イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うる星やつら:第14話『水乃小路家の男/トLOVEル・レター』感想

 宇宙人から霊的存在、面白ければ何でもありのオモシロ決闘場に、新たな戦士が舞い降りる、令和うる星第14話である。
 今回はあたるとラムが傍観者的立ち位置というか、面堂兄妹が目立ちまくりというか、普段とちょっと違ったエッセンスの回。
 ぶっちゃけ作中最凶のぶっ飛び加減を誇る了子と並ぶには、トンちゃんは”暴”が全然足りていなくて、そこが不憫な可愛さの源泉ともなっている。
 宇宙人が未来兵器で攻めてくる回とか、大妖怪が暴れまわる回よりもはるかにダイレクトな”暴”が野放図に暴れていて、普段よりカオスのタガが外れているエピソードでもある。
 なまじっか日常的な暴力が飛び交う分、『アレ死んだよね……』感が強くて、ひょっこり平然と戻ってくる連中の人間やめっぷりが強調されて、一種独特のグルーヴが出てたな……。

 

 

 

画像は”うる星やつら”第14話から引用

 つーわけでいつも以上にドッタンバッタン大騒ぎな、水乃小路飛麿登場回である。
 第1エピソードで顔見世して、第2エピソードで深掘りする形式は令和うる星の基本姿勢なのね。
 原作全部出切ってて、どの話数選べば二度目の活躍をすくい上げれるか、解ってるからこその構成だわな。

 まー言うたかて、最強妹面堂了子が性格的にも暴力的にも強すぎて、あの子に散々振り回される男衆……という構図になるわけだが。
 あの子本体が作中随一エグい思考パターンしている上に、無駄に有能な黒子が”暴”の代行者として大変優秀なので、出てくると一気に話の流れを持っていく強引さがある。
 唯一止めれそうなのは終太郎お兄様なんだが、よりにもよってかなり強火のシスコンなので、文句は言いつつ妹を殴って止めることは出来ないというね……。
 トンちゃんが顔出すと自動的に了子が引っ張り出され、つまりは普段強キャラぶってる面堂くんのトホホな顔がたっぷり堪能できるので、そういうの大好きな自分としては有り難い。
 顔合わせれば『決闘だ!』なのに、トンちゃんシュウちゃん呼びだしなぁ……あの家で育まれたとは思えないほど、面堂終太郎……人格が丸い。

 んで、新年会に人力デスゲームを敢行するような家の寵児として、鎖を解かれた了子がやりたい放題し放題な今回。
 何かと重たい鉄(ダンベルとかバーベルとか)が人体に勢いよくぶつかり、どんっどんカオスが加速していく手のつけられなさは、作中随一のヤバさである。
 あんまりにもやりたい放題し放題すぎて、あたるが欲望全開で混ざったら完全に制御不能になると踏んで、ラムが抑えにかかる所とか素晴らしい。
 うる星は強力過ぎる個性を積んだアクの強いキャラが、どんだけ話のフレームをぶっ壊す寸前まで加速した上で上手く納めるか……って戦いを毎回やってると思うが、今回は主役二人が端に追いやられざるをえないエグみが、強烈に香る回だった。
 それを初登場のトンちゃんではなく、キャラデザだけは純情可憐な了子が一人でブン回してんだから、まー恐ろしいことよ……。

 トンちゃんもいい感じのアホ加減で、程よくうる星時空に溶け込む良いキャラなのだが、了子の盤面制圧力に終始圧倒されている感じもあった。
 でもこのドタバタ劇で表情も崩さず、スカした上から目線で安全圏担保してるような輩は欠片も面白くないわけで、この不憫可愛い立ち回りがちょうどいい……のかもしれない。
 男の子たちが基本アホで、彼らが企むしょーもない悪事が上手く行かずにハチャメチャになっていくのは、全てに平等で暴力的でダイナシな作品世界を維持していく上で、結構大事なんだろうなぁ。
 そういうズタボロのチャーミングさをたっぷり味わう意味では、了子の暴虐も必要な要素なのだ多分ッ!!

 

 というわけで、大変に”うる星やつら”なエピソードでした。
 やり過ぎッ! って感じもあるが、この破綻寸前投げっぱなし勢い勝負な感じも楽しくて、色んな攻め方に出来る話だなぁ……と、今更ながら実感。
 次回はどんな面白さが飛び出すか、楽しみですねッ!!