それぞれの勇気と優しさを目指し高く飛び立つ少女たちのジュブナイル、ひろプリ第4話は待ってましたのキュアプリズム爆誕!
スタイリッシュで力強いキュアスカイが、青ベースの新機軸なのに対し、純白ふわふわ超あざとい、全身全霊で”闘う女の子”しにいくキュアプリズムのどストレートな魅力が、たっぷり伝わるエピソードでした。
新たな地平を切り開く挑戦とここまでの実績を引き継ぐ安定感、両方しっかりもぎ取っていく語り口が、W主役の描き方、アクションの中の魅せ方にしっかり反映されてて、野心濃くていい。
スカイがメイン視聴者層をフックしなかった時に、絶対フェイルセーフとして機能するビカビカの可愛さ勝負、脳髄直接ぶん殴られてるような”火力”があって素晴らしかったです。
というわけで、今回も色々起きてるひろがるスカイ! プリキュア。
最初の特訓シーンではしっくり来てなかった『今のままでも、貴方は十分強い』というソラちゃんの言葉を、闘いに飛び込むことに怯え、幼なじみに既に持ってる優しさと有機を思い出させてもらい、新たな力を存分に振るって学び取っていく物語が、虹ケ丘ましろのお話として凄く良かった。
既に憧れの出会いを果たし、スカイランド神拳黒帯の実力を誇るソラちゃんは、ある程度仕上がったところからヒーローガールしているわけですが、体力も心力もヘロヘロなましろちゃんは、ゼロからスカイの背中に憧れて闘いに飛び込むポジション。
まさに”真っ白”なキャンバスに彼女だけのヒロイズムを描いていく、現在進行系のヒーローとして、実は王道主人公はこっちだよなぁ……って気持ちを新たにする。
マニッシュなソラちゃんが先を行ってフェミニンなましろちゃんが後を追うという、結構ヤダ味のある構図を上手く崩して、実は両方まだまだ未熟、出来ないことが多いから出来るようになっていく思春期の描き方は、かなり風通しが良いです。
早めに変身アイテム奪われてプリキュアになれない展開を持ってきたのは、もちろん暴力的問題解決の唯一性をましろに手渡すためのセッティングなんですが、同時に(ましろが憧れたよるほどには)完璧ではないソラの現状と、だからこそ友達としてその欠落を埋めていけるましろの存在意義を、強く彫り込む意味があったと思います。
ソラちゃんの瞳にはかつて見た英雄の残像が濃く焼き付いていて、だからこそ強く在れる描写がここまでは濃かったわけですが、しかし理想が高いからこそ現状と比べて『私なんか……』となるわけで。
この下向きの引力に自分も囚われ、引きちぎってヒーローになったましろは、ようやく『私なんて……』という自己卑下があまりに寂しい言葉なのだと気づく。
ここら辺、前回エルちゃんの寂しさを真実自分に引き寄せて受け止めるまで、それなりに手順を踏んだのと似てるなー、と思います。
最初から答えを持っているのではなく、白紙のノートに自分だけの答えを刻んでいくからこその実感と説得力、綺麗事が生きた夢になっていく手応え。
ましろちゃんが持ってる強さが、ソラちゃんにもあるのだと示す小道具として、英雄ノートがしっかり機能しているのは凄く良いと思います。
日々学んだ成長を忘れないよう刻むアイテムが、ましろちゃんの愛が詰まったプレゼントだったの、二人の”全て”が既に言い表されていて最高に好きなんだよな……。
理想や夢が形にならない苦しさを知りつつ、それでもなお前を向いて高く跳ぶ。
そんなありふれた成長の過程を、それぞれ個別の人格や強さを照らしながらしっかり削り出してくれるのは、少女たちのジュブナイルとしてすごく大事なところかなと思います。
そこにがっぷり噛みに来た、聖あげはお姉さん18歳!
ましろちゃんのヒーロー・オリジンでガッツリ回すと思いきや、年の離れた新たな友達であり、新しい戦士候補の人間をたっぷり味あわせてくる手際、大変良いです。
『最強の保育士』という夢に向かって、具体的な校風を自分の目で確かめつつキャリア積んでるのは、成人プリキュアの特異性が早速生かされてる感じで良かった。
前作でいえばらんらんの物語とかは、夢のカタチを明確にしその一歩目を力強く踏み出すところまでで一区切りだったわけで、ガッツリ法定成人年齢キュアだと、そこら辺の足取りもさらに具体的になるよなー、と。
ここら辺のソリッドな質感をどうあげはちゃんのお話に絡めて、他の物語と響き合うような形で語っていけるかは、今後の楽しみですね。
エルちゃんに優しくてあの子がキャッキャ笑ってる時点で二億兆点でしたが、年下の幼なじみへの分厚い愛情、風通し良く朗らかな対応、その奥に見え隠れする芯の強さと、初登場でガッツリ心を掴む描写も山盛り。
新たな可能性を前に震えるましろちゃんに、ありふれた離別に既に彼女が見せていた『優しい勇気』を教えて背中を押すの、大変良かったです。
年が上だの下だの、そういうことに拘らず人間の真芯を見据えて伝えるべきを伝えられる、真っ直ぐな人だと分かったのは素晴らしい。
やっぱプリキュア、人間の美質を一切の寺いなくど真ん中で描こうとしてくれる強い筆が好きだな……。
運命によって出会った二人がお互いを強く意識して、脳髄の深い所に親愛ぶっ刺さってる様子をこれでもかッ! と描いてくれるの、『友達は良いよね……』つうメッチャシンプルで何より大事なメッセージ、バキバキに分厚くしてくれて嬉しい。
あんなロマンティックとドラマティックが休む間もなく攻めてたてきたら、そらーお互いがお互いの特別になってっちゃうよね……そういう説得力大事よ。
次回予告見ても、お話はここまでパーフェクト・ヒーローガールとして物語を牽引してきたソラちゃんの弱さを、彫り込んでいくフェイズに入りそう。
ここでガッツリ背中を伸ばして、メソメソ震える年下を受け止める腰の強さを、今回あげはちゃんが見せてくれてるのは凄く良いな、と思います。
無論ましろちゃんの『優しい強さ』が、ソラちゃんの『強い優しさ』と相補いあって新しい景色に踏み出すってのがメインなんだろうけども、そこに人間のいちばん大事なところを見落とさねぇお姉さんがいてくれりゃ……”無敵”よ。
将来あげはちゃんが道に迷った時は、彼女が寄り添った仲間が支えてくれるのだろうし、キャラが増えるほどにしっかり迷って答えを見つけていける、人間関係の健全な堅牢さが太くなっていくのは、大変ありがたい。
ここら辺引っ張り出すために、カバトンが相変わらず良い仕事をしてて、マジ早く死んで欲しい。(悪役に対する最上級の賞賛)
ミエミエの罠に頭から飛び込んでしまう、危うい善性がソラちゃんの(多分たくさんある、だからこそ人間でもある)弱点の一つだと、早速示すところとかね。
ここを常識人のツッコミ感覚で補っていくのが、ましろちゃんの仕事になってくんだろうなぁ。
キュアスカイのアクションがタメが強く力強い、鳥が羽ばたくようなニュアンスを宿しているのに対し、キュアプリズムはふわっと力みのない、しかし軽やかさと力強さを宿した蝶の動きをしていて、同じ『飛ぶ/翔ぶ』にしても個性があるのだと、アニメーションでしっかり魅せてるのは良いなと思います。
これは剛柔の対比でもあり、20年前描かれたキュアブラックとキュアホワイト、そのアクションを新たに描き直す筆なんかなー、などとも感じるけど。
このアニメは『色んな強さと優しさがあって、どれも大事なんだ』と語り続けることになると思うんだけど、それが活劇の描き方にしっかり反映されて個性があるのは、ドラマがアクションと響き合ってて良いなと思います。
前衛後衛で既に役割分担して、人数多いからこその面白さが今後広がっていきそうなのも良い。
というわけで震える手で未来を掴み取る、キュアプリズムの鮮烈デビューでした。
大変良かったです。
何にもない(と思い込んでる)所に新たに……そしてかつて自分が成し遂げた日々を思い出しながら、自分なりの英雄譚を積み上げていく。
等身大(というには、あんまりに可愛くあざとく素晴らしい)主人公のお話がどういう形をしているのか、しっかり示してくれるエピソードだと思いました。
ゼロから叩き上げていくからこその泥臭い強さと、少し遠い所に立ってるようにみえるソラちゃんが、どんな脆さと新たな強さを探し出すのか。
次回も大変楽しみです。
追記 叫ぶ動物としての我々の物語
ひろプリ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年2月27日
カバトン、エルちゃん誘拐した時に続いて今回も”口を封じる”ヘイトアーツ使ってきたので、言いたいトコを言わせない、人間の根っこから自然に溢れるものを塞ぐ行為が、今回の主役が向き合うべき”悪”の一つなんだろうなぁ、と思う。
ここら辺、20年で形成された(そして内部から幾度も切り崩してきた)”あるべきプリキュア”に真正面から体当りするバタフライやウイングに離しの軸足が乗った時、より鮮明な主題として掘り下げられていく要素なんかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年2月27日
”叫び”を押し留める行為を、プリキュアは常に許さない。
追記 差異を断絶のテコではなく、融和の鍵として活かすためにどこに注力するべきかというのは、新しい試みを沢山やるひろプリだとかなり大事になるポイントだと思う
ひろプリ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年3月3日
聖あげは最初のエピソードで『年下と別れるのが辛くて泣いた』を出してきたの、年が上だろうが泣いて良く、年少者がヒーローになって良いと示して、今後不要な勾配を作らねぇための下準備でもあったんかな…と思った。
『人間(プリキュア)なら誰もが対等(タメ)だろ』という理念…。