イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

シュガーアップル・フェアリーテイル:第2話『ブラディ街道』感想

 母の遺志を継いで夢を目指す少女と、黒い渇きを宿す妖精の旅路も第2話。
 王子様気取りのうさんくさい同行者と、いかにも”妖精”めいた小さな友達が加わって、さてはてどうなるッ!? というお話だった。
 第1話よりバキバキにキメた場面は減り、全体的にBPMを落としてゆったり進める感じであるが、旅路自体は大変賑やか晴れ模様(時折血の雨が降るでしょう)という、なかなか独特の味わいである。
 可愛い衣装着込んでる割に荒れ地の旅は危険が多くて、『マジ戦闘妖精買っといてよかったな……』って感じであるが、さて王都に行き着いた時どんなお話が始まるのか。
 ここからの一捻りに期待である。

 

 

 

画像は”シュガーアップル・フェアリーテイル”第2話より引用

 今回もシャルはバリバリにイケてて、ニヒルでアンニュイな命令待ちドM顔と、おぼこ娘を翻弄するドS顔を的確に使い分けて、アンchangをドギマギさせていた。
 妖精差別の上に社会が成り立ってるこの世界、命令よりもお願いで繋がりたいアンの生き方は少数派であり、妖精にとっては救いでもあるはずだが、シャルはあくまで冷たい繋がりを望む。
 傷を受けない貴石から生まれたスペシャルビルドが、なんでこんなに擦り切れたものやら。
 話が転がっていくうちに、シャルの過去も掘り下げられていく感じかなー。

 こっちの恋路はなかなか転がりださない一方、ペラペラ良く回る舌で明らか不自然にアンに追いついてきた自称・王子様の額には『噛ませ犬』の烙印が深く刻まれていた。
 ただの好意と受け取るにはジョナスの行動不自然が過ぎるし、アンにその気はないしで、どう考えてもシャルの関係が一歩進むための生贄すぎる……。
 せめて踏みつけにされても心が傷まない、最悪な理由で動いていてほしいが、これで善人だったらどうしよう……(土下座の準備をする)。
 でもキャシーちゃんへの態度を見てると、まーそういう扱いで良いんじゃないかな。
 アンみたいな変人に焦がれるならともかく、フツーの差別意識を内面化してるフツーの人に妖精が惚れると、幸せな出来事は起こらなそうな世界だなぁ……。

 ここに水妖精のミスリルくんが加わって、なかなかに騒がしい旅になった。
 いかにも”妖精”っぽい騒がしさと浅はかさで暴れるミスリルくんは、アンニュイなシャルが特別な妖精なのだと際立たせてくれる。
 落ちぶれた貴種に見初められ、頭角を現していくイモ娘……ってシンデレラ類型からお話がどこまではみ出すかは、シャルの庇護を受けて客車でガタガタ震えてることしか出来ない旅を終えて、王都にたどり着いた時見えてくる感じかなー。
 アンの癖のない前向きさと公平な芯の強さはかなり好きなので、砂糖菓子職人という夢にどう向き合って頑張るか、主役としての根っこの強さがそろそろ見たくもある。
 その起爆剤として、王子様の裏の顔を使ってくる構成……かな?

 

 というわけで、道連れを追加してどっしり旅を転がす感じの第2話でした。
 妖精の生まれ方とか、この世界での旅の仕方とか、世界観への理解が深まる描写が多かったのは、どっしり進めたおかげですね。
 ただの中世ではない、ファンタジックな味わいがロマンスの魅力を高めてくれるとも思うので、人智を超えた不思議をもっと見せてくれると嬉しい。
 そこに加えて、泥くさい人の営みをどうパワフルに描き、主役の夢を輝かせる燃料に使っていくかも、今後楽しみな所。
 険しい旅を終えてお話が別の場所にたどり着いたあと、見れるだろう楽しさに期待が高まります。