イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

デリシャスパーティ♡プリキュア:第41話『メリークリスマス!フェンネルの大切なもの』感想

 クライマックスに向けて、ラスボスの情感を一気に彫り込むぞ! という、地獄のクリスマス IN おいしーなタウンなデパプリ第41話。
 前々から怪しい素振り積んできたフェンネルさんが、世界をひがんで悪の大首領になるにいたった感情のねじれを、拳握り込む場面のアップでゴリっと伝える回だった。
 ラスボスとの最終決戦が、プリキュア外で拗れに拗れた男男関係をエンジンにブン回っていくの、かなり異質な構成でなかなか楽しい。
 プリキュアチーム(+マリちゃん)は等身大の青春をご飯食べつつ突き進むのに忙しかったので、話の大きな部分を全部クッキングダムに預けた結果、最終盤まであんま触れない感じになった……とも言えるか。
 たっくんと父親の因縁、終盤でのゴリッとした追い込みも併せて、唐突感はあんまないけども、『なるほどこういうまとめ方になるのか~』って感じだね。

 

 というわけで、師匠縁の地を念願叶う直前に訪れ、そこに刻まれた因縁に思いの複雑さを照らすフェンネルさん。
 かれが何を思って悪となったかは次回たっぷり語られるんだろうけども、シナモンと師匠を巡る複雑怪奇な感情の拗れ、二つに分割されたスペシャルデリシャストーンが、その中心にあるのは間違いない。
 デパプリは悪の組織たるブンドル団との因縁が、洗脳されてその片棒担がされてたあまね会長以外あんま太くない(し、そこもナル公との関係が落ち着いた今結構整理されてる)ので、ブンドル団が何を憎んでレシピッピ盗んでるのか、正直なかなか良く見えきらないんよね。
 ゴーダッツ様が怪しげな影から顔の見える存在になったことで、そこら辺の駆動原理が可視化され、主役が向き合うべき大問題として最後に立ち上がってくるのは、基本的ながら大事な物語的操作だと思う。

 フェンネルは師匠との感情拗らせて悪党になったっぽいが、これはお祖母ちゃんの思いと言葉を継いで今を生きてるゆいちゃんや、素直に正義の戦士できてるマリちゃん&シナモンの、シャドウとしての起源なのだろう。
 主役たちが体現する”継承”の光の側面に、呪われ悪に落ちたラスボスはいったいどんな感情を、自分を慈しみ腹を満たしてくれた相手に抱いているのか。
 なかなかデケー爆弾が眠っていそうで、来週の炸裂が楽しみである。

 デカい感情と言えばセクレトルーさんも、和実の度重なるアプローチにすっかり心をグラグラにされて、大童に髪を振り乱してしがみついてくる所まで煮立ってきた。
 クール顔して他人を踏みつけにしてきた女が、跳ね除けても跳ね除けてもこっちの顔を覗き込んでいる光の権化に当てられ、耐えきれず拒絶の刃で暴れる様子はやっぱりご馳走である。
 ここまで来ちゃえば後は殴り倒して弱った心に、まごころ注入して素直にさせるだけなので、どういうフィニッシュキメるのか、大変楽しみである。
 『自分だけの言葉を見つける』という、過去から帰ってきて以来のゆいちゃんのクエストにも、深く関わるキャラになったしね。

 

 悪党どもが濃い目の感情をダダ漏れにする裏で、主役たちはHappyなクリスマスパーティーに総出で勤しみ、男たちは謎めいた奇跡を蘇らさんと旅に出ていた。
 人数多くワイワイと、これまで登場したキャラ総出演で宴席囲んでると、色々感慨深く『いよいよフィナーレなんだなぁ……』という気持ちも強くなる。
 デパはローカルな手触り、人間サイズの小さなお話を大事に転がしてきた印象なので、こういう当たり前の風景に特別な気持ちがやどりやすいの、作品の強みだなと感じる。
 あったけぇ日常を濃く描くほど、そこに馴染みきれないフェンネルさんの不自由も際立つしなッ!!

 んで、マリちゃんシナモンたっくんの三人は、因縁の中心に躍り出た死せるデリシャストーンを甦らせるべく、師匠の遺産を蘇らせてた。
 無茶苦茶ファンシーで綺麗な聖地に、男三人乗り込んで最終決戦のスイッチ押すの、なんか異常に面白かったな……。
 プリキュアを戦士と選び話の真ん中に据えるために、戦士としての可能性を剥奪されたり、あるいは遠洋に遠ざけられてきた連中が、ようやく物語の主軸に帰ってきて始まる最終決戦。
 たっくん激怒の理由は、おそらくフェンネルが拗らせた感情(物理)をシナモンに叩きつけた結果なんだと思うが、そこにキュアプレシャスが立ちふさがる足場は、どこにあるのか。
 拳を握りつつも常に対話を志してきた少女と、怒りに滾る幼なじみの対峙は果たして、亡師の思いを歪んだ形で継ぐしかなかった男に何を生み出すのか。
 次回もとても楽しみです。