イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

シュガーアップル・フェアリーテイル:第6話『海辺の城』感想

 恋に夢に頑張る乙女の異世界青春日記、海辺の町には火種がいっぱい! な、シュガーアップル・フェアリーテイル第6話である。
 謎めいた依頼にチームで励み、まーた初恋泥棒による無自覚イケメン・ボムにキュンキュンしてたら、まさかまさかの”ザ・キラー”再登場に、こっちのテンションと警戒レベルは限界突破!
 『作品を盗んだ挙げ句、血に飢えた狼の群れをけしかける』以上の殺し芸が炸裂するのか、はたまたビンタで毒を抜かれてフツーのライバルになってるのか、ジョナスくんの動向は大変に気になります。
 同時に美しい妖精を砂糖菓子に写させる、陰気な伯爵の真意もいいミステリ加減で、さてこの城での物語がアンちゃんをどう育てるのか……いい新章開幕でした。

 

 

 

画像は”シュガーアップル・フェアリーテイル”第6話より引用

 というわけで新たな舞台の物語は海辺の町、フィラックス!
 この作品の舞台クソみたいな妖精差別が常態化してるだけじゃなく、直近でも三名家の対立で国が揺れたらしい。
 あらゆる場所に爆弾埋まってて面白すぎるな……権力闘争の地雷原過ぎるだろ。
 波風が多いほうがアンちゃんの素朴で素直な人格は映えるわけで、ネトネトした政争から陰湿な種族差別、ダイレクトにイカれたライバルの妨害まで、ピンチの火種は山盛り積まれているわけだな。

 かくして伯爵閣下に見初められ、大金かかったビッグビジネスに挑むアンちゃんに立ちふさがるカスッ!
 いやー来たねぇジョナスくん……こんどはどんな悪役芸を覚えて返って来たんだい?
 対面して即ヤッパ抜くシャルも大概な暴力主義者だと思うが、コイツに関してはその反応が間違っていないというか、それこそが正解というか。
 あんだけされて『ちょっと意地悪で相容れないライバル』くらいに扱ってるアンちゃんの、思考回路を正直疑う……殺しましょうッ!!(過激派の進言)

 ゴミ人間の悪行は後々炸裂する爆弾として、今は与えられた課題をしっかりこなすターン。
 シャルと一緒に城の謎を追いかけてみたり、ミスリルとも協力して作品を仕上げたり、波乱の予感はありつつアンちゃんは修行に励む。
 主題に選んだ砂糖菓子づくりに結構な尺を使って、手仕事に励む汗を毎回切り取って見せてくれるのは、努力する主人公への好感を裏打ちしてくれる見せ方で、大変にありがたい。
 砂糖菓子作り自体が一つの作品のように、不思議で美しい技芸として描かれてて楽しいし、恋に仕事にサクセスしていくアンちゃんの足取りに、地道な努力が納得を与えてもくれるしね。
 ミスリルと二人、息を合わせて作品に挑んでる工房の空気もグッド。

 

 

画像は”シュガーアップル・フェアリーテイル”第6話より引用

 そういう汗臭い努力描写の間に差し込まれた、ベタ足のロマンス描写が効くッ!
 染め粉でお鼻を真っ青に染めたドジっ子ぷりには猛烈なあざとさを感じましたが、同時にこんぐらいストレートに『健気な少女主人公』を浴びてぇからこのお話食ってる部分もあり、『どポンコツでへんてこなアンちゃんがやっぱ好きだ……』という気持ちを新たにした。
 なにかあるとすーぐ『シャルは私のこと好きなのかな……私はシャルのこと好きなの……!?』と、恋の迷宮に迷い込む花乙女であるけど、その気持はけして一方通行ではなく、哀しき妖精もまた健気な努力に心惹かれている。
 世慣れているがゆえに心を閉ざしたシャルと、何も知らないからこそ無垢なアンちゃんの組み合わせって、典型的な年の差男女の構図なんだね、今更ながら。
 だんだんとお互いの気持を自覚しつつ、それが恋になってしまえばクソみたいな種族差別がダイレクトに襲いかかってくるだろうし、そうそう簡単には成就しない難しさも匂わされていて、恋の一進一退をもどかしく見守るのも、また楽しい。

 恋愛打席に立った瞬間、毎回特大ホームランを放ってアンちゃんをドギマギさせるシャル公に、いい加減ムカついても来たが。(心が高ぶると、全ての感情を”ムカつく”で受け取りがちな人間)
 その細い指で乙女のおとがいを掴まえる仕草が、どんな風にお互いの心と立場を揺らすのか、自覚してやってんのか無自覚なのか、いまいち読みきれないのも面白いところである。
 何しろ長く生きてるし、リズとの恋は絶対大悲劇に終わってるだろうしで、人と妖精が思い合った結果何が起きるか、ようよう知ってての憎まれ口だろうしね。
 その癖高まる鼓動に鍵かけず、フルスロットルでグイグイ行く部分もあるし、乙女が眠っている時にだけ思いを囁く奥ゆかしさもあって、もーどっちなんだいッ! って感じ。
 このヤキモキ割りきれない感じは純情ロマンスの醍醐味だと思うので、毎回男女両方から力強く、ときめき満載でしっかり書いてくれるのは、大変嬉しいですね。

 

 

画像は”シュガーアップル・フェアリーテイル”第6話より引用

 中央政府(つーかダウニング伯爵)に危険視されてるフィラックス公爵の陰気な顔も、妖精との悲しい恋で凍りついてこの表情……なのかなぁ?
 奴隷扱いを嫌ったり、破格の報酬で最高の砂糖菓子を求めたり、ヒントは色々出ているけども、答え合わせは来週以降となりそう。
 物語を支える手中であるアンとシャルの恋物語が、どんだけ世間に許されず運命に試されるものかを示す意味でも、ここで妖精に恋した男の悲劇……を、アンが砂糖菓子で救う挿話は十分ありそうだ。
 品評会から時間が経って、職人として腕を上げただろうアンちゃんがどんな魔法を身につけたのか、具体的な成果物とともに見てみたいタイミングでもあるしね。

 そのための壁役として……オイジョナス、地獄に落ちろッ! なんでテメーはそんなにムカつく顔ができるんだやっぱ”才”かッ!!!
 こんだけボロカスに殴りつけても心が傷まない、良いサンドバックを作中に置けたのはある種の奇跡だと思っておるけども、彼もまたあの敗北から何かを学び、ちったぁ変わったのだろうか?
 ……ねーな、城での対応見てると。
 さーすがに身分ある人の庇護下に入って、命に関わるヤンチャぶっ込んでは来ないと思うけど、そういう想定を遥かに飛び越えていくのが”邪龍”ジョナス・アンダーだからな……。
 また超ド級のヤバ爆弾が炸裂し、アンちゃんがシャルの助けと持ち前の侠気で乗り越えていくのを期待しつつ、次回を楽しく待ちます。
 ジョナスがドクズを晒すほどに、結構気が強くメソメソ泣いてばかりじゃないアンちゃんの気骨が強調されるの、俺好きなんだよな……そういう子が、シャルの前ではドギマギメソメソするギャップも良いわい。