イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

REVENGER:第3話『Fortune is Fickle and Blind』感想

 人の縁は八卦見にも似て、どう転がるかは一天地六。
 魔都長崎に蠢く鬼を、かき分けかき分け利便事稼業……さてはて明日はどんな色。
 そんな感じの、リベンジャー第3話である。

 冒頭、鳰きゅんとのドキドキ☆長崎デートから始まって、蓮っ葉なルームメイトとのバチバチ勝負、ミキシン声のヤバい新キャラと、人生終わりきった雷蔵の新生活はいかさま臓物味ッ!
 一見転がりゆく新たな人生を爽やかに描いているようで、新しい仕事の同僚は腹に一物抱えっぱなしだし、何かと人死と差別と搾取が絡むし、やっぱ人間ぶっ殺してスッキリ気分一新! たぁいかない。
 腐りきった長崎与力の内部抗争に便利に利用され、社会のクズを大クズの手引で消して、世の中良くなるわけがねぇだろ……という、薄暗い視線がじっとり伸びてる、良い話数だった。
 全員、ロクな終わり方しないんだろうなぁ(しないで欲しい)。

 

 

 

画像は”REVENGER”第3話から引用

 男たちの関係を切り取る画角はとてもバロックで、格子戸やら掻巻から伸びる生足やらが間に挟まり、素直に繋げはしない。
 秘められた過去から染み出すドス黒い感情やら、ヘラヘラ顔の奥に鈍く光る利権やら、色んなモノが絡んで……しかしまだ、表に立って手足を縛りはしない。
 クソみたいな権力者に既に腹は探られて、しかし便利な凶器と侮られている間は手も伸びず、一見自由な新生活を送れている。
 そんな印象を雷蔵が新たなヤサを手に入れ、惣ニとともに暮らし始める今回には色濃く匂う。

 冒頭、大胆にセリフをカットして物語の舞台……狭い土地に過剰に欲と業を詰め込んだナガサキ・スプロール(ちゃんと郊外にスラム街もあるよッ!)を描く今回は、2話までクローズアップされてきた利便事稼業に絡む粘ついた因縁を少し抑えて、雷蔵が飛び込んだ新しい日常をスケッチするような筆使いだ。
 かといって出口のない湿り気が抜けきったわけではなく、新しい暮らしが肌になじんでも消えない武家気質と、それを横目で恨む”仲間”の顔が濃い。
 こんな因業な稼業に身を投じている以上、雷蔵以外も重苦しい過去を背負って今に至るのだろうが、それはまだ伏せ札。
 ただじっとりとした恨みが仕事仲間から伸びて、なにもかも喪った空っぽにまだ何も詰め込められていない、誰かに言われるままの雷蔵を睨んでいる。
 それゆえ当然、”仲間”と触れ合う距離には不自由な隔意が宿り、ぎしりと関節を軋ませながら雷蔵の新生活は、ろくでもない街で踊る。

 

 

 

画像は”REVENGER”第3話から引用

 雷蔵の空虚に、一体何が詰まっていくのか。
 どんなに煤けていても、花の新生活が動き出した実感は奇妙な期待感を抱かせ、それを打ち砕くように、凧は糸の繋がった範囲でしか蒼天に飛び出せない。
 さらりと、幽烟の首を切り落とすと告げた鳰が求めていた答えと、求めていなかった答えが一体何なのか。
 それを描く中で、惣ニが引き当てた”蝶”が”猪”武者と合わさって、一役作れるかも見えてくるだろう。
 ……ノンキな”鹿”は、果たして誰かな?

 武士は武士にしかなれず、人殺しは人殺しにしかなれない。
 幽烟は一見自由に見える凧の限界点を良く知っていて、それでも空に憧れ舞い上がることには意味があると告げる。
 騙されて親を切り、妻を死なせた雷蔵のリベンジは、第1話で既に終わっている。
 その先にある空っぽな余生から、何かを夢見て何かを得ることがあるのか。
 惣ニをルームメイトに進んでいく今後のお話は、そこら辺を触っていく話になる……とは思うのだが、かなり慎重に『人殺しのクズが、新しい道見つけて幸福になれるわけねぇだろ!』と作品が告げているので、まー見るとしても泡沫の夢ではあろう。
 糸が切れて真実自由になった凧は、もう堕ちるしかないのだ。

 

 しかしこの、お互いに好意も希望も抱いていない泥まみれの現実感から始まって、最悪な街で最悪な仕事を重ねて、それでも生きている以上何かが繋がり何かが始まってしまう感じは、結構好みである。
 そんな”生きる”手触りがあるからこそ人間は人間を騙し、餌食に食い散らかして恨みを買い、それを晴らす美名のもと誰かに利用もされる。
 狭い長崎にたっぷり詰まった人のどうしようもなさと、そこに微かに咲く花の色。
 そこら辺をしっかり描いてくれると、なかなか楽しそうではある。

 ここにミキシン声のかいまき与力やら、明夫声の腐れ異端やら、利便事屋を便利に使う上役たちがどう絡んでくるかも、またワクワクの一つだ。
 どピンクな酒毒色毒に包まれながら、雷蔵の行方をかっちり抑えて幽烟の頭を抑えてくるあたり、漁澤の底の見えなさ、食えない手練も上手く描かれていた。
 第1話からずーっと異様な存在感を放っている、長崎地獄城で異国のロクでなしがロクでもないことしてる描写もあったし、今後咲き誇る悪の種子を手広く見せて、物語の予感を創る回だった……かな?

 フラフラ周りが吹かす風のまま、揺らされている雷蔵という凧。
 それを縛る士道という糸が、結局切れない魂の根っこだとしたら、武士でなくなった雷蔵は武士に戻って死んでいくんだと思う。
 そこに至るまでに、こうして流れ着いてしまった血の池をどう泳いで、そこで出会った連中の思いを知って、終わったあとなお続く人生をどう生きたのか。
 絢爛な闇が深く広がる末世の長崎を舞台に、そこを掘り下げていってくれると良いな、と思う。
 そのためには助演の立ち姿が凄く大事で、今回のお話は『惣ニと鳰、結構良い存在感してるよ……』と告げてくれる仕上がりで、とても良かった。

 銭をもらって人殺し、命勘定博打の種。
 そういう世界に慣れてきている雷蔵の、明日はどっちにあるのか。
 次回も楽しみです。