闇に身を投げる未来を引き寄せる。
一寸先は闇だと、忘れて過ごせたあの世界の日本人の、午睡が終わる
そんな白日もまた暴力的な闇で、千束は神に愛された瞳でもって、迫り来る敵を乗りこなしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
光に包まれてよく見える状態は千束に味方し、闇に閉ざされてよく聞こえる状態は真島を利する。
眼と耳に天分を分け合ったアランの子たちが、正面からぶつかり合う電波塔最終決戦。
鮮明な光は自分の居場所を教えてしまうので、千束はライトを長くは使えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
闇は真島の味方で、彼は暗黒の住人…とシンプルに切り分けてしまうには、国家最大の欺瞞を暴き、否応なく世界を変えてしまう暴力革命を成功(もう成功だろ、ここまでやられちゃうと)させた”公”が、興味深く光っている。
千束とたきなは、リコリコという揺り籠で育んだ当たり前を、自分達の答え、帰るべき場所として選んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
殺さず、殺されず、愛し愛される。
その眩さが人間の答えだと、個人的な体験に帰結していく。
それはとても正しい。
グッとくるし、ここまでの歩みに嘘も付いていない。
同時にそれはあくまで個人的な体験で、大きなモノを帰る意志は少女たちにはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
それは間違いでは、もちろんない。
同時に己の業の帰結として、ただ一個人を殺すのではなく、リコリス・ジャパンという社会全体をひっくり返すしかなかった真島のデカさは、彼特有のものだ。
主人公が己の歪んだ鏡に対峙する時、大義を欠片も持ち出さないのは面白いなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
千束が電波塔に向かうのはシンジを助けるためだし、たきなが光の側に落ちていくのは千束が好きだからだ。
光の中で、お互いの顔がしっかり見える個人として手を繋ぎ、心を抱きとめた思い出が、二人を動かす。
その個人主義が力強い”光”なのは、ハリウッドヒーローのように華麗に壁をぶち破り、闇を切り裂いたたきなを見れば、よく分かる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
では真島のテロル…暴力的手段による政治的変革の成就が”闇”だったかは、この事件の後東京がどう変わるか次第かな、と感じる。
千束は人格に優れた天才児だが、リコリスというシステム自体をぶち壊す能力も、発想もなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
個人の手の届く範囲で超越的に、そして危なっかしくやりたいことをして、人を助け感謝される。
それで十分であるし、そんな”当たり前”に落ち着いてしまったのが、シンジには受け入れがたい。
千束が殺しを選んでいたら、その人生は真島のテロルのような広範さを、手に入れていたのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
Ifの話なので答えは出ないが、前回彼女が危惧したように、そこに”光”はなかっただろう。
彼女にとって光とは顔の見える誰かの温もりであり、そこに自分が投げかける優しさだ。とても個人的なものだ。
そういう生き方をしてきた少女だからこそ、一人で闇に飛び込めば窮地に陥り、打ち破るためにはたきなの決断…そこに導く仲間の支えが必要になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
身勝手に個人的に生きるためには、手が届く範疇の繋がりこそが大事だと、千束は知っていた。
そして、たきなは学んだ。
リコリコを中心核に生まれた、小さな共同体は個人的共感で人を結びつけ、千束とたきなをここまで運んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
真島はあくまで自分の好きにやった結果社会を揺るがしたと自覚しているから、デカい事に立ち入らない二人の生き方も『キライじゃないぜ』と肯定しそうだが…
千束が身の丈以上のことを求めない(が、なりたい自分を叶えるためには世界に挑まなければいけない)こと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
真島がそれを蔑しないことが、僕は結構好きだ。
デカけりゃ偉いってわけじゃないのは、DAのロクでもなさ、それがぶっ壊れた現状への奇妙な爽快感が教えてくれている。
真島個人因縁と業は国家規模の欺瞞を揺さぶり、太平の眠りは醒めた…だろう、流石に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
あんだけの暴力的/哲学的爆弾が落ちてなお、自分に都合の良い夢を選べるのが大衆だとも思うが、それだと真島が報われなさすぎる…と感じるのは、やっぱ好きなんだろうな彼が…。
しかしまぁ、爆弾が炸裂した後何が生まれるのか想像できないからこそ彼はテロリストなのであり、自分が生み出した波紋の後先にはあんまり興味がない感じもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
ただ、バランスに欠けてて気持ち悪いから、勝手に壊して正した。
最終決戦でせめぎ合うライバルに、そんな真っ直ぐがあるのは嫌いじゃない
そういう意味では真島も、彼の手が届く範囲…神様に愛された耳が聞き届ける範疇で、個人的に突き進む存在なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
身勝手 VS 身勝手&身勝手。
明暗入り乱れる電波塔決戦は、そういう様相を呈してきた。
(画像は”リコリス・リコイル”第11話から引用) pic.twitter.com/ydxt5Y9cIw
譲れぬ生き様を叩きつけあって、立ってたほうが価値。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
スッキリしてて、良いクライマックスだと思う。
天命というデカすぎる呪いに関しては、シンジが最期に問いかけてくれそうだしな!(死ぬ前提で話をするな。ミカ先生が未亡人属性まで手に入れてしまう…)
ともあれ一度は離れた道は再び交わり、たきなは今度こそ誰かを助けるために銃を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
あれだけDA帰還を望んでた彼女が、自分の意志でキャリアを降りていく様子とか、銃弾でしか優しくする方法知らなかった子が護るために闘ってる意味とか、二人だけに通じる携帯電話の暗号とか。
今回あえて明言しないことで余韻を残す場面が多くて、好みの味付けだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2022年9月14日
最後の大盤振る舞いとばかりに激しくガンアクションする回で、そういう思弁性が元気なの、リコリコっぽくて好きだな。
残り話数も多くはないが、描くべきものは色濃く刻んできた。
最終章、どう描ききるか。とても楽しみです