超時空ハイテンション押しかけラブコメ、第2話にして”いつもの”感がいい具合に出てきて、大変居心地の良い落ち着きを感じる。
絵と色彩は時代の先端を突っ走りつつも、画面の中では懐かしき昭和の庶民生活が延々流れ、るーみっくな呼吸で情け容赦のない暴力が横行する塩梅が、不思議な安楽を生んでいるのだろうか……。
もっと違和感バリバリになってもおかしくない組み合わせなので、スルスル飲み込める魔法をアニメスタッフが使っているのだと思う。
伝説の作品をこういう先鋭的なルックでリブートし、宣伝も力こぶモリモリで頑張ってるので派手な部分が目立つけども、こういう地道なヤスリがけ頑張ってるのが実は、一番偉い感じもするな……ジャンルとしては日常コメディだからな。
さて、二話にして電撃ビリビリ宇宙人がいる日々もすっかり日常と化し、諸星家の人々も街や学校の皆も、当たり前にラムを受け入れている。
そこは病弱巫女に魑魅魍魎、謎の飛行メカに白ランの金持ちまで集まる、なんでもアリな笑劇場だ。
騒がしくも可笑しい状況が転がるなら、設定もキャラもニョッキリ生えて大暴れ。
そんなの作品の空気を濃く伝えるエピソードが二話にやってきた形……かな?
キャラもアクが強くブレーキは少なく、あたるは理不尽な暴力にさらされヒーコラ言いまくる。
しかし主人公も稀代のドスケベであり、ある意味対等なお互い様感がある。
みんな暴君で、みんな被害者。
そういうバランスで対等なのは、今振り返ってみると危うくはあるが、しかし実際に話が転がってみると不思議とシックリ収まる。
つーかラムが記憶の中の三倍くらいヤバくて、しのぶがあたると切れるまでは延々激重執着に電撃混ぜて襲いかかってくる、空から落ちてきた天災女な色が濃い。
そらー、あたるも家出したがるわな……
第1エピソードはサクラ先生の顔見せで、ラムからは電撃、しのぶからは机での圧殺を食らうあたるの救いの女神……なんて都合の良い存在は、このお話には存在しない!
沢城先輩のちょい荒れた声が良くハマる、極めてエキセントリックで自分勝手で暴力的なオカルト女であり、うっかり行き逢ったあたるは霊障に巻き込まれて死ぬ所まで行く。
しかしこの作品では死すら(基本)ギャグであり、オカルトも(宇宙人や超能力がそうであるように)ドタバタのための薪でしかない。
どんなヤバいことが起きても笑いの修正力は強引に全てを飲み込み、アップテンポな勢いで暴力の嵐は荒れ狂って、何事もなかったかのように去っていく。
そして新たなお話が転がっていくのだ。
そういうBPMの早い展開で生き残るためには、多少以上のアクは絶対必要で、サクラもまた友引町の住人たる資格十分な”うる星やつら”なのだ。
しのぶとラム以外の女が出てきたことで、あたるがとにかく相手を選ばないドンファンであることが解ってくるし、その性欲は結構具体的かつ俗気の強いものだと解る。
だからこそ、ファーストコンタクト以降ラムを遠ざけ、アプローチを拒絶する特別さが際立ったりもするのだが……。
追われれば逃げ、逃げれば追いかける不思議な押し引きが騒々しいラブコメの足元には常にあって、ここら辺の距離感があたるとラム、あるいはラム以外で切り替わっているのが、結構面白いところである。
まーそもそもあたるは牛丼をダサい仲間と一緒に食うような青年であり、恋とはどんなものか、その感触をしのぶと知っていく前に、宇宙から飛来した大嵐に青春楽しくメチャクチャにされたわけだしな……。
ここら辺の手触りが見えてくるのが第2エピで、ぼんくら仲間との平凡な日々に降って湧いた宇宙美少女が、どんだけ彼らの青春をかき乱しているかが良くわかる。
女と手も繋いだことがなかった男たちは、常時ビキニでプカプカ浮いて、授業中もイチャコラしまくる危険物品に心を乱され、だんだんおかしくなっていく。
しかし街全体、世界全体がラムの登場をもってネジがぶっ飛んできているわけで、彼らの暴走はそれに歩調をあせた結果……とも言える。
この世界で生きていくためには、”冴えない友人”枠だろうがとにかく味が濃くアクが強く、血管キレそうなテンションで泣いたり喚いたり、ドタバタに追いついていく瞬発力が必要なわけだ。
同時に等身大で可愛い部分も、リボンで能力を封じられたことで良く見える。
『等身大であの見せつけかよ……』つう意見もあるが、まともなアマなんざぁこの世界にはいねーんだよッ!
追いつ追われつの痴話喧嘩で安定しているようにみえる関係も、結構ギトついてる欲望に常時揺らされ、あるいは贈り物を巡る感情格差で大きく変化したりして、思いの外揺らぐ。
他人に奪われそうになると惜しくなり、力を失ってしおらしくすると愛しくもなり、しかし情にほだされれば悲惨な結果が待っていて、状況は常に転がり続ける。
異様なテンションと状況が日常と化し、常識はずれのドタバタが当たり前となる、不思議な安定感。
そんな作品の魅力を、手早く教えてくれるような二話となった。
どう考えても激ヤバ女なのに、めっちゃイチャイチャしてくるし大変可愛いので、ラムには本当に困ったもんだな……。
この後さらにアクが強い恋のライバルも加えて、血圧の高い狂想曲は加速していくわけだが、そこに漂う”終わらなさ”は時代の徒花なのか、それとも時を経てもなおうつろわぬ夢なのか。
これから4クールの長丁場、作品に向き合う中で一番感じ取りたいのは、実はそこだったりする。
そういう意味では時代に合わせたアップデートを随所に盛り込みつつ、作品の芯はズラさずエグいまま残してくれている作りは、ありがたく嬉しい。
次回もどんな騒ぎが起こるか、大変楽しみである。