イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ひろがるスカイ!プリキュア:第2話『ヒーローがおうちにやってきた!?』感想

 小さき翼に夢と勇気を乗せて、羽ばたく新たなヒーローレジェンド、待ってましたのひろプリ第2話である。
 ブタが異様な存在感で暴れ倒した第1話からBPMを少し落として、ましろちゃんと過ごしていく異世界の青春、そこに寄り添う人たちをどっしりと描く第2話となった。
 出会ったばかりの二人がどんな輝きを瞳に宿して、お互いを見つめるかが鮮烈に描かれていたし、そこに宿る勇気と慈愛がなんとも爽やかに眩しい。
 カッコいいもカワイイも、心躍る素敵なものを全部盛り込んで一年間お話をやっていくという、20年目のプリキュアスタンダードが豊かに伝わる第2話でした。

 

 というわけで主役の話する前に……エルちゃんの描き方が良かったです。
 前回悪党に攫われ泣いてばかりだったので、ようやく心安らげる場所でお腹いっぱい満たされてスヤスヤ眠り、頑是無く笑う顔が見れてホッとした。
 赤ん坊らしく素直に感情を表現する表情が彩り豊かに描かれていて、なんつーか……”生きてる”って感じがしたよ。
 眠くなっちゃって船漕いでる時の細やかな描写、『ぜってー足の裏ホカホカになっちゃってるよ……小さいアンヨを摘んで「うわ熱ッ! 病気とかじゃないの? 副交感神経が活性化して眠くなってるだけ!?」とかビビりてぇよ……』と思わせるのに十分でした。

 エルちゃんの生っぽい赤ん坊っぷりは、飯食うのも眠るのも誰かの力を借りなければいけない人生最弱の季節……そこに必要な強調する。
 つまりソラちゃんのヒロイズムの鏡としても、メイン客層にガッツリ刺さる定番キャラは機能するわけだが、”護る”という強さの表明だけでなく、”育む”という優しさの表現としてもエルちゃんを生かしていたのは、とても良かった。
 あの子は戦士として震えを押し殺して闘うだけでなく、身近にある小さいものに優しく手を差し伸べる力も、大変高いわけだ。
 ここら辺常識担当であるましろちゃんの不器用な育児描写が効いてるところでもあって、幼い弟の世話でベビー経験値が高いソラちゃんの手慣れた様子、それを間近に受け取ることでジワジワ育まれていくましろちゃんの親しみと憧れが、良い手触りで伝わってくる。
 プリキュア開始時特有の、総合的なクオリティブーストを地道な関係性構築に活かし、納得感の強い感情表現が出来ていたのは、とても良いなぁと思う。

 

 そんな二人は魔女のオババに見守られつつ、新しい宿を得て異世界デートに励む。
 一般的な生活レベルからハイソにぶっ飛ばした虹ケ丘家には、何でもお見通しな優しいおばあちゃんがいて、降って湧いた異世界戦士から謎の赤ん坊までまるっと一飲み。
 新しいお洋服買うおぜぜまで手渡してくれて、ヨヨおばぁのホスピタリティは完璧だッ!!
  まぁここら辺延々世知辛くても、キラキラ眩しい憬れ物語描くにはノイズにしかならねぇしな……エルちゃんに安全と安心を速攻確保するのは、マジ大事だし。

 ソラちゃんがお買い物の中異世界人特有のムーヴを乱発しこっちを楽しませてくれると同時に、ましろちゃんがキュンキュン来るのも当然のハンサム力、”姫の側仕え”に凝り固まらないガーリッシュな溌剌も魅せてくれて、大変良かったです。
 自分が不審がられるより民衆の不安を大声で晴らし、騎士の誓いを立て体張ってましろを護るソラちゃんですが、新しいお洋服に瞳輝かせる顔もまた魅力的で、いろんな楽しさや好きを贅沢に体現する、いいキャラだと感じました。
 ヒーローたらんと頑張るソラちゃんにましろ姫の視線が奪われるのは納得として、異世界で新しく出来た友達のさりげない優しさ、出会いの奇跡にソラちゃんも心を弾ませて、楽しく新たな日々を過ごしている様子が多かったのは、凄く良い。
 猪突猛進正義バカに見えて観察力と学習能力があり、戦闘後手を引かれた時に『あ、目立っちゃいけないんだった』と思い出してる描写とか、ソラちゃんの人間が解って素晴らしかった。
 理想が高い者は周囲の世界や他人をときに置き去りに突っ走るもんですが、そういう傾向は確かにありつつ、真実ヒーローであるために欠かしてはいけない視野の広さ、思慮深さも兼ね備えている……だからこそ持ち前の活発さが彼女なりの良さになっていると描けているの、良いなと思います。

 

 そんなハンサムな彼女に既に心の中メッタにされてるましろちゃん……アンタ姫担当だったのね!
 青くて刈り上げでジャージで騎士なソラちゃんと、疑似ロマンス的な立ち位置にあるましろちゃんは全体的に”女性的”で、控えめで優しく受動的でおしゃれが好き。
 ここで固定された男女役割を性別入れ替えて再演してるだけだと、わりかし最悪だったわけですが、先にも述べたようにソラちゃんの興味は天空の如く広く、いろんな”好き”、色んな”らしさ”を引き受ける主役。
 彼女への憧れに導かれて今後物語を進んでいくましろちゃんが、姫ポジションに期待される”女の子らしさ”を”自分らしさ”に上手く変換し、書き換え塗り替え彼女だけのヒロイズムにたどり着いていけると、なかなか面白いと思います。
 ソラちゃんは自分を助けてくれたヒーローを手本に、ある程度以上完成した先輩勇者でもあるわけで、彼女との出会いで自分だけの英雄譚を描き始めたましろちゃんと二人三脚、立体感のあるお話が作れると楽しいかなー。

 ましろちゃんのヒロイズム、その一番最初が『ブタに踏みにじられた、友達の夢をもう一度手渡す』なのは、最高に良かったです。
 ずっと欲しかった素敵な手帳を、今本当に必要としてるソラちゃんにプレゼントできる心の豊かさもいいし、その手触りを変身前、確かに震えている身体から感じ取ってるところも最高。
 ソラちゃんの英雄主義ってともすれば身体性の無い、空疎で危険な憧れに突っ走っていってしまうタイプなんだけども、あくまで生身の人間として自分の未熟さと弱さを悟りつつ、それでもなお憧れに踏み込んでいると描かがれていた。
 そしてその体温を指先で感じ取り、異世界の友達が望む”英雄”でいられるよう、自分なりの優しさを手渡す、もうお一人の英雄候補……大変良いじゃないの。
 青とピンク、強さと優しさ。
 色々なものをかけがえない”らしさ”としつつも、そこに頑なに閉じこもるのではなく互いを補い合い、学び合って前に進んでいく物語の一歩目として、とても印象的でした。

 

 というわけで、小さな勇者の物語がかくして動き出す! という第2話でした。
 全体的に表現が細やかで、各キャラクターが作中で気づき受け取っているもの、それを胸の中育んで震えながら飛び出す未来が、瑞々しく描かれていたと思います。
 この繊細かつ元気な表現力を今後も生かして、20年目のプリキュアが新たに描き出すヒロイズム、戦いとともにあるまばゆい青春を描いていってくれたら、大変面白くなると思います。
 第2話まで”プリキュア”で描いておくべき所はパーフェクトに抑えてもいたので、エモーショナルな表現力を最大化する手際の良さにも、結構期待できそう。
 色んな強さを豊かに抱えた新たなプリキュアが、来週描く物語も楽しみですね!!